薙刀が霞を切り裂く。  
手ごたえはない。だが、それは確実にそこにいる。  
「ちっ……」  
舌打ちを一つ。得物を振り払い、刃の先に蟠った邪を散らす。  
紅い瞳を見据え、何も無いはずの闇を見つめる。  
凪の海のような静けさ。彼女が動かないと美しい黒髪が揺れぬほど。  
浅く早い呼吸。薙刀を持つ手が微かに震える。  
神経を集中する。身体を焦がす熱が頭の天辺……角に集中し始める。  
獲物は近いはず。なのに、彼女の前に姿を現さない。  
それが彼らのやり方。彼女達に姿かたちは似ているから、巧みに姿を隠し、機会を淡々と狙う。  
今宵、満月の晩、やっとソレを見つけたのに。  
「逃がしてたまるか……」  
大きく息を吐き出し、目を見開く。  
腕を振り下ろす。翻る袂から紅葉がはらはらと舞い踊った。  
やはり手ごたえは無い。  
 
――いや――  
 
黒い闇が形を現す。彼女の周りに具現化し、雲のように身体にまとわりついてきた。  
着物の襟から身八つ口から異物が侵入してくる。  
しかし、ここで冷静を失ってはソレの思惑どおりになってしまう。  
ソレは鬼。心に住まう鬼なのだから、心の乱れはソレにとって良い寄生場所へとなってしまう。  
だから力の集まる角に意識を集中し。  
 
闇が身体を這いずり回る。  
雪のような肌に漆黒が重なる。  
滑らかな脚を、折れそうなほどの腕を侵略し続ける。  
だが、彼女は表情一つ動かさず、その感触に耐え続ける。  
「……んっ」  
侵略に初めて声をあげる。襟元から入り込んだ闇が胸の果実を襲い始めたから。  
闇は襟をはだけ、さらしに包まれた胸を露にする。白いさらしが闇に食われ、段々と形を失い。  
つんと立った突起が布の合間から顔を出した。  
それはまるで雪の中から顔をだした美しい桜の蕾。  
闇がざわめき立つ。一筋の闇は段々と形を成していった。  
手足や頭、人間の形を描いていき。  
「……下衆が」  
闇の身体の中心で威圧感を出す棒状の何かに、彼女は毒づいた。  
この形を成すということは、これからどのような事が起こるかは想像できる。  
人間の心の中に住まう鬼は凶悪で。欲望に忠実で。  
 
胸に触手状の闇が絡みつき、豊かな胸に巻きついた。搾り取るかのように何度も何度も胸を締め付ける。  
形の良い胸は闇のなすがまま形を変え、肌に紅い痕が浮き上がってきた。  
性的刺激により、つんと立った蕾を触手の先端が吸い付き、強弱をつけ、更なる刺激を与えてくる。  
「ん……あぁ…やぁ」  
押さえていても段々と声が溢れてしまう。火照った身体に夜の空気は気持ちよい。  
力の集まっていた角から、何かが闇へと溶けて行くのがわかる。  
奪われている力。彼女の根源である『怒り』が『快楽』へと変化していくのを感じていた。  
そして、それが恐ろしい事だという事も。  
今の『彼女』だから耐えられる事ばかりなのに。  
平安を愛する『彼女』に変化してしまったら、きっと壊れてしまう。  
 
彼女の心の中に微かな焦りが生まれ、それが闇を増殖させる結果となってしまった。  
闇が更にあふれ出してくる。足首を掴まれ、大きく脚を開かれる。  
「やだぁ……やっ、入ってこないでぇ、うっ、やぁっ、ごめんなさいごめんなさい許してぇっ」  
桃色の唇から零れてくるのは、許しを請う言葉ばかり。  
瞳に宿る光が、紅から黒へと変化し、涙が溢れ始めた。  
露になった下着。白い褌が月の光にさらされる。  
濃い色に変化する褌の隙間から、触手はどんどんと侵入していく。  
闇が吐き出す黒が布をとかし、純な秘貝が姿を現した。  
ひったりと閉じた貝をこじ開けられる。  
「いや、ごめんなさいごめんなさい、そんなトコ開いちゃい……やぁ、んつぅ」  
闇色の触手は彼女の請う言葉など気にせず、溢れ出す蜜を絡め、ぷっくりと顔を出す豆を攻め立てた。  
手足を動かし、抵抗してみるが、逆にがっしりと掴まれてしまい、更に脚を大きく開かれてしまう。  
「い、いやぁっ、豆はやなの! そんにゃくりくりしちゃい……ふぁ」  
悲鳴を上げる唇に触手がねじ込まれた。  
どろりと溢れ出す白い液体が彼女の口の中に流し込まれる。  
呼吸ができない。だから空気を求めてソレを飲み込むが、それが間違いだったのだとすぐに気がついた。  
火照る身体。溢れ出す蜜が白い脚を伝い、地面に滴り落ちる。  
体を襲うのはむず痒さ。感じたことの無い感覚。  
「いやぁ、やらっ、や、ぁ……あっあっ……」  
下半身を襲うむず痒さが触手の動きによって快楽へと変えられていく。  
痛々しく腫れた胸の突起を触手に座れるたび、熱いモノが身体を巡る。  
助けを求め、手を空へと振り上げる。だけれども空には何も言わぬ月が存在するのみ。  
「やっ、あぁっ、もぉ、もっとぉ、もっとおにこのソコを……んっ、気持ちいいのぉ」  
緩んだ顔で、触手が与えてくる刺激に身悶える。もうソレが自らが退治するべき鬼だとは思えないほどに。  
とろりとした笑みで触手に頬ずりし、口に咥える。  
ぐちゅぐちゅと音を立て、ソレをすする。  
絶え間なく溢れる白濁液をおいしそうにしゃぶり、丁寧に舌を這わせ。  
 
今まで動きの無かった人型の闇がやっと動き始めた。  
彼女の腰に手をあて、腰を彼女の貝へと押し込める。  
触手に弄られていたとはいえ、完全には侵入を許していなかった胎内は非常にきつく。  
「やぁっ、壊れちゃうよぉ、おにこ壊れちゃぁっ」  
泣き叫びながらも、彼女も闇の首に腕を回し、強く抱きしめる。  
ぐちゅぐちゅと水音が響き渡り、彼女のあえぎ声が闇に溶けて行く。  
最初は闇が腰を動かし、彼女へと刺激を与えていたのだが、痛みになれてきたのか、彼女も徐々に腰をふり始めた。  
「ふぁ、おちんちん気持ちいいよぉ、中ぐりぐりしてぇ、ふぁ、奥まではいちゃうよぉ」  
整った顎から涎をたらし、快楽に溺れだす彼女は卑猥言葉すらも口にし始めた。  
勢いは増し、やがて彼女は闇の身体を押し倒し、馬乗りになった。  
紅い着物の隙間から白い脚が見え、紅い痕のついた胸が大きく揺れる。  
膝で地面を蹴り、体をゆする。  
「んぁ、すっごいよぉ、すっごい気持ちいのぉ」  
何度も何度も腰を打ちつけ、快楽を求め。  
乱れた髪が彼女の魅惑的な表情を覆い隠した。  
しかし、髪を整える事などせず、腰を動かし続ける。  
 
闇の動きが止まった。小さく震える身体。深く押し付けた胎内に白濁液が注ぎ込まれた。  
飲みきれない液体が接合部分からあふれ出し、一筋の線を描いた。  
しばらく動きが止まり、それからもう一時彼女の腰を押さえつけるため、闇の腕が動いた。  
 
――が、彼女の身体に触れる事はできなかった。  
 
着物から零れ落ちた紅葉が闇の体を押さえつける。もがく闇に、彼女は優雅に髪をかきあげた。  
黒髪の合間から見えたのは、炎のような紅い瞳。  
そして冷淡な笑みを浮かべ。  
「消えなさい」  
手を大きく振りかざすと、地面に落ちていたはずの薙刀が姿を現した。  
刃を闇に向け、一閃。  
 
霞のように霧散する闇に視線を向けず、乱れた着物を整えだした。  
「ちっ、やっぱり性に関する闇は業が深いわね。ここまで苦戦するとは思わなかった」  
少し身体が重いが、どうにか立ち上がり。  
身体に絡みつく闇の匂いに眉を潜めた。  
「この匂いつけて帰ると、犬が煩いか」  
使い魔であり、生成の時の安定剤ともなっている犬の存在を思い出し、大きくため息をついた。  
「確か、この辺に……」  
記憶を思い起こし、周辺の地図を頭に描く。  
淡々と脚を動かし、ある場所へと向かった。  
澄んだ大きな湖。禊の為によく訪れる場所だったりするのだが。  
着物を潔く脱ぎ捨て、全裸になる。  
少し肌に痛いぐらいの冷たい水だが、今の彼女には心地よい。  
月明かりに照らされる少女。  
どんな穢されても失う事なき気高さ。  
 
彼女の名は、日本鬼子――ひのもとおにこ――  
心の闇に住まう鬼を払う、優しくも悲しい鬼娘である  
 

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