「それじゃ、な」
朝日が昇ってから、暫く経った部屋の前―――長い口付けを交わし終えた後、
九峪は香蘭を抱きしめながら言った。
「うん・・・九峪さま?」
「ん?」
「次は何時、香蘭のこと呼んでくれるか・・・?」
いくら精神的に幼いとはいえ、以前から彼女は、九峪が自分以外の女性と
関係を持っているということに気が付いていた。故に自分が九峪から離れているときは、
この上なく不安になってしまうのである。
「あー・・・そうだな」
香蘭の真摯な眼差しを受け、九峪は右下の床へと視線を逸らした。
―――またお前とヤりたくなったら、なんていう訳にゃあいかねえし・・・
面倒臭ぇな―――
心の中で舌打ちしながら、しかし、表情にはそれを微塵も出すことなく、
九峪は優しく香蘭に微笑みかける。
「またすぐに呼ぶって。俺だって、香蘭と離れてたいわけじゃないんだからな」
「九峪さま、ほんとか!?」
「ああ、だからそれまで、いい子にしてるんだぞ?」
「うん、わかたよ!!それで九峪さまにいっぱいいっぱい褒めてもらうのこと!!」
子供のように瞳を輝かせる香蘭を、九峪は笑いを堪えてもう一度抱き締める。
―――ほんと、易いよな―――
香蘭を見送った後、部屋に戻った九峪は、壁一面に大きく開かれた窓から
日の高さを見やり、朝食の時間が近いことを知った。
「さて、んじゃ今日もたっぷりと躾けてやるか・・・」
伸びをしながら言い、九峪が口の端を持ち上げるのとほぼ同時に、戸の奥から
抑揚のない声が掛けられた。
「・・・朝御飯」
「おう、入れ」
いつの間にか障子戸に映っていた小さな影に向かい、九峪は声を掛ける。それから
少し間をおいて開かれた戸の先には、給仕の格好をし、手に朝食の並べられた膳を持った
珠洲が立っていた。
「何やってんだ、早く来い」
「・・・・・・」
射殺さんほどの視線で睨みつけながら、珠洲は九峪の元に朝食を運ぶ。
そして彼の前に乱暴に膳を置くと、何も言わず立ち去ろうとした、が―――。
「おい、こら」
しかし、その細い腕を九峪が乱暴に掴んで引き止める。
「何・・・?」
珠洲は嫌悪の眼差しを九峪に向けたが、九峪はそれを気にも留めない。
「惚けんな、朝のご奉仕がまだだろうが」
そう言ってズボンから半立ちになったものを取り出す九峪。
「っ・・・!!もう、嫌・・・」
「いいのか?お前が綺麗にしなきゃ、志野がすることになるんだぞ」
その、まさしく脅迫のような言葉を聞き、珠洲の目に動揺と、涙が浮かぶ。
「昨日は香蘭とヤりまくったからな。尻の方も可愛がってやったし・・・」
「くっ・・・!」
「俺は別にいいんだぜ?たまには志野にも他の女の味ってやつを・・・」
「やめて―――っ!!」
両耳を押さえた珠洲の身体は、がくがくと震えている。その被虐的な姿を眺めながら、
九峪はさらに自らの分身を硬くさせた。
「私が・・・するから・・・」
「―――『するから』じゃねぇだろっ!!」
「っ・・・!・・・させて・・・下さい・・・」
ボロボロと涙をこぼしながら、珠洲は九峪の前に膝まづいた。
「よしよし、しっかりやれよ・・・」
珠洲の頭を撫でると、九峪は満足げに笑った。
出会った頃から、常に九峪へ敵対心を剥き出しにしてきた珠洲。
この少女を彼が意のままに出来るようになったのは、志野の身体を完全に
自分の虜にしてからのことだった。自分の部屋で志野に睡眠薬入りの酒を飲ませた後、
一人自室で眠っていた珠洲を、九峪は強姦した。それは、彼女が志野を悲しませるようなことをするわけがない、
そう確信していた上での九峪の行動だった。実際、珠洲は志野が九峪を愛していることを知っていたため、
それを表沙汰にすることは出来なかった。さらに九峪はこのことを逆に利用し、
志野にばらされたくなければ―――
を合言葉に、彼女を奴隷同様に扱い始めたのである―――。
「んっ・・・ちゅっ、ちゅ・・・」
「おらっ、手も使え!!」
「くぅっ・・・」
珠洲は言われるままに九峪の竿を握り、ゆっくりとしごきながら亀頭を舐め続けた。
そして数分後―――。
「よし、そろそろいってやる・・・全部飲めよ?」
「んっ、はぷっ・・・んむ・・・」
肉棒をしっかりと咥え、上目使いに珠洲は頷き、九峪に仕込まれたとおり、
頭を激しく前後させ始めた。
「んっ、んむっ、んっ、んくっ・・・!!」
「いくぞっ、いくぞっ・・・!!くおっ!!!」
九峪は限界を感じ取ると、珠洲の頭をがっちりと掴み、彼女の咽頭へと
精液を無遠慮に叩きつけた。
「っ!!んっぐっ・・・こはっ・・・!・・・んぐ・・・んく・・・」
珠洲はえづきながらも、自分に吐き出された全てを飲み下そうとする。そうするまで
自身が開放されることはないことを、これまでの経験で悟っていたからである。
「あっさり飲むんじゃねぇ、しっかり味わえ!」
「ん、んん・・・くちゅ・・・ちゅ・・・」
ようやく大量のザーメンを胃に収めようとした珠洲に、九峪の更なる指示が飛ぶ。
彼女は九峪が少しでも早く満足するよう、口の中に残っていたものを十分に咀嚼してから飲み込み、
尿道に残っていたものを吸い出し、周りに付いていたものも綺麗に舐めとった。
「よぉし、よくできたな・・・ご褒美だっ!!」
「えっ・・・きゃあっ!!」
九峪は突然珠洲を押し倒すと、その可愛らしい着物を勢い良くはだけた。
「なっ、なにを・・・くふぅっ!!」
驚きながらも、その小振りな乳房に吸い付かれ、珠洲は小さく声を上げてしまった。
「やっ、馬鹿っ・・・私としたら・・・くんっ・・・!綺麗にした意味がっ・・・!!」
「だったら、もういっぺん綺麗にしろ・・・大体・・・」
「あうっ、駄目っ・・・!!」
九峪の指が珠洲の股間に伸びる。彼に腰巻を付けることを禁止されていたそこは、すでに外部に晒され、
淫水でテラテラと輝いていた。
「しゃぶりながらこんだけ○○○濡らしといて、なにが駄目なんだ、あ?このエロ餓鬼っ!!」
「うぅ・・・ひっく・・・違う・・・違う・・・」
割れ目を乱暴に掻き回されながら、珠洲はただ泣くしかなかった。
「もっと良くしてやっからな・・・感謝しろよっ、そらっ!!」
「うああああぁっ!!!」
突然、剛直で奥まで貫かれた衝撃に、珠洲は悲鳴を揚げる。しかし、九峪はかまわずに
ピストン運動を開始した。
「おらおらっ、どうだ、珠洲っ!!嫌いな男にぶち込まれてる感想はっ!!?」
「うんっ、あっ、ああうっ、嫌、嫌あぁっ!!」
「いい声で鳴きやがる―――しっかしキツイな、羽江とどっちが狭いんだぁ?」
「このっ・・・うくっ・・・死ねっ、死ねっ!!お前なんかっ・・・あうぅっ!!」
珠洲は呪詛の言葉を吐いたが、それはすぐに自身の嬌声によって掻き消されてしまうのだった。
―――そして暫くの後、とうとう珠洲の身体はいつもの如く
快楽に負けてしまい、自らの四肢を九峪に絡ませるようになっていた。
「あっ、あんんっ・・・やっ・・・こんな・・・やなのに・・・んんっ、はぁっ―――!!」
「ふぅっ、ふぅっ・・・おっ、来た来た・・・喜べ、珠洲!!」
「んうっ・・・な、何が・・・?」
「―――このまま出してやる」
「ひっ・・・!!」
その一言に珠洲は僅かながら理性を取り戻し、九峪から離れようともがく。
「だっ、駄目っ・・・外にっ、あぅっ・・・子供が・・・出来たら・・・」
志野に自分達の行為がばれてしまう―――珠洲は孕むこと自体より、とっさに
そのことを恐れた。
「そうだな、子供が出来たら・・・結婚してやる」
「えっ・・・!?」
一瞬、珠洲の思考が止まる。彼女には、九峪が何を言っているのかがわからなかった。
「結婚してやる、お前と―――愛してるぞ、珠洲・・・」
「なっ、にをっ、急に・・・駄目っ、そんなこと・・・!」
それまでと違った優しい眼差しを向けてくる九峪に珠洲は混乱し、顔を逸らそうとしたが、
その前に唇を塞がれてしまう。それは珠洲にとって、初めてのキスだった。
「んっ、んう・・・」
腰の動きを止め、九峪はゆっくりと珠洲の口内に舌を差し入れる。
絶頂を迎える寸前だった珠洲は頭が真っ白になり、ごく自然に、
九峪の舌に自分のそれを絡ませ始めた。それを確認した九峪は、再びピストンを開始する。
「ぷぁっ・・・!あっ、あぁっ、九峪っ、九峪ぃっ・・・!!」
「珠洲、可愛いぞ・・・全部受け止めてくれ・・・!!」
「だ、めぇっ・・・でも・・・はううっ!!」
「珠洲っ、いくぞっ、珠洲っ!!くうっ!!!」
「えっ!!?あっ、ふあああぁぁっ!!!」
そして九峪のものは珠洲の最奥を突き、直接子宮へと子種を送り込んだ―――。
「・・・帰る」
「ん、そうか・・・」
達した後、暫く九峪に抱かれ、優しく髪を撫でられていた珠洲は身を起こし、
衣服を正し始めた。それが終わると、何も言わずに部屋を出ようとする珠洲。しかし―――。
「・・・九峪」
戸の前で、彼女は背を向けたまま九峪に声を掛けた。
「ん?」
「・・・明日も、この時間?」
「そうだな・・・いや、珠洲が嫌ならもう来なくていい・・・悪かったな」
「・・・・・・別に・・・」
少しの沈黙の後、珠洲はそれだけ言うと、足早に九峪の部屋から去っていった。
「ぶっ・・・くくく・・・うははははははっ―――!!!」
そして完全に足音が遠ざかると、九峪は思い切り吹き出し、大笑いし始めた。
「おい、清瑞!見たか、さっきの珠洲!?ころっと騙されやがったぜ!!!」
そして再び大笑いする九峪の傍らには、いつの間にか清瑞が控えていた。
「・・・九峪様、あまりお戯れを―――」
彼女はそう言い、複雑な表情で九峪を見つめた。
「いいんだよ、たまには飴も必要だろ?それより―――」
九峪は振り向き、すでに冷めてしまった朝食を眺めた。
「早く喰わせてくれよ、な?」
「あっ、は、はい―――!!」
その言葉に、清瑞は顔を紅潮させた。何故なら―――。
「ん、くはにはま・・・」
「ん・・・」
毎朝の九峪の朝食は、全て彼女が咀嚼し、口移しで食べさせているからである。
その背徳的な行為に最初は戸惑っていた清瑞だったが、嫌悪感は無かった。
それどころか、それが日課となって幾日も経たないうちに、彼女の思考と身体は快感を覚え始め、
今ではすっかりその行為の虜となってしまっていた。
「―――食事が終わったら、今度はお前だ、清瑞。長い間してやれなくて、悪かったな」
「そんな―――!九峪様が気に掛けて下さっているだけで、私は十分です・・・!!」
九峪の言葉に目を潤ませる清瑞。彼女は、珠洲以外で九峪の裏の顔を知る数少ない人物の一人であり、
同時に自分が九峪に利用されていることも、十分に知っている。しかし、それでも―――。
「愛してるぞ、清瑞・・・」
「嬉しい・・・私も、あなたを愛しています、心から―――――!!」