今朝もカルシファーが慎重に城を移動させて、新鮮な花の咲いている所へ移動させてくれた。
おかげで、そろそろ寒い北風が吹いていると言うのにソフィーの元・帽子屋、現・花屋は花であふれている。
「今日も綺麗に咲いて、明日も元気に咲いてて頂戴ね、お花さん」
ソフィーは日課となった花への声かけを忘れない。
マイケルはどこかへ出かけて行ったので、店にはソフィー1人だけ。
通りに面したカーテンを開け、ドアにかけた札を『OPEN』に変えると、椅子に座る。
ついこの前までのドタバタとした冒険を思い出してため息をつく。
あれから、まだ一ヶ月程度しか経っていないと言うのに。なのに。
(ハウルのバカ・・・)
もう一度、ため息が出る。
ハウルに心臓が戻り、カルシファーが自由になり、ソフィーにかけられた呪いは解けて、戦争も終わって。
そしてハウルはソフィーを愛する心を持ち、ソフィーも自分でやりたい事を決められる心をもつようになって。
全てが、うまく収まったはずなのに。
(なんで、今日も朝からいないのよ、ハウルのバカ・・・)
「ため息ばかりついてると、アタシみたいなおばあちゃんになっちゃうわよ、行って来るわね〜」
ヨタヨタと通り過ぎながら、元・荒地の魔女が言って外へ行く。先週から、通りの外れにあるお店のボーイが気に入ったそうだ。
その後ろをヒンが鼻を鳴らしながら付いていく。一応、お目付け役らしい。
ハァ、とため息をついてカウンターに顎を乗せる。
目を伏せて、考える。愛しいハウルのこと。
我がままで、かんしゃく持ちで、寂しがりやで、素直にならない人。
でも、心はとても純粋で、かっこよくって、自分が決めた事はキッチリやり通す人。
「だからって、何も言わないのはひどいわよね」
ぼやくと同時に、カランと扉の音。
「あ、いらっしゃいま・・・ハウル!」
「おはよう、僕のソフィー。やっと出来たんだ、今日はお店休みにするからね、いいね?」
"どこへ行ってたのよ!"と言う言葉を言うヒマもなく、ハウルが先に言うのをポカンと見る。
ハウルはソフィーの了解を得る前に、扉の札を『CLOSE』へ変え、通りに面したカーテンを閉める。
「ほらソフィー、何をボサッと突っ立ってるんだい?お店で話すより、家に行こうよ。邪魔されちゃかなわない!」
「邪魔って何よ、あたしはお店休みにするのまだいいって言ってないじゃないの」
「あはは、ソフィーそう怒らないでよ、絶対君も気にいってくれるからさ!」
いつものように、そよ風のように笑ってハウルがソフィーの手を取るので、ソフィーも諦めた。
どうせ、マイケルもおばあちゃんも夕方、日が暮れてからしか戻らないんだからいいかしら。
家に戻ると、カルシファーが驚いて2人を見つめる。
「カルシファー、ちょっとソフィーと2人で話したいから覗くんじゃないぞ」
「んな事わかってるよ〜オイラはそんな野暮な事しないぜー?何せ火の悪魔様だからな!」
囂々と炎を撒き散らしながら、覗くなと言われたので強がるカルシファー。
何を言われるのだろう、とそれを聞きながら軽く憂鬱になるソフィー。
その2人をよそに、最近では滅多に見ない位に上機嫌な顔のハウル。
ハウルの部屋に入ると、ハウルはまずドアに施錠の術をかけ、聞き耳を立てられないような術をかけ、それからやっとソフィーに椅子を勧めた。
「まったくもう、ハウルったら!最近どこへ行ってたのよ!」
「あはは、本当にすまない、ソフィー。だって、僕は君が好きで好きでたまんないんだもの、待ちきれなくて毎日工房へ行ってたんだ!」
「え?」
ほら、と跪いてハウルが手を差し出すとそこには光る銀色の指輪。
まるで、カルシファーの指輪のようなソレは2つあって、サイズが違います。
「小さい方がソフィー、君のだよ。大きい方は僕の。一緒にいるんだ、同じのつけてる方がいいだろ?」
言いながら左手を取って薬指に入れます。
「でも、ハウルだったらこんなの自分で作れちゃうんじゃ・・・」
「君の妹さん・・・えーと、レティーさんだっけ。あの人が、魔法で作るよりココの工房のは女性に人気あるからいいだろうって
教えてくれたんだよ、だから頼んで作ってもらってたんだ」
ハウルが薬指に入れてくれたソレは、サイズがぴったりで、本当にソフィーの指に似合います。
ちゅ、と左手にキスをして。ハウルが見上げて一言。
「愛しい愛しい僕のソフィー、一生僕と一緒にいてくれますか?ちょっとは危険かもしれないけど。」
こんなに大好きな人に、こんな風に言われて"いいえ"なんて言える人はいません。
ぎゅっ、とハウルに抱きついて「うん、あたしハウルと一緒にいる」としか言えません。
「ありがとう、ソフィー。言ってからじゃないと、ソフィーに何も出来ない気がしてたんだ」
「え?何もって?」
手を離して、下から見上げるハウルを見ると、いつものような子供っぽい笑顔を浮かべたハウルの顔が急に近付いて。
「好きな人が揃ってるのに、キスだけ、じゃないって知ってるでしょ?ソフィー」
ちゅっ、と軽く唇にキス。
真っ赤になったソフィーを見て、嬉しそうに笑うハウル。
「そんなソフィーも綺麗だよ、本当に!星の光色の髪がよく映えて綺麗だ」
「お、おだてたって何も出ないわよ」
真っ赤になって横を向くと、空いた首筋をハウルの手がなぞります。
「きゃっ!」
首まで真っ赤になって、向き直るとまた、ハウルの顔が近付いてきて。
今度は軽くじゃない、深いキスをしてきました。
「・・・・・・・・・んっ」
もう、と言った顔で見ると、ハウルがにっこり笑います。
「ソフィーはどんな顔しても本当に綺麗だ。僕、今までよりもっと君が大好きだよ、これからもっと大好きになるよ、絶対!」
「だったら、もっと部屋暗くしてちょうだい、ハウル。」
「えぇぇぇぇぇぇ!ひどいよソフィー!僕はいつでもソフィーを見てたいのに、見るなって言うんだね!そんなひどい事を君は言うんだ!」
相変わらず大げさに悲嘆にくれるハウルですが、ソフィーもこればっかりは引き下がれません。
「ハウル、あたしは初めてだから恥ずかしいの、ね?お願い聞いて?」
いつも、ハウルが我がままを言った時、なだめるように優しく言うと、
仕方ないなぁ、と哀しそうに呟きながらハウルが手を軽く振ると、急に部屋が暗くなって、天上に星が出てきました。
うわぁ、と上を見上げて相変わらず冴え渡る彼の魔術に感動していると、そのまま簡単に後ろのベッドに押し倒されます。
「や、ちょっとハウル!いきな・・・ん・・」
ちゅ。と、また口付けされて何を言いたかったのか忘れてしまう位ドキドキしてしまう。
何度も何度も軽く、甘い口付けをされて、すっかり心の隅までとろけてしまいます。
「ソフィー、大好きだよ」
耳元でハウルが囁くたびに、体がとてもジンジンしてきます。
息がかかるせいだと思って首を振ると、あいたうなじにハウルがキスを落としてきて、またそれで体が何だかジンジンしてしまいます。
「ハウル、何だかあたしこの部屋暑い気がするの、変かしら?」
マジメな顔でそう言うソフィーに、ハウルがクスッと笑ってワンピースの襟元をゆるめます。
「やだっ、ハウル自分でするからやめてってば!」
真っ赤になって、制止しようとすると、ハウルがまた軽く手を振ってソフィーの手を上に上げてしまいました。
「さっき、僕はソフィーのお願い聞いたから、今度は僕のお願いの番だよ、ソフィー。僕にさせてね?」
ニコニコ言いながら前開きのワンピースのボタンをハウルは外していきます。
でも、中には下着があります。これは前開きじゃないので、このままじゃ脱がせられません。
「どうしよう、ソフィー?」
困った顔でソフィーの手を下ろし、質問するハウル。
「だから自分でやるって言ったでしょ、ハウルのバカっ」
真っ赤になって突っ込みを入れると、背中を向けて服を脱ぎました。
でも、いざ脱いでしまうと恥ずかしくてハウルの方を向けません。
「ソフィー、こっち向いてくれないの?」
残念そうに声をかけてくるので、体だけビクン、と反応してしまいました。
「いや、だって、やっぱり恥ずかしくって」
「うん、それじゃ大丈夫になるまでそっち向いてていいよ」
え?と聞く前に、ハウルの手が前へと伸びてきます。
そっと、ソフィーの小ぶりな胸に手があうと、背中にピッタリと素肌が触れる感触がします。
さっきまで服を着ていたはずなのに、ハウルは脱ぐのが早いようです。
「ソフィーの胸、やわらかいんだね」
言いながら優しくさわります。初めて触られるソフィーには、気持ちいいとかはよくわかりませんが、何か変な気分になってきました。
「硬い胸なんてあるのかしら?」
「さあ、どうなんだろう?でも、ソフィーの胸はずっと触ってたいかな」
手を滑らせたり、軽く握ってみたり、揉んでみたり。でも、まだ頂上の桜色の蕾には触れません。
「ねえ、どうしようハウル」
「どうしたのさ、ソフィー」
「こんな格好なのに、まだ暑い気がするの」
「大丈夫、それが普通なんだよ」
そう?と言おうとしたソフィーの口からは、可愛らしい声が飛び出しました。
ハウルが、頂上の桜色の蕾を摘んだのです。
「やっ、ハウルそこ何かやだ、変!」
「何が変なの?言ってみてよソフィー」
後ろから、耳たぶを軽く噛みながらハウルが歌うように囁きます。
「何か、すごいジンてきて、お腹熱いの、何でだろ、あっ!」
きゅ、とまたつままれて可愛い声を上げてしまいます。
「もっと、可愛い声聞かせてよソフィー。僕は、もっとソフィーを感じていたいんだ」
はぁ、と荒く息をつきだすソフィーに優しく声をかけるハウル。
何もかもが初めてで、どうしたらいいのか分からない彼女を、優しく、優しく触れていきます。
「そう、いい子だねソフィー。声が出ても変じゃないから、安心していいんだよ」
空いている手で頭をよしよし、と撫でるとソフィーの耳が赤くなります。
胸を触っていた手をそろそろと、ゆっくりと下に降ろして行くとソフィーの手がそれを止めようと慌てて掴みます。
「ソフィー、怖い?」
無理に外そうとせず、囁くと、表情の見えないソフィーの肩がビクッとしました。
「大丈夫だよ、僕がソフィーにひどい事すると思う?怖いと思うけど、僕はソフィーが大好きだから、安心して?」
頭を撫でていた手で、そっと自分の手を掴むソフィーの手を撫でると、ソフィーがゆっくりと振り向きます。
「ち・・違うの、ハウル・・・あのね、あのねあたし・・・何か、さっきからお尻のトコ何か変で、あのね、だからね、」
ああ、と納得して振り返ったソフィーにキスすると、ハウルはまた頭を撫でて言います。
「大丈夫だよ、ソフィーがちゃんと女の人だったって証拠だから。変な事じゃないから、安心して?」
ウン、と小さく頷いて掴んでいた両手がはずれると、今度こそ下にふれました。
ささやかな胸と同じように、ささやかな茂みを通り越してソフィーの大事な処に到達すると、
ぴちゃ、と濡れた音がしてソフィーの体が強張ります。それと同時に、小さく可愛い声も漏れました。
「うん、大丈夫。コレは変なことじゃないよ、ソフィー。安心していいよ、大好きだよソフィー。」
ちゅ、と首にキスするとソフィーの口からまた甘い声が漏れました。
最初は優しく往復するだけ。ただそれだけなのに、ぴちゃぴちゃと、犬が水を舐めるような音がします。
「下は大洪水なんだね、ソフィー。別に恥ずかしいことじゃないけど、すごいよ」
ソフィーはそれに答えるどころじゃありません。何しろ、ハウルが指を動かすたびに、自分のお腹の奥にある熱がどんどん固まっていく感じがするんです。
もじもじ、と膝を動かしていると、ハウルが少し指の力を込めました。
するとソフィーの花びらの奥の入り口に、指がつぷ、と入ります。
「んっ!」
たまらずに声を上げて、脚に力が入ってしまいます。
「ゴメンね、痛かった?」
「ん・・あ、動かさないで、ビックリしただけよ・・・なんか、変な感じ」
ハァ、と荒く息をつきながら横目でハウルを見つめます。
自分は一杯一杯で、気付かなかったけれど、ハウルも顔が真っ赤です。
「ハウル、顔が真っ赤よ?大丈夫?」
「うん、ソフィーが好きすぎてもう狂っちゃいそうな位大丈夫だよ」
もう、と軽く笑うとなんだか大丈夫みたい、と声をかけました。
ソフィーの中に入り込んだ指は、優しく生き物のように動きます。
「ん あっ やっ」
指が動くたびに、ソフィーの口から可愛い声が飛び出して、そのたびに背後でハウルの顔が嬉しそうに微笑みます。
「ソフィー、今すっごい君可愛いんだよ、わかってないと思うけど、本当に君は可愛いよ」
「やぁっ、ハウ、ル、んっ そんっ・事・あ、やっ」
否定したいのに、ハウルが指を動かすのでまともに口が動きません。
「あ、やっ、何かへんっ ハウル、ハウっ んっ、あぁっ」
「うん、そのまま変になっちゃうソフィーも見てみたいな、僕は。大丈夫、恐くないから」
言いながらハウルが指の動きを少し速めると、ソフィーは声を出すに出せないまま、生まれて初めて達してしまいました。
それからしばらくして、ソフィーが目を開けると、天上はもういつものハウルの部屋の天上に戻っていました。
横に目をやると、穏やかな目をしたハウルが、服を着て添い寝をしていて。
「あ・・・ハウル・・・?」
言った途端、自分は服を着てない事に気付いて慌てて布団の中にもぐりこみます。
「やだ、見ないでよ!恥ずかしいんだからっ!」
「うん、見ないようにって思ったんだけどね、暗くて布団に入れるの大変だったんだよ?」
うー、とうなって顔を半分だけ出してハウルを見ます。
「ねぇ、ハウル・・・・」
うん?と、ハウルが目だけで反応します。
「好きな人が、2人揃ってたら、いろいろするんでしょ?今の・・その、あれだけじゃないのよね?」
「そうだね、ソフィー。でもね、僕は急に一杯しようって思ってないからさ、ソフィーの可愛い声をたくさん聞けたから、今日は満足さ」
「バカッ!」
今度は耳まで真っ赤になって、ソフィーは頭まで布団をかぶってしまいました。
布団の上からソフィーのいる所を優しくポンポンと叩きながら、ハウルが言います。
「僕の大事な大事なお嫁さん、これから一杯色んな事をしようね、ずっと一緒にいて、一杯色んな事していこうね」
布団の中から、ソフィーが答えます。
「ええ、そうねハウル。暗かったら、してもいいわよ」
「ええええええええ!」
長女は運試しに行ったら失敗するなんて、それはおとぎ話だからなんです。
だって、ソフィーは長女で、呪いを受けました。
でも、こうしてステキな王子様(魔法使いですが)と出会って、ずっと幸せに暮らすんです。
ソフィーと、ハウル、2人のお話はまだこれから。今から、紡がれて行きます。