京介は、自分の下から真っすぐに見つめてくる、ガラス玉に映る自分を見ながら呟いた。  
「なにやってんだ俺…」  
 
ソファに身を沈める京介の両足の間には、  
吐き出されたばかりの精液に顔を汚された、藤原めぐみ…を模して作られた人形が跪いていた。  
 
人形の正式名称は「メグミ-LOVE2004」。  
増田家での通称は、「ポチ」。  
藤原めぐみに叶わぬ片思いをしている生物教師、柴田アキラが作った、等身大のめぐみ型人形だ。  
 
「京介、気持ち善かったですか?」  
ポチは、何の感情も持たない目で静かにきいてくる。  
 
「おまえ、誰にこんなこと教わった!?」  
京介は、ポチに下ろされたジーンズを元通り腰で履き直しながら、ポチを睨み付けた。  
 
自室のソファにもたれて読書をしていたら、ポチが静かに入ってきて、  
いきなり足元に跪き、下半身に愛撫を始めたのだ。  
 
あっという間にくわえられて、生身の女と変わらない湿度と温度を持った  
高性能で柔らかい人工の舌に舐め回され、やめろよと言ってる間に、最後までイカされてしまった。  
 
不本意ながら、彼女の兄貴の恋人である「めぐみ」にされてるような錯覚が、いつもよりも大分早い絶頂を迎えさせたのだろう。  
 
「佼介様に教えていただきました。」  
予想通りの答えである。  
 
「口内の機能を、より人間に近く再現できているかの実験です。京介にも試すよう命じられました。」  
ポチは、白濁をのせたままの舌をちらつかせ、精液にまみれた髪や顔を拭いもせず、平然と答える。  
 
しようがないので、ポチにサイドテーブルからティッシュを持ってこさせ、京介が拭ってやる。  
 
「こちらの方も、試してみますか?」  
 
ポチが足首まであるスカートの裾をめくりあげ、派手なレースの黒い下着を披露する。  
肌の色は、本物のめぐみよりも無機質に白い。  
 
「挿入してみますか?先日、より人間らしい内性器に作り変えていただきました。」  
 
無表情なままで身も蓋もないことを言う。  
さすがロボット、情緒が無い というか、…そんなんじゃ全然そそられない。  
 
「いいよ。俺、女の子に不自由してないから。」  
 
「…………。」  
 
晒していた下半身をしまわせ、細い腰を引き寄せ膝に座らせる。  
 
「おまえの機能がどんだけ人間に近いか知らないけどさー、しょせんは作りモンだろ?  
生身の女の子の柔らかさとか体温とか匂いとかってかなり重要だよ。  
挿入できればいいってもんじゃねーの、男は。」  
 
「…………。」  
 
ポチは黙って聞いている。  
なにかっていうとギャーギャー反論してくる実物めぐみと違って、実におとなしく従順。  
 
首をかしげ無言で見つめてくるポチの顔を見てると、本物より可愛いんじゃね?  
『挿入』試してみるのもいいんじゃね?という気分になってくる。  
 
(いやいやいや、外見めぐみだし!ロボだし!生身の女がいくらでも抱けるんだし!)  
 
頭をぶんぶん振って、湧きかけた「試してみる」選択肢をかき消す。  
 
(…いやでも、あの生意気なめぐみを脱がして好きなようにいただくとか、めちゃくちゃ楽しそう…。  
どうせ今ヒマだし………試して…みるか?)  
 
グラつく京介に、ポチが一声、追い討ちをかけた。  
 
「…私では、京介を喜ばせられませんか?」  
 
―いやいやいや、めぐみの顔でそんなけなげなこと言うの、反則だから!  
普段自分には悪態しかつかないめぐみの口から、そんな言葉をきいてしまっては、  
 
「ポチ!気が変わった。試させて。」  
 
ポチの白い手をひいてベッドまで連れて行って、押し倒す。  
そうだ、ロボだから避妊も気にしなくていい。  
めぐみに中出しする気分が味わえるなんて、超楽しそう!  
 
「京介、楽しそうですね。」  
 
「うん、楽しい!」  
 
メイド服を脱がせると、ポチの可愛らしい顔にはいささか不釣合いなアダルトな黒い下着が出てきた。  
(うわ、エッロ!佼兄の趣味ってケバいよな…)  
 
全部脱がすと、乳房には桃色の乳首がついていて  
下腹部には髪の色を少し濃くしたような色の陰毛が薄く植えてあった。  
 
「ナカはどうなってんの?」  
寝そべったポチに己が両足を抱えさせ、陰部を覗き込む。  
ふにゅっと薄い陰唇を指で押し開くと、きっちり左右対称のナカミがちゃんとあった。  
「リアリティのないキレイさだな…ちょっとは黒ずんでたり肉厚だったり  
ビラビラはみ出てたり剛毛気味だったりのがエロくて俺は好きなんだけど…。  
…でもオナホ並かと思ったら、ちゃんと穴だけじゃなくてクリもあるし…細かいな!」  
お抱え研究者達の技術に感心しつつあちこちいじってると、指先が湿ってきた。  
 
「すげぇー!!ちゃんと濡れんの、お前!科学者すげぇな!」  
膣口にあたる裂け目に指を挿し込むと、またじわっと水分が分泌された。  
「えー、おもしろ!」  
指を、人差し指と中指の2本に増やし、ちゅくちゅくと出し入れする。  
性感反応をもたせることはまだ不可能なのか、  
ポチがいつもと変わらぬ無表情のままなのが気に入らないが、  
出し入れを繰り返しているうちに、その分泌液がじゅぷじゅぷと音を立てるまでに溢れ出した。  
 
「京介、そろそろ挿入しますか?」  
他人事のようなポチの言いようにまた少し気がそがれるが、体の方は準備万端だ。  
「んー、そうね、挿れてみようかな。どんな感じか気になるし。」  
「では、どうぞ。」  
ポチが美しい脚を大きく開き、白く細い指で逆さにVの字を作り  
己の女性として作られた部分を大きく開かせた。  
 
「お、いいねえー、その格好。撮っとこうかな。」  
めぐみと同じ顔であられもないポーズをとるポチに、  
何かを思いついたようにニヤけた京介が、  
ベッドの端に放りだしておいた携帯電話を拾い上げ、モバイルカメラに切り替える。  
 
「ポチ、笑ってー。」  
パシャリ。  
「笑顔で自分のおまんこぱっくり開いて見せる『めぐみ』の写真ゲットー♪色々使い道ありそーだなぁ。」  
主に、例の情けない生物教師の顔を思い浮かべつつ、  
画像を保存し用済みの携帯電話を閉じ、元の場所へ放り投げた。  
 
「そんじゃ、試させてね。」  
M字に脚を開き京介を待っているポチの正面ににじり寄り、  
20分ほど前に閉じたファスナーを再びおろし、性器を取り出す。  
 
『俺のベッドで丸裸でおまんこ剥いて、俺に犯されるのを待ってるめぐみ』というシチュに、  
京介の体もノリよく反応していた。  
「男ってしょうがないよなー。俺、めぐみに恋愛感情なんてまるで無いのに。」  
自嘲気味に口の端を上げて笑うと、固く膨張した自身を握り、  
ポチの『増田家に来て付けられた部分』にそれを挿し入れた。  
 
「お、おぉ、すごい…。本物っぽい…!」  
想像以上に、生身の女と変わらない感触、温もり、そして湿度。  
 
「科学者すげぇな!」  
 
奇妙な感動に一瞬ざわっと肌が粟立った。  
あいかわらず無機質な表情のままの、可愛くも憎たらしい顔をみながら腰を振る。  
「おぉ…吸い付く吸い付く。締め付けもちょうどいい。」  
だんだんピストンのペースをあげて、奥までペニスを叩き込む。  
「よく出来てんなぁ…。」  
「ありがとうございます。」  
ポチが眉ひとつ動かさず、自分を試用する京介の賛辞に対する礼をのべる。  
「…………。」  
 
「…ちょっとは反応欲しいけどなあ…。」  
律動のペースを保ちつつ、桃色の乳首に舌を這わせ、京介がポチの顔を見上げると、  
「性感反応機能はまだ開発中なのです。」  
少しも乱れない機械的な口調でポチの返事が返ってきた。  
「…………。」  
 
「…こういうの言えない?」  
律動を一時中断し、放り投げた携帯電話を再び引き寄せ  
いわゆる『浮気相手の女の子』と、いわゆる『ハメ撮り』をしたときの動画を選択し、  
ポチの大きな瞳の前で再生させる。  
 
『あっ、あっ、あっ、んっ…京ちゃんっ、あっ、やっ、イイっ…!』  
バックから京介を受け入れている女の顔は見えない。  
白い尻と背中、たぷたぷと揺れる乳房、うなじ、茶色い髪をピンク色のシュシュで括った後頭部…  
それらがブレながら次々と映る画面に、女の声がブレと同じリズムで響く。  
 
「…………。」  
携帯電話のメインディスプレイを覗き込み、じっと学習するように視線をそそぐポチ。  
「ポチ、できる?あえぎ声。」  
「音声プログラムを改良してもらう必要があると思います。」  
「あっそ、できないんだ…。」  
セックスにおいて、聴覚的刺激ってのは思ったより大事だ。  
視覚と感触だけでは、いまいちノれない。  
京介は、半乾きの萎えた自身をティッシュで拭って、再びジーンズに仕舞った。  
 
「じゃあ、続きはポチがあえぎ声出せるようになってからしようね。」  
ポチの髪を撫で、白い体をぎゅっと抱き寄せる。  
めぐみに特に愛情はないけど、ポチには愛着が湧いてきている。  
何の感情も知らない瞳が、開発をかさねれば、  
生身の女のように欲情を映して濡れたりするのだろうか。  
 
「京介、私にがっかりしましたか…?」  
京介によって元通りに服を着せられたポチが、かすかに肩を落とし眉を八の字にゆがめ、  
人間でいうところの「悲しい」サインを出し、京介を見上げる。  
 
「んなことねぇよ!ポチは気持ちいいよ!」  
この、めぐみの顔して健気なことを言うギャップが、正直たまらない。  
さっき萎えたところが、また反応してしまいそうだ。  
 
「あ、ねぇ、ちなみに佼兄は、『試して』みたの?」  
クラスメイト(似のポチ)と実兄がセックスしてる姿なんて想像したくもないが、興味本位で思わず訊いてしまった。  
 
「佼介様は、1時間37分ほど前に1回、1時間12分ほど前に1回、私の中で射精なさいました。  
射精量は、1回目が4.2ml、2回目が3.8mlです。  
京介のさっきフェラチオによる射精量は……「だぁぁぁぁーーーーーーーー!!!言わなくていい!!!」」  
 
なめらかに喋るポチの口元を押さえて絶叫する。  
情緒が無いどころか、常識が無い。  
いくら可愛くても、そんなもん計量する女は嫌だ!  
 
「やっぱり俺は生身の女がいいよ…。」  
 
不思議そうな顔で首をかしげるポチを部屋から追い出し、  
完全に萎えた気持ちを慰めるために、携帯を開いてリダイヤルボタンを押した。  
 
呼び出し音を聞きながら、  
「声だけでも俺を勃たせられるのはえみかだけだよ…」なんていう、  
本人が聞いたら殴りとばされそうなセリフを頭の中で呟いてみた。  
 
 
終わり  
 

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