※みちるとミーコで百合警報※
「うっわー!コレめっちゃおいしー!!どこのメーカーかな!」
「ベルギーからの輸入です。よかったらもう一つどうぞ」
「ええッ!そんな、みちるさんの分まで貰うのは悪いかも……」
と、言いつつも結局はチョコクッキーに手を伸ばすミーコを見て、
みちるはくすりとほほ笑む。
服屋で偶然出会ったミーコをみちるが誘い、
もとよりセレブやら守護家やら妖魔やらに興味のあったミーコは
ホイホイ付いてきてしまったのだ。
ミーコの家の客間三つ分はあるみちるの部屋で、
二人は紅茶と菓子と他愛のないお喋りを楽しんでいた。
ミーコは喋りながらも、アホ程大きい豪邸や調度品に目移りしてせわしない。
対照的にみちるは話を聞きながら、ただミーコへと視線を注いでいる。
「……で、みちるさんって彼氏とかいないんですか?」
「……え?」
ミーコが冗談めいた溜息を吐く。
不意にグラスがカタカタと震え始めた。
「いいなー、アタシにもセレブな人紹介して欲しいなー」
「彼氏……」
さっとみちるの白い頬に朱がさすと同時にアイスティーが噴水のように吹きあがった。
「ぎゃああああ!!??つべだいいいいぃぃぃ!!!!」
「す、すいません。ああ、私ったら……!」
みちるは慌ててハンカチを出すがそれで間に合うはずもない。
制服が濡れてミント色のブラが透ける。みちるは秘かに息を飲んだ。
「やだー、背中に氷入ったー!と、取れない」
「ごめんなさい……あの、着替えを用意しますから、こちらへ」
慌てるミーコの手を引き、みちるは足早に隣のバスルームへと案内する。
(家族の人数+ゲストルームの数だけお風呂あるんだもんなあ
……ホント住む世界が違う)ミーコは無意識に溜息をついた。
通された部屋は脱衣場の癖にミーコの部屋より広かった。
自分の状況も忘れて好奇心を露わに部屋を見回すミーコ。
みちるが先ほどから彼女に注いでいる
伏せがちな、静かな視線に気づきもしない。そのかわり……
「!」ようやく体の異変に気がついた。
腰の中にぞくりと響く感覚。それは不快なものではなく、じぃんと沁みるように広がる。
下着が肌にやたら張り付くのは、お茶で濡れたせいではない。
あ、あたし……何でこんな時に……?
「さあ、風邪をひいてしまうわ。脱いでいただけますか?」
「あ……そ、そうやね」
小首を傾げるみちるに促され、ミーコは制服に手をかけたが、
水を含んだ布の密着と動揺で上手く脱げない。
「よろしかったら……手伝いましょうか?」
「……」ミーコは恥ずかしそうに頷く。
子供の着替えを手伝うように、みちるがミーコの前に立ち
一緒に服に手をかける。
スカートは自分で脱げたがみちるはミーコの目の前で彼女の体をみつめていた。
「みちるさん……近いよ?」淡い緑に黒いレースのリボンが付いたブラと下着。
羞恥からミーコは僅かに身じろいだ。
「そうですか?」みちるの桜色の唇がゆっくりと動く。
「ん……!」再びミーコの下腹に奇妙な感覚が走る。胎内に留まらず、パンツに溢れる何か。
その隙を謀ったかのように、みちるがするりと手をのばしてブラのホックを外す。
小ぶりの胸が二つ、外気に晒された。
「や……だ」
「どうして?こんなに可愛いのに……」
細い指が胸の下からつつ、と降り、最後の布切れに掛った。
「だ、ダメだって!」慌ててその手を捕える。
みちるはあっさりと手を引いて、顔に掛った黒髪をかき上げた。
「そうですね、自分で脱げますものね……」
「……うん」ミーコは己の下着に手をかけたが、そのまま長く迷っていた。
何故こうなったのかも分からず、混乱した頭でも
今、ここで脱いでしまったら濡れた下着を……下手したら液の滴る瞬間をも
見られてしまうかもしれないという危機感はあった。
「あの……」向こう向いていてくれないかと訊く前に、みちるが口を開く。
「やっぱり、出来ないのでしたら手伝います」
「え!」
抗議する間もなく、ぴたりと体を寄せられる。人差し指にそっと力を込めて、最後の砦を引き下ろす。
「み、見ないでッ!!」
「まあ……」みちるが溜息をついた。
中央が濡れて濃い緑に変色した下着。中央から細い糸が光を受けててらてらと輝き。
その上端は薄い茂みの奥へと繋がっている。
ミーコは唇を噛み、目を閉じた。滑らかな太股が視線に震える。
「さ、さっき…から、体おかしくなって……っ…変なの……見られて…のに、あた……最低!!」
声は次第にすすり泣きになった。気づけば頬を涙が伝う。
ふと温かさを感じて目を開くと、滲んだ視界いっぱいにみちるの顔があった。
触れ合った唇を離さないままみちるが囁く。
「泣かないで、ミーコさん。これは私のしたことなのよ」
「……っ!!」
「娑迦羅王は水を暴走させる……
少しずつ抑えられるようになったけれど、近い所はまだ影響を受けるわ。
今、私に最も近い水は……」
みちるの指がミーコの潤みを撫でる。
「は……ぁ!」
「……人体の70%は水分」
一撫でで腰が砕けそうだ。ミーコは後ろによろめいて壁に背を預ける。
「それは私も同じなのだけれど……」
言いながらみちるは自分の白いワンピースの裾をたくし上げた。
白いレースのショーツを脱ぎ去り、荒い息をつくミーコの足の間に自分の片足を滑り込ませた。
ミーコの太股の上に熱く濡れた何かが密着し、自分の濡れた場所には反対に冷やりとした柔らかい肌が当てられる。
「ごめんなさいね……」
それがミーコに理解できた最後の言葉。
言うなりみちるは己の白い太股でミーコの陰部をぐりぐりと擦り始めた。
同時に自分の陰部をミーコの太股に当てて愛液を塗り拡げる。
ミーコの混乱した思考は快楽に逃げ場を求めた。
素肌の小さな胸に、布越しの大きな胸がぶつかり弾む。
首筋、耳、頬、額、唇に何度も何度も触れるだけのキスが落とされて
意味が分からなくなるほど「かわいい」と「すき」を囁かれた。
いつの間にか両手の指と指を絡め合わせる。自ら腰を振ってより深い快楽を与えあった。
「も……ダメ……ひゃ……、ん……」
「き……。好きよ。ミーコ……さ……」
「「ああああああああああああぁぁぁぁぁあああぁッッッッ!!!!!!」」
目が覚めるとベッドの上だった。
服を着ていないことに気づいて慌てて飛び起きたが、
体には汗もぬめりの痕跡も無く、甘い倦怠感だけが行為の名残を残していた。
「水を操作して清めましたから」心を見透かしたように涼しげな声が振る。
みちるが、今日会った時のように平然と、ワンピース姿で窓辺に立っていた。
「本当にごめんなさいね。もう、こんなことの無いようにするわ。
服はもうじき乾くから、待っていて」
声は不自然なほど静か過ぎた。みちるは先ほどから庭を見つめて、こちらを視界に入れない。
「無いように……って、どうやって」
「思えば妖魔の事で迷惑に巻き込ませてばかりね。
もうあなたには近寄らないわ。本当に……本当にごめんな…!!」
考える前に体が動いた。ミーコは裸のままみちるに駆け寄り、
両手で頬を挟んでこちらを向かせた。
たじろぐみちるの瞳を覗き込む。
「時生みたいなこと言わんといて!!逃げないでよ!そりゃ……びっくりしたけど。
アタシ…素敵な友達が出来て……できると思ったのに」
言いたい事だけまくしたてて、ミーコはそっとみちるの唇を奪った。
みちるはゆっくりと瞬いた。涙の粒がひとつ、頬を伝う。
「ありがとう」
明るい初夏の窓辺に、ほほ笑みが二つ咲いた。
おしまい。