必殺仕事人2009・第二話「厚顔無恥」より
(あらすじ)
からくり屋の源太が知り合った若い浪人・佐藤数馬。彼が通う
名門剣術道場の嫡男・笠原太平は付き人の加治田・松村と共に、
夜な夜な辻斬りを行なっていた。それを知って道場を辞めようとした
数馬は、稽古中の事故に見せかけ、太平らに殺されてしまう。
事故死を不審に思った太平の父の道場主・笠原監物は太平を詰問し、
数馬殺しと辻斬りの事実まで聞き出す。しかし息子可愛さのあまり、
全てを隠蔽し、ほとぼりが冷めるまで太平を旅に出そうと画策。
その会話を聞いてしまったのは、息子の死について問い詰めようと
道場を訪れた数馬の母・みち。みちは監物たちをなじるが、開き直った
監物の手で殺されてしまうのだった…。
と、本編ではみちは一思いに殺されてしまうのですが、「以前の必殺
なら、ここでレイープだろ」という声をあちこちで聞いたので、書いて
みました。なお、みち役は賀来千香子さんです。
「しばらく江戸を離れるがよい。後のことはわしが始末しておく。
浪人者のせがれの命などと、お前を代えられるものか…!」
監物の声は苦かったが、固い決意を秘めた声だった。
「父上…有難うございます!」
父の怒る姿に平伏する一方の太平だったが、ようやく安堵し、
深々と監物に頭を下げた。加治田と松村も同様だった。
しかし、その緩みかけた空気を破るように、外から一人の女が
稽古場に駆け込んできた。数馬の母・みちだった。夕刻から降り始めていた
小雨に、着物がじっとりと濡れている。大粒の涙を浮かべた目は
真っ赤だ。先程からの会話の一部始終を聞かれていたのは明らかだった。
「なんという見下げ果てた…ここは人殺しを育てる鬼の住処ですか!」
溢れる涙とともに、みちは監物に罵声を浴びせた。
「恥を知りなさい! 数馬を返して……!」
黙って言われるがままにしていた監物の目に、暗い光が宿った。
「加治田! 松村!」
低い声で命令する。呆気に取られていた加治田と松村が、我に返った
ように立ち上がり、みちの両腕を押さえつけた。
「あっ! 何を!?」
そして太平もゆっくり立ち上がった。何も言わずとも、全員に監物の
意思は伝わっていた。数馬殺し、そして辻斬りのことまで聞かれて
しまった以上、この女を生きて帰すわけにはゆかぬ…。
「放して! 放しなさい!」
必死に身をよじるみちだったが、大の男二人の力をふりほどくことなど
できなかった。監物は静かに言った。
「そなたが息子を愛おしむように、わしも息子を世に出してやりたいのだ。」
身勝手極まる言い様だった。怒りと悔しさのあまり、二の句も継げないみちに、
監物は背を向けた。
「太平、わしは何も聞かなかった。何も見なかった。だが、おのれの不始末は
おのれで片をつけるがよい。」
そして足早に稽古場から出て行った。
「待ちなさい!そんなことが許されるとでも…!」
そんなみちの声は途中で中断された。加治田と松村が彼女を床に押し倒したのだ。
「あっ! 放して!」
暴れるみちの両腕を加治田が、松村が両脚を押さえつけた。太平が羽織を
脱ぎながら、ゆっくりと近づいてきた。歪んだ笑みを頬に浮かべている。
「奥方、ご亭主を亡くされて大分経つと数馬に聞きました。見れば、大きな
せがれがいるとも思えぬほどの、なかなかの女っぷり。体が疼いて仕方がなかった
のではありませぬかな?」
言いながら、太平はみちにのしかかり、着物の胸元を左右に勢いよく広げた。
まだ張りを失っていない、形よく整った乳房がむき出しになる。太平は音を立てて、
その乳房に吸い付いた。
「ああっ! くう、うっ!」
恥辱にみちは顔をそむけた。加治田と松村が目を見合わせて、ニヤッと笑う。
「松村、足を広げろ!」
太平の命じる通り、松村はみちの両脚をぐいっと広げた。
「いやああっ!」
みちの必死の抵抗も空しく、着物の裾が割り広げられ、真っ白な脚と、黒々と
した茂みに包まれた女陰がさらけ出された。太平はその茂みの中に顔を突っ込むと
舌で舐め回す。みちの体がビクンと痙攣する。
「ほれ、どうです奥方。体は正直なものですな。もうすっかりこちらも夜露に
濡れているではありませんか……この牝犬めが!」
加治田と松村が下卑た笑い声を上げた。みちは頭を振って否定しようとするが、
それは太平の獣欲に油を注ぐだけだった。
「今生の別れに、一足先に極楽へ送って差し上げますぞ。」
太平は袴を下ろし、そそり立った男根を取り出す。
「いやあっ! やめなさい、やめて! けだもの!」
みちは涙を流して脚を閉じようとするが、もはや無駄なあがきであった。
太平の男根が女陰に押し当てられ、そのまま一気に貫く。
「ぐうっ!!」
みちの体が硬直した。太平は腰を激しく腰を振り始めた。
「ほう、なかなかよい具合ですぞ。いかがです奥方、久方ぶりの男の味は?
気持ちよければそう言っても構いませんからな。」
獣達の笑い声が、みちには遠い世界のように響いた。なんという恥辱。
息子を殺した男達に体を奪われ、嬲りものにされるなんて…。しかし
みちの心とは裏腹に、女陰は久々の獲物を喜び、しっかりと咥え込んでいた。
それがみちには一層情けなく、悔しかった。
(数馬……あなたの仇を取れない、この母を許して……。)
みちの目からまた一筋涙が流れ落ちた。
やがて太平は絶頂に達し、一声呻くと精を放った。若干の余韻の後、
太平は男根を引き抜いた。女陰から白い液体がゆっくり流れ出る。
「どれ、加治田代わるか。」
みちの体から抵抗がなくなったので、太平はゆっくりとみちの上から立ち上がる。
しかし、代わって袴を下ろそうとした加治田の顔色が変わった。
「師範代! この女、舌を!」
加治田が放したみちの両腕は力なく床に落ちた。顔がかくりと横を向く。
目から光が失われ、口元から血が流れた。みちは舌を噛み切っていた。
一瞬の沈黙の後、太平、加治田、松村は目を見合わせ、衣服を整え始めた。
どうせ最初から殺すつもりだった女だ。それに人一人の死で動揺するには、
三人とも人殺しに慣れすぎていた。三人は声を潜め、死体を捨てる場所を
検討し始めた。その様子を自室からちらりと眺め、監物は障子を閉めた。
雨はあがり、月が雲間から顔を出しかけている。読みかけていた本に
再び目を落としながら、監物は自分自身に言い聞かせた。
(全ては円天一刀流の繁栄の為、太平の為じゃ。浪人者の親子風情の命が
何ほどのものぞ。太平よ、わしの代わりに将軍家指南役の座を掴んでくれ…。)
しかし笠原監物も、太平も、加治田も、松村も、知る由がなかった。自分達の
命も翌晩には終わる運命だということを。仕事人達の手によって、おのれらの
頭上に因果応報の刃が振り下ろされるということを……。
(了)