【碧雲の日記】  
今日、太乙真人様が公主様を訪ねてらっしゃいました。  
公主様の部屋の前を通りかかったところ、中から声が聞こえてきました。  
「公主、見てごらん。勃っているよ」  
はっとして、聞き耳を立ててしまいました。会話の内容が聞き取りづらかったのですが、途切れ途切れに聞こえてきます。  
「太乙、挿れてくれぬか?」  
「いいのかい?私は宝貝の使い方は慣れてるが、こっちの方は……」  
「大丈夫じゃ。私が教えてさしあげよう」  
私は顔を真っ赤にしてしまいました。まさか、公主様に限ってそんなことはないと思っていました。ですが、お二人の会話を聞いていると、それはまるで……  
「あぁ、太乙、もっとゆっくり」  
「ご、ごめん、公主……」  
おどおどとした、太乙真人様の声。  
「……溢れておるぞ、太乙」  
「本当だ、こんなに溢れてる……」  
そして、ぴちゃぴちゃと水音が聞こえてきました。さすがに、私だって女ですから、何が行われているかわかっているつもりです。  
覗きたかったけれど、そんなことはできません。ここで聞き耳を立てていること自体、許されないのです。  
「これで……いいかい、公主?」  
「あぁ、太乙。初めてにしては、巧いぞ」  
信じられませんでした。しかし、そういえば公主様は太乙真人様がお見えになることを楽しみになさっていたような気がします。  
まさか、お二人がそのような仲なんて。  
私の考えをよそに、公主様は「ぁぁ、熱い」と艶かしい声をお出しになっています。そればかりか、あんなことまで。  
「太乙、こっちにも挿れてくれぬか?」  
驚きに、声を上げそうになってしまいました。こっち、というと、あそこしか考えられません。まさか、まさか公主様にそのような性癖があるなんて。それも、どうやら太乙真人様は初めてのようなのです。  
もう、私は頭に血が上ってなにがなんだかわかりません。あまりの恥ずかしさに、その場から走って逃げ出してしまいました。  
 
 
【赤雲の日記】  
今日、太乙真人様がお茶を飲みにいらっしゃいました。公主様は誰かをお茶に招くのがお好きです。  
私はお茶菓子を持って、お二人のところに行きました。  
すると、なぜか顔を真っ赤にした碧雲が走ってきます。  
声をかけても、あの子は何も聞こえてないみたいでそのまま走り去っていきました。  
公主様のところに行くと、なぜかお茶が三つ用意されていました。  
「おや、赤雲、おぬしも来たのか。そこに碧雲はおらんかったか?」  
どういうわけか知らないけれど、彼女は先ほど駆けていきました、と言うと二人とも不思議そうに首を傾げていました。  
ともかく、私たち三人はお茶を楽しみました。  
太乙真人様は、茶柱が立ったとうれしそうに見せてきました。私のお茶は、太乙真人様が淹れてくれたそうです。  
そういえば、その日の晩、碧雲の寝室から奇妙な喘ぎ声が聞こえてきました。具合でも悪かったのかしら?  
 
 
 

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