“古代(こっち)にしかないもの”  
 
 
 見渡せば夜空一杯の星。使い古された表現だが、手をのばせば届きそうだ。  
現代の日本でこの星空を見ようと思ったら、沖縄にでも行かないと見れないだろう。  
その雄大な光景は、自然と人を無口にさせる。  
だがいま、九峪が沈黙を守っているのは、なにも三世紀の夜空に圧倒されているわけではない。  
隣りにいる美女に、それも二人にはさまれて温泉に浸かるという、両手に花の、他人が見たらなんとも羨ましい状況。  
健全な男子高校生を黙らせるにはそれだけで十分だ。  
九峪の眼は、とうに星なんぞ見ちゃいなかった。目線は人間の視界限度ギリギリを、右に左に行ったり来たりする。  
右隣にいるのは、山人出身の火魅子候補 伊万里 左隣にいるのがその乳兄弟である 上乃 だ。  
二人とも生まれてから、それこそ厭きるほどこの夜空を見上げたはずだが、いまは黙って、ただ天に顔を向けている。  
普段は厳しささえ感じる伊万里の凛々しい顔。その顔もいまは安心したように柔らかい。水滴が細い顎を伝って零れ落ちるのが艶かしい。  
 ……お堅いイメージがあるから、こういう風にスキを見せられたりすると……くるんだよなぁ〜〜……  
こんどは視線を左へ移すと、上乃の上気した顔がある。  
歳はさほど九峪と変わらないはずなのに、そこに色気を感じるとなぜか背徳感が漂う。妹の着替えを見てしまった兄の心境とは、  
こんなものなのかも知れない。  
 ……これが珠洲や羽江だったら、なんも感じなくて……済む…………………よなぁ?……  
まあ、この際は九峪に幼女趣味があるかどうかは置いておくとしよう。  
それはそれとして、さっきから柔らかいものが左側からクニュクニュと脇腹あたりに押し付けられてるのが気になる。  
 
 ……これはヤッパり……アレだよなぁ……  
 チロリッと上乃を見ると、上下に身体を揺すって九峪に乳房を押し付けていた。  
「な!?」  
「九峪様、たまらん♪」  
 妹属性を飛び越えて、小悪魔モードになった上乃が悪戯っぽく笑う。  
慌てる九峪がおもしろかったのか、こんどは身体を小刻みに揺すって、さらに強く、乳房を、いやオッパイを押し付けてくる。  
「んも〜〜 九峪様たらカワイイんだから♪」  
 お調子者ぶりだったら復興軍で九峪の右に出る者はそうはいないと思っていたが………数少ない例外の一人がここにいた。  
揃えていた足を、大胆に九峪の左足に絡めてくる。九峪の下半身はスッポンポンでこそないが、トランクス一枚しか履いてない。  
上乃の生足に、ソレの感触はほぼ百%、ダイレクトに伝わった。  
「ん? んん!?」  
 上乃がその異質な感触に、頭のまわりにクエスチョンマークを浮かべながら、正体を探るべく太股の辺りでコスコスと擦りあげる。  
「あ、上乃!?」  
「ちょっと待って、九峪様」  
 上乃は余程ソレが気になるのか、丁寧にこねるようにソレをこね回す。  
「なにやってんだよ?」  
 ごそごそやってる上乃に、伊万里も九峪の股間の辺りを覗き込む。  
ちなみにお湯はにごり湯なので、すでにハミチンしてるのは二人にはわからない。もちろん九峪本人は気づいてるが『いや〜〜それって、  
俺のアレなんだよ〜〜ははは……』などと言うわけにもいかない。  
「なんかいるみたいなんだけど……」  
「なんかって?」  
「う〜〜〜ん ウナギかなぁ? でもなんかだんだん硬くなってきてんだよね」  
 温泉にウナギは生息できない。ソレを動物に喩えるならば、ヘビが一番近いだろう。耶麻台国の守護獣だ。  
 
「そんなわけないだろ 九峪様、失礼します」  
 そう言って伊万里は、上乃がコスコスやってる辺りに手を突っ込む。  
“ギュッ”  
「うッ!」  
 狩りを生業とする山人の勘か、伊万里は一発で獲物を捕まえた。  
「んん? なんだこりゃ? カメ……かな……」  
 強弱をつけながら、伊万里がキュキュと握ってくる。このまま続けられたら、お湯は益々にごりそうだ。  
「あ、たしかにカメぽい」  
 上乃も手を突っ込んで握ってくる。その触れかたは伊万里よりも大分せっかちだ。  
急速に九峪の内側から力が湧いてくる。鈴は鳴ってない。  
「ぐぅ、ううッ むぅ……」  
「く、九峪様どうかなさいましたか!」  
 突然呻きだした九峪に、伊万里が心配そうに声をかける。こうやって心配してくれるのは九峪としても非常に嬉しいが、  
吐息が首筋に当たってめちゃくちゃ気持ち、じゃなくてヤバい。  
「や〜〜ん 九峪様、死なないで!」  
 上乃が身体を揺するとオッパイもぷるんぷるん揺れて、九峪は視覚的にも追い込まれる。その上二人は手を動かすのもやめてない。  
「二人とも、マジでヤバいって、て言うかわざとやってねぇよなぁ」  
「なにがですか!」  
「なにが!」  
 ……ああ、伊万里の胸までぷるんぷるん……  
 
 
三世紀の九洲に連れてこられてから、いろいろな窮地に立たされたが、まさか味方の美女二人に勃たされるとは、復興軍の連中は  
九峪のことを称えるのに諸葛亮や張良をよく引き合いに出すが、偉大な先人達にもこの状況は想定外だったろう。  
右からは伊万里が、左からは上乃が、さすが乳兄弟、息の合ったコンビネーションで九峪を追い詰める。  
このままでは一方的に嬲られて(二人にそんなつもりはないだろうが)九峪は討ち死にしてしまうかもしれない。……男として。  
そんなことになれば、元々あるかないかの神の遣いの威厳など吹っ飛んでしまうだろう。  
しかし、ここから九峪は凡将ではできないだろう決断を下した。  
 ……なんで俺だけ嬲られなきゃなんね〜〜んだ!……  
 戦場では即断即決。名将と呼ばれる条件の一つだろう。逆ギレのような気もするが、九峪に迷いはなかった。  
“グイッ”  
「「え!?」」  
 二人の肩を抱くと、強引に自分のほうへと引き寄せる。本来なら力で敵うわけもないのだが、不意をつかれたこともあり  
なんの抵抗もみせずに二人は九峪のあまり逞しくない胸元に倒れこむ。  
いま九峪の前、唇が触れそうなほど近くに二人の顔がある。そして九峪が名将と呼ばれるには、まだまだなのが早くも露呈した。  
濡れたように誘う二人の唇。一瞬、九峪は迷った。  
 ……うぅ〜〜ん、どっちにしようかなぁ〜〜……  
 チラッと伊万里を見ると、瞳が潤んだように九峪には見えた。決めたら行動は早い。そのまま顔を寄せると、  
「ンッ!?」  
 静かに唇を重ねた。伊万里の目が驚愕に大きく見開かれる。  
 
「……あ」  
 九峪がすぐに唇を離すと、伊万里の口は呆けたように半開きになった。そこに九峪は再び襲い掛かる。  
「んンッ!?」  
 最初のは偽兵だ。こんどのが本隊である。白い歯並びの城門を押し割って、伊万里の口中に九峪の舌が怒涛の勢いで侵入する。  
第一次防衛ラインを突破された伊万里は、まさか九峪の舌を噛み切るわけにもいかず、怯えるように舌を縮こまらせて、ただ蹂躙される  
しかなかった。  
「ン……む……ん―……」  
 口づけを続けていると、やがて伊万里の舌もオズオズと九峪の舌に絡めてくる。  
本気で嫌がってるわけじゃないとわかり、九峪はちょっとホッした。ならばと、さらに攻勢に出ようとすると、  
“ガシッ”  
 九峪の頭が捕まえられると、強引に左側を向かせられる。  
「!?」  
 こんどは九峪が目を見開く番だった。柔らかいものが九峪の唇に吸い付く。もちろん上乃だ。  
目をギュッとつぶって、九峪の首に腕を巻きつけてくる。いま学習したのか、九峪の口の中に上乃の舌が飛び込んできた。  
「ふむ――ッ」  
 当たり前だがテクニックもなにもない。力任せに口中で上乃の舌が踊る。  
性格を表すようにその舌は、九峪の口の中を勝手気まま、自由奔放に動き回った。  
「んッ……ふぅん……ンンッ…………」  
 だが、九峪も上乃の独壇場をいつまでも許しはしない。  
貪るように舌を吸い上げ、互いの唾液をかき混ぜながら、少しずつ戦場を上乃の口中へと移していく。  
唾を流し込むと、上乃の喉がわずかにコクンッと上下して嚥下する。唇を離すと、上乃の舌が名残惜しそうにのばされた。  
目を開けると、九峪をジッと見る。  
 
「伊万里ばっかり……ずるい……」  
「ずるいって、オマエな……」  
“ガッ”  
 さきほどに倍するスピードで、こんどは右側に首をひねられた。耳まで真っ赤に染まった伊万里の顔がある。  
「九峪様……つ、続きを」  
「あ、ああ」  
 首が猛烈に痛い。まさか、あの伊万里がこんなセリフを言うとは思わなかったので、九峪はちょっと面食らった。  
もっとも伊万里には負けず嫌いの一面もある。上乃を見て、火が点いたのかもしれない。  
「や〜〜ん 九峪様、もっと!」  
 上乃は九峪の首根っこに抱きつくと、自分の胸元に引き寄せた。九峪の顔がふわふわしたものに包まれる。  
「オマエ、なに言ってんだよ!」  
 声を荒げた伊万里が、上乃から九峪を引き剥がそうとする。目の前で伊万里の乳房がぷるんぷるん揺れて九峪を誘う。  
 ……あっちのみ〜〜ずはあ〜〜まいぞ、て、そんな場合じゃねぇか……  
「おいおい、二人とも喧嘩はよせよ」  
 言ってることはもっともだが、緩みきった顔では説得力がない。困ったふうを装いながらも鼻の下はだらしなく伸びていた。  
美女二人が自分を取り合う。このシュチュエーションを本心から嫌がる男はいないだろう。少なくとも九峪はイヤじゃない。  
「よし、じゃあこうしよう」  
 上乃の腕を離すと、九峪はおもむろに立ち上がった。  
 
「「!?」」  
 二人の視線はある一点で止まり、ピシッと音がするくらい表情が固まる。伊万里にいたっては指差しながらずりずりと後ずさる始末だ。  
ちょっと、回線が飛んじゃってるかもしれない。  
「九峪様、これって…オチン……」  
 上乃のほうは比較的冷静だ。しかし、話しかけてるのは九峪の顔にではない。目は下半身から離せないようだ。  
瞬きすらせずにソレを見上げている。  
「ああ……」  
 九峪としてはこうやって聞かれると答えにくい。ちょっと、調子に乗りすぎた気もする。  
「はぁ〜〜」  
 上乃がまじまじと覗き込む。吐息が触れるたびに、ピクンピクンと動く己の牡器官を見て、九峪はなんだか情けなくなってきた。  
「く、九峪様 これ動いてるよ」  
「……うん」  
 好奇心のほうが勝ったのか、上乃がおっかなびっくりだが顔をソレへ近づける。もう、唇がくっつきそうだ。  
「ねぇ」  
「……うん」  
「触っても、いい?」  
「……うん……て!?、ええ!!」  
「だめ?」  
 そうしてもらおうと思ってはいたし、もうすでに二人とも触っているのだが、改めて言われると、『うん』とは九峪の口からは  
言い出しづらい。  
それにいまさらだが、やっぱり神の遣いとしては断るべきだろうか。しかし単なる高校生の男としては、二の句が出てこない。かわりに、  
 
「なに言ってんだよ、オマエ!」  
 再起動のかかった伊万里が妹分の危険な行動を阻止。九峪が心の中で舌打ちしたのは二人には内緒だ。  
「そんなのダメに決まってんだろ!」  
「だいじょうぶだよ、噛んだりはしないだろうし それに以外とカワイイかも♪」  
 ここを評されて『カワイイ』と言われるのは男としてどうかと思うが、九峪はあえて反論はしない。  
 ……がんばれ上乃!……そのまま押し切れ……  
 それどころか、心の中で上乃にエールを送る。九峪のソレが噛みはしないが白い毒を吐くことを、上乃は知らないから言えるのだろう。  
二人のような美女にとっては、ある意味で魔人よりも性質がわるい。  
「だからって……」  
“ギュムッ”  
 なおも言い募ろうとする伊万里を無視して、上乃はいきなり九峪のチンチンを握った。  
「くぁっ!」  
 九峪の口から情けない声が漏れる。さっきから、ずっと情けないけど。  
「へへ〜〜ん、もう触っちゃったもんね♪」  
 伊万里より先がそんなに嬉しいのか、上乃が弾んだ声を出す。触ってもらうのは、九峪としても非常に嬉しいのだが、  
「あ、上乃…… もっと、ち、力を抜け……」  
 剣の柄と同じ感覚で、上乃はチンチンを握っていた。九峪の顔は心なし引きつっている。タマほどではないが、ここを握られて  
強気に出れる男はなかなかいないだろう。  
「ごめんっ!?、九峪様 痛かった?」  
 上乃がスッと力を緩めると、鬱血気味でデスラー総統みたいになっていたチンチンに急速に赤みが差す。  
いくら忌瀬が名医でも、ここがもげたら、さすがに元には戻せないだろう。  
 
「もっと、そっと握ってくれ」  
「うん、て?、あれ? カメ?」  
「えっと、その………ごめん」  
 正体がバレたようだが、勝手に触られたのだから謝る理由はない。のだが、とりあえず九峪は頭を下げた。  
「あ〜〜ん 謝んなくていいってば」  
会ったばかりの最初の頃は、神の遣いのこういったところに二人は大いに戸惑ったが、いまでは素直にそれが嬉しい。  
「九峪様、こんな感じ」  
 上乃は壊れ物を扱うように優しく柔らかく、包むようにチンチンを握る。  
「うん、そんな感じ……で上下に……」  
「上下に?」  
「こすってくんないかなぁ〜〜 なんて……」  
 冗談めかして言った九峪に、  
「わかった♪」  
 にっこり微笑んだ上乃は、ゆっくりと上下に九峪のチンチンをこする。しかし、まあ……  
 ……自分の手じゃないとこんなにいいのか……  
 九峪は感動していた。上乃の手でこすられると堪らなく気持ちいい。  
肉体的な快感はツボを知ってる分、自分でしたほうが気持ちいいんだろうが、女の子に“上乃にしてもらってる”そう思うだけで、  
いつもの三倍増しで気持ちよかった。  
「九峪様、んふ♪ 気持ちいい?」  
 現代に上乃が生まれていれば、何人が幸せに、あるいは不幸になったかわからない、そんな子悪魔チックな笑みを浮かべる。  
 
「ああ……くっ……うぅッ……すごく……」  
「もっと強くしたほうがいい?」  
 いまや九峪は、完全に上乃に主導権を奪われていた。  
「ん? どうするの、強くする?」  
「いや、その、あの」  
「なに?言ってみて……」  
「口で……くわえてみて……」  
「え……えぇ〜〜〜〜〜〜〜っ!!」  
 いままで、余裕たっぷりに微笑んでいた上乃も“口で”というのは想像もつかなかった。余裕はぶっ飛び、顔を口にして叫ぶ。  
見下ろす九峪には、上乃が握るチンチンがマイクに見えた。  
「ダメか?」  
「で、でもここ、オ、オシッコ出るんだよ!」  
「そうだよなぁ 男には夢でも、女はイヤだよな……」  
「あ……」  
“グイッ”  
 なにか言おうとした上乃が横に押しのけられる。  
「……わ、わたしが」  
 震える身体で九峪のチンチンの前に陣取ったのは伊万里だ。  
顔は上げられないのか恥ずかしそうに伏せているが、その小さな声は九峪にはっきりと聞こえた。  
 
「伊万里……」  
 声をかけると伊万里の身体がビクッとした。  
「して……くれるのか?」  
「は、はい……」  
 そろりそろりと伊万里の顔が上げられる。が、その目は固く閉じられていた。しかし、する為には目を開けなくてはならない。  
ゆっくりと目蓋を上げるとそこには……  
「うわぁ!?」  
 伊万里を威嚇する様にチンチンが睨みつけていた。もはや伊万里は逃げることもできない、ヘビの前のカエル状態である。  
「無理、しなくていいんだぞ」  
 一応、形だけは九峪もそんな事を言うが、あまり積極的に止める気はない。  
「だ、だいじょうぶです」  
 意を決してカエルがヘビに挑む。  
頭を撫でるときのように、そ〜と手をのばす。亀頭の部分に伊万里の指が触れるとピリッとした刺激が走ったが、九峪は驚かせないように  
微動だにしない。噛まないことを確認して安心したのか、伊万里は指をチンチンに絡める。  
 ……あのキリリッと凛々しくカッコいい伊万里が俺のチンチンを握っている……  
 神の遣い 九峪 雅比古 は又しても感動。耶麻台国を勃興させねばという思いを改めて強くした。  
 
「……ふぅ〜〜」  
 しばらくは、伊万里とチンチンのにらめっこが続いている。  
やはり他人の排尿器官に口をつけるのは強い抵抗があるんだろう。それでなくてもこの時代の女性は慎み深いのだ。  
『口で』などというのは、三世紀の九洲には観念すらないかもしれない。  
それに上乃に弄られたせいで、先走りの雫が亀頭の切れ込みに溜まって、小さな玉になっている。  
正体のわからない液体に、元々根が潔癖症気味の伊万里の抵抗感は、さらに増しているはずだ。  
「い、伊万里やめたほうが……」  
 そう妹分が声をかけたのが合図だったように、伊万里は小さな口を一杯に開けて、九峪のチンチンを呑み込む。  
温かく濡れた口内の粘膜に、九峪のチンチンは優しく包まれた。  
伊万里の頬には、くっきりと亀頭の形が浮き出ている。神の遣いは、なかなか立派なモノを持っていた。  
「うッ!」  
 息継ぎのためか、伊万里の舌が動くたびに、九峪に鋭い快感が走る。だんだん伊万里にも、それが九峪が気持ちがいいのだとわかり、  
チロチロと舌を蠢かせてくる。  
「ううッ……伊万里……ちょっと……あ、頭振ってみて……」  
 髪を撫でながら“お願い”すると、うっとりとした上目づかいで九峪を見上げて、ゆっくりと頭を前後させ始める。  
“じゅぷ・じゅぷ”と卑猥な粘着音がたち、口元からあふれた唾液が顎を伝って、伊万里の喉元にまで垂れてきた。  
口の周りを唾液まみれにしながら、それでも伊万里は懸命に奉仕してくる。  
そんな健気な伊万里を見て、例によって九峪の内なる力が発動した。もちろん、鈴は鳴ってない。  
完全に勃起しきっていたと思われた九峪の牡器官は、伊万里の口中でさらに体積を増してゆき、丸く尖った先端が喉の柔らかい部分を  
突き上げた。  
 
「んぅッ!?」  
 一瞬、伊万里はえずきそうになるが、それをなんとか堪えて頭を振る。伊万里の髪を、九峪はそっと愛でるように撫でた。  
 ……こういうの…キザッたらしいと思ってたけど……案外自然にできるもんだな……  
 撫でるたびに、伊万里の舌づかいも熱を帯びてくる気がする。できることなら、九峪はいつまでも伊万里とこうしていたい。  
しかし、それはできない相談だ。若い身体の構造的に……  
「伊万里、もう……いい……」  
「んむぅ?」  
 伊万里が悲しそうな顔をする。“なにか失敗したんだろうか?”そんな顔だ。  
「いや、そうじゃなくて……でそう……」  
 伊万里は九峪がなにを言ってるのかわからないようだったが、イヤがられてるわけじゃないとわかり、ほっとした顔をする。  
そして、もっと九峪に気に入ってもらって、この幸せな時間が長く続くようにと、頭を振る速度を速めた。  
「ちょ、おい伊万里……くぅあッ!!」  
「ンぐッ!?」  
 いきなり、九峪の内なる力が白く爆ぜた。一度といわず、二度、三度と、伊万里の口中に欲望の塊がぶちまけられる。  
込み上げる快感に、思わず九峪は、伊万里の頭を押さえつけてしまった。  
最初こそ慌てた伊万里も、九峪のしたいこと、してほしいことを読み取ったように、喉を微かにコクリッと鳴らして欲望の塊を  
飲み込んでいく。そして、そんな可愛い伊万里を見て、九峪の欲望は急ピッチで再編されていた。  
 
 ズルリッと音をさせ、伊万里の小さな口からチンチンが吐き出される。唾液と白濁液にまみれたソレはテラテラと濡れ光り、  
次の攻撃の準備をすでに終えていた。疲れの色も見せず、総司令官 九峪 の命令を待っている。  
「飲んじゃったの……伊万里」  
 いつもより、オクターブの上がった素っ頓狂な声を出したのは上乃だ。心配そうに伊万里の顔を覗き込む。  
その伊万里はしかめっ面だ。しつこく、九峪の精が絡みついているのか、口をモゴモゴさせている。  
見下ろしながら、九峪は心の中で詫びた。  
 ……ごめんな……こっちに来てからタマッてたんだよ……戦争やってるし、周りは女ばっかだし……  
「はぁ〜〜」  
 九峪が懺悔している間に、伊万里は嚥下し終えたようだ。心なし、吐く息が青臭いような気もする。  
「伊万里、うがいすれば?」  
 隣りにいる上乃も、それは感じたらしい。  
「ん? ああ、そうだな」  
 伊万里も素直にその提案に従う。当たり前だが、好きな味ではなかったようだ。それで九峪ががっかりしたかというと、  
 ……我慢して飲んでくれたんだ……なんかそういうの……いいよな〜〜……  
 ご満悦だ。うんうんと頷いちゃったりする。  
「九峪様、さっきのあれって、オシッコじゃないよねぇ?」  
 一人悦に入っていた九峪に、好奇心一杯の目で上乃が聞いてきた。  
こういったことの、経験はなくとも知識はある耳年増だとばかり思っていたが、上乃も伊万里とあまり大差がないようだ。  
まあ、テレビもねえラジオもねえネットなんかは当然ねえ、の時代だから、それは当たり前かもしれない。  
詳しいことはわからないが、夫婦になって初めて性交渉に及ぶという人が、三世紀の九洲ではきっとほとんどなんだろう。  
だから知る必要がないのだ。旦那様が一から教えてくれるから。  
 ……そうだったらいいなぁ〜〜ていう、俺の願望なんだけどさぁ……  
 と、言うわけで、九峪は上乃の未来の旦那様に成り代わり、一から教えてやることにした。  
 
「もちろん違う!」  
「じゃあ、なに?」  
「精子だ」  
「せいし?」  
「精霊の子と書いて、精子だ」  
「ふぅ〜〜ん 随分と大層な名前だね で、それってどんな味?」  
「……なに!?」  
 九峪先生の授業は第二問で答えに詰まってしまった。昔、風呂場で自分のチンチンにトライしたという微笑ましい過去はあるが、  
幸か不幸か成功はしていないので答えようがない。無論のこと、精子を味わうという特殊な趣味もない。  
それに、この質問に関しては、上乃は聞く相手も間違えている。  
「そういうのは……」  
 経験者は語るだ。伊万里を見る。上乃も伊万里を見た。  
「え……」  
 伊万里も、自分に視線が集まってるのを感じて顔を上げる。  
「どんな味だったの?」  
 上乃がつぶらな瞳で、伊万里に質問をぶつける。だがその目が、笑ってるように見えるのは、九峪の気のせいだろうか?  
「ねぇ、どんな味?」  
「ど、どんなって……」  
「飲んだんでしょ♪」  
 本人が狙ってやってるのかどうかはわからないが、上乃の言葉責めにより、自分のはしたない行為を遅まきながら認識した伊万里に、  
じわりじわりと忘れかけていた羞恥心が襲いかかる。  
 
「ねぇ〜〜ん、伊万里〜〜 教えて〜〜♪」  
「ど、どうだって……い、いいだろ!」  
 伊万里は、少し語気を強くして上乃に言うが、いつもの迫力は微塵もない。  
「よくないよ、わたしにだって関係あるんだから ……それとも、やっぱりマズかったの?」  
「え!?」  
 チラッと九峪を仰ぎ見る。  
「あ……」  
 だが、目が合うとすぐ逸らし、小さな、でもはっきりと聞こえる声で言った。  
「ま、マズくは……ない」  
「そうなんだ で、味は?」  
 九峪ににも興味はあるが、さっきから上乃はやたら味にこだわってる。もっとも九峪の場合は、伊万里の口から聞きたい、  
言わせたいという前提がある。味自体はイチゴ味だろうがメロン味だろうがどうでもいい。  
「えっと、その、ちょっと…………しょっぱくて……にがい……かな……」  
「うぅッ! にがいの?」  
「でも、マズくはない……」  
「う〜〜ん そっかぁ……」  
 上乃が九峪を見た。正確には九峪の股間、チンチンを見た。そこはピクピクッと、歓喜の予感に打ち震えている。  
智将である九峪には、この後の上乃の行動は読めていた。彼女はなんでも、伊万里の真似をしたがる。  
「九峪様……」  
「ん? なに?」  
 多少白々しい演技だと、九峪は自分でも思う。  
「わたしも……していい?」  
「なにを?」  
 声が、興奮に上ずっている。上乃の言葉責めを、九峪はうらやましいなぁと思っていのだ。チャンス到来。  
 
「だから、口で……」  
「口で?」  
 上乃の顔も、いまや隣りにいる伊万里に負けないくらい真っ赤である。  
「わかってるんでしょ……」  
「わかんないよ、上乃が言ってくんないと」  
 九峪はノリノリだ。  
「だから口で……その、く、九峪様の……」  
「俺の?」  
「お、…………………オチンチンくわえたいッ!!」  
 言い終わった後、くわッと九峪を睨みつけてきた。ちょっぴり涙目。  
ここまで乙女に恥ずかしいこと言わせて、“くわえさせてくれなかったら許さない!”そんな顔である。  
もちろん、九峪に断る理由なんぞはあるわきゃない………んだけど、  
 ……なんか噛み切られそうでこぇ〜〜よ!!……  
 緊張感を覚えつつ、即席の湯船のふちに腰を掛ける。  
「上乃……」  
 足を開きながら、チョイチョイッと上乃を手招きした。  
九峪の頭の中では、ブランデーグラスを優雅に回している金持ちのイメージ。そういえば、二人の性格は、  
上乃はネコ、伊万里はイヌを連想させる。やたらと撫でたくなるのは、そういうことにも一因があるのかもしれない。  
「はじめに言っとくけど、噛むなよ」  
「うんっ!」  
「よしっ! ……いってみよう」  
 上乃が“カパッ”と大きく口を開ける。虫歯などには縁のなさそうな、白くて健康な歯。  
九峪の腰は思わず逃げそうになったが、紅い舌を見てグッと堪えた。そして、恐怖はすぐに快感にすりかわる。  
 
「うッ!」  
 チンチンを口いっぱいに頬ばった上乃は、しばし、考え込むような顔をするが、その味は思ったほどマズくはなかったらしい。  
すぐに伊万里の動きを再現するように頭を振る。  
しかし、その動きはだいぶ性急なものだ。スタートと同時に、九峪はスパートを掛けられた気分である。  
 ……上乃らしいっちゃあ、らしいんだけど……  
 九峪も出したばかりなので、いくらかは余裕があるが、そうでなかったら十秒を切ったかもしれない。  
 ……こういうのは百メートルよりもマラソンがいいよな……  
 そんなことを思いながらも、手は自然に上乃の髪を撫でつけている。上乃の目が気持ちよさそうに細められた。  
ゴロゴロと喉を鳴らしてもおかしくない。が、  
“ゴクッ……”  
 喉を鳴らしたのは、上乃でも九峪でもなかった。生唾を飲む音。その音は、伊万里から発せられたものだった。  
それを見て、九峪の頬がゆるむゆるむ。  
「伊万里……」  
 いきなり声をかけられて、熱心に妹分の行為を見ていた伊万里は、ビクッを身体をすくませる。  
「立ってみて……」  
 瞳を潤ませながら、まるで暗示に掛けられたように、ふらふらとした足取りで伊万里は立ち上がった。  
「もっと、こっち来て」  
「……はい」  
 伊万里が近寄ってくる。  
「もっと」  
“グイッ”  
「……あ」  
 伊万里の腰に腕を廻すと、九峪は強引に自分のほうへと引き寄せた。  
乳房は、もう目の前である。復興軍総司令官は攻撃目標を定めた。まずは、外堀を埋めるところから始めよう。  
 
「とって」  
「え?」  
「胸覆い、自分でとって」  
 それがあまりにも唐突だったので、伊万里は咄嗟には九峪の言葉が理解できなかったようだ。  
九峪の声が、耳から頭に入り理解していくとともに、羞恥の色が伊万里の身体全体に広がっていく。  
「あ……」  
 許しを請うように九峪の顔を見るが、その顔は意地の悪い笑顔を浮かべている。  
「うぅッ……」  
 伊万里は目をギュッとつぶると、震える指を叱咤して胸覆いを取り去った。  
ゆっくりと、まるで焦らすように、なにも着けてない伊万里の乳房が、九峪の目の前に晒される。乳輪は小さく、乳首は綺麗な桜色、  
色素の沈着などまるで見られない。ふるふると震えて、まるで誘ってるようだ。もちろん、九峪はその誘いに乗った。  
顔を近づける。上目づかいで見ると、不安そうな伊万里と目が合った。  
“ちゅむ…”  
「あンッ!」  
 淡い桜色の突起を口に含むと、伊万里の唇から艶かしい声が漏れ、九峪の頭を掻き抱き、ふくらみに強く押し付ける。  
悪くない反応だ。舌先でくすぐると、伊万里の乳首は少しずつ硬くなってきた。それに軽く歯を立てる。  
「んぅッ!」  
 伊万里がわずかに背を反らせ、たっぷりとしたふくらみが乳首を含んだ口元に押し付けられた。  
九峪はいったん“ちゅぽん”と音を立てて乳首から口を離すと、今度は反対の乳首に吸い付く。そちらも同じように舐めしゃぶり、  
歯を立て、さらには乳輪全体を頬ばるほど強く吸ってやる。  
何度も襲ってくる快感の波に抗う事ができず、伊万里はその度に白い喉を無防備に晒した。  
 
「伊万里、気持ちいい?」  
「は、あんッ……んぁッ……は、はい……」  
 素直な答えに、九峪は大いに満足したが、これが面白くない人間が約一名。  
「くひゃひはま〜〜」(九峪様〜〜)  
「うぉッ!!」  
 もちろん、上乃だ。  
「あらひのほこも、はふれなひへよ〜〜」(わたしのことも、忘れないでよ〜〜)  
「わ、わかったから くわえたまましゃべるな」  
 メチャクチャくすぐったい。  
いつの間にか、上乃も胸覆いを取っていた。よつん這いの姿勢の為か、その瑞々しい乳房はいつもよりも大きく見える。  
下からすくい上げるように乳房を揉むと、応えるように指の形にヘコんだ。  
くわえているからなのか、それとも、凛々しい姉の痴態を見たからなのか、九峪が触れる前から乳首は起立している。  
「ん……んぁッ……んふ……」  
 とりあえず機嫌は直ったようで、またチンチンに集中しはじめた。  
 ……やれやれ、二人いっぺんはたいへんだな……  
 九峪がなんとも贅沢なことを考えながら、再度、桜色の突起にむしゃぶりつこうとすると、  
「九峪様ぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」  
 どこかでかすかに、九峪を呼ぶ声が聞こえた。  
 ……げっ!……いまの声は……亜衣!?……  
 声を聞いただけで、身体がビクッとなる。快感が悪寒と素早くポジションチェンジした。伊万里も慌てて九峪から身体を離す。  
そして、上乃もやっぱり慌てた。  
 
“ガリッ”  
「!?うぎゃぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」  
 九峪のチンチンに激痛が走る。と、同時に刺激も走った。抑えていた欲望が爆ぜる。  
「うぶぅ!?」  
 若さのためか、それとも神の遣いとしての力か、二度目とは思えないほど量は多かった。  
「エハァッ…ゴホッ…ゴホッ…」  
 口元にあてた上乃の手に、精液がボトボトと落ちるのがひどくイヤらしい。……などと、激しい痛みの中で九峪は思った。  
「ほら、上乃、口すすげ」  
 上乃の背中をさすってやりながら、伊万里はすでに胸覆いを着けている。  
激痛に股間を押さえながらも、九峪はそれを悔しそうに見ていた。  
「はぁ〜〜 ありがとね、伊万里」  
「いいから、早くうがいしろ」  
 言いながら、伊万里は上乃の胸覆いを着けてやる。  
「ちぇっ」  
 未練がましく九峪が舌打ちすると、伊万里が振り向いた。  
「あの……」  
「ん?」  
「また……機会がありますよ……」  
「それって……どういう……」  
 九峪がくわしく聞こうとすると、  
「お――――い、こっち、こっちぃっ 九峪様はぶじだぞ〜〜〜」  
 それには答えず、伊万里はごまかすように声のしたほうに大きく手を振って叫ぶ。  
すぐに気づきやがったようだ。松明が一直線にこちらに近づいてくる。姿を現したのは、やはり亜衣だった。後ろには衣緒が続いてる。  
 
「よ、良かった、九峪様 探したんですよ、て、な、なんですか?」  
「なにが?」  
「いえ、わたしをまるで親の仇のような目で……」  
 亜衣の腰は少し引けていた。はっきりとびびってる。  
「気のせいだろ、べつに亜衣が悪いわけじゃない」  
 じゃあ、一体全体悪いのは誰なんだ? この怒りはどこにぶつけたらいいんだ?  
「……………………………………………狗根国だな」  
「はぁ!?」  
 切れ者の軍師にはめずらしく、きょとんとした顔をする。  
「亜衣……」  
「は、はい」  
 そのときの九峪の顔は、いままでになく雄雄しかった。亜衣の頬が赤らむほどに。  
「俺は絶対に狗根国を許さねぇ!」  
 狗根国が九洲を追い出された原動力の一つが、この夜の出来事であることを知っている者はあまりいないし、知られちゃいけない。  
九峪がただのすけべぇ〜〜だということも、歴史の………語られることのない一コマである。  
 
                                    一応終り  
 
 
 
 

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