女子用の制服を着た少年がベットの上で横になっている。
すー、すー、と小さな寝息がきこえる。
(本当に男なのだろうか?)
ふと、そんな疑問が頭をよぎる。
寝ているときもそうだが、普段見るその姿からとても男だとは
想像できない。
(どう見ても女…だよな)
程よく締まった細い脚。それに少し興奮を覚えた。
そしてその脚に手を伸ばす。
(……何をしてるんだ俺は……)
そんな疑問より劣情のほうが大きかった。
脚に手が触れる。
(綺麗だな…)
撫でてみる。
その脚はとても男のものとは思えないほど滑らかだった。
「ンッ……」
声とともに少年の身体がはねる。慌てて手を引っ込めた。
寝返り、仰向けになる。
(…起きて…ないか)
再び寝息が聞こえてくる。
起きていないことを確認し今度は顔に手を伸ばす。
(……マズイな)
これ以上したら取り返しのつかないことになる。
そう思いながらも手は顔のほうへと伸びていく。
顔に手が触れ、指先で髪をのける。
手を顔の横へまわす。
ゆっくりと自分の顔を近づける。
(あぁ、だめだ)
そして唇を重ねる。
数秒。
少しづつ上体を起こし顔を離していく。
(……なんてことをしたんだ)
やり終えたという達成感と、後悔を感じながら急ぐようにして
ベットから離れ、部屋を後にする。
「……キスだけか」
残された部屋には、
寂しげにつぶやく一人の少年がいた。