宇宙船・蓬莱島。  
妲己たちとの最後の決着をつけるため、道士たちに混じり、彼女もこの場所を訪れていた。  
そして、いま彼女は独り暗闇の中にいた。  
仲間とはぐれたか、それとも罠に落ちたか。太公望たちの姿はない。  
「何者じゃ!?」  
暗闇から気配を感じ取り、竜吉公主は声を発した。  
目の前で闇の淀みが流れ、空間に黒い影が生まれる。  
「くくく、ようこそ、公主」  
「王天君……おぬしの仕業か」  
「ご名答ぉ、察しの通り、あんた一人を招いたんだよ。特別にな」  
黒い唇がいびつに歪んだ。  
彼女は身構え、水を操った。  
「おぬしが私の相手か?」  
かつての元始天尊の直弟子とはいえ、引けを取るつもりはない。自分の実力は妲己や聞仲にさえ劣らないという自負があった。  
「くく、そう慌てなさんな、オメェの相手は俺じゃねぇ」  
ふわりと甘い香りが鼻をくすぐり、コツコツと部屋に足音が響く。  
公主が闇に目を凝らすと、その先からゆっくりと何かがやってくるのがわかった。それはやがて、彼女の前に輪郭を現す。  
公主の顔に驚愕の色が走る。  
「はぁい、公主ちゃん。はじめまして、かしらねん。わらわのこと、誰だかお分かりかしらん?」  
言われるまでもなく、わかった。  
「おぬしは……妲己!」  
 
目を見開く彼女の顔には、明らかな焦りが浮かんでいた。  
妲己に王天君、二人同時に相手して勝てるとは思えない。それに、智謀家の彼女が罠を用意してないとは思えない。  
「身構えなくても大丈夫よん。王天ちゃんは手出ししないから」  
笑みを浮かべながら、優雅ともいえる動きで公主に歩み寄る妲己。  
噂どおり美しい、公主はそう思った。数多の仙女をしっているが、妲己の美貌は群を抜いている。  
はっと我に返り、彼女は後ずさった。一瞬とはいえ、女狐に見とれてしまうとは。  
なんにしても、逃げることはできない。  
だが、考えようによってはこれはチャンスである。もしここで妲己を倒すことができれば、これ以上犠牲を出さずに争いを終えることができる。  
病で弱った体に、力を込める。  
「ゆくぞ、妲己」  
公主の動きに、余裕の表情を崩さなかった。  
「あらん、何か勘違いしてるようねん。わらわはあなたと戦うつもりなんてないのよん」  
「な…に…?」  
思わぬ肩透かしに、公主の動きが一瞬止まる。  
妲己の顔に、冷たい嗤いが浮かんだ。  
「あなたはいたぶられる一方よん」  
妲己の細い指が、パチンと鳴った。  
その瞬間、公主の足元の床が砕け、何かが飛び出した。  
「!?」  
不意の出来事にかわすことさえ出来なかった。触手のような何かは、公主の体に絡みつき、瞬く間に自由を奪う。  
それは、木の枝のようだった。  
恐らく妖怪仙人だろう。ここに連れて来られたのは、やはり罠。  
「く、こんなもの!」  
この程度の枝、彼女の宝貝で簡単に切断できる。すぐさま水を操り、木の枝に突き立てた。  
 
「あはん、無駄よん」  
「――!?」  
突き刺さった水の宝貝は、瞬く間に消え去った。新たに動かした水も、枝に触れた瞬間吸い込まれるように消えていく。  
――これは、木の根か!  
彼女の水系の宝貝と、植物系の妖怪。相性は最悪である。それに、彼女は他の宝貝を持っていない。今の状況を打開する術はない。  
公主は歯噛みした。妲己でも王天君でもなく、格下であろう妖怪に敗北したのだ。それも、一瞬で。  
このまま封神されるか、人質として使われるか。  
「高覚ちゃん、ご苦労さまん」  
高覚というのは、この妖怪のことであろう。妲己は歩み寄り、縛られた公主の前に立った。  
手足を縛められて、身動きひとつ出来ない。  
「各個撃破、というわけじゃな。さすがに、悪知恵が働く」  
せめてもの抵抗に、妲己をにらんだ。  
こうして一人ひとり始末していくつもりだろう。たしかに、もっとも効果的である。  
だが、妲己は頷かなかった。  
「それは違うわん。あなただけよん」  
眉をひそめた公主の顔に、妲己の手がそっと触れる。彼女はびくり、と体を震わせた。  
「あなただけ、わらわが直接いたぶるのん。どうしてか、わかるかしらん?」  
まるで温度のない笑みで、顔を眺めてくる。白い頬に触れる指はゆっくりと首筋をすべり、胸元へと伸びていく。  
思考の読めない妲己の表情に、背筋が凍る思いだった。  
いったいなにを考えているのかわからない。だが、向けられる感情は負に属するものである。それを押さえ込み、ドロドロと渦巻かせているのを感じ取った。  
「崑崙一の美仙女、竜吉公主。その美貌はこのわらわに勝るとも劣らない、と言われているのは知ってるかしらん」  
妲己の鋭い爪が、彼女の胸当てにかかる。  
「いったい、何を言って……」  
言いかけて、息を呑んだ。  
自分を見つめる妲己の眼は、瞳が鋭く縦に走っている。半妖態にも近い、獣の眼。  
「わらわ以上の美しさなど、この惑星にはありえない」  
低く、獣の唸りにも似た声で、妲己は言った。  
同時に、公主の服がいっきに引き裂かれる。  
「きゃあぁぁっ!」  
叫びをあげた公主の胸のふくらみがあらわとなった。  
白く、男を知らない乳房。手に余るほどの大きさで、みずみずしい弾力を保っている。  
手を縛られ、吊るし上げられる公主には、隠すことさえ出来ない。  
 
「ふふふ、可愛い声出すのねん、公主ちゃん」  
薄ら笑いを浮かべると、乳房を荒々しく掴む。愛撫などではなく、ただ陵辱のために揉みしだく妲己。  
「い、いったい何のつもりじゃ!?」  
「決まってるわん。わらわに勝るとも劣らない美しさの公主ちゃんを、いたぶって、弄んで、陵辱しつくしてあげるわん。二度とわらわより美しいなんて馬鹿な考えを思い浮かべないようにねん」  
言った瞬間、妲己は公主のちいさな乳首を指で強く潰した。  
「くぅ、ひぃぃっ」  
痛みに顔をゆがめる公主を、妲己はあざ笑う。  
妲己の中に渦巻く感情、それは憎悪にも似た嫉妬。  
美しさに絶対の自信を持つ彼女にとって、自分と並び賞される公主の存在は、許しがたいものなのだろう。どす黒く膨れ上がった妲己の感情に、公主は怯えた。  
「ふふふ、公主ちゃんは、これからわらわの愛撫でよがってよがってよがりまくって、快楽で狂わせてあげるわん。ふふ、ぞくぞくするでしょう?」  
公主の顎を掴むと、妲己は唇を重ねた。嫌がる公主の唇を無理やり割って、舌が入り込んでくる。  
蠢く舌は口内を這い回り、求めるように公主の舌に絡みつく。  
その仕草には、悪意は感じられなかった。まるで、愛しい者との接吻のように。  
「んむ、んぅぅ、ぅふぁ……」  
唾液をすすり、妲己の唇が離れた。まるで、頭の芯がとろけるような甘い接吻。思わず求めてしまいたくなる。  
背筋の凍るほどの恐怖は消えていた。半ばぼんやりとする頭で妲己を見ると、微笑を浮かべている。  
だが、恐怖はすぐに舞い戻ってきた。  
突如、妲己の手が彼女の股間を覆う。  
「ひぁっ」  
「ふふ、そんなにわらわのキスが気持ちよかったかしらん?」  
言われて、公主の顔は真っ赤に染まった。  
「そんなこと……!」  
目の前にいるのは憎き女狐。そんな者に唇を奪われるなど、屈辱以外の何物でもない。  
しかし、どういうわけか嫌悪感は湧かなかった。傾世元嬢の発する香のせいか。  
「心配しなくても、あなたに誘惑の術は使わないわん。だって、つまらないでしょん?」  
薄布を通し、妲己の指が太腿を撫でる。長い爪が細い足をゆっくりと這い回る。  
 
「ひれ伏すのよん、わらわに。そして、快楽にねん!」  
妲己の爪が、ぴったりと足に張り付く布を裂いた。  
「ん……!」  
思わず叫びそうになるのを、公主は声を殺した。ここで叫べば、妲己の思う壺。彼女の狙いは、精神の屈服なのだ。  
妲己は公主の服を脱がそうとせず、爪で引き裂き続けていった。裂け目から覗く雪のような肌は、素足を晒すよりも見るものの加虐心を誘う。  
股間を覆う薄布さえ剥ぎ取られ、崑崙一の美仙女の秘所が妖怪の眼前へ晒される。  
これほどの屈辱、数千年生きてきた公主でも味わったことがない。怒りと羞恥で、瞳が滲んだ。  
「この程度で終わると思ってるのん?本番はこれからよん」  
そう、妲己の責めはこれから始まるのだ。どんな目に合わされるのか、無垢な公主には想像が及ばない。  
快楽によがり狂わせる――妲己の先ほどの宣言に、華奢な体を震わせる。一体どんな目に遭わされるというのか。  
「こんな目に遭わされるのよん」  
まるで公主の心を読み取ったように答えると、妲己は彼女の割れ目をなぞった。  
「ひぅぅ!?」  
自ら触れることさえなかった敏感な部分を撫でられ、震えた声を漏らす公主。  
「ふふふ、まだまだよん」  
妲己は指を舐めると、ゆっくりと秘所へ沈めていく。  
湿り気を帯びない襞は唾液にぬめる指を押し返すが、妲己はかまわず押し込んでいった。  
「ひぐ、くぅ、ぃぁ……」  
痛みに、きつく眼を閉じた。額にじっとりと汗がにじむ。  
妲己は公主の表情を楽しむように、入り口のあたりで指をとどめて襞をなぞる。  
ゆっくりと、真綿で首を絞めるように、じわじわと弄ぶつもりなのだ。  
「くくく、妲己、あんたも好きだな」  
いつの間にか瓦礫に腰をおろした王天君が言う。  
はっとして、公主は王天君を見た。彼は爪を噛みながら、じっくりと公主の体を眺めていた。  
公主の中に、忘れかけていた羞恥心が噴き出した。視線を嫌でも意識させられ、顔が紅潮する。  
「あはん、王天ちゃん。もっとじっくり眺めたらん?こんなに綺麗な体してるのよん」  
「ぇ、ぁ、いやっ!」  
公主の後ろに回りこむと、背後から抱きしめてくる妲己。服を裂かれ露わになった胸を掴み、逆の手で秘所を割り開く。  
大切な部分が王天君の目の前に晒され、涙を滲ませて顔を背ける公主。その首筋を、妲己の舌が舐め上げる。  
 
「ふふ、綺麗な肌……うらやましいわん」  
舌が頬を這いずり、瞼からこぼれ落ちそうな雫を舐め取った。  
「さあ、仙人界一の美仙女の、奥の奥までじっくり観察してあげてん」  
顎に手をかけ、無理やり王天君のほうを向かせると、割り開いた秘所に指を沈めていく。  
痛みよりも、羞恥と屈辱が勝っていた。惨めさにきつく眼を閉じたが、現実からは逃れられない。  
「くふ……っんぅ……くぅん」  
優しい愛撫に、徐々に下腹部が熱を帯びてくる。すすり泣きの中に、甘いと息が混じり始めていた。  
「あはん、感じ始めたのん?」  
「っん、誰が感じ……ひぅん!?」  
否定の言葉半ばで、妲己の爪が肉芽を弾いた。突然の刺激に、体をビクンと震わせる。  
「ひぅっ、ひぅぅうぅんんっっ、くぁぁ!!」  
爪の先がが包皮の間にもぐり込み、敏感な肉豆を引っ掻いてくる。神経を貫くような快感にも似た痛みに、公主は喉を振るわせた。  
自分で体を支えきれず、膝が折れ、手首に巻きつく木の根に吊るされる。  
肩で息をつく公主に、妲己は頬を伝う汗を舐める。  
「ふぁぁ……はぁ、はぁ……」  
「あらん、この程度で根をあげるのん?純潔の仙女も、たいしたことないのねん」  
「だ、誰が、この程度で……」  
「ふふ、そうよねん。これからが本番だものねん」  
自分にもたれかかる公主の秘所に、妲己は指を突き立てた。  
「んくぁぁぁっ!!」  
今度の責めには、確実に快感が混じっていた。愛液の染み出し始めた秘所に、深く指がもぐり込む。  
駆け抜ける痛みを伴う快感に、彼女は啼いた。  
「いい声ねん。王天ちゃん、見てるだけじゃつまらないでしょん。あなたもどう?」  
「いや、俺は見てるだけでいい。わかってんだろ、俺って肉体派じゃねぇからよぉ」  
「あはん、ダメな子ねん。もっと公主ちゃんをいたぶってあげたいのにん」  
汗にぬれる公主の耳を甘噛みしながら、その頬を撫でる妲己。  
薄ら笑いを浮かべながら、その様子を目を細めて王天君は眺めていた。  
 
そのとき、足元の木の根がずるりと蠢いた。  
『……ならば、私が嬲りましょう……』  
植物妖怪・高覚が名乗りを上げた。足元から、ゆっくりと木の根が迫る。  
公主の顔が恐怖に染まった。  
こんな下賎な、醜い妖怪に犯されようとしている。そんな行為は、屈辱など通り越して、絶望にも等しい。  
禍々しい触手は公主の足を這い上がり、がっちりと押さえ込む。そして、一際太い、男根にも似た一本が公主に迫る。  
ずるずると公主に近づく触手は、触れる寸前、踏み潰された。  
「勝手な真似をするな」  
低い声で、妲己は高覚を踏みつけると、ぐりぐりと潰していった。その顔には怒りが混じっている。  
高覚は呻きをあげると、千切れかけた触手を地に沈めた。  
きつい表情に笑みを戻すと、公主に頬を寄せた。  
「ごめんなさいね、公主ちゃん。あんな下賎な生き物には、公主ちゃんに触れさせないわよん。あなたは、わらわの愛しい愛しい玩具だものん」  
――狂っている。  
妲己の中で、公主に対する異常な愛情と憎悪が交じり合っている。自分に向けられる異常な妲己の感情に、公主は唇をわななかせた。  
「さあ、続けましょぉん」  
妲己は公主の前にしゃがみ込むと、秘所に顔を近づけてくる。  
くっつくほど顔を近づけ匂いを嗅ぐ妲己に、公主は顔を真っ赤にして腿をすり合わせた。  
だが、木の根の触手に股をこじ開けられる。  
「んふ、臭いわねん、公主ちゃん」  
「……、……ッ!」  
耳まで赤くして、否定の言葉を口にしようとしたが、羞恥で声が出なかった。  
妲己の舌が伸び、襞をなぞった。  
「んぅ、んん……ひぁぅ!」  
声を殺そうとしたが、耐え切れず、甘い喘ぎを漏らした。  
妲己の舌は襞の一枚一枚をなぞると、ぷっくりと膨れた肉芽を転がす。  
「ふぁ、はぁん…きゃふ……くぅ…」  
そのまま舌は下がり、ゆっくりと彼女の中にもぐりこんでいく。  
 
彼女の秘所は快楽にじっとりと濡れ、愛液がこぼれ出している。妲己はそれを舐め取りながら、舌を深く差し込んでは、ギリギリまで引き抜く。  
「ぃぁあ、んぁぁ、ふ、ふぁ……」  
頭に霞がかかり始め、全身が熱を持つ。体中で快感が疼いていた。  
不意に、溢れ出る愛液がすすられた。じゅるじゅると音を立て、搾り出すように吸われていく。  
「ひぅぅん!?だ、だめぇ、そんな、けがらわ…んふぁっ!」  
「んふふ、美味しいわぁん、あなたの愛液」  
妲己は身を起こすと、ぐったりとした公主に言った。  
永きに渡り修行を続けた彼女も、こんな責めには慣れていない。彼女の疼く下腹部は、新たな快感を求めていた。もはや、彼女の意思では止められない。  
「どぉ、もっと欲しいかしらん?」  
「だ、だれが、おぬしのようなものに……」  
「あはん、気高い人ねん。そこが、魅力的よぉん。そして……癪に障るわん!」  
妲己は公主の黒髪を掴むと、無理やり引きずり倒した。手足に木の根を絡ませたまま、彼女は不様に転がった。  
何とか身を起こそうとする公主の腹を、妲己が踏みつける。  
「そうやって這いずる姿、不様で素敵よぉん」  
「ぅぐ、く……!」  
じわじわと体重を乗せ、靴の先で腹を嬲ってくる。苦しさに、公主の口から呻きが漏れる。  
木の根を絡みつかせ、破れた布を身に引っ掛けた仙女の姿は、危険な美しさがあった。  
王天君は、嬲られる公主の姿を爪を噛みながら見つめていた。その口元には、笑みが浮かんでいる。  
仙界一の美仙女の被虐的な姿は、彼のサディスティックな心も満足させるのだろう。  
「くくく、不様なもんだな、公主」  
「ふふ、そうよん。公主ちゃんは、こうやって這いずって、不様によがるのよぉん」  
妲己は公主に馬乗りになると、その乳房に爪を立てた。  
「ん…くぅ!」  
痛みに眉を寄せる公主にかまわず、荒々しく揉み、こね回す。長い爪は柔肌に赤い筋を残し、うっすらと血を滲ませる。  
妲己の細指が乳首を弾き、押しつぶし、爪で挟み込む。ぞくぞくとした快感が、公主の背中に走った。  
「ひぁ、ぁぁ……んぅ、ぅぷぅ!?」  
突然妲己が覆いかぶさり、唇を塞ぐ。唇をむさぼりながら胸の膨らみを弄び、股間へと太腿を擦りつけてくる。  
 
柔らかな感触が、公主の秘所に快感を生んだ。  
「んん、んふぅ、ぅんっ!」  
指で弄られない愛撫は、柔らかな刺激を与えるが、激しい快感をもたらしてはくれない。  
知らず知らず公主は脚をもぞもぞと動かし、妲己の太腿に絡ませていく。  
――もっと、もっと激しいのを……  
ふと心に呟いた一言に、公主自身、慄いた。  
女狐に嬲られ弄ばれながら、快楽を自分から求め始めている。  
必死に理性を働かせ肉欲を押さえ込もうとするが、一度点いた体の火を、消し去ることは出来ない。体の奥で欲望がくすぶり、内から激しく公主を責め立てる。  
「んぷぁ……いいのよぉん、公主ちゃん。身を任せてしまえば。楽になれるわよん」  
唾液の糸を引きながら、妲己は唇から徐々に舌を這わせていく。首筋を撫で、胸の双丘を味わう。うっすらと滲む血を舐めとり、唇で優しく乳首をついばむ。  
「んふぁ……ぁ…ぁ…はぁぁぁん」  
切なげな声を漏らし、公主の理性が蕩けていく。快楽を求め、妲己の脚に自らの脚を絡める。  
気づいた妲己は笑みを浮かべたが、何も言わずに愛撫を続けた。  
「くく……くくくく……」  
爪を噛みながら王天君が嗤い声を上げたが、公主にはそれに気づく余裕さえなかった。  
もし木の根の戒めがなかったら、妲己を抱き寄せて求めていたかもしれない。  
「さあ、そろそろ仕上げよぉん」  
公主の秘所へと、妲己は手を伸ばす。  
「ふぁぁ……ぁぁんっ!!」  
妲己の指が奥へ沈み込み、公主は快感に打ち震えた。膣の奥深くまでもぐり込む細指を、公主の体がくわえ込む。  
ゆっくりと前後に指が動き、快感の波が這い上がる。長い爪が膣壁を引っ掻くが、痛みよりも、むしろ激しい悦びを生み出した。  
「はぅ、ぁん、んはぁぁっ…!」  
「さぁ、もっと感じるのよぉん、公主ちゃん」  
指をくわえ込む秘所から愛液が溢れ出し、喉の奥から喘ぎを響かせる。  
――あぁ、いい……きもち、いぃぃ……  
涙でにじんだ視界の中で、妲己が微笑む。  
 
巧みな指使い。妲己の指の動きが早まり、公主は快感の絶頂へと押し上げられていく。  
「ふぁ…んぅ、ぃぃ、ぁぁ、いいぃ…」  
視界の端で、王天君の口元が歪む。  
「さあ、イくのよぉん」  
妲己の指が、一際強く公主の膣をえぐった。  
その瞬間、彼女の中で快感が弾けた。  
「ふぁ、イ、ぃぃひイくぅぅぅっっ!!」  
視界に砂嵐が走り、頭に火花が散る。  
全身をがくがくと震わせる公主は、やがてぐったりと項垂れた。その唇を、優しく妲己が塞ぐ。  
「ふふ、それでいいのよん、公主ちゃん」  
ぼんやりとした瞳で、公主は妲己の顔を見つめていた。  
 
 
「そろそろみたいねん、王天ちゃん」  
妲己の声に、王天君は現実に引き戻された。  
目の前のモニターには、崑崙山2が映し出されている。  
「ああ、このペースだと、あと一、二時間でワープゾーンだな」  
先ほどまでの妄想を微塵も感じさせない素っ気無い口調で、王天君は答える。  
「そうねん。それじゃ、あなたもママのためにがんばってねん」  
「わかってる。だが、俺の狙いはあいつだけだ」  
王天君は唇を歪めると、爪を噛んだ。  
 

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