今日もいい天気です。  
花畑では花が咲いてるし、カルシファーも何だかご機嫌だし、マイケルも相変わらずマーサの所へ通っているし。  
でも、何ででしょう。  
ソフィーは胸の中がざわめいてしょうがありません。そして、寂しくてしょうがありません。  
昨日、ハウルに部屋に行こうといわれて、断ってしまったせいでしょう、きっと。  
あの後、少し寂しそうな目で笑って、ハウルは「うん、わかった。おやすみ、僕のソフィー」とだけ言っておやすみのキスをくれました。  
そして今朝、起きて来たらハウルは朝食の席にいなくて、カルシファーもどこに行ったのかわからないそうです。  
「ハウルは行方不明になるのが好きなんだわ、きっと」  
ぼやきながら、花屋を開店させて、お客さんの相手を始めました。  
 
お昼頃、一旦マイケルが戻ってきて店番を代わってくれたので  
家の方に戻って、カルシファーと雑談をしながらお昼ご飯を1人+1匹で食べました。  
「オイラはさー、ハウルはソフィーが大事で大事でたまらないだけだと思うぜ」  
ベーコンを貰いながらカルシファーが言います。  
「食べながら言うんじゃないよ、カルシファー。でもさ、大事なら何で出かける時何も言わないで行くの?」  
「1人で考えたい時もあるって事だろ、オイラにも何も言わないんだからきっとそうなのさ、ソフィー玉子もくれよー」  
はい、と玉子を火の中に放り込みながらソフィーは思います。  
1人で考え込むなんて、あんまり良くないんじゃないでしょうか。  
何でも出来る魔法使い、それがハウルです。でも、彼だって人間で、このソフィーの旦那さまなんです。  
「何かあるなら、あたしに言ってくれてもいいじゃない?そうよね、後で言ってみればいいんだわ」  
ありがとう、とカルシファーに言ってソフィーは午後の店番を続けました。  
 
夜になっても、ハウルが戻ってきません。  
マイケルは今日はマーサの所へ泊まると言って出て行ってしまったので、ソフィーとカルシファー2人だけです。  
「ねえカルシファー。ハウル、どこへ行ったのかしら」  
「だからオイラは知らないってばさー。前みたいに心臓持ってたら場所わかるけど、今はオイラ持ってないもん」  
ボボッと紅い炎を散らして、カルシファーもちょっとだけ心配しているようです。  
「ねえ、もしハウルが前みたいに他の女の子にちょっかい出すようになっちゃったらどうしよう?」  
ソフィーは、浴室でわざわざ自分に髪を洗って欲しいと言って来たのを思い出して涙目になりました。  
だって、自分は『話し掛けたモノに命を吹き込む』魔力の持ち主です。  
洗われて、濡れて輝く髪の毛を見ながら『綺麗ね』と言ってしまったのを思い出してしまったんです。  
今でも充分綺麗な髪ですが、もしもっと綺麗な髪になったら女の子はとりこになってしまうでしょう。  
「大丈夫だよ、ハウルはもうソフィーしか見えてないんだから。ソレはオイラが保証する!」  
ボッと、青い炎を上げてカルシファーが笑いながら慰めました。  
「そうかな、大丈夫かしら。でもね、あたしまだ心配なのよ」  
「うん、大丈夫だよ。だってハウルは」  
 
「ソフィー、君が一番大切だって、僕のお嫁さんは君だけだって言ったよね?まだ信じてくれないの、ソフィー」  
そっと、背後から抱きしめてくるこの両腕は。  
「ハウル!」  
愛しい旦那さま。  
抱きしめてくるだけじゃなくて、頬にキスを落としてきます。  
「ハウル、今度はどこへ行ってたのよ!心配したのよ、色々・・・」  
カルシファーのまん前なので、真っ赤になって恥ずかしがりつつソフィーが聞くと、ハウルは意外な名前を言いました。  
「うん、ちょっとレティーさんの所へ行ってきてた」  
「何でレティーなの?」  
「ソフィーを口説くにはどうしたらいいか、聞いてた。聞きに行ったんだけど、あんまり参考にならなかったな」  
ふふ、と笑ってハウルが答えます。  
「もう、口説くって何の話よ!」  
更に真っ赤になって抗議するソフィーを軽々と抱えると、ハウルはその額にキスを1つ。  
「カルシファー、言っておくけど」  
「気配を覗くな、って言うんだろ。オイラそんな無粋な事しないよ、おやすみー」  
クスリ、と笑ってハウルは耳まで真っ赤になったソフィーを抱えて自分の部屋へと向かいました。  
密かに、”今日こそソフィーと繋がるんだ!”という野望を心に秘めて。  
 
 
部屋に着くと、ソフィーを抱えたままハウルはドアを開けて、閉めて、施錠の術をかけて、また聞き耳の出来ないような術もかけました。  
その間、ソフィーは落ちないように必死でハウルの首にしがみついています。  
「うん、鍵よし術よし、これで今日も安心だよ、ソフィー。さあ降りていいよ」  
「いいよ、じゃなくて降ろしてちょうだい、ハウル!」  
ごめん、と笑いながらハウルがベットの上にソフィーを降ろしてあげます。  
お姫様抱っこで運ばれたので、降ろすと自然に横たわる形になってしまいました。  
当然、起き上がらせる隙など与えるハウルではありません。だって、今日こそは!って目的があるんですから。  
「ハウル・・・何で上にかぶさるの?起き上がれないじゃない」  
「うん、そうだね。今日は朝から出かけてたから、ソフィーの顔をちゃんと見てないだろ?今その分見たくって」  
ニコニコと大好きな人に言われては、そこで嫌がる理由なんてありません。  
少し頬を染めてハウルを見つめます。  
「ソフィーはとても綺麗な髪の色だね。僕は君の紅い髪が大好きだ」  
「ありがとう、ハウル。相変わらず上手よね、色んな意味で」  
そう?と首をかしげるハウルの顔を、ソフィーは両手で包みます。  
「あたし、ハウルが色々褒めてくれるの嬉しいけど、何も言わないで傍にいてくれるだけなのが一番嬉しいのよ?」  
にっこりと、極上の微笑みを。  
ハウルが今度は赤くなる番です。  
「あら、珍しい。ハウルが真っ赤になってる!」  
ふふ、と笑うソフィーが何だか悔しくって、ハウルは我慢出来ずに口付けしてしまいました。  
「んーっ!んんっ!」  
いきなりだったので、一瞬ソフィーは抗議しようとしましたが、今日いなかった理由を考えるとこれでもいいかと思って納得してしまいました。  
 
しばらく2人は濃厚な口付けをして、唇を離すと間に光る糸が垂れました。  
「ねえソフィー、今日こそ・・・いい?」  
聞いた途端、ソフィーは首まで真っ赤になってしまいます。  
一昨日初めて素肌を全て晒して、昨日は恥ずかしくて断って、今日ですから、言われるだろうとは思ってたのですが。  
「僕、やっぱりソフィーが大好きでたまらないんだ、ソフィーと一緒になりたいんだ。まだ嫌だったら言ってよ、ソフィー。」  
身を屈めてソフィーの耳元で囁きます。一昨日で、耳が弱いようなのを気付いたからです。  
案の定、耳を更に真っ赤にして顔をそむけます。  
「ねぇソフィー、顔そむけちゃう位僕の事嫌いになっちゃった?」  
「そんなことないわっ!あたし、ハウルが好きよ!ハウルがあたし好きでたまんないって言うのと同じ位、あたしだって・・!」  
勢いで言ってから、自分が熱烈な愛の言葉を言ったのに気付いてまた赤くなるソフィー。  
「だったら、今日こそ・・いいだろ?僕・・我慢できないよ」  
うー、と真っ赤になって、反論出来ないソフィーはコックリとうなずきました。  
 
今日もソフィーが自分で服を脱ぎました。ハウルが脱がせたがりましたが、また同じ事を言われそうだったからです。  
天井には、今日もまた星空が溢れています。  
背中を向けて服を脱ぐソフィーのうなじが星の光に照らされて、より一層白く見えます。  
「い・・いいわよ、ハウル」  
背中を向けたまま震える声でソフィーが言うと、ハウルは後ろからまた抱きしめました。  
「ソフィー、これじゃ君の顔が見えないよ。僕、君の顔見てたいんだってさっき言ったのに・・・」  
「顔だけならいいけど、他のトコまでじろじろ見られたら恥ずかしいもの。」  
「でも昨日、お風呂で見ちゃったよ?」  
「えぇぇぇぇぇぇ!ハウル、隠してたのにひどいわ!」  
「今さらソフィーは何言ってるのさ、お嫁さんが旦那さんに体見せないなんてさみしいよ」  
う、と言葉に詰まってソフィーは考えます。  
(確かに恥ずかしいけれど、いつまでもこうやって背中ばっかり見せてるわけにも行かないわよね。勇気出せば大丈夫よね)  
「あ・・・あんまりジロジロ見ちゃ嫌よ?」  
言いながら、手で体を支えつつ布団の上で向きを変えました。  
ハウルの方を向くと、やっぱり恥ずかしくて腕で胸を隠します。  
 
「うわぁ・・・・・・・」  
思わずハウルの口から感嘆の声が漏れます。  
ソフィーの素肌は星に照らされてより一層白く、そして柔らかく光っています。  
腕で恥ずかしそうに隠してはいますが、胸のふくらみはささやかながらもしっかりとあり、柔らかさが見るだけでわかります。  
体のラインは綺麗な曲線を描き、女神像を思う位です。  
「ソフィー、やっぱり君は綺麗だよ、すごいよ、本当にそう思う」  
「バカ、あんまりジロジロ見ないでって言ったのに」  
目線を逸らせ、呟くソフィー。  
「ソフィー、こっち向いておくれよ、ちゃんと顔を見せて。君をもっと、一杯見て、感じたい」  
顎に手を添えて顔を向かせると、また深く口付けました。  
 
「ん・・・・ふ・・・・・」  
長い口付けはまるでそこからとろけてハウルと一緒になっていくような感覚で。  
ハウルが唇を離してからも、ソフィーの目は焦点を合わさずにうっとりとしたままです。  
そんな彼女の顔を見て、ハウルはなんだかとても嬉しくなります。  
頬にたくさんキスの雨を降らせ、首筋にもキスの雨。  
くすぐったがって身を捩るのでガラ開きになった鎖骨にもキスの雨を降らせます。  
「やっ、ハウルくすぐったいわ、やっ   ん・・・・っ」  
くすぐったがるソフィーの声には、段々と艶がかかってきて。そこが更にハウルを悦ばせます。  
「ねぇソフィー、本当にくすぐったいだけなの?」  
「んっ、あ・・・・わかんない、あっ。 ハウル、なんだかまた暑いの、どうしてかしら?」  
「それはね、ソフィーが僕といて嬉しい証拠の1つなんだよ、だからもっと熱くなって平気だよ」  
「ん・・・あ、んっ・・・やっ」  
言いながらも胸の付近にキスを落とします。落とすたびに、頭の上からソフィーの可愛い声が降ってきます。  
 
そっと、手を胸にそえて柔らかい感触を楽しみます。  
「ハウル、やっぱり恥ずかしいわ・・」  
漏れる声を抑えてソフィーが呟きます。  
「僕は君を全部知りたいんだ、好きな人の事知りたいって思うの当然だろ?ソフィーは僕のこと嫌い?」  
「まぁ、こんな時に言うなんてひどい人!」  
そうは言いながら、ソフィーの顔は嬉しそうです。  
でも、ハウルが胸のてっぺんの蕾に口付けた瞬間、その顔が苦しそうになりました。  
 
「んっ!ぁ、そこ何かやだっ」  
その声を聞いたハウルは優しく、口に含むだけにしました。  
「ごめんね、痛かった?」  
「ううん、なんだかビリッてきちゃって・・・やっ、摘まないでっ、あ・・・きゃぅっ」  
耳たぶをそっと甘噛みながらハウルは囁きます。  
「ねえソフィー。胸、痛いんじゃなくて、気持ちいいの?つまむだけでこんな可愛い声出しちゃうなんて、可愛いよ僕のソフィー」  
「んっ、やっ、うん、そ・・・あっ」  
弱い耳朶を食まれ、胸をいじられ、真っ赤な顔でソフィーは小さくうなずきます。  
もう、さっきから体の奥で、お腹の奥で熱い熱の塊がある感じで落ち着かないんです。  
彼が何か耳元で言うと、それがどんどん膨れていくかのような錯覚すらあります。  
くす、とハウルが笑う気配が耳元でしたかと思うと、急に手が脚の間に入ってきました。  
「やだっ!」  
思わず足を閉じようとしますが、もう間に入ってしまった手は防ぎようがありません。  
くちゅ、と水音が響きます。  
「んっ、あ・・・はっ・・・・・・・・・やっ」  
ハウルが優しく指を動かすたびに出る水音も、甘くて可愛い声もが自分から出ているんだって、  
ソフィーはわかっていて、恥ずかしくて上を仰ぎます。  
上を向いた視界には満天の星空。  
一瞬、外でされているかのような錯覚に陥って恥ずかしさが増してしまいました。  
「ソフィー、体たおして」  
ハウルの声がすると同時に肩を軽く押され、ベットに体を沈めます。  
 
ハウルは相変わらず座ったままです。  
大好きなハウル。線は細いけれど、全く筋肉がないわけじゃなくって、とても姿が綺麗です。  
「ハウル、大好きよ」  
「うん、僕もソフィーが好きで好きでたまんないよ、ねえソフィー。もう、その・・・」  
言いよどんでハウルが自分の体に目を落とします。  
つられてソフィーも同じようにハウルの体の下の方へ目を落として・・・・・ちょっと固まりました。  
自分にはないモノがそこにはあって、とっても大きいと思ったんです。  
そして、言われてないけれども、ソレが自分に入って、そこでやっとハウルと自分が一緒になるんだっていうことも。  
(ハウルと、やっと一緒なれるんだから、大丈夫・・・よね?)  
こくり、とまだビックリしていて声が出ないのでソフィーは恥ずかしそうにうなずきます。  
「ありがとう、ソフィー。痛いと思うけど、恐がらないで。力抜いて、辛かったら言ってね」  
体の上に体を。上に乗るようにして、入り口を先端をあてがったハウルは優しくソフィーの顔をなでます。  
顔だけじゃなくて、頭も、肩の柔らかい丸いラインも、優しくなでます。  
そして体の力が少し抜けたと思った瞬間、一気に突き進みました。  
「いっ・・・・!」  
痛い、と叫ぼうとしましたが、言ったらハウルがやめちゃうと思ったのでソフィーは我慢しました。  
その代わり、ハウルの背中にしがみつき、必死で痛みに耐えました。  
ソフィーにとっては永遠のような時間を、痛みが少し引くまで耐えました。  
「ソフィー・・・・ソフィー・・・大丈夫?」  
「ん。ゴメンね、ハウル。思ったよりビックリしちゃっただけよ、もう・・・大丈夫みたい」  
しがみついていた腕をゆるめ、ハウルの顔が見えるまで腕を伸ばして微笑みました。  
まだ、ハウル自身はソフィーの胎内で硬さを保ち、しっかりと包まれています。  
「僕のソフィー、僕たちやっと一緒になれたんだよ、わかるかい?君が僕をつつんでくれてる。このまま、ずっと繋がっていられたらいいのにね」  
「うん、あたしにもハウルがあたしと一緒なの、わかるわ。あたし達その・・」  
ソフィーは言うのをためらって、その代わりにハウルにキスをしました。  
彼女の方からキスをくれる事など滅多にないので、ハウルは驚くばかりです。  
 
驚いたあと、とても嬉しくなりました。言葉に出来ないけれど、ソフィーも自分を好きでいてくれる実感がまた湧いたから。  
「ねぇソフィー、動いても大丈夫かい?」  
「え?動く?」  
きょとん、とした顔で言うソフィーに軽くキスだけして、ハウルはうなずきます。  
「動いてみればわかると思うよ、僕の可愛い奥さん」  
もう一度頬にキスを落として、ハウルは軽く腰を動かし始めました。  
まだ残る痛みにソフィーは一瞬顔をしかめます。でも、ゆっくりした動きのお陰かあまり痛みがそれ以上ひどくなりません。  
 
「・・っ・・・ん・・・・」  
しばらくすると、ソフィーの口からかすかに甘い声が漏れ出しました。  
それに気付いて、ハウルは動きをだんだん速めます。  
「ぁ・・・やっ      ん・・・はっ・・・・」  
最初はハウルにしがみついていたソフィーですが、今はもう手を離し、その手はシーツを握り締めています。  
「ソフィー、ごめんね、もう・・すぐっ・・・んっ、終わるからっ」  
ハウルはそろそろ限界を感じ、ソフィーに声をかけると一層動きを速めました。  
「ダメだ、もう!ごめん、ソフィー!」  
言うと同時に、胎内にハウルは精を放ちます。  
ハァハァと荒く息をつくソフィーは、達したわけではないのですがとても満ちた気分で一杯です。  
これはきっと、『ハウルと本当に一緒になった』実感なんでしょう。  
 
ぎゅ、と強くハウルを抱きしめます。  
「ハウル、あたしあなたをもっと大好きになるわ、今何だかとっても幸せな気分なの。」  
「うん、僕もだよ、僕の大事な奥さん、僕のソフィー。次はもっと頑張るからね」  
チュッと軽くキスを落として、自分をソフィーから抜くと、ドロリとしたものが中から溢れてきました。  
その感覚に少し顔をしかめるソフィー。  
うーん、とソレを見て考え込むと、ハウルは服を軽く羽織り、ソフィーには大きいタオルをかぶせるとお姫様抱っこをしました。  
「ねぇソフィー、汚れちゃったからお風呂に入らないかい?」  
「こんな時間から!?カルシファー寝ちゃってるわよ、きっと」  
そうは言いつつ、体に残る汗っぽさが少し厭だったのでハッキリ嫌だとは言えません。  
「大丈夫だよ、カルシファーはいい奴だもの。先にお風呂場で待っててくれるかい?」  
言いながらドアを開け、風呂場へソフィーを連れて行くと、カルシファーにお湯を回してくれるように声をかけに行ってしまいました。  
 
 
結局、その日ソフィーが眠れたのは、お風呂場でもう1度ハウルにされてからでした。  
 
 

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