第二日  
 
「どうですか水無瀬さん?」  
「ふむ。少しずつ調子は上がってきているようだね。」  
 一見すると医者になどまるでみえないその男は一砂に向かい言う。  
 診察されていた当の少女は二人のすぐにそばに、しかし既に華胥の国へと。  
その寝顔は穏やかで、さながら眠り姫のようであった。  
 時刻は既にお昼どき。食べていくかと尋ねたが水無瀬はやんわりそれを断り言った。  
「一砂くんがここで暮らし始めたことで彼女にいい影響を与えているのかもしれないね。  
彼女はずっと独りだったから。。──いや、そう思っているのは僕だけなのかもしれないけどね」  
 なかば自虐的に笑った男をみて、一砂は何故このような笑みを浮かべるのだろうかと、思うが結局答えは出ない。  
「僕では彼女の孤独は癒せなかったんだよ」  
 表情を読むのは職業柄お手のものなのか、或いは彼自身の能力か。ともかく彼はまたもや先ほどと同じ表情をつくり  
「けどあなたは千砂に信用されています。俺が見てもそれは分かる。  
幼い頃から一緒にいたのでしょう? ならそれだけでも随分千砂にとって……」  
「結局のところ」遮るように彼は口を開き、  
「僕は彼女の家族にはなれないんだ。彼女の心を動かすのはいつもそう。  
たぶん判っているんだろうね。所詮赤の他人ごときでは自分を理解し得ないことを。  
そりゃあそうさ、彼女はいつも痛みに苦しんでいる。  
僕はずっとそれを10年以上も見続けてきた。しかも最近は悼みが加わったから特に酷い。」  
 父親の事だろう。長い科白を途中で切って、またもや彼は語りだす。  
「二人は互いの存在がギリギリのところで危うくも支えになっていた。  
悪く言えば共依存だね。しかしそんな関係はいつまでも続かない。  
父親は極限状態に耐え切れなくなって、彼女をおいて逃げてしまった。  
彼女は深い喪失感に見舞われ、そこに実の弟である君と偶然にも再会、と」  
 またもや言葉を切り一砂を試すがごとく  
「何を言いたいのかわかるかな?」  
「つまるところ貴方は何を僕に期待しているんですか?」  
「その通り、察しがいいね。」  
「……会話がつながっていませんけど」一砂は憮然として答える。  
「それを言うのなら君だってそうだろう。質問を質問で返すなんてね。  
それにその返答は分かってると言ってるようなものだよ」  
 大人げない反応だと一砂は感じたがそれを口に出す事はついになく、  
来てくれたことへの一応の謝辞を残し一砂はさっさと退室した。  
 
 
「さて、と」正座していた足を崩して眠り姫へと語りかける。  
「いつからだい?」  
 すると彼女はパチリと目をあけ  
「ばれていたのね。」  
「僕は医者だよ、呼吸や眼球運動なんかで一目瞭然だ」言って彼は笑う。しかし彼女は笑わずに問う。  
「どうして嘘をついたの? 調子なんてよくなるはずがない。あなたが一番よくわかってるはずでしょうに」  
「必要悪だよ。無理に彼を落ち込ませる事なんて出来ない。」続け、笑ってこう答える。  
「そのわりに一砂に意地悪をしていたけど、どうしたんです? あなたらしくもない。」  
 ぐるり秒針一回り。沈黙がこの和室を支配する。やがて彼は教会で己の罪を懺悔するがように声を紡いだ。  
「僕はね、十数年ものあいだ君という花をみてきたんだ、遠くからね」  
 若いこの医者は詩人も兼業しているらしい。  
「けどね、僕も遠くから花を愛でるだけでは気が済まなくなるんだ。時々──ほんの極稀にその花が欲しいと思ってしまう」  
 千砂は黙って耳を傾け聞いている。  
「けれど僕は近づけない。口でどう言い繕おうが結局花には触れない。  
だってその花にはトゲがあるのだから。過去にそれを身をもって体験したよ。  
しかし人は障害があれば燃えるという特異な情動を持っているにもかかわらず僕は感じたんだ。  
自分は花を愛でさえ出来ればいいということに。僕はその花を直に愛せない事に……  
だから一砂君が羨ましいんだろう」  
 哀れな子羊は懺悔を終え  
「結局僕が欲しかったのは高嶺の花だったというわけだ。僕は決して君の父や一砂君には勝てないだろう。  
けれど僕は見ていたいんだ、いつまでも君を遠くからね。  
そのためなら、どんな困難であろうと僕はハデスに魂を売ろうが君を救って見せるさ」  
「……あなたは、本当にお節介ね。」  
「そのお節介がひとつ忠告しておくよ。」  
「なにかしら」  
「君はまた同じ過去を繰り返すのかい?」  
 途端に彼女の顔が魚を焦がしてしまったような顔になる。それを見て彼は容赦なく言う。  
「さっき言ったね? 何故嘘をつくのか、と。  
あながち嘘でもないさ。今の君の顔は穏やかだ。少なくとも昔よりはね。  
僕はあの時のような君はもう見たくないからこそ言わせてもらうけど、  
君は未だ父親に支配されている。いい加減出てきたらどうだい」  
 その言葉は小川のように静かだが滝のような激しさに溢れてもいた。  
「あなたには関係ないわ。これは私と一砂、二人だけの問題よ」  
 再び布団に寝転がり拒絶するよう目を閉じた。  
「お休りですか? 眠り姫」  
「ええそうよ、あなたのくれた毒リンゴのおかげでね」  
 痛烈な皮肉で返し彼女はそっぽを向いた。二,三分もすると呼吸が一定になり、今度こそ寝ているのを確認し、水無瀬はそっと立ち上がり、障子を開けて最後に呟く。  
「あのお話はハッピーエンドだったね。そうなって欲しいものだ。くれぐれもエリスのリンゴにだけはなりませんよう……」  
 
 
千砂が目を覚ましたときには陽はとうに落ち、あたりは既に闇の中。  
 時計の針は午後の八時を示している。  
 すると何の前触れもなく障子が開き、仏頂面とご対面。  
「起きたのか」  
 昨日と全く立場が逆だと千砂は思い彼を見る。どうせなら王子の接吻で起きたかったな、  
などど考えるが一瞬にしてそんな考えは振り払われる。どうやらまだ寝ぼけているようだ。  
「喉が渇いただろう。何か持ってくる」  
 そう言い彼は背中を向けると向こうの部屋へと舞い戻る。わずか一分ほどで戻ってくると、よく冷えたお茶を持ってきてくれた。  
「持ってきておいてなんだけど冷たいのは大丈夫?」心配そうな表情で彼はそっと千砂を窺う。  
 千砂は彼を見つめ返して、  
「ええ、少しなら問題ないでしょう。身体も問題ないし……もう心配はいらないわ一砂、  
あなたももう休みなさい。今日はずっと私についていてくれたんでしょう?」  
「それこそ無用の心配だよ。付きっきりだったわけじゃないし、俺も水無瀬さんが帰ったあとに隣りで休ませてもらったから」  
 それでも彼女は頑なに休めという。その度に断ってここに居ようとしたところ、  
「ならいいわ、私が勝手にあなたの部屋に行くから」彼女は今まで寝ていたのがまるで嘘のように、素早く立って一砂の部屋へ。  
仕方が無いと肩をすくめ一砂も向かう、自身の部屋へと。  
 
 
布団を敷いて千砂を横にさせる。、  
「ねぇ一砂、後悔はしていない?」いきなり語りかけられたからか、  
一砂の肩がぴくりと震える。その動作は小動物のようで千砂は少し不安に駆られる。やはり一砂は──  
「どういう意味で?」と尋ねるが顔はこちらに向けてくれない。更に不安を強めつつも、  
「ここに来たことよ」と彼女は答え返事を待つ──までもなく、  
「しているわけが無いさ。自分で考えた事だから……そりゃあ不安が無いといったら嘘だけどさ……」  
 それを聞いて千砂はほっと胸をなでおろす。よかった、と。  
 しかし次の瞬間その胸が激しい苦痛に見舞われた。  
 掛け布団を跳ね上げながら、彼女は尚も苦しみ続ける。  
 発作だ!  
 見かねた一砂は薬を取りに、しかし場所がわからない。  
 訊ねようとするが答えられる状態では到底無かった。  
 とにかく手当たり次第に彼女の寝室を探ると幸いすぐに見つかった。  
 脱兎の如く部屋に戻り、暴れる彼女の手足を押さえ薬を飲ませる。  
それが昨日の行為と重なり酷く陰鬱な気分になったが、  
千砂の落ち着く様子を見て無理に思考をかき消した。  
 今日はずっとそばについていよう。そう考えた一砂であったが、  
千砂の寝言で耐えられなくなり先程の思考とともにその姿をも消した。  
 あとに残るは彼女の呟き。涙とともに零れ落ちる。  
──ただそれだけ。  
「ん…………と、う、さん。……父さん」  
 
 
 再び彼女は目を覚ます。またも同じく時計を見ると既に今日は昨日になって、針が浅い角度でお辞儀をしていた。  
 感覚が徐々に戻ってき、右肩に違和感を感じ、見ると一砂が自分寄りかかり静かに眠っていた。  
 彼女は発作が起きた事も思い出し、しかしそばに在る薬包を見て、  
「千砂が持ってきてくれたのね」と、知らずのうちに声へと出していた自分に軽く驚いた。  
 そして起こしてしまうのではないか、という予感は嫌な形で当たってしまう。  
 彼はゆっくりその眼を開き、  
「寝てしまったのか、あれ千砂、今起きたの? もう大丈夫?」  
「ええ、大丈夫よ。薬、ありがとう。御免ね、急に倒れて」  
 決まりが悪いからか千砂を見据えず向かずに喋る。  
「千砂のせいじゃないさ。謝る必要なんてない。こっちこそゴメン、寝ちゃって……」  
 すると彼女はかぶりを振って、  
「それこそ謝る必要なんて……もうやめましょう。いいじゃないお互い帳消しって事で」  
 そういうけれども、彼は未だにこちらを向かない。  
 一分、二分と過ぎ、珍しく沈黙に耐え切れなくなった彼女はどうしたの、と訊ねる。  
 言うべきか言わざるべきか──判断がつかないのか先程と同じくらいの時間の沈黙が流れる。しかし今度は彼女も無言の流れに身をまかせ、眼を閉じ次の言の葉を待つ。  
 五分ほどだろうか。漸く重い口を開いた彼は暗がりの中、言語を発す。  
 その顔は羞恥にまみれ、  
「昨日……してくれただろ? ……ここで。」  
 すぐに彼女は思い出す。昨日、自分が彼にした行為を。そしてその罪とを。  
 そしてなおも彼は語り続ける。  
「最初は憐れみだと感じたんだ、自分に対する……」  
違うっ、と彼女は答えたかったがふと考え直した。本当に少しでもそんな感情がなかっただろうか。自覚はなかったが無意識ではそう感じていなかっただろうか。  
「……でもさっき千砂が寝言で言ってた。『父さん』って。聞いていたら判ってしまったんだ、自分がなんなのか。」  
 一砂は言葉を切り、数秒の沈黙の後、千砂の心中の確信をつく。それは何時かは知られてしまうとしても、余りに早い質問だった。  
「俺は親父の身代わりなんだろ?」  
 鉛を吐き出すようにして、語りは終わる。  
「そう……なのかもしれないわね。確かにそうかも。でも聞いてちょうだい一砂。けれど、あの時はそうでも今は違う。私はあなたの事も……」  
「『も』……か。」彼は自虐的な笑みを浮かべる。  
 彼女はそれが水無瀬のものと瓜二つであると感じた。  
「その愛は錯覚だよ千砂。自分への憐れみと同情で出来ている……紛い物だっ!!」  
 その言葉は最後には悲鳴のような叫びに変換される。彼女も負けじと、  
「それを言うなら愛なんてすべて錯覚よっ。自己満足と欺瞞と、それに幻想で構成されるものだわ!」  
「それはちがう!」  
「なぜわかるの!?」  
「だって俺は好きなんだ。千砂。あんたの、事を、純粋に!!」  
 一言一句杭を打つように力強く言い放つ顔は、まぎれもない強い意志が込められていた。  
 あまりに──あまりのことに千砂は声をどこかに置き忘れたかのようである。  
「昨日言ってくれただろ。俺を愛しているって、それともアレは勢いだけの事なのか?」  
「いいえ、違うわ。でも忘れられない、今でも夢に見るの、あの人のことを」  
 彼女は泣いている。涙はいつも怒りか悲しみだけしか映さない。嬉しさなんて見たこともない。  
 もしも嬉し涙を流せるならば、その人はきっと恵まれているだろう。  
「最近までみなかったの。でも一砂あなたが来てからもう二度目にもなるわ。一度は昨日、二度目はさっき。だって貴方は父さんにそっくりなんですもの」  
 弁明。  
「昨日の情事が終わったあとも無意識に口に出してた。父さんの事を。あの人としているときの事を思い出したのよ。私たちは崖のはしギリギリの所に居た。かろうじて行為によってその存在を確かめ、お互いを生き永らえさせていたのでしょうね。」  
 告白。それは禁忌。  
「けれどそれは間違っていた。そんな危うい関係が続くはずはないもの。耐えられなくなったのね。結局父は世界から……いいえ、『私から』逃げたのね」  
 弁明、悔恨。  
「けれど諦観はしない。貴方が居るから。ここに居るから。ねえ、感じさせて。あの人の事を忘れさせて?」  
 最後に……懇願。  
 
 
 いつの間にか千砂を抱きしめていた。その身体が柳のように細いので硝子を扱うように気をつける。  
 千砂の服を脱がせようとするが和服など着たこともない一砂にとってよく分からない。  
 こうも薄暗くあっては尚の事である。  
 するとそれを察してか千砂はすっくと立ち上がり、寝ていては余計にやりにくかろうと言い、机に腰掛ける。  
 なんだか行儀が悪いわね、と微笑みかけてくるその顔は艶美で昨日の時と同じものだ。  
「和服の脱がせ方はね? 慣れれば案外簡単なのよ。まずは帯を取って……」  
 せっかく教えてもらっているのに既に彼のそれは完全に勃起していた。  
 下着に擦れて痛いぐらいである。  
「もう、ちゃんと聞いてるの? ふふ、もうそこをそんなにさせちゃって。  
 でね、帯を取って、といってもこれが曲者なんだけどね。  
 そうすればあとは脱がせるだけね。ほら、やってみて頂戴」  
 自分の心臓の鼓動が聞こえてくる。一砂は興奮からか帯を取るのに一分ほども費やしてしまい、その時間がとてももったいなく感じた。  
「慌てないで一砂、時間はまだまだあるわよ。」  
 頷き少し落ち着いた一砂は帯を取り、着物をはだけさせる。  
 すると一砂の十六年の人生で最も美しい二つの丘が現れた。  
 その先は固く尖っていて大きく膨らみ自己主張している。  
「あ、あまりみないで、恥ずかしいから……」  
 初めて見るその表情に一砂のそれはますます硬くなるばかり。  
 一砂は可能な限り俊敏に陰茎を取り出す。それをみて千砂は、  
「うふふ、今、ビクンって動いたわよ。もう我慢できないの? でもまだ駄目よ。昨日は私がしてあげたでしょう? だから今日は一砂が……」  
 言われるより早く千砂の乳房へと飛びついていた。そのまま乳房へかぶりつき、  
そのままちゅうちゅうと吸い始める。あまりの興奮に千砂の肉棒は……  
「あはっ、一砂のソレ、私のおっぱい吸うたびにビクビクしなってるわ。  
でもまだまだ出しちゃ駄目よ。ここで出したら何もしてあげないわ。  
でも我慢できて私を満足させられたら、飛びっきりの御褒美をア・ゲ・る」  
 似つかわしくないその声と口調に射精しそうになるが懸命にこらえる。  
 今出したらもうして貰えない。それだけは嫌だったのである。  
 もう姉弟の関係なんて二人には遠い彼方の出来事であった。  
「ねえ一砂。しゃぶるだけなんて赤子でも出来るわ。指を使ったり工夫してみて」  
 言われるがまま片方は吸ったまま右手で乳房を揉みしだく。  
「そうよ、くっ……いいわ、ねえ一砂、もっと先っぽの方も……」  
 薄暗くてあまり見えないが、彼女の頬は赤く染まっている事だろう。その通りに乳首を右の親指と人差し指の二本でつまむとそのまま優しく、しかし素早く転がした。  
「んんっ! はぁああ、上手すぎるわ、一砂、貴方本当に初めてなの?」  
「そうだよ、昨日だって……」  
 言おうとするが、やはり目の前の果実の誘惑には耐えられずに再び愛撫を開始する。  
 今ならば禁断の果実の誘惑に負けた原初の二人の気持ちが痛いほど分かった。  
「はぁ……はぁ。一砂今度は下のほうも……ね?」と蛇がそそのかす。  
 聖書の通り誘惑に負け、下着を脱がすとそこは禁断の世界だった。  
 陰毛は非常に少なく、その秘所の上の方にはまたもや果実がある。  
 それにはまだ手をつけずに、割れ目を両手で左右に拡げた。  
「いやぁっ、一砂ぁ! 見ないで、見ないでぇ!!」  
 千砂は叫び、恥ずかしさのあまり顔を両手で押さえる。  
 しかし一砂は容赦なくその穴を覗きみる。  
「凄い……こんなに綺麗な桃色は初めて見たよ、千砂。」  
「もう……もぅそんな事いわなくていいからぁ……」  
 最後のほうはもう言葉になっていない。  
 一砂は間髪いれずにその肉穴を舐めまわした。  
「ひいっ! ぁああああっっ」  
 言葉を知らないかのごとくただ、机の上に座り喘ぎ声だけをあげ続ける。  
 
 
千砂はまだ女を知らない一砂にいい様に翻弄されていた。  
 彼女の意識はもうすぐ絶頂に至りかけようとしている。  
 しかしそんな事を彼女の気高い自尊心が許すはずもない。  
 (な、何とかして主導権を握らなくちゃ)  
 そう考え彼女は一砂の正座し、畳に置きっぱなしになってある陰茎を優しく踏んづける。  
 予期していなかった反撃に一砂の責めが止まった。  
 今までの蕩けきった顔とはうって変わり、氷の微笑が一砂を見下ろす。  
「はぁ、はぁよくもまぁ好き放題やってくれたわね一砂……」  
 美人が怒るとかくも恐いのか。一砂は怯えきって身動きすら取れない。まさに蛇に睨まれた蛙であった。  
「まぁ一応私も満足したし、仕方ない、約束のご褒美ね」  
 そういうと千砂は肉棒を踏みつけている足をそのまま前後に動かし擦り始めたのだった。  
「ひ、うぁあっ」  
 突然の事に驚き思わず声を上げる。それを聞いた千砂は  
「なぁに今の情けない声は。あれほど威勢のよかった一砂君はどこへいったのかな?」  
 意地悪な猫なで声を出し、まだまだ生足で彼の肉棒を扱き続ける。  
「昨日はよく見なかったけど、すごく大きいわねぇ、一砂のコレ。  
ちょぉっと皮が余ってるけどね、でももったいないし有効活用しないと駄目よね」  
 何て事をいいながらその皮を動かすように更にスピードを上げて扱き始める。  
「足と畳に挟まれているだけでそんなにいいの? 痛くないの?」  
 一砂は答えられず、しかしその口から出る甘い声が何よりの証明だった。  
「そう、まったく変態な弟を持つと困るわね。」  
 すると彼女は踏みつけたまま扱くのをやめ、今度は両足で横からはさむようにしながら、上下に動かした。  
 足を大きく開くので、一砂からは当然千砂の秘所が丸見えに。  
 それにより一砂は酷く興奮した。  
「はぁぁっっ、くっ!」  
 更に千砂の技術はとどまる所を知らず、左足指で亀頭を責め立て、右足で裏側の所を優しくさすられる。  
 と、おもいきや、一砂の身体に陰茎を押し付けるようにして右足を思いっきり押し付けて扱きたてるのである。  
 彼の千砂への責めが止まって久しいせいか、彼女のうずきは止まらないようで、  
両足で彼を、両手で自身をと素晴らしく器用に慰める。  
 左足の親指が鈴口を拡げたかとおもうと、次の瞬間には足の裏で亀頭を責められる。  
 右の足はなおも肉棒を扱き続けている。  
「千、砂……もう……」限界だった。  
 むしろよくここまで我慢したものであろう。  
「そうねいいわよ射精しちゃって。ただし……」  
 
 
 再び彼女は陰茎を右で畳に踏んづける一番最初の体勢に戻す。  
 そしてそのまま右足と畳とが擦れ合うよう前後にきつく動かし、  
「ほら、最初よりきついでしょ? これでいけたら射精して御覧なさい」  
 とっくに我慢の限界を超えている一砂は  
「千砂っ! 射精るぅ!!」  
「もうイクの? しかもこんな情けない……  
右足一本で肉棒を踏まれてみじめに射精するって言うのね?  
いいわ。射精しなさい! 畳に上にビュクビュク射精するのよ!!」  
──瞬間、肉棒が暴発し、置いてあった千砂の左足に精液が大量にかかった。  
「んっ、ぁああ……す、凄いわ、相変わらずとてつもない量ね。  
……こんなにいっぱい。大さじで量ると何杯分になるのかしら?」  
 言いつつ彼女はこちらを見、  
「私のこの足についたもの、どうするの? こんなに汚しちゃって……」  
「ご、ごめん」  
 彼女は突然何かを思いついた表情を浮かべ、  
「そうだ、全部舐めたらもっと凄いご褒美あげる。  
そうね……ま、特別に足に付いたのだけでいいわ」  
 これを超える褒美とはなんだろうか。一砂はソレを考えると無意識に彼女の足を舐めていた。  
「ふふ、自分の出したその汚いもの、  
舐めていておかしいと思わないの? ……女ならまだしも」  
 なんと彼女はやおら机より飛び降り、  
四つんばいになって畳上の精子を直接舌で舐め取り出した。  
「貴方はそのまま足を舐めてなさい。まったく昨日もアレだけ出したのに全然薄くなってないじゃないの、  
むしろ昨日より濃いんじゃないかしら?……ま、いいわ全部お姉ちゃんが飲んであげる。」  
 彼も千砂も全てを飲み干しつくすと、彼女は一砂にこういった。  
「一砂はまだ女性経験がないのよね? それじゃあとびっきりのご褒美よ。  
私が貴方の初めてをもらってあげる」  
 ソレを聞き、殆ど萎えていなかった一砂の陰茎が再びもとの……いや更に硬くなった。  
「まったくほんと現金ね、貴方のソレ」と淫靡に笑った。  
 
 
「でも本当にいいの? 一砂。今ならまだ戻れるわ。  
この先私と一緒に歩んで後悔はしない?  
これより先は真に禁忌の世界。  
私を食べればそれこそ日本神話のイザナミのように黄泉戸喫で戻って来れなくなるわ」  
「イザナミとイザナギ兄妹で愛し合ったじゃないか」一砂は間断なく答える  
 姉と弟。立場は逆なれど創世神となんらかわりはないのだ。  
 納得……ではない、満足だろうか。顔に出すと千砂は布団にもぐりこみ、彼を受け入れようと己の両手で穴を拡げる。  
 もはや分かったとも言わず、ただ彼女は彼を受け入れる。  
「ほら、ここよ一砂。この穴に貴方のソレを入れるの」  
 先程恥ずかしがっていたものの、今は弟を導くという使命からか、恥じらいは少なくとも顔には見えない。  
「じゃあいくよ? 千砂」  
 そういって千砂の膣に突入するが十分濡れているにもかかわらず、その膣穴は狭かった。  
「慌てないで、ゆっくり入れるのよ」  
 指示通りにゆっくりと入れていき、少しづつ、しかし着実に陰茎が埋もれていく。  
 だが全てが入った瞬間、信じられないくらいの感触がウネウネと、まるで虫たちが蠢いているかのように一砂の淫棒に絡みついた。  
 故に経験がなかった彼はわずか五秒と持たず……  
「くぅっ! うゎぁぁぁあああああ!!!」千砂の子宮へと射精したのだ。  
 五秒ほどまったく薄くなっていない精を吐き出し続けると、彼は強い自己嫌悪に陥った。  
「お、俺は……」  
「大丈夫よ一砂。最初は誰でもそんなものなの。それより二回も出したのにまだ萎える様子がないわね。  
ねえ一砂、良ければこのまま動いてくれないかしら?」  
 そう語る千砂はさっきの時とはまるで別人だった。  
 それは嘘か真実か、素人の一砂にはにわかに判断しにくかったが、  
千砂がそういうのならと、彼は思い改め、再びそこから動き出す。  
 かつてみた映像と同じように彼は腰を動かした。  
「んんっぅ、そうよ……  
あとは回転運動や膣内の壁に擦り付けるような感じでするのを忘れないようにね」  
 言われるままに一砂は腰を打ちつける。  
 声を抑えていた千砂もだんだん大きくなり始めてきている。  
 それを一時の自信へと替えて、更に腰の前後運動の速度を強めた。  
 だが、それにより射精感がこみ上げ始め、  
「千砂っ、また出るっ」  
「ええいいわ。私の膣中で精液全部ぶちまけなさい!!」  
 一砂は頭が真っ白になり、もう何も考えられなくなりそのまま奥へと精子をひりだした。  
 七回、八回と断続的な脈動を終えると、コポッという音と共に陰茎が膣から抜け落ちた。  
 同時に大量の白濁液が流れ落ち、途端に一砂は不安に駆られ、  
「なあ、そういえば避妊とかしてないんだけど」  
 放心気味だった千砂も意識を取り戻し、  
「何とかなるでしょう」  
などという彼女にはまったく似合わないオプティシズムな意見が出てきた。  
 しかしどうして行為のあとはこんなに眠たくなるのだろうか。  
 意識は昨日と同様深遠へと、だが彼女の呟きは昨日と違いハッキリ聞こえた。  
 その声は不安で、しかしどことなく──  
 
「あら、今日は危ない日だったかしら」  
 この日以来、彼女が悪夢にうなされることは永劫になかった。  
 

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