ディネの唇は僕の体を這いまわり、何かを求めるように強く吸い付いた。  
頬が火照るのを感じながら、直視できずに天井に視線をさまよわせる。ディネがそれに気付き、  
顔を上げて僕を見ると片手で僕の顔を優しく引き寄せて彼女の唇と僕の唇を重ねる。  
ディネの舌が僕の歯列をなぞる。今度は僕のほうからぎこちなく彼女の舌に僕の舌を絡ませると  
ディネは少し驚いたように動きを止めたが、キスをしたまま器用に微笑むと、唇を離した。  
え、と僕が呟くと、ディネは僕を真っ直ぐ見つめて  
「物足りない?」  
といたずらっぽく訊いた。  
反射的に何か言おうとした時、彼女の肩が毛布に隠れてもそりと動くのが見えた。  
同時に今まで感じた事が無いような、けれど似たものなら覚えがある気がするような、  
そんな感覚が腰を襲い、形容し難い快感が体中を駆け巡り、僕の肩はぴくりと震えた。  
ディネが相変わらず微笑んでいる。  
「どうしてほしい?」「……意地悪」  
 

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