ヒグラシの鳴声もしなくなり、涼しさを感じる黄昏の時間に、一砂は縁側に座りながらぼーっと庭を眺めていた。  
 
この家に帰って来てから、何ヶ月も経っていないのに、もう何年も過ごしてきた感じがする。むしろ、江田の叔父さんと叔母さんとの暮らしが一時の夢のような気がした。  
ここで生まれ育ったという感覚が既にある。  
そして、この庭で初めて千砂と再開したのを今でも鮮明に覚えている。  
 
『あなた、誰?』と凛とした声に振り向いた瞬間、千砂の全体が目に飛び込んできた。  
漆黒の長い髪に、すべてを見通す冷たい目をした女性。今まで見た事も無い綺麗な人を見て声を失い、次に今まで考えもしなかった実姉の存在を確認したとまどい・・・  
 
「一砂、夕食できたわよ」  
その姉が優しく言葉をかけてくれた。その言葉で物思いを中断し、その声がする居間へ足を向けた。  
 
最初に訪れた時、父の死を知って言われた台詞  
『もうここには来ないで!』  
きっぱりと弟である自分を拒絶した場所でもあった。  
 
同じ空間に千砂が居た。あの時と同じ和服姿で・・・。  
夕食を口に運びながら、ふと一砂がぽつりと  
「・・・・俺は本当にここへ来て良かったの?」と言った。  
一瞬、千砂が驚いた顔をした後  
「何を言ってるの、あなたの家じゃない」と穏やかに声をかけ続けて言った。  
「それに家の重労働、かなり助かっているわ。庭の手入れとか買物とか、米袋を運んでくれたりと・・・」  
外見だけではなく、礼儀正しくきれいに座っている女性はそう言葉にした。  
自分の母もこのように美しい女性だったのだろうか?父母は千砂が生まれるまで、自分達のような暮らしていたのだろうか、一砂はふと別の事を考え始めた・・・・。しかし、すぐ止めた。  
なぜ、思考を中断したのか自分でも解らない、ただ直感がそうさせた。  
 
夕食後、一砂は自分の部屋・・・というより、父の書斎へ入った。  
本棚には医者である痕跡を残す医学書の他に、坐禅や武道、ヨガの本も存在した。  
「なぜこんな物が?」という疑問より「ああ、千砂のためになんとかしようとしたんだな」というのが理解できた。  
なんとなく坐禅の本を手に取り、パラパラとページを捲った。  
「それ効果ないわよ」ふいに千砂の声がした。  
顔を振り返ると目があった、それが合図のように千砂は言葉を続けた。  
「私だって、この奇病を治そうと父さんと色々努力したのよ、禅寺にも通って、木刀も  
振って・・・他人より体力ないけど、無理して・・・・でもダメだった。」  
そう独白する姿が痛々しい。  
千砂が無理なら自分も無理だなと悟る、あの衝動は我慢とか忍耐とかいうレベルではない。  
底の無い水の中に突き落とされ、呼吸できない苦しさに近い。一分いや一秒でも早く呼吸をするために水面に浮上する感覚と同様に、他人の血をすぐ欲する異常な感覚が自分達には存在する。  
この奇病を持った人でしか解らない苦しさ、医者である父にも理解できていたのだろうか。解らないけど解ろうとしたんだろうなとこれもまた容易に想像できた。  
「ところで、なんか用?」思考がネガティブな方向に傾いたので、話題を変えようと一砂は言った。  
「用がなきゃ来たらダメ?」軽くすねるように長い髪に手を当て視線を外し答える・・・。  
「え・・・いや・・そうじゃなくて・・・」一砂が慌てて次の言葉を探していると、  
「提案があるの、今夜から一緒の部屋に寝ない?」ふいに千砂が反論を許さない雰囲気の口調で、一砂に目を合わせ言った。  
千砂がそう言った意図は言わなくても察しがつく、毎夜眠りにつく度に、「千砂は無事だろうか?発作を隠したりしてないだろうか?」と不安にさせる。また、自分が発作の時、すぐ他人の血を吸わなければならない苦しさも考慮すると自然の選択だった。  
千砂の方も一砂と同じ心配をしているのだろう。  
 
一砂は、千砂から視線を外し俯きながら、小さく肯定の返事をした。  
「客間が良いと思うの、お布団用意しとくね」と言い残し千砂は部屋を出て行った。  
千砂をできるだけ守ろうとする思いと千砂に安眠すらさせない自分に自己嫌悪している最中に、ふと、布団が存外重いことに一砂が気付き、足を千砂の部屋へ向ける。  
千砂の部屋へ着くと布団が畳んであり、千砂が運ぼうとしていた。  
「俺がするよ」と千砂の返事をまたず、布団を抱きかかえた。その間千砂の部屋を盗み見る。  
布団を抱きかかえ部屋から出る間の時間は数秒だったが、一砂は千砂の部屋がどういう部屋か解った。およそ同世代の女の子には程遠い殺風景な部屋だった。  
アイドルグッズはおろか、ぬいぐるみも絵もポスターも何も無かった。  
辛うじて、学校の制服や鞄、机の上の参考書類が自分と同世代がこの部屋の主だというのを悟らせてくれる。  
廊下に出ると無意識に千砂の布団を嗅いでみる、別に何も匂わないが、今自分がした無意識の行為を密かに恥じた。  
壁側の畳みの上に千砂の布団を置いた、自分の分も持って来て温暖差が少しある窓側に敷く。一応男女同室だからと考え、布団はなるべく遠くに畳み2畳弱ほど離した。  
千砂も部屋へ入ってきて、布団を一瞥し、自分の布団をきちんと敷き始めた。  
「こんなに離さなくても良いのに」と笑顔で話す。  
一砂は顔を赤らめながら弱々しく  
「まあ・・・その・・・一応・・・」と、しどろもどろ答える。  
「もう休む?」と千砂が言う。なんかすこし精神的に参ったので早めに休みたかった。  
暗闇で各々離れた布団に入る。  
 
一砂は布団に潜ったが、隣の姉の存在があると眠れなかった。  
修学旅行などの友人とのお泊りとまた別の緊張と嬉しさがあった。  
千砂は、そういう経験が無いのだろう、  
代わりに父さんが常にいただけで・・・・・。  
・・・・・・・・実の父親に嫉妬するとは思いもしなかった。  
美人だから父のみならず男がわんさかと押し寄せたんじゃないだろうか?  
「千砂はもてるんじゃない?」不意に言葉が闇の中に出た。  
 
千砂は以前告白して来た男とそれを取り巻く女との出来事を思い出した  
『くだらない事にあたしを巻き込まないでちょうだい』  
 
「くだらない事よ・・・・本当に」と疲れた様子で答えた。  
千砂はふと思う、自分は他人と共生できないけど、一砂なら・・・。  
江田の叔父や叔母に、自分にはない友達もいるみたいだし、そして、あの八重樫という娘。  
ふと八重樫を連想したとき一つの決意が生まれた・・・・  
「ダメ!あの八重樫とかいう子にも江田の叔父母にも、一砂は誰にも渡さない!」  
事実、一砂が江田のところから帰宅した時は安堵した  
 
『一緒に暮らさない?』  
二度目に一砂がこの家帰って来て、自分の血を飲ませ、気を失って膝枕をさせた時から考えていた事だった。  
父に似ている弟の顔を見ながら、一砂が自分を選ぶよう計画を建てた。  
そして、何も知らず無垢なまま成長していく弟の存在を嫌悪していたる自分に嫌悪しながら・・・・・  
さらにこの弟を自分のモノにしようとしている自分がいた。  
そうならないよう最初は遠ざけたのに・・・病という宿命か・・・  
私が生きている間、一砂は私を受け入れるだろうか?  
自分を「姉さん」と呼ばず、「千砂」と呼んでくれる所に期待を抱く。  
「おやすみ、一砂」・・・そう言って考えるのを止め、眠りに落ちた。  
 
 
第弐夜 
 
一砂は、夕食後の勉強を1時間ほど終えると縁側へ向かった・・・・。  
縁側に座らず、立ち見で庭を眺めるが、庭なんか眼中にはなかった。終らない闘病に心を向ける。  
赤点を取って留年する事はないだろう、出席さえ間に合えば卒業できる。  
しかし、卒業した後どうすればいいのだろうか?  
大学へ進学するのが無難かな・・・上手く人を襲わないというキャンパスライフというのが愚かな生活するのだろうか?  
進路を考えていると後ろから人の気配がした、誰かは解るのでそのまま庭を見ながら考え込む。  
「何考えてるの?」という声に一砂は振り返る。  
風呂上りというのがわかる、身体からかすかな蒸気を感じ、髪がしっとりと濡れ、肌が潤っていた・・・、  
加えて元来から備わる形の整った眉、きりっとした鼻、小さな唇・・・・  
美術品に例えると日本刀のような美しさを放っている千砂がそこにいた。  
一砂は不覚にも数瞬金縛りにあった、更にキスしたいというこの思春期にありがちな衝動にかられた。  
「ん?キスでもしたいの?」と千砂がからかう。  
心情が的中され、心臓が爆発するような事を言われた。  
「そういうのはさっさと・・・」からかっているのか誘っているのか一砂は判断せずに言葉を遮った。  
「違う!進路のことだよ」悟られのを避けるためにやや声を荒げ反論する。  
「卒業したとして、この先どうするんだよ?俺達に未来なんてあるのかよ?」声を落ち着かせる事なく胸中を出した。  
しばしの沈黙のあと「あなたはどうしたいの?」と真顔で千砂は一砂の顔を覗き込む。  
「この病を考えれば、医者になって病名を解明するしか選択ないだろ」と吐き捨てた。  
「じゃあ、医学部へ行けば?学費はあるし、草葉の陰から、父さんも母さんも喜ぶわ」と冷たく千砂は言い放つ。  
「でも、父さんや水無瀬さんにも解明できなかったのを・・・一砂が?  
・・・しかも、病気もちで?あなたは私と違い体力も人並みにあるし、希望をもって挑む価値はあると思うわ・・・・  
でも、何故?病人として隠棲するという生き方はしないの?」  
「俺はたとえダメだとしても、1%だとしても、可能性があればそれにかけても良いと思うんだ、それが人らしい生き方だと思う」  
決意というより宣言という言葉を一砂の口から発せられた。  
 
寝室を共にするようになり一週間近くたった。  
それでも、二組の布団はまだ距離が存在していが、床に入って軽く雑談して眠りにつくのが日常と化していた。  
そして、それは前触れもなく来た。  
千砂の呼吸が激しくなり、薬瓶に手を伸ばそうとする。  
慌ててそれを遮る一砂。身体を包み込むように阻止する  
 
『あの薬は心臓に・・・・』  
『父親の血以外・・・・・』  
主治医である水無瀬さんの言葉が嫌でも思い出す。  
 
「千砂・・・今、飲ませるから・・・」  
目を合わせると、千砂の目は常人の目とは明らかに違っていた・・・  
「イヤ!・・・薬を!・・」病の興奮と呼吸困難で息も絶え絶えで薬瓶を凝視する  
千砂を抑えながら、一砂は唇を噛む  
「俺は父さんの代わりになれないのか?」誰にいうまでもなくそう呟く。  
再度目を合わせる。  
そのまま一砂は千砂に唇を合わせる。  
千砂の唇は柔らかく、味覚では味わえない甘美な感触が自分の感触を支配する。  
お互い離さず、一砂はそのまま千砂の舌を自分の方へ誘う、そして吸う荒々しく、手加減もせずに・・・・  
離さないよう手を千砂の背中と頭に置く、手にも浴衣ごしにもわかる華奢な柔肌とサラサラの水質がある髪の感触が手にも心地よい。  
 
千砂は不思議と落ち着いてきた、呼吸も苦しくなくなり、薬瓶すら見なくなった。  
身体中強張った筋肉もほぐれ、今まで何百回も味わったいつもの倦怠感が支配していく・・・  
・・・「ああ、このコは私を落ち着かせるため・・・それとも・・・」  
一砂とのキスは血の味がした。  
一砂が唇を切り無理矢理飲ませたのが理解できた。  
一砂は、発作が収まるのが解ると千砂を開放した、手を身体から離した刹那  
「バカ!」という声とピシャという音が一砂の頬から聞こえた  
千砂は平手をし終わった後、俯いたまま泣き始めた・・・・  
一砂はどうしたら良いか解らず、打たれた左頬を押さえながら、ただただ泣いている千砂を見ていた。  
5,6分だろうか、永い時間が流れた。  
「あなたの・・・あなたの血だけは・・・飲まないって・・・」嗚咽しながら独白する言葉に一砂は答えた。  
 
「俺は千砂が生きて欲しい、俺のためにも・・・・それに俺は『千砂を守る』って言ったろう・・・アレは嘘じゃないんだ・・・」  
 
戒律を破った千砂が泣き止むのに更に時が流れる  
その間、千砂の手は一砂の手を離さなかった。  
「お願い、今日は手を握ったまま・・・眠らせて・・・・」  
弱々しい手に力が入っているのがわかる・・・軽く頷くと  
端正な顔をした女性はそのまま倒れるように眠りに入った。  
 
 
第参夜  
朝の気だるい感覚の中、千砂が目を覚ました。  
隣には畳みの上で寝息をたてている、少年がいた。  
昨日の事を思い出して、罪悪感が自分を襲う。  
自分が叩いた少年は手を握り続け、手を伸ばせば届く距離の布団の中にも入らず、  
健気にあの言葉通りの行動をした。  
顔を覗き込むと目が赤くなっている・・・一砂も泣いたのだろう。  
一緒に泣いてくれたんだ・・・・千砂は理由を想い、そのまま軽く自分の騎士にキスをした。  
顔は父に似てるが、自分ではなく自分を通して母を見ていた父とは異なる事を識った。  
心は波風たっているが、行動は日常だった。  
朝食を作り、学校へ行った・・・ただ一砂だけを起こさなかった・・・  
やはり気まずさがあった。  
 
学校から帰ると  
一砂は部屋で勉強していた・・・。  
顔も出さないとこをみると一砂も気まずいのだろう、机に向かう事で気を紛らわせている。。  
教科は英語・・・英文で獣の群れに関する問題だった。  
直訳をすると[モンゴルの遊牧民は羊を飼う時、羊の群れに山羊を入れる。その方が統率がよくなる。  
言い伝えでは、山羊は羊に「草が沢山食べるから」と言われ、人間に飼われるようになった。  
だから、山羊は人間に殺される時に「騙された!」と激しく啼くが羊は見向きもしない、  
羊にとっては山羊はやはり山羊でしかないから]  
一砂は勉強しながらふと思った。  
俺達もこの山羊みたいな存在なんだろうか?  
人に危害を加える可能性を持ちながら、人の群れに入っている・・・・  
昔、村八分とか国外追放された人はどうなったんだろう?  
記録もないんだろうな、記録すら価値ないんだろう  
集団にとっては、問題のある個人なんかには価値なんてないのだろう。  
「一砂、夕食できたわよ・・・、私はもう済ませたから・・・昨日はごめんなさい」  
襖越しから千砂の声がした。  
「姉弟愛は弟の忍耐で出来てるって、木下っていうツレから聞いた」  
微かな笑い声がして、その場からすぐに遠ざかる足音が聞こえた・・・  
 
一人で夕食を取り、再び机に向かう・・・今日一日顔を会わせてない。  
時計が11時を回り、風呂に入り浴衣に着替え恐る恐る寝室へ行く  
暗闇の中、千砂はすでに床に入ってた。  
自分の布団も敷いてあった、ただ昨日と違うのはそれが千砂のと密着していた。  
布団を離すとさすがに溝が深まるだろうな・・・そう思いながら一砂もそのまま布団に入ろうとする。  
「一砂電器点けて」ふいに千砂が声をかけた  
「あ、ゴメン。起こした」と謝りながら、電器を点けた。  
闇から髪の長い女性が正座しながら話しかけた。  
「一砂、あなた以前『俺はたとえダメだとしても、1%だとしても、可能性があればそれにかけても良いと思うんだ、  
それが人らしい生き方だと思う』って言ったの覚えてる?」  
「あ・・・うん」  
千砂は顔を赤めつつ、視線を下にやりながら言葉を続ける  
「あなたが血を欲した頃、異性を気にし始めた時期じゃない?」  
八重樫の顔が一砂の脳裏に浮かんだ。  
「性欲をある程度に常に処理すれば、発作が起きないと思わない?」  
しばしの沈黙があったが、以前の気まずさではなく  
それはかなりの可能性だと一砂は真摯にとらえた。  
「うん、試してみるよ。」と言い立ち上がろうとする  
「ここでして」と千砂が浴衣を掴む  
「え・・・いや、・・それは・・・」  
「私がしてあげる」反論を許さない視線と口調がその後の一砂の行動を決定した。  
「それにエロ本はこの家にはないわよ、一砂あんた持ってきたの?」笑みにちかい表情で千砂が問う  
持って来たのは教科書だけだ。  
「・・・それじゃ、お願いするよ・・・」目を会わさず顔を赤くしながら答える  
「じゃあ、出して・・・・」千砂の方は、床に入ったころには決心してるようだった。  
事実、千砂は一砂が自慰をすると八重樫を想像すると勘ぐっていた。  
一方、一砂は坐禅と正反対の治療法は考えもしなかった、まして千砂が・・・・  
 
誰にも見せなかった部分を浴衣と下のを肌から外し胡坐をかいて千砂にみせる。  
屋内の電灯でも美しい漆黒がわかる長い髪を手にあててから、一砂の部分に触れる。  
ふと一砂は「木下にも姉がいたっけ。こういう時はやっぱ姉に甘えるのだろうか・・・」  
世間知らずな少年は脳裏に浮かんだが、千砂が部分に触れたら瞬間空白になった。  
顔だけじゃなく、手も美しい女性は懸命に奉仕を開始した。  
たちまち一砂な肉棒は反応し、最大膨張となった。  
「・・・・あ。・・・大きいのね」とさりげなく千砂が言う  
誰と比べたのだろう、やはり父か・・・・。  
父を近いうちに千砂から忘れさせねばと誓いをもう一つ建てた。  
白魚のような手と万人が表現するような手で少しグロテスクな人の部分を軽く揉みはじめた。  
さらに上下に左右とぎこちなく動かす、表情はどちらかというと真剣な顔をしていた。  
さらに両手で挟みこすり始めた・・・こするというより手の中でかき回すようなかんじだ・・・  
すぐに一砂は「出る」と一言だけ発した。  
器用に千砂はティッシュを取り出し、一砂は体液の一種を出のを柔い紙が受け止める・・・。  
さらに丁寧に千砂がキレイに拭き取る、やたらと丹念にするとまた大きくなった  
「まだ元気ね」とだけ言うとやおら口に銜えた。  
 
「動かさないで、まだ出し切ってないでしょ?それに歯にあたったらどうするの?  
いくら吸血鬼でも、こんなところから吸いたくないわよ」  
千砂はくすくす笑い、また舌なめずりをしてみせた。  
一砂は千砂に翻弄されていることを痛感しながら、やはり溢れてくる期待に逆らえなかった。  
何より激しく自己主張する自分の分身が収まらない――本当はつい先ほど射精したばかりなのだが。  
「そ、それじゃ……お、お願いするよ…………」  
千砂の唇の端が更に持ち上がった。クス、と千砂は艶かしく笑う。  
この先に何をされるのか、思わず想像してしまう笑いだった。  
「いいわよ……」  
千砂は妖しい微笑を浮かべた。  
一砂の足を開くとその間に座り、一砂の部分を撫でながら口内奉仕を開始した。  
大きく口を開けて、硬く勃起して引き締まったペニスを先端からくわえ込む。  
肉棒全体を舐め回し、口内に分泌された唾液をまるで塗りたくるように軽めの愛撫を続けていた。  
一砂はここまでしてくれる千砂がだんだん愛しくなってきていた。  
突然の誘惑と圧倒的な性戯に操られ、今でも驚きは収まったとは言い難いが、病の治療のため、  
ためらいなく受け入れてくれたことに感謝に近い感情まで覚えてしまっている。  
「千砂、ありがとう……」  
一砂が感謝の言葉を言いながら千砂を見つめたその刹那、身体の芯に痺れるような快感が走った。  
肉棒への圧迫感が瞬間的に跳ね上がり、何かがペニスを這い回っている――千砂が本格的に仕掛けてきたのだ。  
「んっ……ふぅっ……んん、あん……」  
千砂の口と鼻から少しずつ息が漏れる。  
千砂は激しい動きでペニスに愛撫を加え続けた。  
肉棒を口に含み、喉の奥で締め付けた。  
唇と舌を裏筋とカリのくびれに沿ってピタリと張り付かせ、口を前後に動かすことで巧みに愛撫する。  
一砂はもうされるがままで、まるで女のような喘ぎ声を漏らすことしかできなかった。  
千砂は男の欲望を煽る上目遣いで、一砂の様子をうかがった。  
「千砂、気持ち良いっ……うっ……くぅっ!」  
一砂の反応に満足したのか、千砂は笑っていた。  
『私は、一砂の全てを知っている』とでも言いたげな、上目遣いの視線が一砂を射抜く。  
 
視線を逸らそうとしない千砂を真っ向から見つめようにも、下半身に注がれる快感が許してくれそうにない。  
もう一砂は爆発寸前だった。  
射精感が募り、やはり千砂の奉仕には耐えられそうにない。  
裏筋とくびれの交差するポイントをチロチロと舌で刺激され、更に口内にくわえ込まれる。  
このままでは確実に射精に至ってしまう。  
(口内に出しちゃ駄目かな・・・・)  
一砂は歯を食い縛るように耐えた。柔らかくて暖かい口の愛撫はあの白い指以上に気持ちいい。  
耐えられるわけがない……!  
「千砂、もう駄目! 我慢できない!限界!」  
一砂は素直に告げた。このままでは千砂の口に出してしまう。  
千砂の愛撫がぴたりと止まった。危なかった。本当に射精の寸前だった。  
精子の軍勢はまだ下から押し上げるような名残惜しさを見せるが、一砂は呼吸を乱れさせながら抑え込んだ。  
射精できないのは辛かったが、これで誤射の心配は無くなった。  
「はぁ、はぁ……はぁ……」  
まだ肉棒にぬめりがある。千砂が咥えたまま放さないのだ。  
一砂が辛うじて視線を送ると、千砂は更に淫靡な表情を浮かべた。  
そして一砂と目が合った瞬間に再び口と舌の戯れを再開する・・・・。  
千砂の今度の愛撫は激しくはない。  
だが、ペニスからじわじわと注入される悦楽は先ほどとは比較にならなかった。  
一砂の分身には千砂の舌がねっとりと絡み付いている。  
それは時折ピクンピクンと生き物のように蠕動し、裏筋とカリをも同時に刺激する。  
こうされているだけでも、しばらく待っていれば射精させられてしまいそうだ。  
柔らかな口の粘膜が張り付き、舌だけでは絡み付けない箇所を着実に攻め立てる。  
柔らかく、そして暖かい粘膜が肉棒を包み込み、ねっとりと吸い付いて男の性感を煽り立てる。  
そんなものを一砂は今、味わっているのである…、しかもまだ千砂から射精の許可はもらっていない。  
しかも千砂はピストンのようにペニスを口から出し入れし、更にここからねっとりと「男」をしごくのだ・・・・そう、ねっとりと。  
「千砂っ……!」  
たちまち射精感が限界に達する。千砂の口がほんの一往復しただけで、一砂は  
喘ぎ声を上げてヒクヒクと震えた。気まずさと恥ずかしさがありどう声をかけたら良いか解らない。  
 
痺れるような快感が下半身から全身に走り巡る。  
「千砂、もう駄目だ! オレ、オレもうっ……ダメッ……!」  
一砂がそう観念したところで、千砂はまた上目遣いで一砂を見つめた。  
一砂はその瞳に、獲物を捕らえた獣の目と同じものを感じた。  
千砂は一砂が限界を告げても許可を下さない。クールな視線で一砂を見透かしたように射抜いていた。  
口内で舌と粘膜を絡みつかせたペニスが突然膨れ上がるのを感じた瞬間  
千砂は一気に肉棒を吸い上げた。  
「ああっ……! うあっ、く……はあぁあっ……!」  
堰を切ったかのように、凄まじい快感が一砂の芯にほとばしった。  
口の中に出したらマズイだろと考え、一砂は口から抜く  
今までにない勢いで白い情熱が放たれたのが一砂にもはっきりと分かった。  
全身を痙攣させながら千砂の口に精液を放つ。肉棒の脈動が更なる快感を招き、二度、三度ドクンドクンと、  
悦楽と共に精子を絞り出すようにペニスが震えた。  
しかし、欲にまみれた白濁は千砂の顔に容赦なくかかった。  
美しい顔が歪み、上気した頬に一砂の源が流れる。  
「一砂、あんた…………」軽く睨む・・・  
慌ててティッシュで顔を拭く・・・・  
 
手洗い場で千砂は済ませて、床に入った・・・  
隣にいる一砂に一言「これからは飲んであげるから、動かさないでね」  
『これから』というセリフに闇の中で不覚にも笑みを浮かべて一砂は眠りについた。  
 
 
第4夜  
 
千砂は大量の精液が放たれたのをすべて口で受け止め、射精が続く間、ずっと吸い上げ続けていた。  
恐らく一砂は射精と共に身体の芯から何かが引きずり出されるような悦楽を味わったことだろう。  
千砂は仰け反ったまま喘ぐ一砂を見下ろすような場所に立ち、見せ付けるように口に放たれた精液をコクンと飲み干した。  
口の端から一筋零れた精子を指ですくうと舌で舐めとる。  
一砂はその淫蕩さに思わず見惚れてしまった。  
「ふふふ……いっぱい出たね……」  
「そんなっ、だって、……」と言い訳すら浮かばなかった。  
まだ一砂の呼吸は乱れたままだ。荒い息の隙間を縫ってやっと声を絞り出せる程度だった。  
それほどまでに千砂の奉仕は快感だったのだ。  
口内奉仕を始めて1週間近くたった。特筆すべき事は2つ。  
まず、発作がない、前兆はあるものの暗転する衝動は皆無だった。  
次に千砂の性技がどんどん上手くなっていき、どんなに我慢しても果ててしまう結果となっている。  
あれほどの絶頂感を一砂は今まで味わったことがない。  
「一砂…この調子なら………」  
千砂は明るく笑う。  
毎回、性欲を自己処理でもすれば、自慰でも毎日すれば、常人と同じ生活が一砂だけでもできるのじゃないだろうか。  
諦めていた『普通』というのが手に入る。  
そう考えると希望が持てた 。  
淫婦のような仕草をしながら、千砂は一砂の白濁を処理する。  
色っぽく甘美さが感じ取られた。  
そして、ついにそれが来た。  
猛獣が羊を狩るように、いきなり一砂が千砂に襲い掛かった  
千砂は一砂に押し倒され、着物が剥ぎ取られた。  
肩まで白い肌が、見える・・・・  
その肩に一砂が牙を向ける、ためらい無く噛み、赤い液をすする。  
暗転する衝動  
この姉弟にかけられた呪いは2種類のパターンがある。  
一つは激しい頭痛や吐き気があるものの意識がある症状  
もう一つは、まったくの無意識に相手の血を吸いつくという症状  
今回のは自分ではない自分がした後者、これがある限り社会に出る事はできないと双方共に判断していた。  
 
千砂は驚き、次に光悦とした表情に変わった・・・・  
押し倒した男に手を回し  
「ああ…………一砂……やっぱり、どうにもならないのよ…………」  
その言葉を聞き終わらないうちに、一砂はそのまま気を失っていた。  
 
 
五夜  
 
「あら?一砂、勉強は?」と千砂が夕食の片付けが終わり  
居間で、机には向かわず父の小説を読んでいる一砂がいた。  
「あ、ごめん…………結局病人として生きるよ」  
あっけなく答えるのに千砂が軽く落胆するが、病人として共に生きていく  
パートナーは一砂しかいない、やはり唯一無二の存在だと確信する。  
・・・生半可な希望を持つ結果がこれか・・・  
元気なく落胆している姿はどことなく父を連想してしまう。  
以心伝心で一砂の気持ちと進路決定を千砂は悟る。  
 
いつもの治療の時刻となった。  
二人は寝室に入り、千砂も準備をする。  
ふと一砂はもう必要がないのに気付き、そのまま床に入る。  
「しなくていいの?」と千砂が心配そうに答える。  
「うん、………今まで娼婦みたいなことさせてゴメン」とだけ答える。  
初夜は満月が出て月明かりがやたらと明るい、電灯なしでも本が読めそうな夜だった。  
その寝室で千砂はとある決心を決めた。  
「今夜は冷えるね……、寒くない?」  
「寒いなら毛布をだそうか?」まだ、落胆してるのか一砂の返事には張りがない  
「ねえ、そっちに行って温めてくれる」  
・・・・・・しばし無言の後「いいよ、今までしてくれてたし」後半は蚊の鳴くような声だった。  
千砂はよほど寒いのか抱き枕を抱くように一砂に抱きつく。  
冷たい体温だったが、柔らかい肉質と白い肌が触れあう快楽の方が比べようもないくらい大きかった。  
自然と一砂の部分に千砂の手が触れる、一砂の驚く顔が月明かりで十分に解る。  
「嫌いな人間にあんな事できるわけないでしょ」と冷淡に言う。  
 
「私の事、嫌いじゃなかったら抱いて」と更に言葉を続ける。  
 
ふと一砂はパニックに陥り色々な考えが浮かんでは消えた。  
いくらなんでも姉とはしないだろ、あのド助平の木下ですら・・・・  
『田中が、昨日お前が髪の長いスッゲ美人とでっけー家に入るところを見たってさ』  
確かに、美人だ。その美人が今、体を全体密着させている。  
『そのうちショーカイしてね』  
するわけねえだろ!とスムーズに反論も浮かんだ。  
『羊にとって山羊はやはり山羊でしかない』ふと思い出した。  
そうだな、世間にとって俺達はどうでも良い存在なんだよな  
互いに慰めあって何か不都合でもあるのだろうか  
決心したが、言葉は反対だった  
「父さんや母さんがみたら・・・」  
「もうこの世にいない人が何をみるの?何を感じるの?」武道家が立ち会うような瞳で一砂をみる  
『高城家とはもう無縁ですからね』親戚に言われた科白を千砂も思い出した。  
そうお互いにもう二人しかいないということを悟る。  
 
「人間なんてくだらないものよ、肉親を殺しあうより愛し合うのがまだマシよ」  
一砂の行動にはためらいがある  
「あきらめてこっちに来て………もう、どうにもならないのよ」  
千砂のその言葉が合図のように一砂は千砂の帯を解いた。  
月明かりで美しい裸体が映える。  
千砂も一砂の帯をほどき、生まれたままにする。  
そのまま一砂の上に乗り、秘所を顔に押し当てる。「舐めて」  
 
千砂の秘所に舌を這わせていた一砂は千砂が唇を噛んで必死にしているのに気が付いた。  
「苦しい?」千砂は体が弱いからできるだけ負担をかけないようにせねば  
秘所を這わせていたものを指に代え、そっと千砂の唇を舐めた。  
涙の滲んだ眼が薄く開く。  
「……んっ……」  
柔らかな唇を這い回る舌の感覚に声が洩れる。  
眼が覚めると必ず身体を清められ一砂の腕の中に居る。  
眼が合うと見せる照れたような微笑みは好きだ。  
自分だけが一砂のものだと思える瞬間。  
自分だけに向けられた笑顔につい顔が火照るのがわかる。  
困ったような照れているような笑顔・・・・  
そっと頬を一砂の手が包む。  
少し骨張っていて、温かい感触・・・・  
「嫌、?」  
「……え?」  
「続けても良い?」  
柔らかな笑顔に戸惑う自分がなんだか可笑しい・・・・  
「千砂…?」  
困ったような一砂の唇にそっと自分の唇を重ねる。  
「続き、シテ……」  
一砂の手を自分の、胸に当てる。  
柔らかに揉みしだかれる感覚に呼吸が乱れる。  
思わず一砂にしがみつく。  
千砂の髪から柔らかな香が発せられ一砂の鼻腔を擽った。  
「千砂……いい?」  
千砂の秘所に一砂のものが宛がわれるとこれから行われる快感に千砂の秘所は期待に濡れる。  
「……一砂…、早くぅ……」  
焦れてきたのか催促する千砂を突然一砂は仰向けになり自分を跨がせた。  
「ふぁ…あ、なにぃ…?」  
突然の行動が理解できずに、一砂を跨いで困った表情を見せる千砂に一砂は微笑み返すと、  
「自分で挿入(いれ)てみて」と言った。  
「……ン……」  
 
こうすれば千砂のペースで用が足せる。  
やっと意味が理解できた千砂は一砂のものをそっと掴み秘所に当てるとゆっくりと腰を降ろした。  
「はぁ……あ…んん……」  
一砂のもので拡げられてゆく感覚に思考が奪われていく。  
唐突に一砂は腰を突き上げた。  
それによって最奥まで一気に突かれた。  
「ぁあ!……ふぁ…ぁはっ…」  
待ちに待った快楽に声を殺すのも忘れていた。  
ただ一砂から与えられる快楽だけを追った・・・・  
「……ん…」  
夜明けに眼が覚めた。  
眼が覚めた自分はやはり、一砂の腕の中に居て  
千砂を腕に抱いたまま眠っている一砂の寝顔に安堵感を感じた。  
「ありがとう、共に生きましょ………避妊さえすれば……ね」  
そう囁くと一砂の頬にくちづけてまた目を閉じた。  
 
水無瀬志保は出かける準備を終え、母が電話を切るのを待った。  
出かけるまでに時間はまだあるが、父は車を用意に外へ出ようとしていた。  
高城夫妻の葬儀から2ヶ月経ち、もう季節は春を迎えていた。  
妻の病死と共に、夫もその後を追った。  
第一発見者である父母は言葉に出さないが、心中じゃないだろうかと15歳にして勘繰っていた。  
それだけ、妻の看病をしている一砂は思いつめた顔をしていたのを記憶しているし、  
母の「あれは自殺じゃない、病死よ・・・発狂する前に選択した・・・」というのを眠れない夜に聞いた。  
 
耳を澄ますと電話の声まではっきり聞こえる。  
どうやら母の高校時代の友人のようだ。  
その母校が今年から志保が通っている高校だった。  
「でも、葉はいいなあ、お医者様と結婚してかわいい娘もいてさー,私なんか・・・」と電話の主の声は明るい。  
「エミちゃん、木下君を振った事後悔しているの?」と母である水無瀬葉が質問する。  
「うーん、どうだろ、でも、あの頃に戻りたいよ」とエミという30歳半ばの女性は答える  
「私も戻りたいよ・・・」しみじみそう言って、挨拶を済まし電話を切る。  
「お待たせ、志保、それじゃ行こうか。お父さん待っている」といそいそと車へ向かう。  
 
車中で始めに口を開いたのは志保だった。  
「でも、一砂おじさんどうして私なんかに財産を譲ったの?高校の合格祝いにしては高価だよ」  
「たぶん本当はお父さんに譲りたかったのでしょう。でも、税金関係やらとか・・・・  
それに志保は実の子のように可愛がられてたじゃない」と葉が言う。  
水無瀬夫妻は高城の二人を見守るうちに互いが入れない事を熟知していた・・・。  
余った者同士というわけではないが、互いに結婚するなら悪くないという感情までなっていた。  
そして、家族ぐるみで高城夫妻を時折見守った・・・というより志保が妙になついて遊びに行ったり、  
去年の親子喧嘩の末は高城家に家出をしていた。  
一砂と千砂の上手な対応で今の親子関係は順応だと感謝している。  
「実は志保の『志』は一砂おじさんの父から取ったんだ  
お父さんの恩師でね・・・高城志砂という名前だった。」と唐突に志保の父は言った。  
ああ、父や母にとっても縁が深い家なのだと悟る  
 
高城の家に着くとこの家の奇妙さを思い出した。  
従姉弟同士で結婚をし、常に双方の腕に傷があった夫婦。  
高城じゃなく石倉の墓に二人とも入った夫婦。  
一砂おじさんは高校卒業後、画家を目指したそうだが、あまり売れなかった。  
母も美大に入ったが、私が生まれる事になり中退してしまった。  
高城家に遊びに行くと絵を教えてくれた  
絵の面白さを教えてくれたのは葉ではなく一砂だった。  
自然と志保も絵画が趣味になってしまった。  
奇妙だが優しくて、温かい思い出であった。  
 
家の中は一砂が逝く前に整理されていたようで、  
ゴミや日記などは見当たらなかった。  
「わあー、この着物まで貰っても良いのかな?綺麗だよねーお父さん?」と志保が笑って袖を通す  
「着物は綺麗だけど、千砂おばさんみたく私は綺麗じゃないから・・・私もあんな美人になる!」  
という言葉を聞きながら志保の父は苦笑している。  
しかし、ふと葉は絵があるのに気付く。  
全部処分しているところからみるとこの1作だけ後世に残しときたかったのだろう  
千砂の絵だった。今志保が手に取っている着物を着ている。  
この着物の赤い絵の具は・・・あちこちに染まる性質の悪い絵の具だ  
『どうしたら戻る?』『もう戻らないよ』  
ふと、高校時代の会話を思い出した・・・・  
「もう戻れない・・・」葉は泣き始めた・・・夫が部屋に入ってきて  
その絵をみる・・・そして、無言で葉を抱きしめた・・・  
志保はその姿を見てしまい、気まずさから庭へ向かった・・・  
桜が満開に咲いていた光景が目に映る。  
美しさというより、この家の決意みたいな感性を受け入れた感覚がある。  
今年から母の母校である東校に通う事になる。  
「15歳か・・・・私もあの夫婦のように努力家になろう」と志保は思った。  
これから先いろんな辛い事があるだろう、でも、あの二人のように足掻いて足掻いて生きていこう、そう思った。  
風が吹き、桜吹雪が舞い、花びらが志保の手に止まった。  
 
              グッド?エンド版  完  
 
 

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