−−−高城家にて−−−
「姉さん!頼むから、頼むから僕の血を飲んでくれ!!」
水名瀬さんからの説明で、姉の服用している薬が心臓に大きな負担をかける
事、そして千砂の体がもう末期的な所まで追い込まれている事を聞いた一砂が
千砂に叫ぶ。
「一砂、その話はもうしないって言ったじゃない。話がそれだけなら着替えて
くる」
自らに背を向けた姉に対し、一砂は奇病にも似た激情が全身を駆け回るのを
感じた。
「なっ、一砂」
体が反応した、今まで押さえつけられていたコンプレックスや肉親への情、
異性への興味・欲などが一気に吹き出したかのように背後から千砂を抱きすく
めセーラー服の裾から手を差し入れた。
「姉さんが居ない世界なんて無いと同じだ・・・、頼むから僕を置いていかな
いでくれ」
「・・・一砂、しようか」
千砂の胸を弄ぼうとしていた手が止まり、一砂が信じられないという表情で千砂を見る。
「姉・・さん」
千砂が黙って一砂の方に向き直り、一砂の首に腕を回す。
「んっ・・」
千砂の吐息に混じって華の香がした。
「なんだか恥ずかしい」
千砂の頬に朱がさしている。一砂がお姫様だっこで千砂の部屋まで運んでいるからだ。一砂は千砂を畳の上に寝かせた。これも千砂が
『昼下がりの情事はやっぱり畳でしょ』
と言ったからだ。確かに畳の上にセーラー服姿で横たわる千砂は扇情的で、
上着との境目に見える透き通った肌や、プリーツスカートから覗く真っ白な内
腿は男の野生を暴走させるには十分すぎるほど魅力的だった。
一砂はシャツの前をはだけさせた状態で千砂に覆い被さった。