「黒点虎。そんなに気になるのなら、行って来ればどうです?」  
「えっ、いいの? 申公豹」  
崑崙も金剛山も落ちた今、他の霊獣の存在は黒点虎にとっても気がかりな問題。  
できれば、直接状況を聞きたいところなのだろう。先ほどからそわそわしているのが  
彼にはよく判った。  
「私も妲己と二人で話がしたかったところです。千里眼だけでは詰まらないでしょう。  
たまには直に話してみるといい」  
「それじゃお言葉に甘えて」  
「いってらっしゃい。黒点虎ちゃん」  
妲己もにっこり笑って手を振っている。  
それなりに長い付き合いなのは自分もよく知っているし、たまには自分も抜きで  
本当に二人きりで話してみるのも彼らにとってはいいことかもしれない。  
――でも妲己と違って、申公豹は一人じゃあまり遠くにいけないんじゃ……。  
微かに後ろ髪を引かれる気もして、彼は一度振り返って言った。  
「夕方には戻るね」  
「ええ。ここにいなければ適当に探してください」  
「判った」  
 
陽は南中からやや降下し始めたばかり。  
幽玄雅美たる霞をたなびかせた霊峰。大きな一枚岩の上、道化のような化粧を  
施した男は、こんなところでも何故か豪奢なソファに身を沈める傾城の美女を  
振り返った。  
白い肌を惜しげもなく晒した衣装が不思議と嫌味にならない。  
それはおそらく、彼女の持つあまりの完璧さゆえなのだろう、と彼は思う。  
――どこか嘘のある美。  
「的を射た表現なのでしょうね」  
本来なら、完璧すぎるものに劣情は催さない。自らとかけ離れているからだ。  
「なぁに?」  
「何でもありませんよ」  
妲己は体をずらして、自分の横のスペースをポフポフと叩いた。  
「よかったら隣にいらっしゃいな。岩の上に座るのは嫌でしょん?」  
「そう言えば――」  
ハタと気付く。「座るものを見送ってしまいましたね」  
 
どこから取り出したのか、妲己はサイドテーブルに茶まで用意し始めている。  
「やっぱり、あなたは判っていたのね。もし、二人きりで会えるとしたら、  
今日が最後だということに」  
「今、確信に変わりました。そんな気はしていたのですが」  
湯気の立つカップを受け取って彼女の隣に座る。  
その体から臓腑にまで染み込みそうな甘美な香が漂う。  
それは完全に彼の嗅覚を支配し、紅茶の匂いをかき消した。  
茶の表面を見つめたまま、飲もうとしない彼に、妲己は何も入れてないわよん、  
と首を傾げた。  
「猫舌なんです」  
「そう言えばそうだったわねん」  
クスリと笑って、両手で持ったカップに唇を寄せた。  
「……ひょっとしてあなたには、わらわの目的まで知れているのかもねん。  
残念だわん。本当は太公望ちゃんと二人きりの秘密にしたかったのに」  
「それはいただけませんね。彼は私のライバルですから、彼が知ることは  
私も知っていなくてはならない」  
 
沈黙が流れた。だが、けして居心地の悪いそれではない。  
カップを置いた妲己はしどけなく体をずらして、面白そうに申公豹の横顔を眺めていた。  
化粧を落とせば、それなりに可愛い顔をしていそうである。  
彼のポリシーとセンスなのだろうが、もったいない気もする。  
――そうねん。わらわも一度でいいから素顔を見てみたかったわん。  
思わず零れた口元の笑みを扇で隠す。  
沈黙を破ったのは、一口カップに口をつけ、顔を歪めた申公豹の方だった。  
「やはりあなたは嘘をついていた。女禍をも騙し、自分の真の目的を  
達成しようとしているのですね。  
何をしようとしているのかも、大体判っているつもりですよ。  
だから……、もうあなたと会えないと思うと残念です」  
「まさか申公豹がわらわを惜しんでくれるとは思わなかったわん」  
「少なくとも短い付き合いではありませんしね。それに、ひょっとしたら私も誘惑の術に  
かかってしまったのかもしれません。今日は何故だか――」  
サイドテーブルにカップを置いて妲己に向き直る。指を伸ばして、その癖のない  
柔らかい髪を肩口のあたりからそっと梳いた。  
「あなたをどうにかしてしまいそうですよ」  
 
見詰め合ったまま数瞬。  
それは妲己にとっても意外な言葉だった。とっさに反応に詰まって、  
見開きかけた目を何とか抑える。  
――でも、それもいいかも知れない。  
この掴み所のない男を少し掴んだ気持ちになるのもまた、一興。  
目をそらしたのは彼女の方。  
たっぷりと含みを持たせた視線を斜め下に泳がせる。  
薄く唇を開いて首を傾げると、男の指に絡め取られた髪がさらさらと流れ落ち、  
透き通った首筋が露わになる。  
申公豹の手が妲己の持つ扇と傾世元禳を掴んで後ろへ放り投げた。  
「あはん。こんなときに何かするほど野暮じゃないわん。わらわを信じて?」  
「他の誰を信じたとしても、あなただけは信じませんよ」  
「酷いわん……。……お茶が冷めちゃう」  
「どうせ喉は渇きます」  
雷公鞭も遠くに投げやり、二の腕を掴んで妲己を引き寄せると、  
白い喉に軽く歯を立てた。  
「……こんなところで?」  
微かに眉根を寄せて、妲己が囁く。媚を含んだ声音に首の後ろが粟立つのを  
感じながら、男はその耳に唇を寄せた。  
「あなたともあろう人が……。待てると思いますか?」  
耳朶を擽る低い声に吐息が漏れる。  
「あなたともあろう人が待てないなんてね。ふふ……。でも、この手は嫌。  
優しくして?」  
白い指を伸ばして、猫の爪のような鋭い突起を持つ手袋をそっと剥がす。  
両手ともはずしてそっとソファの下に落とした。爪がコツンと岩にあたる小さな  
音を合図に、二人はそっとソファに沈んだ。  
 
霧は深くなり、岩棚は白くけぶり始める。  
視覚が意味を成さなくなってくると同時に、他の器官がひどく鋭敏になる。  
鎖骨のくぼみを舐める舌は甘い汗が湧き出てくるのを味わい、  
銀色の髪に絡みつく細い指は、頭皮に触れるだけで媚薬を塗りこめられている  
ようだった。  
ゆるゆると指が首元に降りて、きつい留め金を外し、彼の肌を外気に晒した。  
男は彼女の動きには構わず、たっぷりとした胸の谷間に舌を到達させる。  
乳房の先端にかかる滑稽なほど小さな布を脇へどけると、  
まろび出てきた乳房は彼の手には少し余るほどの大きさ。  
柔らかく揉み上げられると同時に、指の間からのぞく淡く鮮やかな突起を  
ちろりと舌先で舐められ、彼女は高い嬌声を上げ大きくのけぞった。  
すかさず背筋を撫で上げてくる固い指によって、えもいわれぬ波が、  
下半身から二つの頂きを越えて喉にせりあがってきた。  
その勢いのまま、男の服に手を掛け上衣を脱がせてしまう。  
冷たく湿った掌で、首筋からうなじ、耳元、胸からその先端の小さな飾りまでを  
嘗め回し、そのまま男を引き寄せる。  
彼は肩から腕を覆う大仰なまでの着衣を女の身体から引き剥がした。  
薄い肩を掴んでソファに縫い止め、初めてその唇に唇を重ねた。  
背中に回された手がゆっくりと動いている。  
唇を吸い、歯列を割って舌を進入させる。  
絡めとろうと伸びてくる相手の舌から逃げ、歯の裏をなぞり、上辺を舌先で嬲ると、  
背中に爪が刺さった。  
微かに目を開けると、細められた目がもっと、と言わんばかりに彼を煽った。  
女の身体から力が抜けてしまうまで口腔を蹂躙した後、縺れた舌を解いて  
銀色の糸を引かせながら唇を離す。  
霧は晴れない。  
飽和するほど密度の上がった空気は息を削らせ、恥知らずなくせに腹の読めぬ  
互いの視線を柔らかく遮った。  
 
申公豹は妲己を引き起こすと、そのままうつぶせにソファに押し付けた。  
「やん! 乱暴にしないでったらん」  
クスクス笑いながら異議を唱える妲己に覆いかぶさりながら、耳朶をペロリと  
舐めて鋭く囁く。  
「その余裕がいつまで続きますかね」  
「試してみれば?」  
「言われずともそうするつもりですよ」  
もともと半裸ともいうべきの体から、胸と秘部を覆う布を破り取る。  
妲己は不満そうに唇を尖らせたが、何も言わなかった。  
体に残るのはガーターベルトとそれに吊られた腿の半ばまであるブーツだけ。  
それは全裸より余計に卑猥な姿だった。  
舌を項に這わせながら、体をねじって抵抗するのを体重をかけて抑え込む。  
「あんっ」  
背筋を這い回る舌がさらに快楽を煽る。知らず妲己は自身の手で上半身を支えて  
仰け反っていた。  
今度は後ろから両手で乳房を掴み、その先端がソファに触れるか触れないかくらい  
のところまで、再び体を押しつけさせた。  
きつく掴んだ乳房を動かして、乳首には指を触れないまま、ソファにごく軽く  
こすって愛撫した。  
「やぁん、意地悪……」  
舌は背中を這い回り、今度はしなやかな二の腕の裏に移動した。  
舌先で触れるか触れないかの愛撫に妲己の唇から吐息が漏れる。  
「あはぁ……」  
「変わったところで感じるのですね」  
「……わらわの体は男を狂わせるための武器のひとつ。あなたが意図して触れれば  
そこはすべて性感帯よん。あんっ、息がくすぐったい……」  
 
「なるほど」  
グリグリと今度は指で乳首を嬲る。  
「ああっ……」  
高い声を上げてさらに仰け反るのをくるりと回転させて、仰向けにさせた。  
妲己の背中の下から回した右手で右の乳房を愛撫する。  
脚を絡めて膝を開かせ、左手で内腿を撫で、左の乳房に唇を寄せる。  
ブーツの履き口からさわさわと撫で上げる指が脚の付け根にたどり着いた時、  
微かに湿り気を感じた申公豹は、うっすらと上気した妲己の顔を盗み見た。  
「まだこれといったことはしていないのですがね」  
「……焦らされるのは嫌いじゃないわ」  
与えられる快楽を期待して潤んだ瞳が嗤う。  
「霧が出てて良かったわん……。上から見られたら、お嫁にいけない格好ね」  
「あなたは殷の皇后だったはずですが」  
敢えて乳頭には触れずに乳輪を嘗め回す。逆の乳首はコリコリと摘み上げられ、  
二種類の快楽に妲己の息がどんどんと荒くなってくるのが判る。  
左手でそっと入り口に触れる。柔らかい茂みを襞に沿って撫で、捲っていく。  
「はぁん……」  
妲己は自分の小指を噛んで横を向いた。  
うぶな男は言わずもがな。  
それなりに慣れた男に対しても、むしろ演技ではないかと疑わせる余地を  
持たせることによって、行為に没頭させる魔力すら感じる表情。  
なるほど男をその気にさせる仕草や表情は自身で言うとおり完璧なようだ。  
じんわりと広がったそこは熟しきった果実のように指を飲み込んでいく。  
左手の中指を第二関節まで差し込んだところで、微かな違和感を感じた。  
奇異に思いながらも二本目の指も後に続かせ、根元まで差し込む。  
とたんに絡み付いてくる媚肉のえもいわれぬ感触にほぉっと感嘆する。  
なるほど、男を蕩けさせる名器だった。  
 
親指で肉襞をかき分け、陰核を擦る。  
「やぁ、ああっ!」  
突然の激しい反応に、得たりとばかりに乳首を口に含む。  
乳首を転がし、陰核を押しつぶすと同時に挿入した指を曲げる。  
「はぁっ……! っそこ、いいの……」  
「ここですか?」  
乳首を咥えたままくぐもった声で応えながら陰核をグリグリと嬲る。  
「あはん! そこも……、全部いいわぁっ!」  
三箇所を同時に嬲られる悦楽に、長い睫毛が震える。  
申公豹の体に押さえ込まれた腕を必死に伸ばして彼の腰にしがみ付く。  
女の体の中で最も鋭敏な部分に執拗に刺激を与え続けられ、妲己がだんだん  
高みに達しつつあるのが判った。  
内壁は貪欲に指を絡みつくくせに、無意識に脚を閉じようとする抵抗が心憎い。  
――こんな反応をされると、うっかり特別な感情を持ちそうですよ。  
高みに追いやりながら内心ほくそ笑む。  
「あっあっ、……ああああーっ!」  
びくんと体が跳ね上がり、次いで弛緩した。  
荒い息を吐きながら、申公豹の胸に額を擦り付ける。  
華奢な体を抱き寄せ、息を整えようとしている唇に触れるだけの口付けを落とした。  
そのまま、滑らかな肌の感触を楽しみながら髪から漂う甘い香りで肺を満たす。  
 
しばらくして、妲己は自力で体を起こして申公豹を覗き込んだ。  
「わらわばっかり気持ちいいんじゃ、悪いわん。……あなたはまだ、  
全部脱いでもいないし」  
熱っぽく濡れた目に囁かれ、彼も自身がすでに準備万端であることに気付いた。  
「なら、気持ちよくしてもらえますか?」  
「そのつもり。それに……、男の人は一度イッた方が感度が上がるらしいわん。  
試してみたくはなくて?」  
ベルトを外して長いズボンと下着を同時に脱がせると、ソファに座るように促す。  
すでに屹立したものを両手で持ち、うっとりと呟く。  
「素敵……。意外と男らしいのね」  
小さく舌を出して裏筋を舐め上げた。  
両手を添えて、何度も下から上へ舌を這わせる。時々カリ首に沿って舌を  
回すように舐めたりもした。  
あらかた舌を這わすと、先走りを舐め上げてほんの少しだけ口に入れて吸う。  
先端の割れ目に下を這わせていると、申公豹が頭を押さえつけてきた。  
押さえられるままに、咥内に収まるところまで咥え込む。  
少々もてあます大きさのものをなんとか頭を上下させて吸いながら、  
入りきらない部分に手を添え、こちらはこちらで上下運動を行う。  
頭に置かれた手が彼女の頭を撫で始めた。  
髪の毛が絡まされる直前に、添えていた手を付け根に固定し、ゆっくりと喉の奥を  
開くイメージで根元まで飲み込む。  
喉の奥で締め付けられた彼自身がビクンと震える。  
変わらず表情の読めない顔だが、額に浮かんだ汗と泳いだ視線が余裕のなさを  
表している。  
舌を絡みつかせて、思いっきり吸引する。  
「う……」  
 
眉根を寄せて彼がうめく。その表情が面白くて、何度も抽送と吸引を繰り返す。  
頭に置かれた指が痙攣するように髪を掴んだ。  
「そろそろイきますよっ……!」  
コクンと頷いて、唇と指にさらに力を入れた。  
「はぁっ……」  
喉の最奥まで突っ込んだところで彼のものがさらに膨れ上がり、迸った液体が  
流れ込んできた。  
えずきそうになるのを抑えて飲み下し、余さず吸い取りながら口を離した。  
 
力の抜けた体をソファに預けたまま、息を弾ませ虚空に目をやる申公豹の姿は  
妲己にとっては初見のもので、思わずくすりと笑みが漏れた。  
――この人、案外かわいいわん。女の扱いが意外と上手なのは驚いたケド。  
ほとんどが霧による水滴だと判った上で、男を煽るために呟いた。  
「凄い汗……」  
化粧のはげかけた頬を舐める。  
膝に跨って犬のようにペロペロとやっていると次第に男の素顔が覗き始めた。  
「思ったとおり……。結構イイ顔をしてるのに、隠してるのは勿体無いわん」  
至近距離で眼球がギロリと動いた。  
「私は自分の趣味にケチをつけられるのは非常に嫌いです」  
「あはん。自分の好みを伝えただけよん」  
絶世の美貌でにっこり微笑まれると毒気を抜かれる。ほっと息をついた。  
 
「さて。オイタはこれで終わりですか? あなたも随分と焦れているように  
思えますが」  
妲己の局部に触れる膝はしとどに濡れている。  
「そうねん……」  
腰をひくつかせて妲己は笑った。「これからはお互いに気持ちよくなるって  
ことでどうかしら?」  
腿に襞が絡みつく感触が背中を駆け上った。  
「いいですね」  
妲己の指が陰嚢をくすぐっている。萎えたはずの欲望がすぐに頭をもたげて来た。  
「凄い回復力……」  
いたずらをしていない腕を申公豹の首に回して唇を交わす。啄むようなそれから  
次第に深さを求め、舌を差し込んでいく。  
唾液を交換し合う水音が聞こえ始めるころ、申公豹は妲己の尻を掴んで引き寄せた。  
余った手で手近な胸丘を揉み、先端を爪で弾く。  
「あふん……」  
舌を絡ませたまま、妲己が悩ましく喘ぐ。  
頭の中で何かが崩れていくのが自分でもわかった。  
一度達した方が興奮するのは事実のようだ。  
毒と判って出された料理を平らげるような気分――。  
この女を滅茶苦茶に犯してやりたい。  
抉って掻き回して突き上げて奥まで探って、本気で泣かせてやりたい。  
そんな凶暴な思いが沸き上がる。  
濁った情欲をとどめようと思えばできないことはない。しかし、その選択肢は  
見もせずに捨て去った。  
――らしくもない。自ら罠に飛び込むなどとは……。  
 
――そろそろねん。  
自分も悦楽の波に流されてしまいそうだ。その前にこの男の理性を突き崩さなくて  
面白くない。  
唇が離れ、しどけなく唾液を口角からたらした茫漠とした瞳で、しかしひたと彼の  
目を見つめる。惑いを含んだ愛撫に一際強い刺激を受けた瞬間、狙い済まして名を呼ぶ。  
「由っ……!」  
――由。  
にっこり笑う女の顔が甦った。  
目の前の美女とは似ても似つかない、しかしとても人好きのする愛らしい笑顔。  
記憶の底に沈殿したまま、掬い上げられることのなかった澱のような追憶。  
咄嗟に喉を掴んでソファに引き倒した。岩の上ではないのが彼の最後の自制だった。  
「うう……」  
首を絞められ頭が痺れる。脚を割られ、男が体を入れてくるのが判った。  
体制を整えるのももどかしく、欲棒が侵入してきた瞬間、信じられない激痛が奔った。  
「いやあああぁぁぁっ!!」  
喉を締め上げる腕に爪を立て引き剥がそうともがく。  
むしろ驚いたのは申公豹の方だった。  
頭から冷水を被されるような絶叫だった。  
手を離し、押し入った体を止める。慌てて結合部を見やると、半ばまで埋まった  
自身に鮮やかな赤い液体が一筋伝っていた。  
「なっ……」  
 
肩で息をしながら横たわる妲己は、しばらく茫然自失となっていたが、やがて  
のろのろと手の甲で目を覆った。  
「……忘れてたわ。この体では、男を受け入れたことがなかったの……」  
「……」  
「不便な体……。元が未成熟だったせいね……」  
「しかし、あなたは紂王に抱かれていたのでは?」  
「あの人はわらわのテンプテーションの虜。体を使う必要もなかったわん」  
確かにひどくきつかった。指に感じた違和感は半月状の処女膜。  
気付かなかった迂闊さに臍を噛む。  
判っていたら、それなりの愛し方をしたものを――。  
そこまで考えて、申公豹は自嘲した。  
愛す、だなどと戯言を。妲己に対して特別な感情などありえない。  
そう。彼女の苦悶の表情を目の当たりにした今でも、いきり立った彼自身は  
いっかな収まる様子がない。  
それは絶望的なまでに忘れたいと願っていた過去に、土足で踏み込まれたことに  
対する意趣返しなのかもしれない。  
しかし、情事において肉体的な苦痛を相手に強いるのは彼の美学に反する。  
肉体ではなく、心を抓む征服こそ今の望み。  
「これはあなた自身がもっと乱れるしかありませんね。処女ならばそれなりの  
楽しみ方をさせてもらいます」  
はっと妲己が息を呑んだ。  
 
固さを保ったままの乳首を軽く吸ってやる。  
「あん……」  
軽く弛緩した隙に少しだけ進める。また妲己の眉根が寄った。  
一層固く尖った乳首の周り、乳輪に沿って舌を這わせる。甘い吐息。  
また少し進む。妲己が悶えた。  
「一気に来て……」  
「無茶な」  
「ふふ……、優しいのね」  
「……」  
両手を華奢な腰骨に当て、ぐっと身を沈めた。  
体の力を抜こうと意識しているのだろうが、うまくいかずに妲己が呻く。  
申公豹の体が止まった。  
「最後までいきませんね」  
「え?」  
「判りませんか? もう子宮口です。指一本ほど残りました」  
「……」  
申公豹は腰を引いた。  
「あ……」  
途端に引きとめるかのように、襞が絡みついて来る。彼女自身も彼の腕を掴む。  
亀頭だけを残して、彼は一息ついた。  
「出ては行きませんよ。ただ、……痛いくらいです」  
再度挿入する。一度開かれたことにより、体のほうも先よりは容易に彼を受け入れる。  
最奥まで到達すると、最初の挿入よりほんの少しだけ奥まで入っていた。  
下腹に掌を当てて、親指で秘部を探り、腫れ上がっている小さな花芽を指の腹で擦った。  
「あん!」  
びくんと跳ね上がる。  
 
愛撫の手は止めない。徐々に刺激を強くしながら切なげに柳眉を顰める様子を眺める。  
「ひゃっ、ああ! そんな……」  
ふるふると首を左右に振りながら甘い声を上げる。それは嬌声以外の何物でもなかった。  
成熟しきった姿態に未成熟な器官。  
その不均衡を均衡へ近づける行為はめくるめく陶酔を呼び起こす。  
「感じているのですね。いい子ですよ」  
片手では変わらず女の体のもっとも敏感な部分を弄り、逆の手で腰を抱き、彼は器用に  
抽送を始めた。妲己の体を気遣ってゆっくりした動きだが、徐々に彼女の息が  
荒くなっていく。  
 
――悔しい……。  
何も知らない小娘のごとく、良いようにあしらわれている。  
ギリと奥歯を噛み締めて、やたらと優しい抽送と駆け上ってくる快感に耐える。  
こんなはずではなかった。考えられない失態だった。  
確かにテンプテーションが完全に近づいて、男を誘惑するのに体を使う必要が  
なくなっていた。男に抱かれるのも随分と久しぶりなのは判っていた。  
そう、判っていたはずだった。もし、本気で体を求められた時に抵抗できないのは  
この男ぐらいだということも。  
――それにしても、こんな男に……。  
初めてなのが判っていたら、それを与えたい相手は他にいたというのに。  
 
時折感極まったように嬌声を上げるが、随分と大人しくなってしまった相手に  
申公豹は胡乱な目を向けた。  
「――人の過去を調べ上げておいて、自分は誰のことを考えているのです?」  
「……どうしてそんなことを訊くのん?」  
「相当ショックだったようですね。考えていることが正直に顔に出ていますよ。  
とはいえ、忘れないでください。今、あなたを抱いているのはこの私なのです」  
ニヤリと口角を上げる笑みが憎らしい。引っ掻いてやろうかしらん、と思いつつも  
諦めがじわりと心に広がってくる。  
何を考えているか判らない最強道士。  
傍観者に徹しているようで、いつ何の気まぐれから厄介な敵と化すか判らない。  
いざというときのために集めておいた情報の中でも、心を挫くには最高のもの。  
タイミングさえ間違えなければ、これほどの決定打もあるまい。  
そして、快楽と憎悪に同時に苛まされ、束の間落ちていく彼が見えるはずだった。  
彼女は追い立てられながらも、嗤っていればよかった。  
事実、首を掴んで引き倒されたときに、彼の自制はほとんどなくなっていた。  
それでも、短慮を起して、ここで妲己を殺すほど愚かでもないことは判っていた。  
そこまで考えていたというのに……!  
――完全にわらわの負けね……。ぬかったわん……。  
両手を申公豹の首に回し、伏目がちに媚態を演じる。  
「気もそぞろだったのは謝るわん。もう、好きにして――」  
一瞬の後、激しい抽送に突き上げられた。  
「いいでしょうっ! 何も考えられないくらい滅茶苦茶にしてあげます。  
私のことがけして忘れられないように!」  
「あああっ!」  
 
つながった部分は溢れた体液に赤いものを滲ませるが、本来は経験豊富な女。  
しなやかな身体はどんな要求にも見事に反応し、その様は十二分に申公豹を満足させた。  
上で下で、淫らに舞う姿は脳裏が痺れるほど官能的だった。  
「ああっ……、もっと!」  
あられもない啼き声に厚い箍がひとつずつ剥がれていく。  
やがて二人はソファから崩れ落ちて、一枚岩の上でまぐわった。  
いつしか申公豹を根元まで受け入れることができるようになった妲己は、四つん這いで  
後ろから責め立てられていく。  
ぷっくり膨れ上がった乳首が岩に擦れるたびに意識が途切れそうになる。  
「もうっ……! ああ! ダメぇっ!」  
我を忘れて振り乱す髪を掴んで肩越しに振り向かされた。  
互いに伸ばした舌先が触れ合う。申公豹の舌が唇に触れたとき、腕から力が抜け  
岩棚に突っ伏する。  
「限界ですか? では私もそろそろイかせてもらいますよ!」  
言い終わると同時に狂った奔流が妲己の意識を攫っていった。  
 
自身の欲望をすべて注ぎ込んだ申公豹は、ゆっくりと体を離すと片膝を立てて  
座り込んだ。荒い息を整え、体内に籠もった熱が冷めるに任せる。  
眼を閉じてうつぶせのまま横たわる妲己の体は、しばらく小刻みに震えていた。  
背骨を撫でるとぶると大きく身を捻る。未だ絶頂の只中にいるようだ。  
美しい顔を緩ませ、多幸感に身を任せている様子はたとえようもなく扇情的で  
またぞろ邪な考えが沸き上がってくる。  
意識下の媚態にもそそられるが、無意識下のそれはまた格別だった。  
ひょっとすると、これが彼女の真骨頂なのかも知れないと思う。  
萎えきらないものが、所在なさげに鎮座していた。  
そこに塗れたうっすらと桃色がかった互いの体液は、いくらもせぬうちに固まり  
始めるだろう。  
しばらくして、妲己が身を起こした。  
汗と霧による水滴で顔や肩に張り付いた髪を両手でかき上げる。  
あらわになる白い脇に浮き上がった静脈を切り裂いてやりたい衝動に駆られた。  
「随分と汚してくれましたね」  
冷たい声にも、妲己はとろんとしたまま彼を見る。  
伸びてきた指に局部を弄られても、微かに息を弾ませるだけでされるがままだ。  
「これで終わるなんて思っていないでしょうね?」  
自分の絶倫さに驚いているのは、むしろ彼自身の方だった。  
「おや、泣いているのですか? 光栄ですね」  
目尻に溜まった涙を音を立てて吸い上げる。  
震える長い睫毛の下からは新たな涙が溢れ、嗜虐心に火がついた。  
 
離した指の間に濁ったブリッジができる。  
「汚れているのはお互い様のようですね。では、私はあなたが綺麗にしてください。  
あなたの方は私が綺麗にしてあげます」  
「?」  
「やれやれ。まだぼんやりしている」  
二人の体液に濡れた指を口に突っ込まれる。  
突然の行為にくぐもった声を漏らしたが、素直にそれを舐めしゃぶる。  
「そう。そんな風に私のものを綺麗に舐めてください」  
岩の上に直に寝転がった申公豹の上にさかしまに乗りかかるように指示され、  
おとなしく従った。  
陰嚢から棹に向かって舐めるうちに、だんだん意識が鮮明になってきた。  
甘噛みされる太腿の内側。視線で嬲られる秘所。  
じんと子宮が収縮した。  
怒張が張りを取り戻していく。これに再び貫かれるのだと判っていても  
舌の動きが止まらない。  
昇り詰めた後に訪れる墜落。そして再び強引に持ち上げられていく。  
激流に呑まれたのは自分の方だということを否応なしに認識させられる。  
泣きたい訳でもないのに、また涙が産まれた。  
 
ブーツを外され、足の指の先から舌が這う。  
体中の至るところに紅い花びらを散らされる。  
彼女が負けを認めた以上、未だ続けられる行為は陵辱以外の何物でもない。  
それなのに、何故こんなに丁寧な愛撫と口付けが与えられるのだろう?  
荒い息を吐いてもなお醒めた眼とは対象的に、ときに激しく乱暴に、  
ときに優しく柔らかく。  
この体を使うならば、もっと好きにすればいいのに――。  
自分の悦楽のみを求めて、飽くまで貫き続ければいい。  
まるで、あなたの感じる姿を見ることで興奮する、と言わんばかりの指と唇に、  
心まで震わされる。  
堕ちていく錯覚に思わずその胸に縋る。  
鼻につく汗の匂い。それすらも愛しい。  
ああ、そこ……、もっと……。お願い、やめないで。ああ……。  
垂れ流す蜜と耳から注ぎ込まれる甘美な毒。  
初めて感じる芯まで蕩けそうな悦びと切なさに溺れた。  
それを与えるのが、目の前の男だということが苦しかった。  
 
官能の虜となった二人は、二匹の獣となって時間も忘れて交わった。  
肌を滑る透明な液体は汗だけになっていた。霧はとっくに晴れていた。  
山際からはゆるゆると日の名残が押し寄せてきていた。  
 
「申公豹ったら、すっかり僕のことを忘れてるよ」  
上空からその様子を呆れたように眺める霊獣が一頭。  
冷めた紅茶を口移しに飲み合うのを見て溜息をつく。  
黒点虎はある種の突然変異個体であったため、幼いころの記憶にはあまりいい  
思い出がない。  
それでも、すわ同族が絶滅の危機かと思うと、いてもたってもいられない気持ちに  
なった。自分でも不思議なことに。  
生き残った同族を訪れると、彼も有名になったもので随分と熱烈な歓迎を受けて  
逆に驚いたぐらいだ。とりあえず種の存続に問題はないと聞かされ、安堵して  
戻ってきたら、この有様である。  
最初、鬼気迫る様子で女を組み敷いている男が彼だとは思えなかった。  
正確には思いたくなかった。  
千里眼で一通り周りを見回して、再びそちらを確認して申公豹だと判断した時は  
へなへなと腰が抜けた(気がした)。  
安心と驚愕と脱力で自分自身訳がわからない気分のまま、程よく離れた中空に  
座り込む。  
後脚で頭を掻きながら、さて、どのタイミングで姿を現すべきか考える。  
とはいえ、まだしばらくは己が主人は自分を思い出さないだろうと思うと、  
再び溜息が漏れた。  
 
万物の総量は一定だという。  
その万物とやらが、一体何を指すのか彼は知らない、興味もない。  
それでも長く生き、生まれて来るものに形を与え、土に還る者たちを見続けて  
いるうちに、その言葉が真実であることだけは知っていた。  
聞仲に対する台詞は、半ばほど自分に向けたものでもあった。  
聞仲は彼を残して死んでいく者たちのことをけして忘れようとしなかった。  
しかし、申公豹は総てをできるだけ忘れようとした。  
正確には、その者たちへの想いを。  
それは、彼は自分が人間であることをよく理解していたからだ。  
人の心は強くもあり儚くもある。  
守るものがあると人は強くなるという。だがそれは詭弁だと彼は思う。  
守るということは裏を返せば、守るものに縋って生きているのだ。  
ただ純粋に毅くあるためには、何も持たず無頼であることが一番簡単だ。  
だから忘れる。  
本当に大事なものが眼に見えなくて、心にあるというのなら忘れてしまえばいい。  
そのスタンスからして聞仲とは対象的である。  
彼の美学は、聞仲の生き様と真っ向から対立する。  
にもかかわらず、彼は聞仲を気に入っていた。  
まるでコインの裏表のような、同じ直径の円に描き出されるまったく違った模様。  
それを見つめていることが心地よかった。  
彼に対して奇妙に優しくなれる自分をまるで人事のように面白く感じた。  
そして聞仲が封神された今、申公豹は彼のことも忘れるだろう。  
愚かな心にがんじがらめにされたまま逝ってしまった男の一人として記憶に残るだけだ。  
そう、自分と同じく。  
 
彼は自嘲した。  
束縛を嫌って自由気ままに生きているように見せかけていても、法律のように  
厳しく作り出した美学に囚われた自分に、自由などない。  
だが、目の前で全裸で湖に浸かる女は違っていた。  
何者にも囚われず、己が望みに忠実に生きている。  
真円どころか、柔軟に形を変える枠組み。  
描き出すことが可能なキャンバスなどどこにもないだろう。  
方向の読めぬベクトルは、いつしかねじれの位置にいるはずの彼にも  
影響を与えていた。  
忘れられるはずもない……。  
彼女は、近く永遠を手に入れるのだから。  
 
淡い月の光に照らされ、銀色に輝く湖の真ん中に佇む女は美しかった。  
とうに体中を洗い流したにもかかわらず、飽きずに潜っては浮かび上がり、  
空を見上げる。  
全身に散る小さな痣や擦り傷すら彩る美影。  
滴る水が銀色に光り、何よりも美麗な装飾品となっては、彼女を引き立てた。  
さっさと体を洗い流し、衣服を下だけ身に着けた彼は、倒れた木の幹に座り込んで  
何も言わずに妲己を見つめていた。  
――天女なら、羽衣を奪えば空に帰れなくなるというが……。  
何を奪っても、彼女はこの腕から擦り抜けていくだろう。  
それでいい。それでいいのだ。  
怒りや憎しみはもう消えた。  
途中から完全に我を忘れて、妲己を求めていた。  
柔らかい肌。そこから漂う汗に塗れても甘い香り。  
あられもなく喘ぐ姿を見たいがために、意地の悪い言葉を囁きながら、全身を  
探ってポイントを絞り込み、自分でも粘着質だと思うほどに責め立てた。  
掌に吸い付くような滑らかな肌に、歴代の男と同様に、彼もまた酔っていた。  
肌を合わせたときは特別な感情を持ちやすいものだ、と自らに言い訳しながら、  
彼女を愛した。  
 
やがて木々の向こうに月を見送って、妲己が湖から上がってきた。  
長い髪から滴る水を絞り、当たり前のように申公豹の上着を羽織る。  
「……送りますよ」  
「どこまで?」  
「さあ? 朝歌でないことだけは確かですね」  
「あなたの隠れ家は嫌よ。これ以上はもう無理」  
「私も無理ですよ。信用がありませんね」  
「あなたが最初に言った台詞、そっくり返してあげるん」  
傍らでゴロリと横になっていた黒点虎が身を起こした。  
大きくなった瞳が真円を描いており、虎だというのに巨大な猫のように愛らしい。  
妲己に喉を撫でられ、気持ちよさそうにゴロゴロ言う。  
「送ってちょうだい。方角は教えるから、何も訊かないで?」  
 
申公豹に抱かれるような形で黒点虎の上に横座りする。  
肩に顎を乗せ、腕を回すと傾世元禳が二人に巻きついた。  
妲己に指示されるままに黒点虎を走らせる。  
「私はむしろあなたが羨ましいのかもしれません」  
妲己は無表情のまま前を見ていた。  
「物質は必ず残り、壊れ、新たなものとして生まれ変わります。  
では、その心は、記憶は、想いは、どこへ行くのでしょうね」  
語尾が微かに震えて、風に溶けた。  
 
巻きついた傾世元禳がするりと離れた。  
「……ここでいいわん」  
肉眼で確認できる位置に、面妖な形の島が浮かんでいた。  
ゆっくりと減速して止まった黒点虎は首を傾げた。  
――千里眼では見えない。見えるのに……。なんでだろ?  
妲己は離れない。訝しげに覗きこむ彼に軽く首を振る。  
「もう少しだけこのままでいさせて?」  
一個の個体でいること、誰かに縋ることができるのは、これで最後だろう。  
はからずもそんな機会を与えてくれた彼に、ひっそりと感謝した。  
恐らくは互いに裏黒い欲望から始まった情事で、こんなにも満たされた気分に  
なることがあるとは知らなかった。  
だから、これは嘘ではない。  
「愛しているわん……」  
総てを――。  
 
「わらわを羨ましいと言ったわねん?」  
顔を上げた妲己は、申公豹の目をまっすぐ覗き込んだ。  
「ええ」  
「なら、あなたも一緒に来る?」  
否定を確信している声に、申公豹は眼を伏せた。  
「あなたがやろうとしていることは、総ての存在に恵みを与え、あやして、  
いつも見ている。  
そういうことです。まるで深い慈愛を持つ聖母のようですね。  
大地と海が、女に例えられる理由でしょう。  
そんな真似は私にはできませんよ……。  
私は男ですから。  
――女でもない。住む世界を失ったわけでもない。ただの、男ですから」  
それは別離の言葉だった。  
「そう」  
すっと体を離して、宙に浮かんで背を向ける。  
肩越しに振り返った笑みには、万感の想いが込められているように見えた。  
「さよなら。申公豹」  
その姿が闇に溶けるように消えていく。  
残ったのは煌めく星空だけだった。  
「行っちゃったね……」  
大きな眼を瞬かせて、黒点虎が呟いた。  
「申公豹?」  
帰らないの?と続けるつもりが、優しく頭を撫でられて黙り込む。  
申公豹は妲己の消えた方向をいつまでも見つめていた。  
 
 
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