「ミッキーはウブすぎるんだよー」  
骨張った手は、ベッドに横たわる華奢で柔らかな手に掴まれたまま。  
「でも、でも、藤原」  
「まんがかくんでしょー?えっちぃの」  
「ろ、露骨な!!そ、そんなの…資料とか見ればいいわけじゃん、それに、そこまで細かく表現する気ない…」  
「(ていうかあんなキモいマンガにそんなシーンいらないだろうけど)でもねミッキー」  
しどろもどろにへたれ少女漫画家は言う。  
「実践がいちばんなんだよ!」  
「どわっ…!!」  
正面の美少女―藤原愛美は、でっかい瞳を更にかっ開き楽しげに喜多川を見て、掴んだままの彼の腕を自分の胸にぎゅうっと押しつけた。  
 
「藤原!これダメだってば!マズいって!」  
「うっさいなあミッキーは!校内一の美女がしがない漫画家の為に協力してあげよーってゆってるのにさ…」  
「うっ…そんな顔しないでよ…」  
まんまるの瞳が喜多川を捉える。  
そして、  
 
「…ちょっとだけだからな」  
「ミッキーえらい!漫画家の鏡!」  
 
しがない漫画家は負けた。  
 
 
 
そして十数分後、  
 
 
 
「んっ!?ッあ!!ちょ、ミッキーそこ違う!!」  
「うえっ?!ご、ごめん藤原…っ!」  
「あーもー!ミッキーのへたくそ!センパイに教われ!!モコ死ね!」  
「モコは関係ないだろおおお!」  
「ちょ、あっ、動くなこのミッキーのくせに生意気な!!」  
「な!天下のマドモアゼルゆみこに向かって(ry  
 
 
結局あれやこれやで締め切りに間に合わず、来月の「オヤ女」は休載となったそうな。  
 
 
 
 
 
 

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