生温く湿り気を帯た空気が肌を包む。開いた窓からは微かに風が入り込み、暑さで汗ばむ身体を僅ながら心地良くさせた。
「……んぅ…もうこんな時間?」
セミロングの黒髪を枕に散らし、キャミソールと短パン姿の奈瀬明日美は真夏の暑さに項垂れる。
愛しい人からの連絡を逃すまいと肌身離さず持っている携帯を開いてまた閉じる。
夏休みに入った今、高校生の自分は空いた時間を持て余し、恋人は仕事に駆け回る日々。
もう数週間会っていない。彼の声、笑顔、温もりが欲しくて堪らない。
「…会いたい…伊角くん」
寂しさに1人呟き寝返りを打つとベットが軋み音を立て、瞬間、彼が自分の身体を貫き愛してくれた時の記憶が鮮明に蘇る。
左右に開かれた脚、乳房、身体全てが彼の熱によって揺らされ掻き回された。
─ー奈瀬…君が好きだ
熱く乱れた吐息と共に掛けられる愛の言葉に彼への愛しさが増す。
自分に覆い被さり優しく、時には荒々しく唇を塞ぐ彼。
「………んッ」
繊細な指先が乳房と秘部を愛撫し動く感触が奈瀬の身体に甘い痺を与え濡らしてゆく。
彼に抱かれたい、込み上げる欲情を抑えきれず、ジンとうずく秘部に手を添えて人指し指でクリトリスを刺激する。
「ぁ…はぁ…ん」
脚は彼を受け入れている時と同じく左右に開き、空いた手でキャミソールの裾を捲り上げ乳房を愛撫する。
柔らかく汗の滲む膨らみを掌で包み、薄く色付いた実を優しくコネる。
「んぁ…伊角…くん」
カーテン越しの日差しが奈瀬の痴態を晒し、無意識に揺らす腰と下着の中に滑らせた手が淫らに水音を洩らす。
「…伊角くん…あっぁあッ…もう」
汗と愛液で濡れた指で、膣口とクリトリスを擦り伊角が達した瞬間の呻きと身体の震え、そして色のある彼の顔を想像し、愛撫する指先に力を込める。
「ぁ…ッあぁあん!」
その刺激で絶頂を迎えた全身を退け反らせ、奈瀬はその快感に肢体を震わせた。
そして余韻に浸り、また携帯を開くと同時、待ち侘びた人からの着信が届き、奈瀬は気怠い身体を起こす。
「ぁ…伊角くん」
先程の行為のせいか、熱を持つ声音に羞恥しながら彼の声を待つ。
『奈瀬、今日の夜時間空いてるか?』
「うん!伊角くんの為の時間ならいつでも空いてるよ」
そう言うと伊角は「ありがとう」と嬉しそうに笑う。
『もうすぐ帰れそうだから一緒に食事したいんだけど、何処がいい?』
「何処でもいいけど…食事だけ?…その後は?」
久しぶりに会うのだから…奈瀬は期待しながら答えを待つと
『…え…あ…明日休みだから…その…ゆっくりできる』
戸惑い照れた様子が携帯越しに伝わってくる。とても彼らしく愛おしい。
「…大好き、伊角くん」
『………オレも…だ』
きっと顔を真っ赤にしているに違いない彼。今日はいっぱい愛して、そして愛されたい。
END