爆破の衝撃で王貴人は一気に廃屋の壁まで吹き飛ばされた。  
したたかに背中を打ちつけ、ゴフッと口から血の塊が飛び出す。頭の上からは崩れた屋根の破片が降り、  
貴人の額を割った。  
「ぐっ……」  
血が眼に入り、赤く霞んだ視界に笠を被った男の姿が見えた。  
こんなヤツに……! ……こんなヤツらに!  
ギリと奥歯を噛もうとしたが、再び喉から溢れてきた血のせいで、それは叶わなかった。  
視界がふっと翳り、次いで黒く染まって意識が途切れる。  
 
「殺してないだろうな、王魔よ」  
「……今から確認する」  
瓦礫を擦り抜けながら、王魔は倒れている貴人に用心深く近寄る。その脇を人頭大の水玉が  
擦り抜け、貴人の頭に覆いかぶさった。  
「何をする? 高友乾」  
「手っ取り早く調べてやろうとしてるんだ」  
ややあって、貴人の喉がのけぞり、もがくように腕がのたくる。  
周囲が赤く染まった空泡がゴボリと上がった。  
「生きてるな」  
水を引かせると高友乾はニヤリと笑った。再び王貴人の体が崩れ落ちる。  
「では、聞仲様に合流しよう。ソレは狐を釣る餌になるからな」  
「待てよ、王魔」  
端整な顔が下卑た笑みを浮かべる。  
「雉の方はいかに奴らでも、もうしばらく時間がかかる。聞仲様は狐を追っている。  
そっちはもっと手間取るだろう。俺たちには時間があるってことさ」  
「何が言いたい?」  
ギロリと睨むと、高友乾ははっと肩を竦めた。  
「おまえ、アレ見て何も感じないか?」  
視線の先には王貴人が倒れている。  
ただでさえ露出の多い服の裾が捲れ上がり、腿が付け根まで露になっている。しとどに濡れた服は  
全身にピッタリと張り付き、丸く形よい乳房はおろか、その先端の突起までが見て取れる。  
半開きの唇が荒い息を吐き、そのたびに微かに胸が揺れた。  
息を呑む。  
 
今の今まで、王魔はそんなことには無頓着だった。王貴人のことは、ただ倒すことを言い渡された獲物  
としか認識しておらず、そこに劣情を抱くことなど考えてもみなかった。  
しかし、意識した瞬間、ひくりと下半身が反応する。  
「まさか、貴様……」  
「別にいいよ、おまえが何も感じないなら。俺だけ楽しませてもらう。アレは後で俺が連れてくから  
先に行ってれば?」  
「しかし、いかに敵と云えど、女にそんな真似は聞仲様が――」  
「バレなきゃいいんだよ。それに『できれば殺さずに連れて来い』と言われただけだ。命令違反とは  
言えないだろ」  
「ぐ……、知らんぞ、私は! せいぜい、聞仲様に気づかれないようにしろ!」  
「大丈夫大丈夫。全部洗い流して持ってくから」  
さらりと言い捨てて、高友乾は王貴人に近寄り、いきなり無造作にその胸の突起を摘み上げ強く捻った。  
「ひっ!」  
王貴人の喉から引き攣ったような声が漏れる。  
「何、感じたの? それとも痛かったか? まあ、どっちでもいいけど」  
短い上衣の裾をたくし上げると、ぶるんと揺れながら白い乳房が露わになる。先ほど乱暴に嬲られた  
乳首は色濃く立ち上がっていた。それに吸い付きながら、もう一方の乳首を摘んでコリコリと捻る。  
「うっ……」  
口の端から血の泡が零れた。反応に気をよくした高友乾は、捲れ上がった布の合間から彼女の秘部へ  
指を侵入させる。  
「ここはどうかな? びしょ濡れだが、これは水被ったせいだよな」  
下着の上からゴムマリのような弾力を持つ陰唇を割り、指をスライドさせる。先ほどの戦闘で水を  
被ったため、ぐっしょり濡れてはいるが、内部から染み出たものではない。  
高友乾は下着を脇で結んである紐を解き、貴人の秘所を晒した。指で陰唇をえぐるように抉じ開け、  
花弁の合わせ目を強く押し潰すように擦る。  
「いゃあっ!」  
強すぎる刺激のせいか、女体がびくんと跳ね、貴人が目を開けた。  
 
「えっ……?」  
目の前の男がニヤリと笑う。その唇が露わになった乳房を刺激している。股間に伸びた指が、くんっと  
花芯を持ち上げた。  
「ひゃっ……。な、何よ、あんた! 何してるの!?」  
「うるさいぞ、琵琶」  
途端にわめきだす貴人を黙らせるべく、口に含んだ乳首をガリと噛む。  
痛みに貴人が、ひっと呻いて身を捩った。  
その間に、高友乾は陰核を嬲っていた指を一気に二本、膣内に侵入させる。  
「痛ッ!!」  
「ちっとも濡れてないじゃないか。少しは反応しろよ」  
「けっ汚らわしい! 離れなさい!!」  
「おまえ、自分の立場がわかってるのか?」  
「!」  
――そうだ、確か私はこいつらと戦って……。  
黒く染まる視界が甦る。  
状況を思い出した貴人は、いきなり暴れだした。平手で顔を張り、足を上げて高友乾の肩を蹴って距離を取  
――ろうとしたが、振り上げた腕は手首を掴んで止められ、蹴りは体を捻ってかわされる。  
逆に容赦なく手の甲で張り飛ばされ、唇の端が切れた。  
「ううっ……!」  
痛む頬を自由な手で押さえるが、両手をまとめて頭上に捻りあげられてしまう。  
「嫌あぁっ!!」  
すっかりパニックに陥った王貴人は、両脚を滅茶苦茶に動かして抵抗する。  
「ちっ、往生際の悪い」  
けして戒めが解けるわけではないが、虫の息であるはずの女から思わぬ強烈な抵抗を受けて、  
高友乾は苛立った。  
「こんのアマッ! てこずらせやがって!!」  
片脚を抱え上げ抵抗を封じ、暴れるもう一方の脚に苦戦していると、不意に腕の抵抗が無くなった。  
 
「?」  
「腕は私に任せろ。おまえは早く目的を済ませてしまえ」  
「王魔――」  
高友乾が口の端を吊り上げた。「恩に着る」  
「アンタまで……!」  
視線を上げて王魔を見る王貴人の顔に、絶望の色が浮かぶ。眼が合った王魔が、残酷に笑ってみせた。  
「……うわ、マジでヤバイくらい眼がサドだな。おまえが責めた方がいいんじゃないの?」  
「ふざけるな。私は妖怪女になど興味はない」  
「ふん、そういうことにしといてやるよ」  
「何を――、何言ってるのよ! 離しなさい! 離せっ!!」  
「こんなに乳首勃てて、全然説得力が無いぞ。本当は感じたいんだろ?」  
「馬鹿なこと言わないで! いい加減にしてよっ!」  
「じゃあ、自分で見てみろよ」  
両膝を抱え上げた高友乾が、彼女の体を丸めるように持ち上げた。仰向けに寝転んでも脇に流れない  
張りのある乳房が嫌でも目に入る。  
噛み跡の残る乳首は真っ赤に充血して、痛々しいほど膨れ上がっていた。  
「……そんなっ、こんなの嘘よっ!」  
「素直じゃないな。まあ、俺はどっちでもいいけど」  
陰部がよく見えるように大きく広げた股間に顔を近づけ、いきなり包皮ごと陰核を噛む。  
「嫌ぁっ!! 離して……!」  
頭を激しく振って貴人が泣き喚いた。その目尻から涙が飛び散る。  
喉の奥から血の味が消えない。内蔵がどこか痛んだ。しかし、その耐え難い痛みを掻き消すほど激しい  
痛痒が全身を苛んでいる。  
「ん? ちょっと濡れてきてないか?」  
膣口に舌を触れさせる。「やっぱりな。女の味がする」  
「……そんなことない!」  
大声を上げると、再び腹に痛みが走った。しかし、先ほどより心なしか和らいでいる。  
高友乾が唾液をたっぷりと絡ませた舌を膣内に突き込んだ。そのまま、唾液を次々と送り込む。  
「う……」  
面妖な感触が沸き起こる。眉をひそめて耐えていると、顔を上げた高友乾が鼻を鳴らした。  
「ふん、色っぽい顔するじゃないか。本当なら一回その口に突っ込んでやるところだが、  
噛み切られてはかなわんからな」  
 
噛み切る……。  
――そうか……。  
舌を噛み切って石琵琶に戻ってしまえば、この責め苦からも逃れられる。  
元型を晒すことは、妖怪仙人にとって何よりの屈辱である。しかし、現在進行形で進められているこの屈辱  
――人間の女であるがゆえの屈辱の方が、今の貴人には耐えられなかった。  
やるなら、舌を噛む力が残っている今のうちだ。  
実行に移そうとした瞬間、片腕を膝で押さえ付けた王魔が、強引に歯列を割って、口に布のようなものを  
詰め込んだ。  
――!  
「今、元型に戻られては困る。狐をおびき出す餌になってもらうまでは、人の形のままでいてもらおう」  
――読まれた!  
押し込まれた布(恐らくは彼女自身の下着と思われる)が喉まで圧迫し、もはや自分の意志では  
口を閉じることすらできない。  
――なんてこと……!  
「琵琶ゆえにさぞかしいいよがり啼きをしてくれるだろうと思っていたんだが、残念だな。  
ま、あまり時間もないことだし、下の口で楽しませてもらうよ」  
言うなり、あわただしく下履きを脱ぐ気配がした。熱く固い物が秘所に押し当てられている。  
――嫌! やめてっ!  
ぶんぶんと首を振る。その反応を面白そうに高友乾が覗いてくる。  
「やめてくれって言いたそうだな。でも、それがありえないってことも判ってはいるんだろ?  
頼りの姉たちも今は交戦中だ。誰も助けてはくれないさ」  
大粒の涙が零れる。肉棒が薄い皮の上を何度も往復し、陰芽が限界まで尖りきっていく。  
むず痒い衝動に腰を捻って逃げようとするが、強く押し付けられた脚がそれを許さない。  
男は厭らしい笑いを口の端に貼り付けたまま、微妙な責めを続ける。  
――こんなのって……、こんなのってない! ひどい……。  
ヤリたければさっさと突っ込んで、勝手に満足して終わればいい。  
なのにこの男は自分の反応を楽しんでいる。強引に犯されているというのに、感じてしまう女の、  
その生理を嘲笑おうとしているのだ。  
貴人は男を睨みつけた。涙に濡れた目では迫力がないのは判っている。  
しかし、それが彼女にできる唯一の反撃だった。  
 
「素直じゃないなぁ。しょうがない。手っ取り早く先に挿れてやるよ」  
ずぶりと音を立てて肉棒が押し入ってきた。  
先ほど流し込まれた唾液のおかげでスムーズな挿入だったが、いきなり奥を突き上げられ、体が仰け反った。  
傷の痛みにくぐもった悲鳴が漏れる。  
「うわ、絡み付いて吸い取られそうだ。たまらん……」  
ゆっくりと数回抜き差しする。抵抗のおさまった体に圧し掛かり、乳房にしゃぶりつく。  
小さな乳首を散々弄り、舌で突付きながら言う。  
「おまえはどうせ死ぬんだ。だから、今生の思い出にたっぷり楽しませてやるよ」  
またしても、ぶんぶんと首が横に振られる。  
「まったく、本当に強情な女だな。まあ、そんな女を強引に犯すのも、また楽しいもんだ。――王魔。  
手伝ってくれ」  
「――手伝う?」  
怪訝そうな王魔に、上半身を起した高友乾が貴人の物欲しげに立ち上がった乳頭を爪で弾く。  
「胸を弄ってやれよ。突っ込むだけじゃ芸がないからな。どうせなら感じさせてやろう」  
「むぐっ! んん〜!!」  
――一人じゃ感じさせられないからって二人がかりなんて……、この下手糞!!  
そう叫んでやりたかったが、王魔の親指の腹が先端を撫で、途端に奔る電流のような感覚に呻いた。  
ぴくんと小さく体が跳ねる。  
小刻みに与えられる振動に加え、今度は高友乾が陰核を剥いて直接指先で擦る。  
くぐもった喘ぎが漏れ、貴人は目を見開いた。  
「気持ちいいんだろう? 正直になれ」  
ふるふると頭を振るが、完全に否定はできなかった。  
意識を取り戻したときに比べ、今は確実に痛みがひいていた。  
無論、治癒したわけではない。  
脳内麻薬の仕業だ。  
戦闘直後という異常な状況、そして、女の体の中で最も敏感な三つの突起を同時に嬲られている現状。  
分泌された脳内麻薬は強力な鎮静作用を発揮し、同時に快楽神経を活性化させ、貴人の肉体を  
淫らに反応させていく。そして、体の反応に心が流される。  
――こんなの、……嫌っ……!  
 
同意のない性交で女が感じることはない、と言う。感じ難いの確かに事実であろう。  
しかし、複数の男に敏感なところを嬲られ続け、感じない女などいない。  
責めはけしてやむことがない。休む間もなく与えられる愛撫に昇らされ、ふいに気が遠くなる。  
だが、次の瞬間に百年の眠りも醒めるような強烈な別種の刺激を受け、女は叫ぶ。  
「びゃっ!」  
指が菊門をこねる。すでに零れ始めた潤滑液を絡め、ゆっくりと入り口を撫で回す。  
時折突付かれ、丹念に弄られるうちに、固く閉じられたそこが徐々に柔らかくなっていく。  
――そこは……! そこは駄目ェッ!  
彼女の心の叫びも空しく、長い指がずるりと直腸に侵入した。  
中指一本を丸々と飲み込んで、本来なら受け入れるものではない器官がその指をぎゅっと咥え込んだ。  
同時に膣も強く肉棒に絡みつく。  
「んんっ! ん……!」  
「なんだ、後ろも開発されてる感じじゃないか。後でこっちも可愛がってやるからな」  
容赦なく二本目を挿入する。  
体全体を揺らして抵抗するが、男たちにとっては嗜虐芯に火をつけるだけの行動だったようだ。  
揺れる乳房を鷲掴みにして、王魔が揉みしだく。頭頂に熱く脈打つものが当たっている。  
――はあっ、あああっ……!  
肉棒と指に腹の中を蹂躙され、わけのわからない感覚に貴人は気が狂いそうだった。  
王魔が貴人の乳首を指先でコリコリと転がし、弾き、つまんでは引っ張る。  
男たちの指の動きに息が漏れる。痛みとも痒みとも判断しかねる奇妙な感触が貴人の身体を支配する。  
身体をくねらせ、感覚を誤魔化し、その責めに負けまいと抵抗を続けたかったが、徐々に理性が  
覆い隠されていくのを止めることができなかった。  
思わず、さらなる快楽を求めて、自ら腰を動かした。  
「だんだん素直になってきたな。おまえ、本当は凄い淫乱なんじゃないの?」  
屈辱感を煽る言葉に涙が溢れる。  
菊座に捻りこまれた指を何度も曲げたり伸ばしたりされる。直腸の粘膜を直接的に刺激され、堪え切れずに  
貴人が啼き声を上げる。ぐいっと信じられない力が男の指を締め上げた。  
 
「おぉ……。前も後ろもいい具合に締まってきたな。後ろか? 後ろがいいんだな?」  
執拗な言葉に思わず貴人がそこに意識を集中したとき、高友乾ははぐらかすように指を引き抜いた。  
代わりに腰を掴んで、ゆっくりと膣の方の肉棒を抜き差しする。  
加えて、最奥まで突き上げたときに円を描くように腰を回す。陰毛が絡みつき、男の付け根に刺激された  
陰核がぴりぴりと痺れた。ねだるように腰が動く。  
――こんなの嫌よ……。感じたくなんか…………、感じたくなんかないのにっ!  
必死で理性を掻き集めようとするが、男たちの粘着質な責めに、なけなしのそれは集めたそばから霧散する。  
彼女の腰が、自分とは別の生き物のように回り始めた。  
「それでいい。じゃ、こっちもそろそろ気持ちよくさせてもらうぞ」  
腰の動きが激しくなる。蠢く上半身を押さえるように王魔が逆さまに乗りかかってきた。  
小石のように固くとがった乳首をきつく噛まれる。  
掻き回される内部と、潰すように下腹部を押し付けられ、こねくり回される花芯に頭の中が真っ白に  
なっていく。  
――嫌っ嫌ぁっ! ああ……、でも、でも、……気持ちいいっ!  
きゅっと膣が収縮する。搾り取られる感触に高友乾が喘いだ。  
「はぁっ! 凄いキツい……。俺もそろそろイきそう……」  
「中に出すなよ」  
「ん?」  
「おまえのモノでいっぱいなった場所になど、挿れたくはないからな」  
「……なんだ、結局おまえもヤるんじゃないか。じゃ、どいてくれ。顔にかける」  
強烈な抽送にがくがくと体が揺れた。すでに快楽の壷と化した膣が意志とは裏腹にぐいぐいと  
男根を締め付ける。  
「むぐっ……、んんんっ!」  
――駄目っ……! イっちゃう!  
一際強く肉棒を押し込められた瞬間、貴人は自身の欲望に屈服した。  
 
女の体が突っ張ったまま痙攣を始めた。  
王魔がぱっと身を引くと同時に、高友乾が貴人の体から杭を抜く。腹の上に乗りかかるような形で  
自身を彼女の顔に向け、精液を放った。  
ピチャっ、ピチャッと断続的に生暖かいものが頬にかかる。とたんに強い刺激臭が鼻をついた。  
「ぶっ……」  
微かな吐き気がする。しかし、靄がかかったように痺れた頭のせいで、ぴくりとも体は動かない。  
男の暢気な声が耳を素通りしていく。  
「結構長生きしてるけど、俺も若いな。飛距離長ッ」  
「……阿呆か」  
「次、おまえだろ。嫌だと言うワリにはあっさりイってやがるし、もう押さえる必要はなさそうだな」  
目を閉じたまま荒い息を繰り返す王貴人に、抵抗の様子はまったく感じられない。  
促された王魔が、開いたまま力なく投げ出されている女の脚の間に膝を立てて座り込んだ。  
腿の下に自らの脚を差し込んで腰を上げさせる。  
そのまま完全にいきり立っている自身を下穿きから取り出して、文字通り女陰にぶち込んだ。  
「うっ……」  
王貴人の眉が微かに寄る。だが、未だ絶頂感から抜けられない彼女はまともな反応ができない。  
「これもいらないな」  
高友乾が口から彼女の下着を取り出した。微かに血の混じった大量の唾液が糸を引く。  
「ごふっ」  
「存分に啼き声を聞かせてもらおうじゃないか。この女、中も凄くイイだろ?」  
「ああ。だが、反応が欲しいところだな」  
「突き上げて起こしてやれ」  
言われたとおり、王魔が激しく貴人を突き上げる。  
「……ひゃんっ! はぁっ……!」  
「お、いい感じ。ほら、しっかりしろ」  
ぺちぺちと頬をはたかれて、彼女はうっすらと目を開けた。霞んだ視界に次の男が自分に圧し掛かっている  
のが判った。  
「そんな……、もう嫌ぁ……」  
「そんなこと言うなって。おまえも気持ちよくてイッたんだろう? 王魔も気持ちよくしてやってくれよ」  
「ひっ! あああっ、んん……!」  
 
顔を下着のかろうじて汚れていない部分で拭いてやってから、高友乾は貴人の顔の上に跨った。  
「口が手持ち無沙汰だな。俺のモノを綺麗にしてくれ」  
言うなり、放出からほとんど時間のたっていないにも関わらず、再び固くなりつつある男根を口に突っ込む。  
「むぐっ!」  
いきなり喉を奥を突かれ、貴人が呻いた。しかし、舌は従順に肉棒に絡みつき、自らの愛液と男の唾液と  
白濁液の混じった液体を舐め取り、嚥下していく。  
怪しげに腰が蠢き、ひくつく下の口も、王魔の一物を絡め取る。  
「おおっ……。具合が、いいな……」  
王魔が眉根を寄せた。  
高友乾は、舌の愛撫と喘ぎ声の振動で再度屹立した自身で、彼女の喉を犯す。  
「ふぐっ! むうあふんっ!」  
頭を押さえつけ、逃げられないようにして何度も抽送を行った。カリ首を唇に引っ掛けるまで腰を引き、  
再び根元まで咥え込ませる。  
一方、ゆっくりとしたストロークで膣を味わっていた王魔は、真珠のように固く立ち上がった陰芽を  
直接摘み上げて、クリクリと捻っていた。  
貴人が喉の奥で悲鳴を飲み込んでいるのを感じて、高友乾は自身の肉棒を引き抜いた。  
名残惜しげに舌が追いかけてくる。  
「悪い悪い。モノ足りないか。じゃあ、今もっとよくしてやるからな」  
高友乾が王魔に目配せして、貴人の上半身を持ち上げた。対面座位で王魔が彼女の体を支える。  
後ろから高友乾の亀頭が、過たず菊門にずぶりと刺さる。  
「あああっ!」  
強い刺激に貴人が仰け反った。先ほど指で慣らされたため、特に抵抗もなく、ぬぷぬぷと音を立てて  
後ろの穴も貪欲に肉棒を飲み込んでいく。  
「すっげ、締まる……」  
「こっちもだ……」  
膣壁は全体でねとりと男根を絞り、菊門は輪のような刺激で肉棒を締め上げる。  
強い圧迫感に、二人の男は息を呑んだ。  
薄い肉壁一枚を隔てて互いのものが腹を合わせている生々しい感覚。  
どう動きを合わせようかと逡巡していると、貴人が自ら腰を振り始めた。  
「あふ、あはぁん! なんで……、こんなっ……!」  
 
「なかなか可愛い声を出すな。いいぞ、もっと啼け」  
「何が疑問だ? どうしてこんなに気持ちいいのかってことか? それはおまえが淫乱だからさ。  
そら、どんどんイケよ!」  
「嫌ぁっ! あぁんっ!」  
もはや自分の意志とは無関係に、腰を上下させる動きが止まらなくなってきていた。  
揺れる乳房に王魔が吸い付き、高友乾が後ろから乳首を摘む。同時に頭を掴んで振り向かされ、  
高友乾の舌が唇を割って侵入し、口中を舐めまわす。  
「あっ、ひゃん! あはぁんっ!」  
口と乳房と女陰と菊座とを同時に犯される感触に、貴人の意識は飛びかけていた。  
同時に理性と矜持が消し飛んでいく。  
どちらがどこを犯しているのかも判らない  
長い生の中、体を預けた男の数は、数えるのも面倒なくらいである。  
しかし、こんなに感じたことはついぞなかった。  
複数の男に犯される事がこれ程までに心地良いのかと、今、初めて思い知らされた。  
前後を同時に貫かれながら、さらに左右の乳房を揺さぶられ、乳首が捻られる。  
陰芽を摘まれ、押し潰される。  
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はああっっっっ!!」  
繰り返される責め苦に頭の中がどんどん白く塗りこめられて行く。  
ただ強引に犯されるだけならよかった。  
しかし、女の体を知り尽くしたような攻撃に、耐えることができない。  
女の性感帯は陰核に集中している。王魔は判らないが、高友乾の方は確実にそれを知った上で  
彼女の肉体を愛撫していた。挿入してからもしつこく根元を擦り付けてきたのがその証拠だ。  
そして、直腸への刺激は男女ともに強い快楽を呼び起こす。  
無理矢理犯されて絶頂を感じるなど、屈辱以外の何物でもない。  
それでも、気持ちよすぎて抵抗ができない。  
ただただ嬲られるままに身を任せ、あまつさえ、自らも悦楽を求めて体を動かしてしまう。  
 
――駄目……、また、イカされてしまう……!  
半狂乱になって貴人は頭を振った。口中を犯していた高友乾の舌が離れる。  
「あぁん! はぁっ! もうダメッ! いいっ、いっ!!」  
膣壁がいっそう強く男根を締め付ける。全身がぴんっと跳ねたまま固まった。  
頭の中で幾万もの光が弾け、そのまま彼女は意識を手放した。  
「うおぉ……、出るッ!」  
ほぼ同時に王魔も深く挿し込んだまま射精した。  
迸る粘液の脈動が生々しく伝わり、高友乾の一物が不可思議な感覚で刺激される。  
王魔が離れるのも待ちきれず、彼は無我夢中で中を穿った。  
意識を失ってなお、男を搾り取ろうとする後門に腰が抜けそうだ。  
肉が妖しくくねる。この女の肉体は気をやっても快楽に貪欲で、それを甘受すべく蠢くものらしい。  
先ほど感じたくるみ込むような膣とはまた違った、ぐいぐいとただ貪り取るような刺激。  
しかし、それがまたよい。  
あまりのきつさに一度射精しているにもかかわらず、ほどなく彼も達した。  
今度は王魔が、彼の迸りを感じ取る番だった。  
 
ぐったりとした女を挟んで、二人は荒い息を吐きながら目を見交わした。  
慌しい行為だった。それゆえに非常に名残惜しい。  
しかし、行為を続けたり、余韻に浸っている暇はなさそうだ、と互いの目が告げる。  
時間が迫っていた。  
 
王貴人の服で体を拭った男たちは、衣服を整え、立ち上がった。  
「行かないとな」  
「ああ。……しかし、この女、もったいなくないか?」  
「何がだ?」  
「九竜島に連れ帰って、色々仕込んでやりたいって思ったからさ。適当に砕いた石とか持ってって、  
王貴人だ、って言い張ってこっそりお持ち帰りしない?」  
「さすがにバレるだろう、それは」  
「そうかぁ……、残念」  
ちぇっと舌打ちすると。高友乾は混元珠から滝のように水を放出して、貴人の体を乱暴に洗い流した。  
服を直して横抱きに体を抱える。そのとき、貴人の唇が微かに動いた。  
――姉さま?  
そういえばこの王貴人の義姉は、絶世の美貌を誇る女狐だ。真ん中の姉である雉も美少女だし、  
三姉妹揃って手篭めにできれば楽しいだろうな、と邪なことを考える。  
しかし、そんな欲望を下手に口に出そうものなら、岩をも砕く鞭に打ち据えられ自身の命が危ない。  
おカタい上司の厳しい横顔を思い出し、先に飛び立った王魔を追って、彼もまた仲間の下へ向かった。  
 
<< 終 >>  
 
 

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