歴史の道標との死闘が終わってどれほど経ったか。
仙道は皆、蓬莱に移り住み、平和な日々が訪れている。
だが、いまだ彼女の心に平穏は訪れない。
新たな仙人界は彼女を受け入れてくれた。だが、姉と違ってすぐに馴染める彼女ではなかった。それに、馴染みたいとも思ってはいない。彼女はいつも空を見上げながら、あの人のことを思い浮かべていた。
そして今日も、人気のない森の中で、独り大切な人のことを思い浮かべていた。
「妲己姉様……」
義姉妹の彼女にこんな思いを抱くのはおかしいのかも知れない。それも、彼女は狐狸精であり、自分は石琵琶精。他の者には決して理解できないだろう。
数百年を共にしながら、一度として伝えることの出来なかった気持ち。いつも一緒にいながら、心の奥底に自分の気持ちを押し留めてきた。
絶大な智謀で、自らの野望のために理で動きながらも、いつも義妹の自分のことを気にかけてくれていた。
目を閉じれば、瞼の裏に浮かぶあの笑顔。
耳を澄ませば、今でもあの人の声が聞こえる。
逢いたい。
もはや叶わぬ望み。
それでも……逢いたい。
「姉様……」
妲己のことを思い浮かべながら、いつも自分を独りで慰めていた。時が経てば経つほど、想いは募っていく。
そして今日も、彼女のしなやかな手は衣の中へと伸びる。
「貴人ちゃん……」
妲己は微笑みながら、彼女の頬に触れた。
「姉様!」
幼子が母に甘えるように、貴人は妲己に抱きついた。
甘い香りが嗅覚をくすぐり、滑らかな肌からは暖かさが伝わる。
妲己のほうから、貴人の唇へと自分のものを重ねる。
甘い接吻。求め合うように、舌が絡まる。
お互いの舌を転がしながら、暖かな唾液を飲み込む。
「んふ、むぅ、ちゅぱ、んむぅ……ぷはぅ」
惜しむように、お互いの唇を離す。唾液が糸を引き、唇からこぼれる。
貴人の口から漏れ出たものを、そっと妲己の舌が舐め取った。
「あぁ、姉様……」
薄布の上から、敏感な割れ目を撫でる。ぞくぞくとした快感に体を震わせながら、瞼の裏に義姉の姿を思い浮かべた。
真っ白な太腿を撫でながら、自分の指が想像の中の妲己のものと重なる。
妲己の指が、彼女の太腿をなで上げ、敏感な部分へと這い登っていく。
「あぁ…姉様、そこは……」
「ふふ、いやらしい子ねん。もうこんなに濡らしちゃって……」
彼女の秘所は、しっとりと湿り気を帯びていた。
妲己は割れ目に沿って、ゆっくり指を這わす。
「はぅぅっ、ぁぁ、だ、だっき…ねえさま……」
襞を弄る彼女の指は、ぷっくりと膨れ始めた肉芽を弾いた。
「はぅぅん!!」
突然の刺激に、肢体をびくりと仰け反らせる。
「うふふ、可愛いわん、貴人ちゃん」
彼女の手は、服の上から胸の膨らみに触れる。
ゆっくりと双丘を揉みながら、感じる貴人の表情を楽しむように見つめてくる。
貴人は衣の中へ手を滑り込ませ、直接乳房を弄った。
柔らかな感触。あの人に触れて欲しかった場所。
疼くような快感を覚えながら、ゆっくり揉みしだいていく。
不意に、妲己の指が胸の突起押しつぶす。
「はぁぁんっ!」
透き通るような喘ぎが、口から漏れる。
彼女の求めるものを敏感に感じ取り、妲己は指を動かす。
乳首を指に挟みこねながら、もう一方の手を下腹部へと伸ばす。
「あはん、貴人ちゃん、どうして欲しぃのん?」
「そ……それは……」
「さぁ、言うのよん。自分の口で」
「あぅぅ、姉様の……いじわるぅ……」
気丈な彼女も、義姉にはかなわなかった。
勝気な彼女の性格をいじめるように、妲己は楽しむ。
額に汗を浮かべながら、ゆっくり胸を絞り、襞をなぞる。だが、その手は最も刺激を求める場所には触れない。想像の世界にのめりこみながら、あの人がそこへ触れてくれるのを待っている。
「ふぅん、どうして欲しいか…わかってるくせにぃ……」
「はっきり教えてくれないと、わからないわん。さぁ、言うのよん」
「そ…それは…そんなの、恥ずかしくて、言えません…」
頬を朱に染めて、いやいやしながら呟く貴人。
「あはん、ダメな子ねん。そんな子には、お仕置きが必要ねん」
妲己の舌が、胸の敏感な部分に触れる。
舌は体の曲線をなぞりながら、ゆっくりと秘所へと向かった。
ぞくぞくと体が震え、貴人の表情が快楽に緩む。
そして――柔らかな舌が、包皮に包まれた肉芽を撫でた。
「ひぁぁんっ!」
強烈な刺激に、貴人は啼いた。
妲己の責めは止むことなく、包皮を剥きあげ、陰核を擦る。
「はぅっ、だ、だっき…ねぇさ…ひぅん!」
蠢く舌が、膣口へともぐりこむ。
快感に、貴人は身を仰け反らせた。
「ねぇ貴人ちゃん、わらわも気持ち良くしてぇん」
「はい……姉様……」
覆いかぶさる妲己の下腹部が、貴人の顔に押し当てられる。
妲己の舌は貴人の敏感な部分を擦り続け、快感に震えながら貴人も舌を這わした。
「あはん、いぃわん、貴人ちゃん……」
「ねぇ…さま…こそ…くぅん」
貴人は、愛液でぬめる指を口に含み、舌を這わして味わうように舐めしゃぶった。自らの指を口内で動かし、蹂躙していく。
「ちゅぷ、んぁ、だっき…ねぇさまぁ…ん」
唾液と愛液の絡み合った指で、乳房を揉みあげる。柔らかな感触に甘美な快楽を感じながら、胸の突起に愛液を擦り込んでいく。
「ふぁ、いぃ、ですぅ……」
尿道から襞のひとつひとつまで可愛がるように舐めていた妲己は、
膣口へと舌を伸ばす。
さらに、溢れ出る愛液を卑猥な音を立てて吸い上げた。
「はぁあん!そ、そんな、くひぃっ!」
強烈な快感に、体を戦慄かせた。
愛液の吸われる音に、顔を真っ赤にして目を瞑った。
ぴんと張り詰めた手足が震え、やがて弛緩する。
「さぁ、貴人ちゃん。そろそろ、いかせてあげるわん」
ゆっくりとその身を貴人に被せる妲己。
貴人の足を大きく開かせ、自分の足を絡ませる。
愛液にぬめるお互いの秘所が触れ合った。
「ふぁぁ…」
貴人の口元から甘い吐息が漏れる。
「あぁ、いい、ねぇさま、いい!」
中指と薬指を秘所にもぐり込ませ、左手で乳房を絞る。激しい快感に、高みへと押し上げられていく。体が弓形に反り、溢れ出る愛液がぐちゅぐちゅと音を立てた。上気する顔には大粒の汗が浮かんでいる。
「いい、いいわぁん、貴人ちゃん」
「ぁぁ、姉様、ねぇさまぁ!」
肉襞が擦れ合い、二人の愛液が絡まりあって白い太腿を濡らす。
「ぃ、イきます!ねぇさま、わたし、ぃイって、しまいます!」
「ふふ、いいわぁん。激しくイくのよぉん。」
妲己の腰の動きが激しさを増した。
襞を擦りあげ、肉芽を押しつぶす。
その動きに、貴人の体の中で快感が膨らむ。
そして、弾けた。
「ぁあ、い、イくぅ、ひくぅ、ぅ、いっくぅぅぅんっ!」
体をびくびくと痙攣させて、絶頂へと達した。唇を震わせながら、肩で息をつく。
大粒の汗と、愛液が白い肌を伝う。
「はぁ、はぁ……姉様……」
潤んだ瞳で、空を見ていた。
「貴人ちゃん☆何してり?」
突然声をかけられて、弾かれたように飛び起きた。
「き、きき、喜媚姉様!?」
振り返れば、そこには無邪気な顔をした喜媚の顔があった。
「も、もしかして、今のをご覧になってらしたのですか!?」
「――??なんのこと?それより、貴人ちゃん、スープーちゃん見なかった?喜媚、探してり☆」
見られてはいなかったようだ。胸を撫で下ろすと、ふらつく足で立ち上がる。
「いいえ、見てません。探すのなら、私も一緒に行きましょう」
そう言って、羽衣を翻し駆けて行く姉の姿についていく。
一度だけ振り返り、空を見上げた。
「妲己姉様……」
一度だけ、呟いた。誰にも聞こえぬ、小さな声で。