必殺仕事人2009・第五話「因果応報」の続き  
 
耕太の頼みを受け、仕事人達は動いた。まず小五郎が茂兵衛と仁吉、子分たちを斬り、  
源太は、宗兵衛を裏切った宮大工仲間の佐平を、主水は松木屋を仕留めた。  
そして涼次は、説法中に床下から忍び寄り、針の一刺しで正円を葬った。  
残るは田上重太郎ただ一人…。  
 
 
夜、田上は自室で棋書を片手に、碁を並べていた。ふと、昼間の正円の台詞が頭をよぎる。  
 
『地震でも来て大仏が壊れればよいのだが。大仏が無くなればまた建て直す。  
 そうすればまた商い税。我々の懐も永久に安泰というわけです…。』  
 
自分も善人とは言えないが、あの坊主は大悪党だ。まあ、そのおかげで儲けさせて  
もらっているわけだし、大した生き仏様もあったものよ…。  
田上が薄く笑いを浮かべた時、蝋燭の灯が揺れた。閉めた筈の障子に隙間が空いている。  
その隙間から、何か書かれた紙が押し込まれ、室内にぽとりと落ちた。  
子宝大仏の手抜き部分を指示する、秘密の図面だった。  
(曲者……!!)  
何者か知らぬが、この秘密を知っている者を生かしておくわけにはいかない。  
蝋燭を吹き消し、刀を手に取った。月明かりに照らされ、曲者の影が障子に映し出される。  
渡辺小五郎であった。  
 
音もなく刀を抜き、そっと鞘を置いた田上は、障子の影に向かって忍び足で進む。  
一歩。二歩。三歩。そして無言の気合を込め、渾身の力で影を一突きした。  
しかし声も音もしなくても、小五郎にとってはその殺気だけで十分であった。  
障子を突き破った切っ先を、一歩軽く下がってかわす。素早く刀を抜くと、その切っ先  
めがけて刀を振り下ろした。折れた田上の刀が宙に舞う。  
小五郎はその勢いのまま、障子を横一閃になぎ払った。真っ二つになった障子の上半分が  
がたんと畳に落ちる。その向こうで田上は、信じられぬといった表情を浮かべたまま絶命していた。  
ゆっくりと床に崩れ落ちてゆく。小五郎はそれを一瞥して刀を収め、立ち去って行った。  
 
数日後、小五郎は正閣寺の境内を歩いていた。つい先日まで、子宝大仏への寄進や、  
正円の姿を拝みにやってきた人々でごった返していたのが嘘のように、寒々とした境内には、  
人っ子一人の姿も見当たらなかった。  
その小五郎の草鞋に、木枯らしに吹かれて飛んできた瓦版が貼り付く。  
『正円和尚様、説法中にご入滅。子宝大仏建立取り止めに。』  
という文字が見えた。  
 
正円が説法中に急死したのと同じ夜、その強力な支援者である田上までもが何者かに  
殺害されたことで、大仏建立の気運は急激に萎み、計画は中止に決まったのだった。  
もちろん、その両名を冥土に送ったのが、小五郎達仕事人であることは誰も知らない。  
「因果応報か…。」  
無表情に小五郎がつぶやく。瓦版は再び木枯らしにさらわれ、どこかへ飛んで行った。  
小五郎は踵を返して、正閣寺の境内から歩み去ってゆく。  
 
「ただ今戻りました……な、何ですかこれは!?」  
帰宅した小五郎が驚いたのも無理はない。部屋中が大仏ならぬ小仏で埋め尽くされていたのだ。  
小仏の飾り付けをしていた義母・こうが振り向いてにっこり笑った。  
「お帰りなさいませ、婿殿。大仏建立が駄目になってしまいましたでしょう?  
ですから代わりに高円寺で買って参りましたの、子宝小仏。」  
「…一体、何個買ったんです?」「百個です。」「百個!?」  
嫌な予感がして、小五郎は寝所の襖を開けた。案の定、布団の周りも小仏でぐるりと囲まれていた。  
「百個そろって初めて願いがかなうのです。これで、ややこの顔も見られるというもの。」  
妻のふくが、ぽっと頬を赤らめたが、小五郎は頭を抱えたくなってきた。  
「い、一体、いくらだったんですか!?」  
「安いものです、たったの四両二分。」「よ、よんりょうにぶ!?」  
「さあ、ご遠慮なくお励み下さいませ。」  
思わず立ちくらみがして、へなへなと座り込んでしまう小五郎であった。  
 
その夜。  
 
「なあ、ふく。」「何でしょう、旦那様。」「眠れないんですけど。」  
無理もない。小五郎とふくの布団の周りは、小仏で埋め尽くされている。その視線に晒されて  
いるようで、とても眠れたものではなかった。  
「あの、眠れないようでしたら……その……子作り……。」  
「い、いや、それはまた、今度にしよう。明日も忙しいし。」  
もちろん口実だ。明日は見たい芝居があるので、早めに奉行所を抜け出すだけなのだが。  
「でも、せっかく母上が小仏だけでなく、お薬も買ってきて下さったのに。」  
「薬? 何の?」  
「何でも殿方がお強くなる薬とか。すっぽんとまむしの粉、それに高麗人参と他にも漢方の…。」  
「うわ……全く義母上ときたら…。飲みませんよ、おやすみ!」  
小五郎は布団を頭からかぶって、潜り込んでしまった。  
「もうっ…!」  
ふくは口を尖らせ、恨めしげに小五郎の布団と、精力剤の紙包みを見比べてため息をついた。  
 
それからしばらくして、うとうとしていた小五郎は、何か聞こえることに気付いた。  
布団から顔を出してみると、ふくはこちらに背を向けて寝ていた。しかし布団が  
もぞもぞ動き、断続的に声が漏れる。どうやら、ふくの声のようだった。  
「ん……うっ…………う…………。」  
しかも呻き声を無理に抑えているように聞こえる。不安になった小五郎は、ふくに声をかけた。  
「どうした、ふく。どこか痛いのか?」  
ふくの布団が、びくっと動いた。ふくは背を向けたまま小五郎に答える。  
「ああ、お、起こしてしまって申し訳ございません。な、何でもありませんから……。」  
「何でもないということはないだろう、随分苦しそうだぞ。どれ、見せてみなさい。」  
「いえっ!…本当に何でもないのですから…!」  
「余計な気遣いはするな、見せなさい!」「や、やめ…!」  
小五郎は嫌がるふくから、布団を剥ぎ取った。そして小五郎が見たのは、白無垢の小袖の前をはだけて  
下半身を剥き出しにし、小仏を女陰に挿入したふくの姿であった。ふくは小仏を張り型の  
代わりにして、自らを慰めていたのだった。  
 
「いやあっ!」  
真っ赤になったふくは小仏を放り出し、布団を頭からかぶって、わっと泣き出してしまった。  
小五郎は、どう声をかけていいかわからず、困惑する。  
「お、おい……。」  
ふくは泣きじゃくるばかりだ。小五郎はため息をついたが、思い切って正座しなおすと、  
布団をかぶったままのふくに向かって土下座した。  
「私が悪かった。すまなかった!」  
泣き声が止んだ。まだ向こうを向いたまま、ふくの頭が半分だけ顔を出した。  
「旦那様はお嫌いになったでしょうね……このような淫らで、はしたない女は……。」  
「い、いや、そんなことはない。お前が淋しい思いをしていたのなら、それは私の責任だ。」  
「……………………。」  
「私が子作りに積極的でなかったから…。だが、決してお前が嫌いなわけではない。  
むしろ、お前のような可愛らしい妻を持つ事ができて、私は幸せ者だと思っている。」  
 
これは本音であった。夫婦になって何年にもなるが、いまだに少女のようなあどけなさを保ち、  
家事もこなし、心遣いも細やかなふくは理想の妻であった。小五郎が子作りをしたがらない  
理由はただ一つ。自分が仕事人だからであった。数多くの人の命を奪ってきた自分が、  
のうのうと子供を授かっていいのかという想いがある。それに危険が付き物の裏稼業では、  
いつ自分の方が命を落とすとも限らぬ。父無し子の悲しむ姿は嫌というほど見てきた…。  
 
「そのお言葉、まことでございますか?」  
「ああ、まことだ。」  
「されば、お言葉だけではなく、実際に示していただきとう存じます。」  
ふくは起き上がると、手早く帯をほどいた。小五郎があっけにとられる間もなく、  
小袖も脱ぎ捨てたふくは、一糸纏わぬ裸身になった。夜の営みを敬遠していたので、久々に見る  
ふくの肉体であった。体の線は全く崩れておらず、乳房も形良く整っている。色気がにじみ出て  
くるようであった。そして思わず見とれた小五郎を、ふくは布団に押し倒すと唇を吸った。  
「はっ……んむぅ……んんぅ……!」  
ふくは舌を差し込み、小五郎の舌に絡めて、獣のように貪る。長年放置された思いの丈を  
ぶつけるように、執拗に舐め続けた。息苦しくなった小五郎は、顔をそむけて逃れる。  
「ぷはぁっ!ふ、ふく、お前…!」  
「はぁっ、はぁっ……だ、旦那様がいけないのですよ。私だって女です。長い間放っておかれて  
平気だとお思いですか。体が……疼いて……もう……。」  
ふくの息は荒い。話している間も、一刻も我慢できぬとばかり、左手で自らの乳房を揉みしだき、  
右手は女陰をまさぐっている。くちゅくちゅと、湿った秘肉の音がした。  
「ですから、どうかこの火照る体を鎮めてくださいませ…!」  
 
言いながら、ふくは小五郎の夜着の前を広げ、股間に手を伸ばした。さすがの小五郎の逸物も、  
思いもかけぬふくの姿に無反応ではいられず、むくむくと屹立し始めていた。ふくはそれを握ると、  
白魚のような指でしごき始める。たちまち逸物は硬度を増し、勢いよく立ち上がった。  
「うっ……はあっ!……お、おい、ふく……。」  
「ああ、このようにご立派なものを持ちながら、なぜ私に触れてくださらないのですか。  
今宵こそは、もう逃がしませんから……!」  
小五郎の逸物は、既に垂直に近いほどそびえ立っていた。ふくはそれでも足りぬとばかりに、  
逸物を可憐な口で咥えた。音を立ててしゃぶり始める。  
「ふむぅ!……んん…ちゅっ…んっ!……は…んんぅっ…!」  
「お、おおっ……うっ……!」  
小五郎の股間から、かつて味わったことのない快感が押し寄せる。まさか、あの貞淑で大人しいと  
ばかり思っていたふくに、このような積極的な面があろうとは。いや、もしかすると日頃の良妻ぶりは  
仮の姿で、この本能のままに快楽を求める、淫乱な牝の獣こそが本性だったのではあるまいか……。  
 
もはや小五郎の逸物は、はちきれんばかりに脈動していた。涎を垂らしながらそれを味わっていた  
ふくはようやく口を離した。そして小五郎にまたがると、逸物の上にそろそろと腰をおろす。  
「さあ、これからでございますよ、旦那様。どうか満足させてくださいませ…。」  
ふくの目はらんらんと輝いていた。小五郎の逸物を女陰に当てると、ずぶりと自ら突き入れた。  
「あっ、はあうっ!……んああ、あっ!」  
夫婦として交わったのは、いつ以来であろうか。久しぶりの快感に、ふくは陶酔した声を上げた。  
そのまま腰をゆっくりと上下させる。小五郎の逸物が、蜜をしたたらせるふくの女陰に出入りし、  
その様を見たふくの興奮は一層高まる。  
「ああ、旦那様……こんなに硬い……もっと、もっと……!」  
ふくの腰の動きが次第に激しくなってきた。小五郎の両手を取り、自らの乳房に押し当てさせて、  
その手で揉みしだく。小五郎の手のひらに当たるふくの乳首は、硬く勃起している。  
「んううっ!…あっ!……あああっ!……旦那様…旦那様ぁ……!」  
 
熱に浮かされたように叫び続けるふくは、狂ったように腰を振った。形の良い乳房がふるふると揺れ、  
その胸元や背中から汗が滴り落ちる。じゅぷじゅぷと音を立てる女陰から、小五郎の逸物が出入りする。  
「ああ、ああ、旦那様!……私、もう、果ててしまいます……!」  
「お、俺もだ、ふく…!いくぞ…!」  
小五郎も限界であった。ふくの尻を鷲掴みにし、激しく一度、そして二度腰を突き上げた。  
「あっ! ああっ!!……!」  
一際高い声を上げて、ふくがのけぞる。小五郎はふくの中にありったけの精を放った。  
体を一瞬硬直させたふくは、小五郎の上にゆっくり倒れこむ。ふくも絶頂に達したのであった。  
 
数年ぶりの、しかもかつてないほどの激しい交わりに、二人は折り重なって抱き合ったままで、  
しばらく息が整うのを待った。  
「はあっ……はあっ……さすが旦那様、ご立派でしたわ。」  
「私も、お前がこんなに激しいとは知らなかったよ。」「や、やだ……。」  
ふくはぽっと頬を染める。小五郎は一安心した。  
「これでお前も満足して…。」  
「まあ、何をおっしゃいますか、旦那様。」  
小五郎の言葉をふくはさえぎった。再び目が妖しく輝き始める。  
 
「今宵はもう逃がしませんと申したはず。それに……旦那様に飲ませるはずだったお薬、勿体無いので  
私が飲んでしまいました。おかげで体が火照って……ああ、また……!」  
「え!?」  
ふくは悩ましげに体をくねらせる。小五郎は慌てて枕元を見ると、確かに先程見せられた薬の紙包みが  
空になっている。男でもかなり効果があるはず。それを女が飲んだら…。  
「ああっ、体が…体が疼く……!旦那様、もう一度お情けを…!」  
ふくはまだ小五郎とつながったままだったが、小五郎の上から降りた。女陰から大量の精が流れ落ちる。  
それにも構わずにふくは、放ったことで徐々に収まりつつある小五郎の逸物を握った。小五郎の精と、  
ふくの愛液で、逸物はまだぬるぬるしている。それをしごきながら、ふくは再び口に咥えた。  
「お、おい、こら、ふく…!」  
「んんぅ、んっ、はあっ……旦那様、今宵は寝かせませんからね…!」  
 
 
翌朝。いつも通り、こうとふくは朝食の支度をしていた。小五郎はまだ起きて来ない。こうがふくに尋ねた。  
「どうでした、ふく。夕べの婿殿は? 薬の効果はあったのでしょうね。」  
「ええ、それはもう逞しく……五回も……。」  
ふくは恥ずかしげに笑顔を見せて答えた。顔は艶々として、いつも以上に輝いている。  
ただ、薬を飲んだのが自分の方だということは内緒だが…。  
 
「まあ、五回も!? 婿殿もやればできるではありませぬか。これで跡継ぎも期待できようというもの。  
それにしても遅いわねえ…。婿殿、婿殿! いい加減に起きて下さいませ!」  
こうの声に、寝所の襖がようやく開いた。小五郎が這ったまま顔を出す。ふくとは対照的に  
小五郎はげっそりとやつれていた。頬がこけ、目の下には隈ができている。  
「は……義母上……今日は体の具合が…優れませぬ故…。ふく……す、済まぬが奉行所に行って……  
今日は休むと……伝えてきてくれぬか……。」  
「何をおっしゃいます、婿殿! そのような有様で武士が務まるとお思いか!」  
「いや…ほんと……腰が……立てないんですけど……。」  
ふくはくすくす笑いながら、二人を眺めていた。空は晴れ渡っていて、清清しい朝だった。  
 
(了)  
 

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