香織が自分の胸にコンプレックスを抱いていることは知っていた。
確かに、お世辞でも巨乳とは言えないし、ベッドに寝ている状態では、その突起付近が微かに膨らんでいるほどの小ぶりな大きさだった。
だが、白く透き通った微かな膨らみには桃色の突起が熟れたように光り、その光景が俺を誘惑する。
誘われるままにそこに吸い付き、舌と唇を使って丁寧に胸の側面を舐めた。
「…ん…っ」
「大丈夫、香織は十分可愛いし、綺麗だから…」
「ちょっ…、泉水ちゃ…あっ!」
小さな膨らみに手を添え、優しく揉みほぐすと、香織の口から可愛らしい喘ぎ声が洩れた。
「どうだ?」
「あ…なんか、くすぐったいような…」
笑いながら答える香織。
まだまだ発展途上のその身体には、胸への愛撫もくすぐったさが気持ち良さを上回る程度のものらしい。
「そっか。でも…」
揉んでいる手に、何かが当たっている。
手の下では、ピンク色の可愛い乳首がピンっと張っていた。
「うう…恥ずかしいよ、泉水ちゃん…」
手で顔を覆う香織。
自分の身体の変化が恥ずかしいようだ。
「顔見せて。香織の顔、ちゃんと見たい…」
「あ、ご、ごめんね」
慌てて退けた手の下には、朱色に染まった香織の顔があった。
「……触るぞ」
「あっ…ん…!」
揉んでいた手を止め、乳首に指をかけると、香織の表情が少しだけ快楽に歪む。
「痛くないか?」
「う、うん。大丈夫……あっ」
右手はそのままに、左手を離し乳首に吸い付くと、香織が声を荒げる。
「…ん、ちゅ…」
「あっ…ああっ…ダメ、泉水ちゃ…ひゃん!」
舌でカチカチに固まった乳首を転がす度、香織から洩れる声が色っぽくなっていく。
「んちゅ…ぷはぁ…」
その後もしばらく胸を責め続け、俺が満足した頃には香織の小さな胸は俺の唾液でベトベトだった。
「は…あぁ…」
悩ましげな息を吐きながら、半ば虚ろな目をしている香織に軽く口付け、俺は香織の下半身に跨り、下肢の間に自分の右足を差し入れて膝を閉じられないようにしてから、出来るだけ優しく、そっとパジャマごしにその中心を中指でなぞった。
「ああんっ、や、そこは…」
恥ずかしそうな声をあげる香織。
「………」
早く見たい。
そして直に触れたい。
「いや、泉水ちゃん!!」
俺は、香織のパジャマのズボンに手をかけ、下着と一緒に一気に太ももまで下げた。
俺の視線に晒されるのは余程恥ずかしいのだろう。
香織は真っ赤な顔を背けて俺から目を背けた。
恐らく初めて男の目に晒されたであろう、秘部。
淡い茂みが覆う恥丘はふっくらと柔らかそうで、俺は思わず生唾を飲み込んだ。
「そ、そんなにジロジロ見ないで…」
俺の視線に耐え切れなくなったのか、香織の目に涙が溜まる。
「ごめん、香織…」
「あっ…!」
まだ男を知らない秘所の割れ目を、蜜を拭き取るかのように下から上へとなぞると、香織は途端に甘い息を洩らした。
「香織、可愛い…」
「あっ…ひゃっ…ぁあ…んあぁ…」
初めて触る、男のそれとは違う女性の性器。
なぞる度に蜜が溢れ出て、香織が可愛らしく喘ぐ。
「やぁん…ひぃ!」
初めはなぞるだけだった指を、少しづつ中へと侵入させていく。
香織の中は想像以上に狭く、そして熱い。
そのまま、空いている方の手で秘所の上、ちょこんと顔を出した突起を摘む。
「んあぁぁぁっ!」
突然の強い刺激に、香織が悲鳴に近い声を上げた。
「ダメ!そこは、そこは…あぅっ!」
香織は拒絶の言葉と共に俺の肩を押したが、まるで力が入っていない。
秘所から溢れ出る蜜の量も、先程より増えていた。
「ちゅっ…」
「いやぁっ!ダメなの、そこ、汚いから!泉水ちゃ…あふぅっ…!」
指だけでは我慢出来なくなり、気付けば舌を這わせていた。
香織は首を振りながら、喘ぎ声を大きくする。
止まる事を知らないかのように溢れる蜜。
真っ赤に充血した、可愛らしい突起。
「可愛いよ、香織。大好きだ…」
「ああっ!ひっ!ふぁっ…あんっ!泉水ちゃ…あっ…私、変…んあぁぁあぁっ!」
香織は俺の頭を抱えながら、小さな身体を痙攣させて絶頂を迎えた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
必死に息を整えている香織の頭を撫でながら、手を伸ばしてベッドの横にあるカーテンを閉めた。
カーテンが開いていることにすら気付かなかった、自分の余裕の無さが恥ずかしい。
窓の外はすでに日が沈みかけ、夕方と夜の間に、ぼんやりと月が浮かんでいるのが見えた。
ふと思い出し、今度はベッドの下に手を伸ばす。
自分の鞄を引き寄せて、中を探ると、お目当てのものが手に当たった。
今日の保体の授業で配られたもの――――そう、コンドームだ。
俺はそれを手のひらに納め、香織の身体の上へと姿勢を戻した。
「大丈夫か?続き、できるか?」
香織の呼吸がだいぶ治まったのを確認し、声をかける。
「う、うん」
声に反応して、香織がおずおずと俺の顔を見る。
俺は香織の額にキスをしてから、自分の着ているものを全て脱いだ。
ふと視線を感じて香織の方を向くと、香織は口を開けたまま真っ赤な顔をして、俺の下半身に視線を浴びせている。
「な、なんだよ」
「え、いや、そんな風になるんだ、って、あの…」
香織がわたわたと両手を彷徨わせて、それから下を向いてしまった。
そんな反応されると、なんだか俺まで恥ずかしい。
「まぁ、初めて見るんだから仕方ねーよな…」
「あ、でも、男の人のを見るのは初めてじゃないよ」
「え!?」
心底驚いて、香織の肩を掴んでしまった。
「あ!違うの!小さいころ、パパと一緒にお風呂に入ったりしてたから」
「ああ、そういうことか」
…びっくりした。
「でも………泉水ちゃんのとは、形が全然違うような気がするよ」
そりゃそうだろ。
父親が娘相手にコレを勃たせてどうする。
「えーっと…、あのな、香織。男は興奮すると、なんだ、その、こういう形になったりするというか、なんと言うか…」
「じゃあ、泉水ちゃんも興奮してるの?」
「あ、あたりめーだろ!」
照れのせいで少し乱暴になった俺の言葉を聞いて、香織は嬉しそうに笑った。
※
「じゃあ…入れるぞ?」
「う、うん…」
香織の顔に不安の色が浮かぶ。
初めて男に抱かれるんだ。
怖いに決まってる。
「大丈夫、ゆっくり入れるから…」
そんな不安を少しでも減らそうと、優しく香織に言い聞かせる。
「本当?」
「ああ、俺を信じろ」
「うん…」
俺は香織の身体の上に、静かに重なった。
「痛かったら言えよ」
「うん。…泉水ちゃん、きて…」
香織の両腕が俺の背中にまわって、そっと引き寄せられる。
「じゃあ、いくぞ…」
まだ汚れを知らない香織の秘所にコンドームを装着した自身を当て、挿入を試みる。
…が。
「くそっ…」
入り口付近のぬるぬるした蜜に阻まれ、中々入っていかない。
「ひゃん!」
その度に自身が香織の割れ目を擦り、声が上がる。
「あの、泉水ちゃん…大丈夫?」
仕舞いには香織に心配される始末。
これは、男として情けない…。
「だ、大丈夫。俺に任せろ…」
それでもめげずに何度も挑戦し、失敗したお陰で、ようやくどうすれば挿入出来るかわかってきた。
「よし、いく…ぞ」
少しずつ腰を前に突き出す。
「ひぎいっ…!」
メリッと嫌な音がして、香織の表情が苦痛に歪んだ。
「い、痛いか、香織?」
「はっ…ん、だ、だいじょおぶ…」
「嘘付け!お前、こんなに…」
涙を浮かべた目をきつく閉じ、眉をしかめる香織の表情は、どこからどう見ても大丈夫とは思えない。
「だって、痛いって言ったら、泉水ちゃん、やめるでしょ?」
「え…」
「やめちゃ、やだ、よぉ」
「で、でも…」
「…わ、私は、ひっく、大丈夫だから、ぐすっ、続けて、お願い、泉水ちゃん、お願い…!」
とうとう、香織の目から涙が溢れ出した。
俺が香織を抱きしめると、ギュッと背中に腕がまわされた。
小さな身体で俺を受け入れようとする香織。
その声。
その表情。
その身体。
そして、その気持ち。
全てが嬉しくて、全てが愛しくて、俺は香織をもう一度強く抱きしめる。
「好きだ…」
俺は温かい香織の中に迎えられながら、ゆっくりと自身を進めていった。
※
「…まだ痛いか?」
俺の全部が香織の中に入ってから、二人して息を整えること数分。
香織の痛みもだいぶ引いたようで、苦痛の表情は浮かべなくなった。
「……んっ、大丈夫、もう動いていいよ…」
香織がふわりと微笑む。
少女から女へと変わったばかりの香織が見せる、可愛さと色気の入り混じったその表情が、俺の心を一気にかき乱した。
「じゃあ、動くからな…」
香織が頷くのを確認して、少しづつ腰を動かし始める。
「ひゃっ…あぐ…あっ…」
動き始めると香織の顔はまた苦痛に歪んだが、先程ほどではない。
「…ん……かお、り」
「い、泉水…ちゃん!あっ…あひぃっ!」
「かおり…かおりっ!」
胸の突起を口に含んで舌で転がしながら、右手を下半身へと伸ばし、ゆっくりと撫でる。
高い位置でゆらゆらと揺れる腰を引き寄せて俺の膝の上に抱え、そのまま動く速度を上げていった。
抱え上げられた下半身の、結合している部分が見える。
先ほどまで男を知らなかったそこからは、俺自身が出入りするたびに、白く泡立った蜜と、香織の処女喪失の証である赤い雫が零れてきた。
「ああっ…いやっ…なんか変…なんか変だよぉ!泉水ちゃん!」
背中にまわされた香織の指が、俺の肌に爪を立てる。
「香織、俺も、もう…!」
俺の下半身は既に限界に達していた。
香織の身体が、びくりと跳ねる。
背筋を駆け上がる激情に背中を反らせて甘く鳴いた。
「あっ!泉水ちゃん…泉水ちゃん、私、私ぃ…あああん!」
「大丈夫、俺が側にいるから…だから…!」
そう言いながら深く腰を突き出す。
それが最後の一突きとなった。
「泉水ちゃ…い、いずみちゃ…あっ!ああっ…ああぁぁぁぁぁーっ!!」
悲鳴に近い声を上げながら思い切り体をのけ反らせ、香織が絶頂を迎える。
「……っ!」
その瞬間、香織の中が俺自身を喰い千切ろうとするかのような勢いで締め付け、俺は下半身に滞っていた精を、薄いゴム越しの香織の中に一気に放出した。
「はぁ…はぁ…い…ずみ…ちゃん…」
「香織…?」
「……だいすき」
香織は力のない、だけども眩暈がするほど綺麗な笑顔を作り、そのまま俺を引き寄せて、まだ息の整いきらない唇にキスを落とした。
※
「ねぇ、泉水ちゃん?」
乱れたシーツにくるまって、俺の胸に頭を預けていた香織がふと顔を上げた。
俺は香織の髪を撫でながら、どうした?と聞き返す。
「何か、泉水ちゃんってお月様に似てるよね」
「はぁ?」
突然、突拍子のない事を言い出した香織の顔を覗きこむ。
「今ね、カーテンの隙間から月の光が見えたの」
首を曲げて窓の方を見ると、ピンクのカーテンの隙間から、微かな月明かりが漏れている。
「泉水ちゃんは、ちょっと冷たく見える時もあるけど、」
香織は照れたように、
「気付くといつも側にいてくれて、」
俺の瞳を覗き込んで、
「そっと優しく、私を包んでくれる」
ニッコリと笑った。
※
小さなベッド。
月明かり。
温かい君の笑顔。
「ね。まるで、お月様みたいでしょ?」
今日、俺は大切な人を手に入れた。
「俺が月なら……香織は太陽だな」
少し背伸びした俺の言葉を聞いて、香織はその可愛らしい頬を夕焼けのような色に染めた。
<END>