江田夏子が、『それ』を見てしまったのは、ある日の暑い夕方のことだった。  
ここのところ顔を合わせてない一砂のことが心配でならない夏子は買い物ついでに、幼い頃から育ててきた彼の様子を伺おうと高城邸を訪れたのだ。  
そっと門の扉に手をあて押すと静かに開いた。  
怪訝に思いながらも中に入り玄関の扉を叩くが応答がない。  
留守か……  
夏子は落胆の溜息をついた。  
 
だが諦め切れない彼女は、古風な庭に佇み空を見上げた。  
一砂の幼い頃の出来事を思いだしてしまい、そのまま物思いに耽り半時も経った頃だろうか、門の扉が軋む音が聞こえハッと我にかえる。  
思わず樹木の陰に潜み玄関の方を伺う。  
そこには、一砂がいた。  
夏子は、勝手に侵入している身を忘れ駆け寄ろうとするが、続いて現れた高城千砂の姿に、なんとか踏み止まる。  
そして二人の行動に、彼女の目は驚愕に見開かれた。  
 
その後、どうやって高城邸から出て、どのように帰ったのかよく覚えていない。  
気が付くとマンションの自室のベッドに独り腰掛けていた。  
 
明かりも付けてない暗い部屋に電話のベルが響き渡る。  
躯をビクと震わせた夏子は、ノロノロと起き上がり受話器を取った。  
「あ、夏子さん」  
「………」  
「どうしたの…」  
「え、あ、なんでもないわ」  
「……なんでもないことないだろう、その声は、泣いているのか…」  
「………」  
「……一砂のことか?」  
 
それは出張で留守にしている夫だった。  
夏子は、高城邸で目撃してしまったことを夫に話すことが出来なかった。  
いや、あんなこと話せるはずがない。  
あの二人は血のつながった姉弟なのよ!  
それが、なんでー!  
夏子は、脳裏に蘇る映像に吐き気を催しながらも、夫に対しては平静を装い、なんとか電話を切った。  
 
「近親相姦……」  
血の気の引いた夏子はベッドに崩れ落ち、小さく呟く。  
な、なんてこと!  
あの一砂が……  
長年の間、会っていなかったとはいえ、あの二人は実の姉弟なのだ。  
 
夕闇の中で一砂に抱かれる千砂の白い躯が、脳裏に浮かぶ。  
同性の夏子から見ても、裸体の千砂は艶かしく美しかった、エレガントな管弦楽器を思わせる素晴らしい躯のライン、透き通るような美しい肌に意外な程に豊かな美しい乳房……  
しなやかで細い躯が、一砂に揉まれ柔軟に姿を変える乳房の大きさを余計に強調していた……  
夏子は、そのままベットで泣き崩れ疲れて眠ってしまった。  
 
 
あの日から何日、経過しただろうか、仕事から帰った夏子は、ぼんやりと新聞を眺めていた。  
あれから不眠症が続き、頭がおかしくなりそうだ。  
寝ても覚めても、瞼に浮かぶのは、楽しそうで淫らな二人の姿。  
 
縁側に立った一砂に、千砂はそっと身を寄せ、目を閉じて顔をあげる。  
一砂は、千砂の繊細な顎に手を触れ引き寄せ口付けをする。  
千砂は、頬を染めはにかんで嬉しそうに微笑む、二人は顔を交互にずらしながらお互いの唇を貪るように求め合い抱き合う。  
二人は熱い溜息を漏らして顔を離し、一砂の手が姉の着物の下に侵入していく、姉は身悶えして喘ぎながら自分で帯びを解き全裸になると、弟の足元にかしづき彼のモノを喰わえたのだ。  
 
はぁ……  
夏子は、眉間に皺を寄せ溜息をついた。  
避妊は、どうしているのだろうか?  
どう見ても、一砂は避妊具をつけずに挿入していた。  
もし妊娠でしたらどうなる?  
あの呪われた血を濃く受け継いだ子供が生まれたら………  
ち、違う!  
そんな問題じゃない!  
そんなことを考えている場合ではないのだ。  
な、なんとか、不毛な行為は、やめさせなければ……  
しかし、どうやって……  
夏子は、深い溜息をついた。  
 
恍惚とした表情を浮べながらも、病弱な姉の躯を気づかうように腰を振る一砂の姿を思い出す。  
はぁ……  
あの突かれる度に揺れる白く美しい乳房が頭から離れない。  
夏子の目から涙がこぼれ落ちる。  
なんで、一砂……  
よりによって姉と?  
八重樫さんはどうするのよ……  
千砂は、普段の神秘的で物静かな容姿からは想像出来ないほどに乱れ喘ぎ、まるで犬のごとく四つん這いになり弟に後ろから突かれていた。  
 
あれが一砂の本当の姿?  
夏子の顔が醜く歪み、両手を固く握りしめる。  
絶対に違う!  
あの娘が、あの躯で一砂を捉えて狂わせたのに違いない。  
 
夏子は、あの姉の冷たい眼差しを思い出す。  
全てを拒絶し夏子を、いや、一砂以外の人間を見下げたような目。  
夏子は髪の毛を掻きむしり、壁に掛かる鏡に映った自分を睨み付け、何箱目かのタバコを開けた。  
 
あの娘が大事な一砂の身も心も奪っていたのだ。  
悔しい!  
千砂と一砂の近親相姦という事実に、精神的に追い詰められていく夏子は、この時はまだ、自分が女として嫉妬し始めていることに気が付いてなかった。  
 
 
その翌朝のことだ。  
精神的にも疲れ果てた夏子は休みを取り、独りで遅い朝食を終え、気を紛らわせようとシャワーを浴びる為に服を脱いで全裸になった。  
湯温の具合を確かめながら、ふと鏡を見つめる。  
そのスリムな躯は、子を孕んだことがないせいか、まだ20代といっても良いプロポーションを保ち続けている。  
滑らかで染み一つない肌に、母乳を出したことない豊かな乳房は艶かしく揺れ、ツンと上を向いた透き通るような色の乳首が、まだ女として終わってないことを頑固に主張している  
細く引き締まった胴体から広がる豊かな腰つきから、多少の肉はついてきたが円やかな曲線を描く尻までの素晴らしい線は、まだまだ健在だ。  
 
鏡に映る己の躯を見つめる彼女の頭に浮かぶのは、色白な千砂の裸体。  
若さでは負けるが、躯のボリュームは自分の方に分がある。  
ふっ……  
何を考えているのだ私は……  
苦笑いした夏子は肉惑的な自分の太ももに手を添え、その感触に、熱を帯び始めた溜息をついた。  
夏子は目を閉じゆっくりと確かめるように指を自分の躯に這わせる。  
 
あっああ、あの時、一砂の指は姉の太ももを辿って…  
夏子の指は、縁側で抱き合う二人の姿を思い出し、姉の躯を這う一砂の指の軌跡を辿ってく。  
ふっ…  
そういえば、どのくらいセックスをしてないだろう。  
目を開き溜息をつき、鏡を見つめる夏子は、自分の乳房を下から持ち上げそっと揉む。  
ぁ、はぁ……  
オナニーなんてするもの久しぶりだわね。  
 
で、でも、一砂…なんで千砂ちゃんと…  
夏子の脳裏に、姉の口で逝かせれる弟の表情が浮かぶ。  
わ、私だって……あの子のためなら…  
「一砂……」  
小さく呟く夏子の手は、股間へと伸びていく。  
 
「んんっ、ぁ、はぁはぁ」  
夏子は床に膝をつくと股を大きく開き、柔らかい股間の盛り上がりをゆっくりと揉みはじめる。  
そして頭の中に浮かぶのは、  
一砂の顔……に彼の若い躯と、勃起したペニス……  
 
理性が小さく囁く。  
このまま自慰を続けるとダメだ、引き返せなくなる。  
欲しいのは息子としての一砂はずだ。  
男としての一砂ではない。  
 
だが、何時しか彼女脳裏で一砂と抱き合う千砂の姿が、自分と置き換わっていく。  
はぁはぁ、ダメ、こんな背徳的な妄想しては……  
でも…  
ぁっ、あああっ……  
猥雑な音を立てる指が止まらない。  
 
その時だ。  
玄関から鍵の開く幽かな物音が聞こえる。  
夏子は痙攣するように躯を震わせ廊下へと続く浴室の扉を睨み付ける。  
誰?  
せっかく久しぶりに逝きそうだったのに……  
急いで息を整え快感に疼く躯を持て余しながらも、慌てて躯にバスタオルを巻き付けて立ち上がる。  
あ……  
夫は、まだ出張で帰ってこない。  
だとすると……  
鍵を持っているのは、一砂しかない!  
 
多分、自分が仕事に出ている時間帯を狙って来たのだろう。  
一瞬、浴室の扉の前で、気配が止まったのは、私が居るのに気がついたからに違いない。  
夏子の心の中に、一砂に会えるという嬉しい反面、やりきれない怒りが膨れ上がる。  
どうして、なんで、そこまで私を避けるのか?  
夏子は太ももに流れる粘液を意識しながら涙を滲ませ耳を澄ませる。  
そして一砂が、部屋の奥へと入った頃を見計らって浴室の扉を開け玄関に立った。  
 
「あ……」  
玄関で夏子の姿を認めた一砂が小さな声をあげ目を逸らす。  
その顔が赤らんでいることに気がつき、夏子は自分がどんな姿で彼と対面しているかに気がつく。  
 
だが今さら出直すわけにもくまい。  
一砂は、彼女が服を着ている間に逃げてしまうだろう。  
夏子は、剥き出しの太ももを閉じ、巻いたバスタオルから今にもこぼれそうに覗く乳房を腕で隠しながら口を開いた。  
「挨拶なしで帰るつもりだったの?」  
「あ、いると思わなかったんだ」  
「そう?」  
「うん」  
「嘘、いわないで! このスリッパがあるのに気がつかない筈はないわ、私がシャワーを浴びている間に帰ろうとしたんでしょ?」  
「ち、違うよ、俺、俺……」  
「一砂っ、私の目を見なさい!」  
夏子は手を伸ばし一砂の手を掴み引き寄せる。  
その乱暴な仕草で、躯に巻いたバスタオルが音も立てずに床に落ち、夏子は一砂の目の前に一糸纏わぬ肢体を晒してしまった。  
 
「お、おばさんっ! バ、ババ、バスタオルがぁー!」  
悲鳴のような一砂の叫びを聞いても、彼女は彼の腕を放さない。  
あ、しまった、胸はともかく、し、下の毛の手入れ、全然してないっ!  
くぅっぅううう……  
構うものか、い、今さら羞恥心なんて!  
彼女は顔を赤く染め、内心焦りながらも彼に詰め寄る。  
「一砂、応えて!」  
「うぅ、離せよぉ」  
一砂は、力なく叫び、必死に目を逸らして腕を振り解こうとする  
 
プルプルと揺れる乳房が彼の腕に当たるのを意識するが、ここで放したらもう二度と自分の元へと戻ってこないと夏子は考えた。  
だから彼女は、逃れようとする一砂を全裸のまま抱き締める。  
 
「なっ、何をするんだ! やめてださい、おばさん」  
彼女は、暴れる一砂の耳に囁く。  
「も、もう、あの娘とセックスするのは、止めなさい!」  
 
「えっ…なっ、ぁ、し、知っているの?」  
躯をギクと硬直させ、唖然と呟く一砂に、夏子は頷いた。  
「近親相姦は、絶対、ダメよ、許さないわ」  
二人の動きが止まり、二人の乱れた息遣いが部屋を満たす。  
 
夏子は一砂を抱く腕に力を込める。  
豊かな乳房は押し付けられ潰れ、夏子は一砂の薄いTシャツを通して乳首にあたる彼の若い筋肉を感じた。  
 
あの娘と近親相姦を続けるくらいなら私がっ!  
あ……!  
そうだ、なんで思いつかなかったのか……  
不意に湧いた狂った考えに夏子の躯が震える。  
血の繋がっていない私とのセックスの方がよっぽど健全だ。  
まだ養子の手続きをしてないのは幸いだわ。  
今なら、歳の差はともかく男と女だ。  
夫を持つ身で道義的な問題はあるが、私は義理の母親としても女としても一砂を愛せる。  
いや……もう夫と同じくらい彼を男として愛している。  
 
このまま、一砂の躯を手に入れるのだ、この躯で、千砂から彼を取り戻すのだ。  
あぁ、躯が一砂を求めてもう疼いている!  
 
良い事は思い立ったらすぐ行動する、を主義とする夏子は硬直したままの一砂のベルトを外し、優しくズボンを降ろし下着の上から股間を撫で回す。  
ああ、こんなに大人になって、もうこんなに大きく勃っている。  
 
「あ、おばさんっ! なんのつもりだよっ!」  
ハッとしたような一砂の切羽詰まった声が聞こえる。  
夏子は彼の下着を降ろして大人の余裕で応えた。  
「動かないで! 千砂ちゃんがしたことを、私もしてあげるから」  
「ちょっと、待ってくれよ…何を言ってんだよ」  
「私の言うことを聞いたら、八重樫さんに千砂とのこと黙っていてあげるわ?」  
「なっ、ぐぅ…」  
汚い手だとは思うが、今はそんなことを言っている場合ではないのだ。  
「いい子ね、一砂」  
抵抗をやめて、怒りに身を震わせ黙り込む一砂の足元に膝をつきながら夏子は思った。  
二人の絆は、そう簡単には切れないだろう。  
だから、すぐに関係を断つのではなく、徐々に少しずつ、この私の躯を使って、一砂を取り戻し、禁断の近親相姦から、この子を救うのだ。  
そうよ、  
近親相姦をやめさせるためには、手段を選んでいる場合じゃないわ。  
 
ああ、私の一砂、誰にも渡さない。  
その為には、私は何でもする。  
理性を捨てる覚悟をした夏子は、うっとりと一砂の股間の匂いを嗅ぎ熱い吐息を漏らす。  
ああエッチな匂いだわ、なんて大きくて、太いんだろう……  
口に入り切れるかしらね。  
「お、おじさんは、ど、どうするんだよ」  
「ふふ、あの人は、私のやることに文句は言わないわ…さぁ、足を開いて…」  
上目遣いで一砂を見つめ、いきなり猛り狂う若い肉棒を頬張った。  
ああ、固くて弾力がある若い…チ、チンポ……コ…  
もっと言いやすい別の名称ないのかしらね。  
そんな事を考えながら耳まで赤くした夏子は唇をすぼめ、一砂のモノをしごく。  
 
そっと一砂を見上げると、ムッとしていた顔が、彼女のテクニックに抗おうと苦しそうに歪んでいる。  
ああ、感じてる、この子、私の口で感じてるわ!  
背中をゾクソクさせる感覚に夏子の手は、自らの股間に伸び、卑猥な音をたてて弄りはじる。  
はぁはぁ、一砂、もっと感じてぇ、んん、あっ、ん、ぁっ……  
舌を駆使して舐め回しなら、何度も出し入れをする。  
彼女の美しい顎は涎と粘液が混じったもので汚れ、激しい頭の動きにつられ乳房がたゆんたゆんと揺れた。  
 
「あ、おばさん…俺、・ぁ……ぁぁあ…」  
んんぐっ、はぁはぁ、んんぅ……ああ、  
必死に耐えていた一砂がやっと喘ぎはじめてくれた。  
夏子は嬉しそうに喉を鳴らす。  
「あっあっ、で、出る、ダメだよ、こ、こんなの…」  
一砂のだらしない降参の叫びを聞くと、夏子はさらにモノを口の奥に喰わえ込み彼の尻に手を回し、股間に顔を密着させる。  
 
だ、出して、あっ、私の口にだしてぇー  
「ぐぁ、おばさんっ」  
一砂の手が夏子の頭を押さえ、躯をビクと震わせた瞬間、生暖かく粘つく液体が彼女の喉に広がった。  
 
「あぁあ、ごめんなさい、おばさん…」  
苦しそうに咳き込む、夏子の耳に心配そうな一砂の声が聞こえる。  
「はぁはぁ、だ、大丈夫よ、すごい出したわね、んんぅぐぅ、はぁー」  
 
「ううん……でも、おばさん、もうやめよう、い、今なら、まだ間に合うよ」  
一砂が夏子を突き放すように押し退ける。  
「ダメよっ!」  
一砂の両手を素早く掴み抱え、後ろによろけるようにしながら床に転がり、夏子は彼の躯の重みに熱い吐息を漏らした。  
 
「私を逝かせたら帰っていいわ……」  
もがく一砂の上着を脱がせながら呟く。  
「そ、そんな、おばっさんっ、お、俺、このままじゃぁ、ほ、本気になっちゃうよ…」  
「望むところよ」  
そして夏子は悦びの声をあげて身悶えすると淫らな肢体を、一砂の愛撫に委ねた。  
 
んんんっ、一砂、一砂っ!  
ああ、一砂が乳首を口に含み舌でなぶりながら、ゆっくりと優しく吸う。  
彼の指は夏子の膣に深く侵入していく、だがその優しすぎる愛撫は夏子の躯を余計に熱くする。  
はぁはぁ、ああ、切ない…  
もっと激しくしていいのに……  
あ、そうか……  
いつも病弱な千砂ちゃんを相手しているから  
可哀想に……  
「一砂…」  
「ん?」  
「もっと、はぁはぁ、は、激しくしていいわよ?」  
「でも…」  
「わ、私は、はぁ、はぁ、ち、千砂ちゃんと違って、んんっ、ら、乱暴にしても、はぁー、大丈夫よ」  
「お、おばさん…」  
「好きにして…いいのよ、ねぇ?」  
「う、うん…」  
頬を赤くして遠慮がちに呟く一砂に、夏子は優しく微笑む。  
「ふふふ……入れて、もう我慢でいないの、私に本気の一砂を見せて」  
「あ、あぁ、おばさん、俺……」  
夏子は、そっと一砂のモノを掴むと、もう一度優しく、囁いた。  
「入れて……そして夏子って呼んで……」  
 
そして数カ月後……  
「おばさん…どうして、こんなところで……」  
「ん、だって来てくれないでしょ」  
「うっ……」  
呼んでも、なかなか来てくれない一砂を病院帰りの道で張っていたのだ。  
「それに、たまには外でもって思って……千砂ちゃん、また入院してるんでしょ?」  
「うん」  
「じゃぁ、相当、溜まっているわね、一砂もやりたいんでしょ?」  
「くぅ…」  
一砂は、なんともいえない哀しくて悔しそうな表情をする。  
「そんな表情をしないの」  
艶かしく笑う夏子は、鬱蒼と茂った公園の片隅で上着のボタンを外し初めた。  
 
あとから聞いた話だが、セックスをすると例の発作が押さえられ軽くなるらしい。  
姉との近親相姦をやめさせる以外にも大義名分が出来たのだ。  
だが、今の夏子にはそんなことは、もはやどうでも良かった。  
 
ただ、もう一砂が欲しい……  
一砂の手が背中かから伸びて服の下に忍び込み、下着を引きずり降ろす。  
んんっ、  
夏子の躯は、もう反応して喘ぎ声を漏らす。  
あっっ、くぅ……  
張りのある乳房を鷲掴みにされて乱暴に揉まれると、彼女は喘ぎ声をあげ仰け反った。  
ああ、痛っ、乳首をそんなに潰すように…  
 
快感にたまらなくなった夏子は、生活感を感じさせないプッリとした白い尻を一砂の股間に擦り付け、しきに振って挿入を促す。  
「はぁはぁ、入れて、もう、が、我慢できないわ、はぁはぁ、…早く」  
「はぁ、お、おばんさって、本当に淫乱だよね」  
一砂の呆れたような感想に、夏子は羞恥心を曝け出して身を捩る。  
「だって……」  
い、一砂がいけないのよ……  
 
あの初めて、一砂とセックスをした日のことが脳裏に蘇る。  
はぁ……  
一砂の固いモノが侵入した瞬間、躯に電流が流れたように頭が真白になった。  
膣が押し広げられ、肉壁が圧迫されるあの感触……  
密着する若い躯に、あの奥底まで入れられた充満感。  
思わず立場も歳も忘れ、このチンポ、私のモノよ、と腰をよがらせ、乱れ狂ってしまった  
一砂ぁ、一砂……  
もうこの躯なしに生きていけない。  
ミイラ取りがなんとやらで、もう身も心も一砂のものだ。  
 
夏子は、惜し気もなく全裸になり、淫らな肢体を外気に晒す。  
「はぁはぁ、おばさん…」  
「もう、夏子ぉ! 夏子って呼びなさい」  
「あ、ごめん、な、夏子、い、入れるよ」  
照れくさそうに囁く声に、夏子は身を捩った。  
もうダメ…  
「はぁはぁ、好きにして、一砂の好きにしてぇ」  
夏子は背を一砂に向けると、腰をくねらせて尻を彼に突き出し、両手で粘液の溢れる穴を剥き出しにした。  
 
               おわり  
 

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