「メリークリスマス!!!」  
声が上がると同時に、そこかしこでクラッカーが鳴り響いた。  
華やかな会場が、一層華やかな嬌声に包まれる。  
「本日は我がホスト部主催のクリスマスパーティーへようこそ!!  
ゲームにダンスと様々な趣向をこらしました。僅かな時間なれど、  
皆々様ごゆるりご堪能ください」  
環センパイのよく通る声が広い会場の隅々まで響いた。  
乾杯! カンパーイ! とそこかしこでグラスが鳴る。  
 
「環様、あのダンスを・・」  
「無論ですともお姫様。本日この環は貴方の奴隷。さあ何をお望み  
ですか? その薔薇のような唇であなたは僕をなんにでも変えてしまえる」  
無意味に甘い言葉を吐くセンパイに、女生徒は真っ赤になって笑う。  
「今日は緑と赤のおぐしですのね」  
「それでどちらが光様でどちらが馨様ですの?」  
「さて」  
「どちらだとお思いですか、お嬢様方?」  
「緑が馨様」  
「それで赤が光様」  
常陸院家の双子はカラフルな髪を揺らして、笑って答えた。  
「「さあて、ネ」」  
その逆。赤が馨で緑が光なのに。  
「キャー、ハニー君、かわいいーーーー!!」  
「うさぎさんとお揃いなのねー」  
少女達に褒められて、ハニー先輩はご満悦だ。  
「でしょでしょ! うさたんとお揃なのーー」  
ハニー先輩は、持参のぬいぐるみと同じ姿だった。これが高三  
男子というのは、最早神の冒涜かもしれない。あまりに似合いすぎる。  
そのハニー先輩の隣に無言で立っているモリ先輩は、流石に砕けた  
ジャケットだったが、  
その頭には何故かうさ耳がついていた。  
何とも似合ってなさそうで、意外にハマっているのが、不思議だ。  
 
「えへへー、崇ともお揃〜」  
「・・・・・・・・」(モリ先輩のフキダシ)  
そんなハニー先輩に少女達はメロメロだ。  
「あの、鏡夜様」  
鏡夜先輩は、目の前の少女にその家柄で応答した。  
あの人の頭の中には、この学院の全ての生徒のデータが入っているんだろうか。  
「ご令嬢。何かご不明な点でも?」  
「あ、あの。ダ、ダンス、を」  
鏡夜先輩にダンスを申し込むとは、なかなかツワモノな女の子だなあ。  
「これは失礼。なれどこれより次のアトラクションの準備をしなければなりません。礼を失して申し訳ありませんが、ご寛恕の程を」  
上品に頭を下げる鏡夜先輩に、少女は更に食い下がる。  
「あの、ほんの一曲でも、」  
「誠に申し訳ありません」  
そう言った途端、鏡夜先輩の腕時計がアラームを告げた。微笑を浮かべる先輩の前に彼女は敗北した。かわいそうに・・・・・。  
「ハルヒくん! ぼんやりしてどうなさいましたの?」  
私ははっとなって、目の前の少女達を見た。  
「お疲れになりまして?」  
別のコが訊く。  
「大丈夫ですよ。あなたがお気になさることはありません」  
そのコがぽっと頬を染める。そんなヘンなこと言ったかな。、私。  
 
「ところで皆さんはこれから?」  
話題を変える。  
「本当はハルヒくんとデートしたいんですけど、」  
私は内心はははと乾いた笑いをした。  
「今夜は我が家でもパーティーですので、」  
少女は頬を染めて言う。きっと華やかなものなのだろう。  
「婚約者様がおいでになるんですって」  
「そ、それは、言わないでって、」  
少女達は秘めやかに笑いさざめいた。私もつられて微かに笑う。  
好きな人に会える。  
このクリスマスの夜に。  
あまりイベントには思い入れない私だけれど、それはやっぱり  
うれしいことだ。  
私も今夜恋人と約束している。  
父さんも今夜はお店のパーティーとかで、一晩中帰ってこない。  
ずっと一緒にいられる・・・・・。  
ホスト部のこのパーティーもあまりにばかばかしすぎて、これはこれで  
とっても楽しいんだけど。  
でもちょっぴり願ってしまう。  
早く終わらないかな、って。  
 
 
「さあ、ハルヒ。行こう」  
手を差し伸べられて、そう言われた。  
ハルヒはその手を取る。少し冷たい。  
「待たせちゃった?」  
「君のためなら、こんな真冬の夜に何日でも待てるとも」  
ハルヒは少し苦笑いした。  
大好きな恋人だけれど、この大仰な台詞回しだけはもう少し  
何とかしてくれないだろうか。  
「笑った!」  
恋人はハルヒのそんなひっそりした笑みが、世界の全てでも  
あるように大騒ぎをして、ぎゅっと彼女を抱きしめる。  
そして彼もまた笑顔で言うのだ。  
「ハルヒ、かわいいーーーー」  
その、やや過剰気味な愛情表現は時と場所を選ばない。  
−−ちょっと恥ずかしい・・・・・・。  
恥ずかしくって、ハルヒはベリっと恋人を引き剥がす。  
「環先輩!!」  
たちまちハルヒの前に立つ長身の青年の眉と耳が垂れ下がる。  
「い、行きますよっ、」  
環はまだ半べそ気味だ。  
−−もー、しょーがないなー。  
「・・・・・・・・・・・・・・・デートに」  
環のくすんでいた表情が、一瞬で、薔薇色の笑みになる。  
ハルヒの心臓がどきりとした。最も弱い貌(かお)なのだ。  
環が彼女の手を握った。  
ハルヒも笑顔で握り返す。  
恋人達の夜は始まったばかりだった。  
 
 
二人の関係は、須王のこの別宅でも公認で。  
若い恋人達は、誰にも邪魔されることはなかった。  
手を繋いで環の部屋に入る。  
なんと言うか、自分の家よりも大きいこの部屋に  
違和感をぬぐえないのだが、それよりも今は・・・・。  
「ハルヒ!」  
普段は子供っぽい輝きを放っている環の目に、翳りが走っている。  
いつもとちょっと違って、ハルヒは少しどきどきしてしまう。  
自分を求めている目。  
あまり感情の起伏の無い自分も、あんな目をしているのだろうか。  
「ハルヒ」  
今度は少し掠れた声。  
「環先輩・・・・」  
自分も感情に支配される声だ。ところが、  
「ハ・ル・ヒ!」  
とお叱りの声があがった。  
「ふたりっきりの時は、『環』って、」  
ハルヒは少し困りながら、口を開く。  
「た ま き・・・・・サン」  
環はちょっと不満だったが、まあよしとしよう。  
ご褒美にキスを贈る。  
うっとりと甘いキスは、やがて欲を呼び起こし、  
貪欲に相手を求めはじめた。  
環の手が、ハルヒのワンピースのジッパーにかかった。  
さっき買ったばかりの、淡いオレンジ色のワンピースだ。  
襟元に少しファーがついていて、ハルヒの上品さを  
いやおう無く倍増していた、とても素敵な服だった。  
それを『もう』脱がせてしまう。  
ジーという音が、リアルに響く。  
あの音が終わる瞬間が、待ち遠しい。  
「あん」  
環の口びるが、首の付け根に移る。  
 
「ハルヒ、かわいい」  
そう言われるのも快感だ。  
自分でいうのもなんだが、どうにも感情が表に出にくい性質だ。  
別段それを疎ましいと思ったことは無いけれど、でも  
そんな自分でも『こういう声』が出るのが、何となく  
うれしいのだ。  
いや今はそれよりも・・・・  
環は既に買ったばかりのワンピースを、脱がしに掛かっていた。  
煌々とした灯りの下。  
ハルヒの肌が晒された。  
舌は既に鎖骨を舐めている。  
普段はひっそりしか動かないハルヒの表情が、赤く染まり  
何ともいえない色気を生んでいる。  
「た、環・・・さんっ」  
「ん?」  
環は子供のような表情だ。  
彼女は微かに頭を振るばかりだ。  
「気持ちイ?」  
コクコクとうなずく。  
「あ、あの、」  
ハルヒは意を決して環のジャケットに手をかける。  
「脱がしてくれるの? うれしいな」  
うれしいと言われて、ハルヒの感情が更にヒートアップする。  
ジャケットを脱がし、ネクタイを外し、Yシャツの  
ボタンをゆっくりとはずしてゆく。  
環の細身の上半身が見えた。  
そっとそこに手を入れと、触れた。  
環がその手を取って、心臓の真上に当てる。  
触れた場所から、体温が急激に上がっていくようだ。  
「どきどきしてるでしょ」  
「う・・ん」  
「ハルヒがじっと見つめるから、こうなっちゃうんだ」  
 
恥ずかしくなって俯いてしまう。  
「そしてここもね」  
ハルヒの手を取ったまま、すっと下げた。  
触れた時の彼女はそれこそ真っ赤になって、このまま  
死んでしまうのではないかと思ったぐらいだった。  
環のズボンの上は、いっぱいいっぱいだった。  
布越しなのに熱を感じる。  
「ど?」  
ハルヒは熱い息を吐いた。欲に支配されている。  
「ほしい・・・・の」  
ひっそりという彼女のその淫蕩な表情に環もキれそうだった。  
必死で押さえ込む。  
「勿論です、お姫様。その願い叶えて差し上げますとも」  
言うなりハルヒを抱き上げた。  
「た、環、・・・サ、」  
封じるように口付ける。  
不安定な場所で、ハルヒは環の首に手を回し舌を絡ませた。  
自分の中から、どんどん溢れてくる。  
感情が。  
そして蜜液が−−−−−−−−−。  
天蓋つきのキングサイズのベッドに下ろされると、共に  
全裸になった。  
息が上がる。  
環はハルヒの乳首を吸った。  
「あ、ぁぅ」  
反応が早い。そして深い。  
ハルヒのほっそりした体に、貪りつき、次々と『跡』を  
残してゆく。  
 
「た、まき・・センパっ」  
感情をコントロール出来ないのか、つい普段の呼びかけになる。  
「どうしたんだい、ハルヒ。今日は随分、過敏な反応だよ」  
その間も、あ、あ、と全身から吐息が洩れている。  
「もっともっと乱れさせてあげるからね」  
環はハルヒの細い足を抱えると、秘所に顔を埋めた。  
そこはもう泉のようにびっしょりだった。  
ハルヒの口から、悲鳴が上がる。  
「っや。・・・・環先輩・・・ひゃっ」  
「気持いい?」  
「イ、いい。・・・イイのー」  
彼は一旦唇を離すと、指でそこをかき回した。  
ぎゅっとハルヒの背が反る。  
彼女の全身が快楽を求めている。  
濡れそぼった指をハルヒの口に入れると、彼女は  
貪るように舌を絡ませた。  
ちろちろと見える赤い舌に、環も急速に欲情した。  
その指を抜くと、自分の舌を絡ませる。  
「・・・ん、・・・・ぅん、」  
環は耳元に囁いた。  
「ハルヒ。」  
「った、まきセン、」  
彼女の手を握ると、環は自分のものを挿れた。  
イきかかっていたハルヒは、軽く達してしまった。  
「まだまだだよ、ハルヒ」  
環は一旦手を離すと彼女の腰を掴み、動かし始めた。  
 
「あ! ぁぁぅ、んー」  
−−ああ、もう、なんてかわいいんだ、ハルヒ!  
ハルヒのその表情にぞくぞくする。  
加速する感情に環も追い詰められる。  
環はもう一度手を握ると、精を放った。  
「ヤ、あうっ」  
その勢いに飲まれて、ハルヒもまた堕ちていった。  
 
ふたりは息を整える。  
まだつながっていた。  
「そおいえば、」  
と環が切り出した。  
「まだちゃんと言っていなかった」  
ハルヒが小首をかしげると、環は  
「メリークリスマス、ハルヒ」  
とキスをした。  
「メリークリスマス、環・・・・・」  
環はくすりと笑うと「よく出来ました」と、またキスをした。  
まだ日付も変わっていない。  
恋人達の夜は、まだまだ時間がたっぷりとあった。  
 
end  
 

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