「もームカツクー!!!」  
めぐみは嵐士のいるベッドにダイブした。  
スプリングが大きくはずみ、その勢いで宙に浮かび上がった枕が床に落ちる。  
「ンー?どーしたの、めぐみ?」  
けれど、そんなのはいつもの事といった風に、嵐士は読んでいる本から目線を上げもしない。  
声色も至って冷静……というか、あんまり興味なさそう。  
「ねぇ、きいてよあらし」  
だがそんなことに全く構わず、めぐみはベッドからガバリと上半身を上げた。  
基本的に、自分以外の事はどーでもいいのだ。  
「政宗センパイがまーた浮気してたんだよー?べつに別れようとかは思わないケドさー、でもやっぱりムカツク」  
足をばたばたさせながら、拗ねたように頬をプウっとふくらませる。  
「なんだそんなコトか……」  
寝具からホコリが舞い上がったのか、嵐士が顔をしかめた。  
「そんなコトって……ナニソレ?」  
ため息と共に言われた呆れたような言葉に、めぐみは目をつり上げた。  
「めぐみだってどーせいっぱい浮気してんだろー?お互いサマじゃん」  
「あたしはイイけど、センパイはダメーー!なのっ!」  
ベッドの上で膝立ちすると、両腕をピンと伸ばして、噛みつく。  
グーに握られた手の下。キレイに整えられていた藍色のシーツは、  
この頃にはもうめぐみの振る舞いによって、しわしわのぐちゃぐちゃになってしまっていた。  
「あーもー、イライラするー」  
フローリングに落ちた枕を腕に抱え込むと、めぐみはベッドの上をごろごろと転がった。  
「でももう済んじゃったことなんだしさー、どうしようもないじゃん」  
マットレスが沈んだと思うと、一応なぐさめているつもりなのか、  
嵐士の大きな手のひらがポンポン、と頭のてっぺんに下りてきた。  
「そーだけどっ」  
落ち着いた響きの優しいテノール。  
さわさわと頭を撫でる温かい手に、ネコのように懐柔されそうになる。  
(でもでもでもっ!!!やっぱり納得出来ないっ!)  
にやついた政宗の顔がボンっと頭に浮かんで、少しだけ落ち着いてきていためぐみの心を再びかき乱した。  
とりあえず、想像の中の政宗を白いペンキで塗りつぶして、  
「うー」  
ぐるぐると唸ると、めぐみは両手の拳をこめかみに当てて考え込んだ。  
(何かナイかな、先輩への仕返し……仕返し…………)  
でも、もともと頭の中に詰まっているものなんてホンの少ししかないので、すぐに結論がでる。  
「目には目を、歯には歯をって……浮気しちゃおーっと♪」  
「あーハイハイ、行ってらっしゃい」  
まるで、肩の荷が下りたと言わんばかりのセリフ。  
ひらひらと振られた手に、スキップしながら戸口へと向かっていためぐみの足がピタリと止まった。  
ゆっくりと振り返ったその顔には、明らかに不服そうな色があった。  
何かを考えるように、一呼吸置いた後。  
すでに、獲物を追い詰めるハンターの目となっていた茶色い瞳に、不穏な光が宿る。  
「なーんか、わざわざ出かけるの面倒になっちゃったー」  
「あっそう。止めんの?」  
その手には、さっき読んでいた本がまた握られていた。  
本当にひとかけらの関心も無さそうだ。  
めぐみが誰に浮気されようと、誰と浮気しようと……。  
(なーんか、すっごくムカムカしてきた)  
嵐士なんてどうでも良いはずなのに。  
心に巣くってきた変な気持ちを振り払うように、めぐみはことさら甘い声を出した。  
「イヤ?ちがうよ」  
そう言ってすり寄ってきためぐみに流石にピンと来るものがあったのか。  
嵐士は彼女の身体から逃げるように後ずさると、嫌そうに口を開いた。  
 
「まさか……」  
「ウン。この際あらしでもいーやっ!」  
めぐみは長身の身体に馬乗りになると、一息に押し倒す。  
「オレはイヤだ……」  
大人しく押し倒されてはくれたものの、間髪入れずに返された拒絶の言葉に、めぐみの唇が不機嫌そうに尖った。  
「えぇー?こんなサイコーの体でカワイイあたしとHできるゼッコーのきかいなのに?」 めぐみはぎゅっとEカップの胸を寄せて谷間をつくると、嵐士に向かってくねくねと身体をよじらせた。  
「センダイいちぐーのチャンスだよ?もうこんなこと無いよ」  
「千載一遇だよ……ソレゆーなら」  
カワイク首を傾げながら言われた言葉に、呆れたようなため息が返ってくる。  
(ムッカー!)  
他のオトコはこーゆー仕草すると、みんなカワイイってゆってくれるのに!!!  
その瞬間、めぐみの負けん気に火が付いた。  
 
「わっ……ちょっと、めぐ…………ンッ!」  
 
(ンフフフー)  
 
驚くイトコのジッパーを下げて、ブツを取り出し、ぱくりとくわえ込むコトわずか3秒。  
手品師のような早業に嵐士は為す術もなく、めぐみの手に堕ちた。  
嵐士の意志とは関係なく、あっというまにムクムクと大きくなったソレをのどの奥まで飲み込む。  
そしてちゅぱちゅぱと音を立ててしゃぶりながら、舌でスジになってる部分を舐め上げる。  
「ッ……」  
と嵐士がノドの奥でうめいた。  
反応を殺せず、びくりと震える腰に、めぐみはニヤリとする。  
やわらかな唇でしごきたてると、口の中のモノが刺激を求めていっそう大きくなった。  
 
(あたしに落ちないオトコなんていないんだもんねー)  
得意になって、感じてる顔を見てやろうと、上目遣いで嵐士を見る。  
オトコにとって、こういった仕草がクルというちょっとした計算もあった。  
(なんでフェラされながら見られるとイイのか、あたしにはわかんないケド)  
だが、苦しそうに眉を顰めてうっすらと口を開けた嵐士の姿が目に飛び込むと同時に、  
めぐみの胸が何故かぴょん、と跳ねた。  
(あらしってこんなにカッコよかったっけ……?)  
少しだけ紅潮した頬骨の部分も、細められた瞳も、ゾクゾクするほど色っぽい。  
口を塞ぐモノの息苦しさとは別のもので、めぐみの頬がピンク色に染まった。  
「ンふッ……ングぅっ……ッ」  
けれど、そんな自分の気持ちを誤魔化すように、めぐみは更に嵐士を攻め立てた。  
口のナカに溜まった唾液を塗りつけるように激しく頭を上下させると、先端にある少しくぼんだ部分に、尖らせた舌をぐりぐりとねじ込む。  
「グ……あぁッ…………!!」  
これには流石に耐えきれなかったのか、嵐士はついに声を出してうめいた。  
「ンフフ、気持ちイイ?」  
調子に乗った彼女は、更に強く口のナカでカチカチになったモノを吸い上げた。  
じゅぶじゅぶというミダラな水音とめぐみのくぐもった息が、時折あがる嵐士の声と一緒になって部屋に木霊する。  
めぐみがよりいっそう頬をすぼめて、口内でカレを締めつけた瞬間。  
嵐士は「ウッ……」っといってその先端から透明なしずくを漏らした。  
と同時に、めぐみの頭を乱暴に掴むと、自分の身体から彼女を引き離す。  
ツウっと、ぬるついた唾液と先走りの液が混ざり合ったモノが、透明な橋となってめぐみの口と嵐士の間にかかる。  
「はぁっ……」  
ほんのりと赤くなった目尻でソレを流し見ると、嵐士は軽く吐息を付いた。  
「ああもう……」  
そしてがしりとめぐみの腰を掴むと軽々とベッドに放り込む。  
 
 はずむスプリングの上で膝上30pのミニスカートが捲れて、めぐみの下半身が露わになった。  
  急な展開についていけず、うつぶせになったままのめぐみの上に素早くのしかかると、  
嵐士はスケスケの下着のヒモをさっと解いた。  
  間髪入れずに、熱いカタマリが、めぐみに押しつけられる。  
   
「えっ……ヤダっ、あたしまだヌれてなっ…………ッ!」  
 ズブズブと埋め込まれたモノに、めぐみは続ける言葉を失った。  
「はぁっ……んッ」  
 桃色の吐息が、彼女のくちびるから漏れる。  
なんの刺激も受けてないのに、ベタベタに濡れたソコは、スルリと嵐士を受け入れた。  
「ウソつき」  
 背後から聞こえてきた忍び笑いに、めぐみの頬が真っ赤に染まった。  
抗議の形に口をひらき、後ろを振り返ろうとした彼女だったが、強く腰を押しつけられて、そのままシーツの上に突っ伏した。  
「アッ……あうっ……ッ」  
「隣に泉水ちゃんいるから、静かに……」  
 ガンガンと容赦なく腰を振って、声を上げさせているのは誰だと思っているのか。  
口を塞ぐように伸びてきた手のひらに、めぐみは噛みついてやろうかと思った。  
(でも……すごく、キモチ……)  
 
「イイ?」  
 めぐみの心の中が分かったかのように、嵐士がからかうように聞いてきた。  
「んっあっ……そんな、ワケ……ッ!」  
 押さえられた手をふりほどいて、否定の声を上げる。  
だが、虚勢を張って見たモノの身体は正直なのか、腰がいつのまにか、何かをねだるようなカタチで、上へと高くと上げられていた。  
「フーン」  
 チェシャ猫のような含み笑いと共に、腰に当てられた指が、やわらかな肌に食い込んでくる。  
そうして逃げられないようにしてから、嵐士はめぐみのナカの敏感な部分を集中的に擦り上げた。  
「あふぅっ………」  
 抑えきれない声が、つやつやと光ったチェリーピンクの唇からこぼれる。  
尖った切っ先に、弱い部分をえぐるように責め立てられ、電流のような快感がめぐみの背筋を走った。  
 
おぼれかけたコネコのように、めぐみはシーツに爪を立ててしがみついた。  
「ひゃっア……ダ、メ。……声でちゃ、……うっあぁぁっっっ」  
 卑猥な水音が、肉のぶつかり合う音と呼応して、めぐみの聴覚を刺激した。  
その合間に聞こえる、掠れた嵐士の声。  
「ふっ……めぐ、み……っ」  
 随分と長いつきあいになるが、今まで耳にしたことのない、その官能的な響きに酔ったように、  
めぐみのぱっちりとした瞳はいつしかとろんとした鈍い光を放ちだした。  
 視界に薄い膜が下りて、何も考えられなくなる。  
ただただ、キモチいい。  
 嵐士を受け入れている股の間が、いまにも燃え上がってしまいそうだ。  
気を抜いたら、強請ってしまいそうになる。もっと、もっと、と。  
 
「あっああーっ!」  
 めぐみはケモノのような呻き声をあげながら、嵐のような動きに巻き込まれてしまわないように、  
崩れ落ちそうになる膝に力を入れた。  
 でも、ガクガクと震える足は全く役に立たず、ずるずるとシーツに上体が崩れていく。  
 お尻が潰されるくらい容赦ない嵐士の攻撃に、軽く達してしまったのか。  
頬を擦る木綿の感触に、いつしかめぐみは自分がベッドに突っ伏していることを感じた。  
繋がっている部分から、とろとろとイヤらしい愛液が腿へと伝い、シーツを汚した。  
「あれ、イッちゃった?」  
「きゃふっ……」  
 体勢を立て直そうとするめぐみに全く頓着せず、嵐士は笑って激しいリズムを刻み続けた。  
 それどころか、シーツを掴んでいた手首を掴まれ、後ろ手にされる。  
両腕が引っ張られるのと反対に、がっしりとした腰が押しつけられ、嵐士がもっと深いところまでやってくる。  
「や、ちょっと、まっ……」  
 ズリュズリュと粘膜を刺激され、めぐみは息も絶え絶えになりながら、自分の体を揺さぶっている男を振り返った。  
一方的な展開に、戸惑っていた。  
だが……。  
「ンッ……んンッ……ぁ」  
 めぐみの抗議を封じるように、嵐士の唇が重なる。  
我が物顔に侵入してきた温かく柔らかな舌に上顎を撫でられ、めぐみの頬がパッと赤く染まった。  
(あたし、あらしとキス、してる……)  
 下肢が深く繋がり合っている状態で、今さらキスも何も無いのだが、めぐみは急に羞恥を感じた。  
「……ん……」  
 唇の隙間から発せられた、ゾクゾクするような低い声に、閉じていた瞳をうっすらと開けると、嵐士の整った顔が目に入った。  
 その伏せられた長くまっすぐなまつ毛に、何故かめぐみの胸がドキンと高鳴った。  
うっすらと紅色に上気した頬が、色っぽい。  
 そして、そういう表情をさせているのが自分なのかと思うと、不思議と少し誇らしい気分になった。  
 
どうしてなのだろうか。  
誰とシてるときよりも、キモチ良いと感じてしまうのは。  
カラダの相性がイイ?  
それとも……。  
 
 嵐士とのキスにのめり込みながら、めぐみは頭の片隅でぼうっと考えた。  
 
「はふっ……む……んん」  
「………んっ……………」  
 
 いつの間にか激しい動きが止まり、二人は深く繋がったまま、互いにやさしいとも言える口付けを繰り返していた。  
 それまでの攻撃的な空気とは一転して、どこか甘い空気が、狭い部屋の中にゆっくりと満ちる。  
 後ろ手に腕を掴まれた不自然な体勢で唇を合わせていためぐみだったが、  
ねだるような表情を浮かべると、嵐士に向き直ってその硬い胸に抱きついた。  
「ひぁ……っ」  
 自分の取った行動の所為とは言え、  
カラダの奥深くに埋め込まれたモノにナカをぐるりと掻き回される格好になっためぐみは、  
その唇から秘やかなため息がをこぼした。  
「カワイイよ……めぐみ」  
 大きな両手が、彼女の乱れた髪をやさしくかき上げた。  
そしてその頭を包んだまま、頬笑みの形に刻まれた唇が、再びゆっくりと下りてくる。  
   
少しもイヤじゃない。  
むしろこうやっているのが、とても自然なことのように思える。  
 愛しあう恋人のように、めぐみは嵐士のキスを、静かに受け入れた。  
少し長目の髪が、頬にサラサラと落ちかかってくすぐったい。  
嵐士の広い胸にすっぽりと包まれて、口付けを交わしながら、めぐみはくすくすと笑った。  
その邪気のない笑い声に、嵐士も短いキスを繰り返しながらやさしい笑みを浮かべる。  
 とろけるような笑顔に反応して、彼女の肉体はナカにいた嵐士を煽るようにギュッと締めつけた。  
「ウッ……」  
 途端に、嵐士の体がビクリと反応した。  
眉間には僅かに皺が寄っている。  
「ね、あらし……」  
 再度自分の胎内で大きく膨らんだ嵐士に反応して、めぐみは甘い声を出すとゆっくりと腰を振った。  
 ヌルリとした体液にまみれたソレが、僅かに引き抜かれる。  
「シよ……」  
 そして、再び温かなナカに再び収まる。  
ほんの少し動いただけなのに、快感で足が震え、胸がさらなる期待で高まる。  
「早くぅ……」  
 我慢が出来なくなっためぐみは、筋肉が浮き上がった腕を両手で掴むと、自分で動き出した。  
「はっ……あ……」  
 頭を仰け反らせると、自分のイイ場所に向かって、擦りつける。  
あと数ミリと言うギリギリのところまで抜いて、根本まで一気に突き刺す。  
「ク………」  
 たくましい鎖骨に吸い付くと、たまらずに嵐士が声を上げた。  
 
 
<<続く>>  
 

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