屋上。  
青空。  
少し困ったようなあなたの笑顔。  
 
「…ごめんね」  
 
今日、私は大切な人を失った。  
 
※  
 
廊下から、沢山の話し声が聞こえる。  
今から部活をする人、友達と遊ぶ人、家に帰る人、デートに向かう人。  
生徒たちの楽しそうな笑い声が、放課後の校内にはあふれていた。  
なんだか、ドア一枚分の世界がやけに遠く感じる。  
私は誰もいない演劇部の部室で膝を抱えていた。  
 
「…こんな所にいたのか、香織」  
 
急に声をかけられて、弾かれたように顔を上げる。  
 
「泉水ちゃん…」  
 
テニスラケットのケースを肩にかけた泉水ちゃんは、いつものように不機嫌そうな顔で私を見下ろしていた。  
 
「どうしたんだよ。今日、部活休みだろ?」  
「うん…」  
 
私は顔を伏せて、頷く。  
泉水ちゃんが、私の隣に座って胡座をかいた。  
二人して床に座って、衣装を納めたロッカーに寄りかかる。  
言葉の無いまま時間が流れ、廊下が少し静かになったころ、泉水ちゃんが口を開いた。  
 
「嵐士から聞いた」  
「…そっか」  
 
それだけ言うと、泉水ちゃんはまた黙り込む。  
私は、自分の靴下を弄くりながら、昼休みの出来事を思い出していた。  
 
※  
 
今日は私にとってのXデーだった。  
『3月27日生まれのあなたは、自分の気持ちに対して正直になろう!片思い中の人は両思いになっちゃうかも!?』  
『9月23日生まれのあなたは、ラブ運最高!告白するなら迷わず今日!大好きなあの人に想いが伝わる予感!!』  
愛読している占い雑誌には、今日の日付けと共にこんなアドバイス。  
3月27日と9月23日。  
私と嵐士の誕生日。  
今までずーっとこの雑誌を読んできたが、こんなことは初めてだった。  
昨日の夜に思いつく限りのおまじないをし、朝からは精一杯のおめかしをし、戦場に赴くぐらいの勢いで嵐士を屋上に呼び出した。  
昼休みの屋上は閑散としていたが、今から告白をしようとする私にとっては最高の舞台だと思った。  
生暖かい風が、私の背中を押す。  
 
「私、嵐士のことが好き…」  
 
嵐士は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに真顔に戻って、私の身長に合わせるように膝を曲げた。  
 
「ありがとう、香織。俺も香織のことが好きだよ。……でも、俺は香織の事、友達として好きなんだ。だから、香織と付き合うことはできない」  
 
嵐士は少し困ったような笑顔を浮かべ、まるで小さな子供に語りかけるように柔らかな口調でこう言った。  
 
「…ごめんね」  
 
※  
 
泉水ちゃんが、胡座の上についていた肘を、逆の肘に変えた。  
 
「で、こんな所でボーっとしててどうするつもりだよ」  
「……分かんない」  
「家、帰らねぇの?」  
「…泉水ちゃんこそ、部活行かなくていいの?」  
「あんま良くない」  
「じゃあ…」  
「…あのさ、香織」  
 
私の言葉を遮って、泉水ちゃんがこちらを向く。  
 
「俺、恋愛関係疎いんだけど……失恋して落ち込んでる女の子がいる時、男はどうやって慰めればいい?」  
 
驚いて首を向けると、真剣な顔の泉水ちゃんと目が合う。  
まさかこんな事聞かれると思わなかった。  
珍しく真面目な顔している泉水ちゃんに、なんだか逆にイタズラ心が芽生えてきた。  
よし、困らせてやろ。  
慌てふためく泉ちゃんの姿を想像したら、ちょっとだけ失恋の痛みがやわらいだ。  
 
「えっとね、抱き締めて、頭なでなでしながら、甘い声で…」  
 
頑張ったな、って…と言い掛けたところで腕をつかまれて。  
気が付くと、細くて華奢な腕に拘束されていた。  
頭を胸板に押しつけられるような体勢。  
私は、泉水ちゃんから抱き締められてるということに、一瞬遅れて気が付いた。  
 
「え、ちょっ、泉水ちゃん、何して…」  
「頑張ったな」  
「!!」  
 
いつもより低めの甘い声に脳が痺れそうになる。  
泉水ちゃんのこんな声、始めて聞いた。  
女の子のように細い身体は、思ったよりも力強く私を包み込む。  
私より少し大きな手に優しく頭を撫でられる心地よさと反比例して、胸の鼓動はどんどん速くなっていく。  
 
「頑張ったよ、お前は」  
「…頑張って…ないよ…」  
 
私は頑張ってなんか無い。  
占いやおまじないに頼って、結局駄目で。  
嵐士にあんな悲しい笑顔を作らせて。  
今はこうやって、泉水ちゃんにまで迷惑かけて。  
 
「嵐士の前で泣かなかったんだろ?振られても、『大丈夫』って笑ったんだろ?」  
「…………」  
「教室でも無理して笑顔作って…みんなの前でも明るく振る舞ってたろ?」  
 
気付いてたんだ。  
めぐみも笑華も京介も、他の誰も気付かなかったのに…。  
 
「お前はよくやったよ」  
 
…やめて、泣きたくなるから。  
今まで抑えていたものが、込み上げてくるのを感じる。  
 
「泣けよ。…俺、見ないからさ」  
 
私を抱きしめる泉水ちゃんの腕に、力が込められる。  
涙がじわりと滲んだと思ったら、堰を切ったように次々と溢れてきた。  
私は泣いた。  
自分でも恥ずかしくなるくらいに。  
私の涙を吸った部分の泉水ちゃんの制服が、冷たくなって行くのを感じる。  
私が泣きやむまでの間、泉水ちゃんはずっと私の頭を撫で続けてくれていた。  
 
※  
 
「落ち着いたか?」  
「う、うん…」  
 
しばらくして漸く泣きやんだ私は、隣に座る泉水ちゃんと視線を合わせられずにいた。  
だって、なんだか気恥ずかしい…。  
二人を包む雰囲気がいつもと違いすぎる。  
ふいに泉水ちゃんが私の方に手を伸ばし、その綺麗な指が目元付近を撫でた。  
心臓が跳ねる。  
 
「…だいぶ泣いたな」  
「ひ、ひどい顔してる?」  
「ああ」  
 
フォローなし。  
……良かった、いつもの泉ちゃんだ。  
少し残念な気がするのは、きっと気のせい。  
 
「でも俺は、そんな顔も可愛いと思う」  
 
…は?  
 
「え…、それって…」  
 
どういう意味?と聞こうとしたら、また抱き寄せられて。  
 
「…香織」  
「な、なに?」  
「…俺、お前のことが…好きだ」  
 
泉水ちゃんの声が頭の中に響く。  
 
「ずっと、お前だけを見てた」  
 
胸がドキドキする。  
 
「俺じゃ、駄目か…?」  
 
身体が熱くなる。  
失恋したとはいえ、私は嵐士が好きなはずなのに。  
何で、こんなにドキドキするんだろう。  
何で、こんなに身体が熱いんだろう。  
 
「嵐士じゃなくて、俺にしろよ…」  
 
泉水ちゃんの声が擦れる。  
私と同じぐらい早い鼓動が聞こえる。  
私を抱きしめる腕が微かに震えている。  
私は何も言うことができずに、ただ泉水ちゃんの腕の中で、自分と泉水ちゃんの鼓動を感じていた。  
 
※  
 
今日は私にとってのXデーだった。  
だから嵐士に告白した。  
だって、占い雑誌にそう書いてあったから。  
『3月27日生まれのあなたは、自分の気持ちに対して正直になろう!片思い中の人は両思いになっちゃうかも!?』  
『9月23日生まれのあなたは、ラブ運最高!告白するなら迷わず今日!大好きなあの人に想いが伝わる予感!!』  
3月27日と9月23日。  
これが私と泉水ちゃんの誕生日でもあったということを、この時の私は気付きもしない。  
 
『自分の気持ちに対して正直に…』  
 
私は、いったい誰が好きなんだろう…?  
ただ一つ確かなことは、自分の心の中が泉水ちゃんで一杯になっていくという感覚だった。  
 
 
 
香織が学校に来ない。  
あいつが嵐士に告白してから3日。  
つまり、俺があいつに告白してから3日。  
間に土日を挟んで迎えた週明けの月曜日に、香織は学校を休んだ。  
担任は「立花は風邪だと連絡があった」と言いながら、出席簿にペンを走らせる。  
 
あの日、香織は俺の告白に対して頷くことも、首を振ることもしなかった。  
いったい俺は、何分間彼女を抱きしめていただろうか。  
香織が赤くなった目を伏せながら「ごめん、もう帰るね」と弱々しく笑って、俺の腕の中から離れるまでの時間は、1分のようにも1時間のようにも感じられた。  
部室の前で「ありがとう」と言った香織の後ろに見えた、窓から差し込む夕焼けがやけに寂しげに見えた。  
 
退屈な授業が進んでいく。  
ふと香織の席を見ると、隣のクラスの男子が座っていた。  
5時間目の授業は保体だから、2クラス合同で、男女別となる。  
テストも近いということで、今日の保体は教室で保健の授業なのだ。  
授業の内容なんて、頭に入ってこない。  
脳裏には、香織の顔が浮かんでは消え、浮かんでは消えしていた。  
ぼーっと空を眺めていると、前の席から何かがまわってきた。  
俺は、それを受け取ってギョッと目を開く。  
全然授業を聞いていなかった俺が悪いのだが、今日の授業はそんな単元を学習していたのか。  
思春期の男子たちは、配られたそれを物珍しそうに眺めたり、こんなの持ってるからいらねーよ、などと笑い合っている。  
俺は誰かに絡まれる前に、それを鞄の中に放り込んだ。  
 
※  
 
「どうすっか…」  
 
その日の放課後。  
香織の家の前で、俺は立ちすくんでいた。  
結局、俺の頭の中は、一日中香織に占領されていた。  
どうにかして香織に逢いたい。  
昨日の答えを聞きたいわけじゃない。  
ただ、あいつの顔が見たい。  
その一心で、今日配られた香織に渡す分のプリントをめぐみから奪い取ったのだが……香織の家の前まで来て、あいつの父親のことを思い出した。  
香織は、もし家に男子を連れてきたら父親は卒倒するだろうと言っていた。  
俺が今、普通の男子学生の服装でプリントを届けに行っても香織に逢わせてはくれないだろう。  
一度家に帰って、めぐみに服を借りるか…?  
そんな風に様々思考を巡らせている途中で、立花家の玄関が開いた。  
 
「泉水ちゃん…?」  
 
そこには、パジャマ姿の香織が立っていた。  
 
※  
 
「びっくりしたよー。泉水ちゃんが家の前でウロウロしてるんだもん」  
 
香織の部屋に通された俺は、促されて星柄のソファに腰掛けた。  
続いて、香織もその隣に座る。  
俺たち二人が座っても、二人かけ用のソファはまだまだ十分にスペースが残っていた。  
 
「お前んチ、男には厳しいって聞いたから…」  
「あ、今日は大丈夫だよ。二人揃って出かけちゃって、夜まで帰ってこないから」  
「……お前、風邪なのに?」  
 
俺が眉をひそめると、香織は気まずそうな顔をした。  
 
「ごめん、泉水ちゃん。私、仮病なんだ…」  
「仮病?」  
「…うん」  
「……そっか」  
 
香織は風邪をひいていない。  
内心ホッとした。  
一つ溜息をついてから香織の方を向くと、そこには目に涙を一杯溜めた横顔があった。  
 
「ちょ、おま、なに泣いて…」  
「あのね、泉水ちゃん。聞いて欲しいの」  
 
淀みの無い、凛とした声だった。  
 
「私、嵐士のことが好きだった。ほとんど一目惚れで、嵐士の事ばっかり見てた」  
「…ああ」  
 
知ってるよ。  
俺はその事でずいぶん悩んだんだから。  
嵐士の事を好きな女なんか、恋愛対象として論外だと心に決めていた。  
でも。  
例えば、一緒にいるだけで癒される、その可愛くて人懐っこい表情とか。  
周りとの調和を大切にする、その気立ての良さだとか。  
何かに一生懸命取り組んでいるときの、その真っ直ぐな瞳とか。  
誰に対しても優しく接する事ができる、その綺麗な心とか。  
俺に笑いかける時の、太陽のように明るく温かい笑顔とか。  
一緒に過ごす時間が増えるたびに、俺から香織に対しての好きの気持ちも増えていく事を感じた。  
でも。  
香織は嵐士が好き。  
その事実が、俺を苦しめ続けていた。  
 
「だから、告白した。でもね…私、気付いたの。…私の嵐士に対する好きは、憧れだったんじゃないかな…って」  
 
香織は俺の頬にそっと片手を当てて、微笑む。  
 
「ねぇ、泉水ちゃん。私ね、好きな人ができたの」  
 
自分の鼓動が早くなっていくのを感じる。  
 
「その人はいつも側にいてくれて、ぶっきら棒だけど優しくて、私のわがままにも付き合ってくれる、私だけの王子様なんだよ」  
 
そう言った香織の目から、一筋の涙が静かに流れ落ちた。  
 
「私、泉水ちゃんのことが好きみたい」  
 
その言葉が合図となって、俺は何かに突き動かされるように香織を抱きしめた。  
壊れないように、そっと優しく。  
だけど、逃がさないように、ぎゅっと強く。  
しばらくすると、香織がおずおずと俺の背中に腕を回して、控えめに抱きしめ返した。  
不思議な安心感と愛おしさが胸を支配する。  
俺は、あの日と同じように香織の頭をゆっくりと撫でた。  
胸板付近に押し付けられた香織の顔の温度が、少し上がったように感じられた。  
 
※  
 
「今日、学校休んじゃって…しかも心配させちゃって…ごめんね。でも、考えがまとまりきらなくて、嵐士にも泉水ちゃんにも合わす顔がなくて……とにかく、二人に逢う勇気がなかったから…」  
「学校、サボったのか」  
「うん…ごめん…」  
 
香織の涙が収まるのを待ってから腕を解き、俺たちはソファに並んで身を寄せ合っっていた。  
 
「ちげーよ。責めてるわけじゃねぇって。ただ…」  
「……?」  
「……香織に逢えなくて、すっげー寂しかった」  
 
香織の頬がまた赤くなる。  
それにつられて、俺の頬も熱くなる。  
いったい俺は、いつの間にこんなキザなセリフを言う男になってしまったんだろう。  
2人して顔を真っ赤にしながら、ソファの真ん中に小ぢんまりと収まって。  
かすかに甘い匂いのする香織の髪を、右手で撫でる。  
 
「い、泉水ちゃん…!」  
 
香織のパジャマのズボンの上に置かれた右手を、俺の左手でそっと包むと、その小さな身体がビクッと跳ねた。  
 
「香織……キス、していい?」  
「う、うん」  
 
俺は香織の頬を両手で挟み、ゆっくりとその唇に俺のそれを重ねた。  
かすかに震える唇は驚くほど柔らかく、俺を夢中にさせる。  
ただ重ねるだけのキスを、角度を変えながら、何度も何度も施した。  
ふと、香織はどんな顔をしているだろうかとゆっくり目を開けると、真ん丸に目を見開いたまま固まっている香織と至近距離で目が合った。  
 
「おま、な、なんで目開けてるんだよ!」  
「だ、だって、いつ閉じて良いのか分からなくて…」  
「いつって……」  
「だって、こんな事するの、はじめてだし、でもなんか気持ち良いし、嬉しいし、あとそれから、泉水ちゃんのまつ毛長いし…!」  
 
香織はしどろもどろになりながら何とか言葉を発するが、もはや文法を成していない。  
桜色の肌と、真っ赤に色づいた頬。  
ころころ変わる、可愛らしい表情。  
肩口で揺れる水色の髪。  
髪を結っていない香織を見るのは初めてではなかったが、俺の腕の中で上目遣いにこちらを向く香織からは、いつもの幼い印象だけではなく、色気まで感じられる。  
どうしようもなく、切なくて、愛しくて。  
心臓の音ばかりが耳の中に木霊して。  
…頭がおかしくなりそうだ。  
 
「…香織」  
「な、何?」  
「ごめん、俺、我慢できないかも…」  
「え、ちょ、泉水ちゃん!?」  
 
俺は、香織の華奢な身体を抱きかかえて、ソファの手前にあるベッドへと静かに降ろす。  
こちらを不安そうに見上げる香織の耳に口を寄せて、俺はそっと囁いた。  
 
「…なぁ、お前の事、抱いていい?」  
 
耳の中に響く鼓動が、泉水ちゃんの声にかき消される。  
女の子みたいだと思っていたその身体は、私を軽々と持ち上げるほどの力を秘めていて。  
私を組み敷いて切なげに眉をよせた泉水ちゃんの顔は、可愛いだけのいつもの彼とは違って、素直にかっこいいと感じた。  
泉水ちゃんが、私の頭を撫でる。  
 
「香織、嫌なら嫌って言ってくれ」  
「………」  
 
優しい泉水ちゃん。  
 
「お前の事、傷つけたくない。ずっと大切にしたいから…」  
「………いよ」  
 
大好きな泉水ちゃん。  
 
「え?」  
「だから、私の事……抱いていいよ」  
 
私は、あなたに愛されたい。  
 
※  
 
「い、泉水ちゃん!」  
「ん?」  
「あの、私、おっぱい小さいから、あの…」  
 
何度かキスを繰り返した後、泉水ちゃんが私のパジャマの上着についたボタンを外し出した。  
青と白のチェック柄のブラが見えたとき、急激な羞恥が頭を駆け上がる。  
一生懸命おまじないをしても、ストレッチをしても、牛乳を飲んでも大きくならなかった胸。  
私の周りの女の子は、みんな美人で、胸も大きくて。  
それに比べて、私は…。  
 
「ばーか」  
 
顔を上げると、唇に軽くキスの感触。  
 
「大きかろうが、小さかろうが、えぐれてろうが…香織は香織だろ?大丈夫、気にしねぇよ」  
「…い、泉水ちゃん」  
 
自分のコンプレックスを、優しい言葉でかき消してくれる泉水ちゃん。  
その優しさに泣きそうになる。  
ボタンを外し終わると、泉水ちゃんは青と白のチェックのブラを試行錯誤しながら外した。  
私の胸が、泉水ちゃんの前に晒される。  
 
「…ッ」  
 
泉水ちゃんが息を呑んだのが分かった。  
 
「ごめん、やっぱり小さいのなんて嫌だよね」  
 
元々、泉水ちゃんは巨乳が好きだって公言していたし。  
分かりきっていたことだけど、なんだか悲しくなってくる。  
 
「香織」  
 
声をかけられて、顔を上げると、優しい瞳をした泉水ちゃんと目が合った。  
 

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