「走るの嫌いだーッ!!もう辞めるー!!」
「ちょっときょーちゃん、早まらない早まらない」
「そうそう、せっかくこないだの公演で良い演技できたじゃんか?」
「でもでもでも!もうだめだー」
「やれやれ…なんだか去年の麻井を見てるみたいだぜ」
「がびーん」
「ちょっと甲斐くん、それはひどいんじゃない?」
「あっ、悪ぃ…でもまぁ、麻井、あれなんとかしてくんね?
なんとかできるの、お前だけっぽいし」
「ど、どうして、私…?わ、私に、なにか、できるのかなぁ…」
「やだやだー!辞める辞めるーー」
「あ、あの、きょー、ちゃん…」
「麦先輩…?」
「…あ、あの、もうすこし、がんばって、みようよ?
これからいいこと、あるかも、しれないし…ね?」
「続けます」
「決断早ッ!!つーか現金!!」
「やっぱりな…麻井が言えば、ああなると思ってたぜ」
「甲斐くんもおんなじだったからねー。にひひひ」
「なっ…神奈!?」
「つーかさ、自分で自分の首絞めてない?いずれきょーちゃんに麦チョコ、とられちゃうかもよ?」
「いや、それはない」
「へ?」
「あいつも俺と同じ、ヘタレ遺伝子の持ち主だから」
「…あちゃぁ。自分で言ってりゃ世話ないな…」