「なぁ八重樫。これがラストだけど、どこに置けばいいんだ?」  
「それは棚に置いといていいよ。後で私が整理しとくから」  
「わかった。じゃあこれで引っ越し完了だな。蕎麦たべようぜ」  
「うん。すぐ作るから待ってて」畳んでおいたエプロンをつけ真新しいキッチンに入る。鍋とそばの材料をだし、湯を沸かす。  
今日から私ー八重樫葉と江田(旧姓高城)一砂との同棲が始まるのだ。一砂が大学に入ってからはいつのまにか半同棲になっていて、なら同棲してしまった方が良いと話がでて何の問題もなくとんとん拍子できまってしまった。  
「できたよー」  
つゆの芳ばしい薫りが食欲をそそる。テーブルの上に運び食卓を囲む。  
「今日から同棲だな」  
「うん。けど前もほとんど同棲と同じだからあまり変わらないと思うよ。部屋が広くなったりしてるけど」家賃がやすくなった上に部屋が広くなったことだけでも私には十分嬉しかった。  
「確かにそうなんだけどさ、完全な同棲だからな。こう響きがさ、ぐっと来るものがあるんだよ」  
「うーん。ごめん。よくわからないや」  
「そうか…まぁ、いいや、でこの後の予定は?」  
「夕方に買い物なんだけど、時間あるね」二人ともこんなに早く引っ越しが終わるとは思ってもいなかったのだ。  
「じゃあ、新しい家でゆっくりするか?」  
「うん」  
 
洗い物と片付けが終わりエプロンをはずして、エプロン掛けに掛ける。そしてベッドの上で横になりながら本を読んでいる彼の隣に座る。  
彼は本をベッドの脇に置き、私を見つめる。  
「八重樫、手をだして…」  
手を彼に差し出す。  
「冷たいな。お湯を使えばよかったのに」手を握られ彼の手から温もりが伝わってくる。  
「きゃっ」手を引っ張られ彼の上に覆い被さる。  
「キスしていいか?」彼の瞳がすぐ目の前にあった。  
「答えわかってて聞いてない?」彼は微笑んで私にキスをした。短いキスだった。唇を離した後すぐに間髪いれずにまたキスをされた。彼の舌が私の口の中を蹂躙する。  
「んっ」おずおずと舌をだし絡ませる。舌が絡みあい、唾液が混じりあい卑猥な音をたてる。長くそして深いキス。どちらともなく離れる。ブラウスを捲くし上げられ、ブラのホックが外される。  
小振りだが張りはある乳房が露になる。その乳房に手が添えられる。  
「小さくてごめんね」  
「俺は八重樫が好きだから、気にしない」  
「ばか……」  
ゆっくりとそして少しづつ力が込められていく。指先が主張し始めた乳首にそっと触れる。両手で双丘を異なるリズムで揉まれ、人差し指で両方の乳輪をなぞられる。もう我慢の限界だった。  
「お願いだから、焦らさないで」彼は微笑み、両方の乳首をキュッとつねりあげる。瞬間体に快感の電撃が走る。  
激しくされる度にそれどんどん酔い痴れていく。  
 
激しくなったと思えばまた焦らされる。激しくされるのを期待すればするほど自然と体が熱くなっていく。  
下の方はもう大洪水だ。  
彼の右手が乳房からゆっくりと離れ、大事な所を布越しに触れる。  
布越しで触れられても、はっきりと水音が洩れる。  
もうパンツとしての役割は果たしていなかった。自分で脱ぐと言う。彼もその間に穿いているものを脱いだ。  
「いいか?」その質問に顔を赤くしながら頷く。私にそれを断られるはずがなかった。  
正常位で彼のがゆっくりと私の中に入ってくる。  
いつもと同じはずなのにけどいつも以上に感じて、いつも以上に体の芯から暖かくて以上に心の底から安心している。  
膣の半ばまでいくと突然激しい抽送になった。一気に子宮まで辿り着きそして一息に入り口まで戻される。  
膣が放さないよう吸い付き、愛液が混ざり合い、そして快楽でまた溢れてくる。  
「あっ、あっ、んっんっ、ん、んん。それだめぇ、だめぇぇ」  
 
一砂の抽送の速さがさらに増す。「か、ずな、いっしょにぃ、いしょにぃ…、あっあっ、かずなぁー」「よう、いくよ、、」  
共に絶頂に到達し、子宮の奥に熱い精液が放たれた。  
 
荒い呼吸を落ち着かせ、話す。  
「一砂ぁ、激しすぎるよ。それにまた中だなんて、これだと危険日じゃなくても赤ちゃんできちゃうよ?」  
「もしできたら、責任とるよ。  
それに赤ちゃんの名前の候補考えてるんだけど早すぎるかな?」一砂は間を一つ置いて答えた。  
顔が一気に赤くなるのがわかる。一砂は私の髪に手を置き優しく撫でた。  
「そろそろ買い物の準備しようか」  
「うん」  
 
ここからまた私たちの新しい生活が始まる。     
         fin  
 

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