とぷん。  
今日も暑かった。  
体を洗い、湯船に浸かると一砂はほっとする。  
千砂の作る夕食を平らげ、一休みしてから風呂に入る至福。  
ぬるめのお湯に浸りながら考えるのは千砂の事。  
初めての交わり以来、幾夜も体を重ねている。  
何度かは痛みもあったようだが、行為を繰り返すごと、千砂の緊張はほぐれていく。  
一砂を迎えている時の千砂の表情は、気持ちだけでない快感を表すようになっていた。  
但し、あまり激しくすると千砂の心臓に負担をかけそうで怖い。  
暗闇の中手探りで進むように、二人は慎重に行為の深度を深めていった。  
 
昨夜とそれ以前の事を思い浮かべると思わず一砂は勃起する。  
(われながら元気だ。)  
少しばかり自己嫌悪に浸る一砂の耳に、脱衣所の扉が開く音が聞こえた。  
(千砂?)  
 
扉の向こう、曇りガラス越しに千砂の声がする。  
 
「一砂、お湯加減はどう?」  
「ああ、充分快適。」  
「そう、良かった。  
 …私も入っていい?」  
 
一瞬、呼吸が止まった。  
答えを待たず、千砂が身にまとうものをほどく衣擦れの音がする。  
慌ててもがいた拍子に湯船の縁にかけた手が滑って頭半分が沈む。  
がはがはと大げさに咳き込む一砂に、浴室に入ってきた千砂が笑う。  
 
「何遊んでるの? 楽しそうね。」  
「いや別に遊んでる訳じゃ。」  
 
タオルで前を隠してはいても、白い千砂の裸身に一砂はどきりとする。  
見る度に改めて綺麗だと思う。  
解いた髪を洗いだす千砂に、一砂はほれぼれと見とれる。  
 
「千砂。」  
「なに?」  
「千砂って、綺麗だ。」  
「いいわよ、無理に褒めなくても。」  
「嘘じゃないよ。初めて逢った時から美人だと思ってたけど、何回見ても見飽きない。」  
「はいはい。」  
 
千砂はつっけんどんに返すが、怒ってる訳ではない。  
正面切って褒められると流石に照れ臭く、素直にありがとうとは言えない。  
ふと一砂は悪戯心を起こし、右手を伸ばして千砂の背筋をすっと撫で上げる。  
 
「ひゃん!!」  
 
似合わない悲鳴を上げて千砂がのけ反る。  
千砂の性感帯を、千砂は少しずつ把握し始めている。  
 
「一砂、髪洗ってるんだから大人しく待ってなさい。」  
 
両手がふさがってて目も開けられない千砂は、今度は半ば本気で怒ったようだ。  
 
「待ってたらイイコトあるの?」  
「背中流してあげようと思ってたけど、そんな悪い事する子にはお預けね。」  
「残念、もう体洗っちゃった。じゃあ髪洗ったら千砂の背中流してあげるよ。」  
「結構です。一砂はヘンなことしそうだし。」  
「大丈夫、イイコトしかしないから。」  
 
千砂の長い髪は洗うのに手間と時間がかかる。  
時々湯船から半身を出して冷ましながらそれを眺めるのは、しかし苦痛ではなかった。  
髪を洗い終えて、ふう、とため息をつきながら横目で一砂を見る。  
 
「ちゃんと大人しくしてたわね。まだ私の背中流してくれる気ある?」  
「喜んで。」  
 
ざぶん、と湯から上がり、千砂の背後に腰を据える。  
千砂は邪魔にならないよう髪の毛をまとめる。  
タオルを使わず、掌に直接ボディソープを取って泡立てる。  
千砂の敏感な肌はタオルでこするとすぐ赤くなって荒れてしまうのだ。  
もちろん、一砂が直接自分の手を使うのはそれだけが理由ではない。  
うなじから、両の掌全体を使って千砂の背中を洗いだした。  
千砂の肌の手触りを楽しみながら、羽根を思わせるカタチの良い肩甲骨の周りを巡り、腰骨の付近まで。  
一砂の手は千砂の背中全体を堪能した。  
時々、ソープを取り直して泡が途切れないようにしながら。  
 
「はい、じゃあ左手横に延ばして。」  
「背中は洗い終わったんでしょ?」  
「背中だけとは言ってないでしょ。さっさと手伸ばして。」  
「はいはい、じゃあお任せするわ。」  
 
素直に千砂は従う。  
脇はくすぐったくないよう掌全体を使って丁寧に。  
ほっそりした肩から二の腕、ひじ、手首と、両の掌と指全体で挟み込むように優しく。  
千砂の掌と手の甲、更に指の一本一本まで泡で包みこむ。  
指の付け根も、親指の側から指を差し込むようにゆっくりと。  
最後に小指と薬指の間をことさら丁寧に指の腹でなぞる。  
ぴくり、と千砂が震える。  
やっぱり、ここだ。  
これまでの夜、何度かその辺りかなと感じていたけれど、確信した。  
丁寧に、小指と薬指の間を先端から付け根までゆっくりとなぞってみる。敢えて何度も。  
 
「かずな、そんなとこばっかり、何しているのよ。」  
「千砂、声震えてない?」  
「何よ、なんの事?」  
「千砂ってば、こんな所が感じるんだ。」  
「馬鹿。」  
「はい、じゃあ右手ね。」  
 
左手を開放して右手に移る。  
こちらも、肩から丁寧に指の先まで洗っていく。  
当然、小指の付け根まで同じように。  
今度は千砂は何も言わず、けれど無言のまま僅かに身をよじる。  
 
「手、下ろしていいよ。」  
 
言いながら今度は、両の手を脇に伸ばす。  
 
「ちょっと、そこはいいわ。自分で出来るから。」  
「いいから任せて。」  
 
反論を無視して一砂は千砂の体を更に泡まみれにする。  
両の脇から一砂の手は下がり、前に回って余分な脂肪のないお腹に至る。  
千砂は諦めたように一砂に体重を預けてきた。  
一砂の両手は滑らかな千砂の肌をゆっくりはい上がり、豊かな二つの膨らみに到達した。  
膨らみが始まる段差のある部分を指先でなぞり、次いで下から掌で乳房全体を余さず触れるように。  
但し小さな先端の突起だけは用心深く避けながら一砂の手はうごめく。  
思わず千砂はため息を漏らす。  
そのまま首元まで一砂の手はなぞり、もう一度ゆっくりと下がる。  
千砂の小さなピンクの乳首がさっきまでより尖っているのを確認し、  
一砂の指先が円を描くように、周辺から先端に向かってゆっくりと千砂の乳房をなぞる。  
そこに近づくほど、動きはさらに遅くなる。  
千砂が切ない声を漏らす。  
 
「かずな、いじわる。」  
「どうして欲しい?」  
 
千砂は答えない。  
一砂自身が我慢出来ず、指先を到達させた。  
二本の指で尖った乳首を挟み、こねるように揉み、中指の腹を先端にこすりつける。  
強過ぎない程度に力を入れて、何度も何度も。  
掌で乳房全体をこねあげ、次いで掌を浮かせて尖った乳首だけに触れるように滑らせる。  
掌の動きに合わせて、千砂の乳首が倒れ、つぶれ、変形する。  
千砂は耐え切れず一砂の手を押さえた。  
 
「もう、そこばっかり、だめ。」  
「だって大事なところだから丁寧に洗わないと。」  
 
諦めたように千砂は手を放す。  
更にもうしばらく千砂の反応を楽しんでから、一砂は千砂の体を右に向かせて、洗い椅子に座る千砂の右足を洗い始めた。  
付け根から太もも、膝、ふくらはぎ、足首を経由してつま先まで。  
ほっそりしてはいるが腕より太い分、時間をかけて。  
手と同様、指の付け根も丁寧に、愛撫するが如く泡だてる。  
千砂は切なそうな視線で一砂を見つめる。  
口を引き結んで、声が漏れるのを耐えながら。  
一砂は素知らぬふりをして、手の動きを逆行させた。  
膝までは手抜きしつつ、太ももの内側に至るとゆっくりと、今度は指の腹を使いながら。  
円を描くようにさすりながら、一砂の指は千砂の柔らかい肌を伝い上がる。  
 
太ももの付け根まで到達すると、千砂の体を真正面に向けた。  
薄い陰毛に隠されたそこを無視して、千砂の左足を抱える。  
自分の右股に伸ばした千砂の脚を乗せ、一砂は千砂の脚を洗う事を更に楽しんだ。  
右の脚も隅々まで洗い終わると、千砂は上気した表情で脱力したようになっている。  
半ば成すがままの千砂を促して体勢を変えさせる。  
膝立ちになり、洗い椅子から腰を浮かせた千砂を抱くように両の手を千砂のお尻に回す。  
桃のような千砂のお尻、まずはその果実を掌でたっぷりと撫で回した。  
 
一砂の右手が千砂の下腹部を撫で始めた。  
陰毛ごと恥丘を撫で、左右の脚の付け根をなぞり、掌全体で股間を丁寧にこすりつける。  
千砂の割れ目を開き、外陰唇を中指と親指で挟むように前後になぞる。  
泡まみれの体を一砂に押し付け、首にすがりつきながら、千砂は体を震わせた。  
 
「かずな、それは、やめて、おねがい。」  
「だめ、ちゃんと洗わないと。一番大事なところでしょ?」  
 
膝立ちのままいやいやをするように腰を振る千砂を、その動きに合わせて一砂は手を動かす。  
左右とも、肉襞の手触りをじっくり楽しんでから、一砂の指は前に動いてクリトリスを中指でこねる。  
んん、と声にならない声を漏らして千砂は足を閉じる。  
手を挟み込まれたまま、一砂は指先を動かし続ける。  
そのまま一砂は、左手の指を桃の割れ目に沿わせた。  
尾てい骨の下辺りからするりと、千砂のお尻を割っていく。  
底まで辿り着くと、そこにはシャボンのさらさらした手触りとは違う、ぬるりとした粘液の感触があった。  
右手の中指が移動し、千砂の粘液の中にゆっくりと侵入する。  
ゆるゆると後退した左手は、中指が千砂の菊の門を探り当てる。  
右手は前、左手は後ろ。  
一砂の両手が千砂を刺激する。  
 
「一砂、そこだめ、汚い…。」  
「だから綺麗にするの。洗ったげるから任せて。」  
 
左手の中指を押し付けるように菊門を広げる。  
 
「や、だめ、そんなの。」  
 
つぷ、と指先が埋もれる。  
爪の半ば程度まで。  
一砂の首にしがみつく千砂の腕に力が入る。  
 
「ほら、先っちょが入った。」  
「ば…かぁ、やめてぇ。」  
「ほら、入れるよ。」  
 
第一関節まで指が沈む。  
穴を広げるように中指をくりくりと回し、千砂の直腸を刺激する。  
千砂の口からは、言葉にならない声が漏れる。  
背筋を反らし、腰をひねってもだえている。  
 
「千砂って、お尻の穴でも感じるんだ。」  
「ば…か、かずな、やめて、そこちがう…。」  
「何が違うの?」  
「そこ、おしり、いやぁ。」  
「いやなのに、気持ち良いんだ。」  
 
第二関節まで中指がもぐり込む。  
入ったまま指がうごめき、暖かな内蔵の感触を指先が感じる。  
千砂は一砂の名を呼び、身悶える。  
右手の指が強く締めつけられる。  
千砂が耳元で囁く。  
 
「やめて、こしが…ぬけそう。」  
「腰が抜けるくらい気持ち良いの? そんなに気持ち良いなら、今度後ろの穴でしてあげようか。」  
「だめ、そんなの、こわれちゃう…。」  
「うん、壊してあげる。」  
「ばかぁ、かずななんて、きらい。だいきらい…。」  
「うん、大好きだよ千砂。」  
 
あまりいじめ過ぎると、千砂は本当に怒る。  
もっと楽しみたいけれど、夜は長い。  
両の穴から指を抜いて、千砂を座らせた。  
 
「続きは上がってからね。体流すから座ってて。」  
 
息を荒げ、涙目になって千砂は一砂をにらみつけている。  
一砂は知らん顔。  
左手でお湯をかけながら右手で千砂の肌を覆う泡を撫でるように落としていく。  
シャボンのぬめりがなくなった千砂の素肌の感触を楽しみながら、千砂の全身をすすぎ上げた。  
綺麗になった千砂の背中を促す。  
 
「はい、お終い。お湯に浸かっていいよ。」  
 
心臓に負担をかけないように、千砂はあまりお湯に入らない。  
全身を浸けてもすぐに上がる。  
今日も、一度肩まで浸かってからすぐに浴槽の縁に座り、脚だけをお湯に浸す。  
千砂の体を洗う時に付いたシャボンを洗い流し、一砂も立ち上がって浴槽に向かう。  
千砂の肩に手を掛けて湯船に入ろうとした一砂を千砂が押しとどめた。  
 
「?」  
「さっきのお返し。」  
 
千砂は身をかがめ、おおきく勃起した一砂自身に音を立ててくちづけした。  
舌を出して、先端を舐める。  
不意をつかれて思わず腰が引けそうになる一砂を、千砂は引き寄せた。  
 
「逃げるつもり? 駄目よ。」  
 
冷たく言って、けれどその唇は熱く一砂をついばむ。  
持ち上げて亀頭の先端から下筋を舐め上げ、舌先がカリを回り込む。  
小さな口を精一杯開けて、亀頭全体を千砂は口に収めた。  
 
「千砂、ちょっと、あの、歯が当たってる。」  
「…」  
 
千砂は眉間にしわを寄せて、もう少し深く収めようとした。  
口の中で、舌を絡めようとする。  
口をすぼめ、強く吸う。  
 
しかし諦めたようにすぐに口を放した。  
唇から、唾液の糸が亀頭までつながって光る。  
 
「何よ一砂、おおき過ぎてこんなの無理。あごが外れそう。」  
「ごめん。いや無理しなくていいから。その分、後で下のお口でしてもらうから。」  
「馬鹿。」  
 
ちょっと悔しそうに、千砂は視線をそらした。  
一砂は今度こそ浴槽に入る。  
千砂の腰を抱きしめ、その太ももに頬ずりする。  
 
「千砂の肌、気持ち良い。」  
「何、子供みたいに。」  
「駄目?」  
「いいけど。」  
 
千砂は一砂の頭を撫でる。  
髪を漉き、耳をなぞり、首筋に触れる。  
一砂は成すがままに任せてじっとしている。  
それは、ささやかな幸せの時間。  
 
 
脱衣所で、二人はバスタオルで体をぬぐっている。  
ふと千砂を見ると、立っているのがしんどそうな。  
 
「大丈夫?」  
「ええ、いつものじゃないわ。気分が悪い訳でもないし。」  
「でも、辛そうだよ。」  
「腰に、力が入らないだけよ。誰のせいだと思ってるの。」  
「あ、ごめん。じゃあ責任取らなきゃね。」  
 
バスタオルを肩にかけただけの格好で、千砂の腰に手を回した。  
千砂の腕を取り、自分の肩に回す。  
千砂はあらがおうとしたが、すぐに諦めて一砂に体重を預けてきた。  
 
千砂の部屋まで運び、既に延べてあった布団にバスタオルを敷いて座らせる。  
まだ水滴の残る千砂の裸体をもう一枚のバスタオルでくるみ、その上から手でなぞって水を吸わせる。  
構わず千砂が一砂にもたれかかり、唇を重ねてくる。  
 
「千砂、まだ拭き終わってないってば。」  
「いいの。さっきの続き。」  
「千砂サン、積極的ですね?」  
「あなたの、せいよ。責任取ってくれるんでしょ。」  
 
そこを濡らしているのはお湯の名残ではなく、千砂の奥からあふれる雫だった。  
伸ばした指でそれを確かめた一砂は、仰向けになった千砂の脚を押し開いた。  
両膝の裏に手を当てて持ち上げ、千砂の股間を露出させる。  
 
「一砂、こんな格好やだ。」  
「よく見えるよ、千砂の大事なところ。いっぱい溢れてきてる。」  
「そんなこと言わないでってば。一砂のエッチ。」  
「いただきます。」  
 
一砂はそこに口を押し当てる。  
さっき指で洗った外陰唇を片側ずつ唇で挟み込み、吸い、舐める。  
割れ目を開き、舌で舐め上げる。  
尖らせた舌先を窒口に侵入させる。  
小さく尖ったクリトリスの包皮を剥き、舌先でつつく。  
更に千砂の脚を持ち上げ、尻を少し浮かせた。  
先ほど指を差し込んだ千砂の菊門が、千砂の呼吸に合わせてしぼんだり開いたりしている。  
溢れる千砂の雫が光りながらそこまで流れていた。  
それを舐めとるように、一砂の舌が伝う。  
一砂の意図を悟った千砂が身をもがく。  
 
「一砂、そこは、駄目だってば、お願い。」  
 
千砂の哀願を無視して、一砂はそこに到達した。  
軽くノックするように突き、少し力を込めて舌先を押し込む。  
さっきの指ほど深くはないが、舌が千砂の中に入り込む。  
少し、苦い。  
 
千砂が身をもがく。  
脚を振り、腰を浮かせて。  
か細い悲鳴が響く。  
両の手がシーツを握りしめ、固く閉じたまなじりから涙がこぼれる。  
浮いた腰を押さえ込んで一砂は舌を使い続ける。  
千砂を虐めたい欲望が、一砂の動きをゆるめさせない。  
千砂から更にあふれた雫が一砂の舐める裏門まで流れ着き、いやがる言葉を裏切って千砂の悦びを示している。  
 
一砂の嗜虐から解放されると、千砂の口からははようやく言葉がこぼれた。  
 
「かずな…もう、ゆるして。」  
「許してなんか、あげない。ほら、入れるよ。」  
「だめ、いまいれたら、ほんとにおかしくなっちゃう…。」  
 
千砂の膝を両肩に担ぎ上げた体勢で、いつの間にか避妊具を付けた一砂は堅い先端を千砂にあてがった。  
押さえ込まれた格好の千砂は身をよじるが逃げられない。  
ぬぷ、と亀頭が千砂にもぐり込む。  
苦しいとも切ないとも取れる表情を千砂は浮かべる。  
ゆっくり抜いて、一砂は再度侵入する。  
何度も、抜いては先端だけを入れる。  
その都度千砂はあえぎ声をこぼす。  
一砂は更に千砂を虐めにかかる。  
 
「ねえ、千砂はどうして欲しい?」  
「あなたの、すきにして…。」  
「駄目、千砂はどうして欲しいの?」  
「もっと、かずなが、ほしい。」  
 
一砂はあてがったまま腰の動きを止める。  
 
「どうして欲しいの、もっとはっきり言って。」  
「…かずなの、それ、もっと、おくまで、いれて、おねが…。」  
 
千砂の哀願を皆まで聞かず、一砂は腰を突き出した。  
たっぷりと潤んだ千砂自身は、いっぱいまで一砂を飲み込んだ。  
一砂の肩に脚を乗せた千砂は体を動かせず、一砂の動くままにそのペニスで蹂躙される。  
一砂の腰が動く度に、二つの乳房がおおきく揺れた。  
千砂の喘ぎはもう悲鳴と変わらない。  
 
「かずな、かずなぁ、いやぁ、もういやぁ…。」  
 
これ以上の快感は、怖い。  
これ以上の悦びは、耐えられない。  
自分が、何処かに行ってなくなってしまいそうだ。  
けれど一砂は許さない。  
千砂の脚を下ろすと、逃れようと身をよじる千砂を抱きすくめる。  
千砂の口を塞ぎ、唇をこじ開けて舌を差し込む。  
求められるままに拒む事が出来ず、千砂は一砂と舌を絡める。  
千砂はもう何も考えられないまま、一砂の与える快楽に溺れている。  
 
そんな千砂の意識を一砂が引き戻す。  
唇をむさぼるのをやめた一砂は、千砂の耳を軽く噛む。  
耳朶に舌を差し込み、なめ回す。  
その間も一砂の腰は、ゆっくりとであるが動きを止めない。  
 
「千砂、気持ち良いの?」  
「…うん。」  
「じゃあそう言って。」  
「きもち、いい。」  
「何処が、気持ち良いの?」  
「かずなの、が、きもちいいの。」  
「何処が気持ち良いの、はっきり言って。」  
「…いや。」  
「言わないと、抜いちゃうよ。」  
「…やだ、そんなのだめ。」  
「おちんちん気持ち良いって、言ってご覧。」  
「そんなのいや、いえない。」  
 
千砂はぷいと横を向いてしまう。  
然らば、と一砂は腰の動きを止め、ゆっくりを鞘に収まった刀を抜いてしまう。  
千砂は思わず本音をこぼす。  
 
「あ、駄目、抜いちゃやだ。」  
「欲しいの?」  
 
こくり、とうなずく。  
 
「じゃあ、おちんちん下さいって言って。」  
 
千砂は無言で悔しそうに口元をゆがめる。  
我を取り戻すと、恥ずかしくて言えない。  
一砂は心得たように、欲しがる千砂に自身をあてがう。  
入らない程度に力を入れ、入り口が開くまで押し当てる。  
 
「欲しい?」  
 
更に訊く。  
 
口を結んだまま、千砂が下から腰を動かして自ら呑み込もうとする。  
一砂は器用に腰を振って、入り口にあてがったまま挿入はさせない。  
押せば引き、引かば押す。  
 
「かずなのいじわる!」  
 
千砂はもはや駄々っ子のように叫ぶ。  
 
「おまんこにおちんちんいれてくださいって、言ってご覧。」  
 
一砂の要求もエスカレートしている。  
千砂はもう我慢出来ない。  
両腕で顔を覆い、消え入りそうな声でつぶやく。  
 
「いれて、ください…。」  
「駄目、聞こえない。」  
「おちんちん、いれてください。」  
「何処に?」  
「…おまんこ、に。」  
「ちゃんと続けて。」  
 
悔しい、恥ずかしい、でも一砂が欲しい。  
 
「…おまんこに、おちんちん、いれてください。」  
「良く出来ました。」  
 
ご褒美、とばかりに一砂は腰を突き出す。  
一砂も我慢の限界だった。  
大きなストロークで、ギリギリまで引きだし、奥まで一気に突き入れる。  
何度も繰り返し繰り返し。  
千砂はひたすら一砂の名を呼ぶ。  
一砂の首を掻き抱き、じらされた分深い悦びに呑み込まれて。  
より強く千砂を抱きしめて、一砂は絶頂に至った。  
それを感じて、千砂も恍惚の域に到達した。  
 
深い呼吸を繰り返しながら、仰向けになった一砂は自分の上に千砂の体を重ねた。  
行為そのものは終わっても、千砂を感じていたい。  
千砂と肌を触れ、その温もりを少しでも沢山受け止めたい。  
千砂の体の重みが心地よかった。  
うつ伏せの豊かな乳房が一砂の胸でつぶれ、二人の腰が重なる。  
千砂の脚は開かれて一砂の両足を挟み込んでいる。  
この体勢、千砂はちょっと恥ずかしいと言うが、一砂は無視している。  
何よりこのポジションだと、一砂にとってお気に入りの千砂のお尻を自由に触れる。  
一砂が両膝を立てて抱きしめれば千砂は身動きも取れず、一砂の成すがままになってしまう。  
千砂は脚を閉じる事が出来ないから、一砂が更に手を伸ばすとそこも好きなようにいじられてしまう。  
それが分かっていても、千砂も敢えて逆らわない。  
自分の体を押し付けて、一砂が全部受け止めてくれる。  
この体勢でじゃれあうのは、千砂も嫌いではなかった。  
 
千砂の髪を撫でながら、一砂が囁く。  
 
「千砂、最初に、て言うか、この家で再会した時より随分変わったね。」  
「どんな風に?」  
「最初はすごくつんけんしてた。つれなくて、ただの他人以上に意地悪そうで。」  
「今は、どうなの。」  
「ん、すごく優しくなって、すごく可愛い。虐めたくなるくらい。」  
「…一砂、あんまり調子に乗ると怒るわよ。」  
「怒ってる千砂も可愛い。」  
「馬鹿。」  
 
千砂が一砂の胸を引っ掻く。  
傷にならない程度に優しく、跡が付く程度に強く。  
その赤い筋にくちづけし、舌を出して舐めあげる。  
一砂は左手で千砂の腰を抱き、右手をそろりとお尻に伸ばす。  
千砂の手が閃いてその手を押さえた。  
 
「かずな、そこは駄目。」  
 
ゆっくりと一音ずつ明瞭に発音し、一砂を正面から見つめる千砂。  
 
「いや、いつも撫でてるじゃない、千砂の可愛いお尻。」  
「嘘、また指でいじる気でしょう。」  
「気の回し過ぎだよ、多分。」  
「多分、て何よ!」  
 
一砂の小さな乳首に、千砂は歯を立てた。  
 
「痛い痛い、千砂ってばそれは痛い。」  
「変なトコに指入れた報いよ。これくらい我慢なさい。」  
「だって千砂、嫌がってなかったくせに。」  
「嫌だって言ったでしょ。」  
「上のお口はね。でも下のお口はもっと正直だったよ。」  
「か、ず、な。」  
 
千砂の顔が真っ赤に染まる。  
一砂は素早く、両腕もまとめて千砂を抱きしめた。  
それ以上の千砂の動きを封じてしまう。  
 
「ごめん、もうしないから(今日のところは)。」  
 
しばらくもがいてみせてから、千砂ももがくのを止めた。  
緩んだ腕の束縛から逃れ、一砂の傍らに身を横たえる。  
枕を頭の下に置いてから一砂の左手を促す。  
千砂の首の下に左腕を通し、その肩を抱く。  
これなら腕枕をしても腕がしびれない。  
 
眠りに落ちる寸前、つぶやくように千砂の口から言の葉が漏れる。  
 
「一砂、あなたに逢えて良かった。  
 あなたが傍にいてくれて。  
 お願いだから、離れないで。  
 ずっと、傍にいて…。」  
 
大丈夫だよ、と一砂が答えた時は、既に千砂は寝息を立てていた。  
その寝顔は一砂を信じ、全てを委ねて一片の迷いもない。  
千砂の寝姿を見つめながら、一砂もいつしか夢魔の誘いにその身を委ね、眠りに落ちていた。  
 
- しゅうりょ -  
 

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