「泉水ちゃん…今日本当に家誰もいないの?」
「あ?あぁ…親は二人とも旅行だし嵐士はバイト行った。」
冬休み入って間もない12月下旬、香織は泉水を誘い
買い物に付き合ってもらった。
その帰り道、逆に泉水に誘われ羽柴家へお邪魔することになった。
今まで2、3度体を重ねたことはあったが
やはりHをすることには抵抗があり、緊張が取れることはない。
ましてや家に誰もいないという事実を聞かされると
どうしても体が強張ってしまう。
(どうしよう…やっぱり今日もするのかな…
うぅ…私今日何色の下着付けてたっけ?ちゃんと上下お揃いだったよね?)
泉水の部屋へ通されたが、妙にそわそわした気持ちを押さえきれずちょこんと床に腰を降ろした。
「香織…」
「はぃ!!」
隣りに座った泉水の声に思わず過剰反応してしまった。
(うわ…声上擦っちゃった…)
恐る恐る泉水の顔を見上げると
そこには哀しそうにこちらを見つめる泉水の姿があった。
「あのさ…香織…もしかして俺とするの…嫌なのか?」
ズキンと心臓が痛んだ。
嫌な訳ない。
大好きな泉水ちゃんに優しく抱かれるのは
暖かくて心地よくて気持ちよくて…本当に溶けてしまいそうになる。
ただ、緊張して怖くて怖気づいてしまうのだ。
「…。」
この気持ちを上手く言葉に出来ない自分が歯がゆい。
黙って俯く香織を見つめ、泉水は小さくため息を付いた。
「…わかったよ。香織の気持ちはよくわかった。」
「あ…」
「俺、香織が受け入れてくれた時めちゃめちゃ嬉しくて舞い上がってたんだ。
馬鹿みたいに…ゴメン。もういい。」
泉水は今にも消えそうな声で呟きすっと立ち上がった。
嫌だ。怒らせちゃった…泉水ちゃんが行っちゃう…
嫌だ!!
「ま…待って泉水ちゃん!!」
「うわっ!!」
香織がとっさに泉水のジーパンの裾を掴んだことにより
泉水はそのまま床にダイブした。
「っ痛…!おい何なん…」
「嫌だよ泉水ちゃん!!」
顔を押さえて振り返ると、ジーパンの裾を握り締めたまま
ポロポロと涙を流す香織が必死にこちらを見上げていた。
「な…どうしたんだよ!泣きたいのはこっちだっつうんだよ…」
「ご…ゴメンね!ゴメンね泉水ちゃん…違うの…」
香織は溢れる涙を抑えられずグスグスと嗚咽を繰り返しながら答える。
「わ…私…違うの…嫌いじゃないの…泉水ちゃんとHするの…
ただ怖くて…私変な気持ちになって訳わかんなくなるから…嫌われたくないんだもん…」
泉水は初めて聞く香織の本音に驚きを隠せなかったが
一瞬間を置き、ギュッとその小さな体を抱き寄せた。
「香織…ゴメン気付かなくて。でももうちょっと信じろよ。
俺はお前だから抱きたいんだし、お前のこと変だって思ったことは…
まぁグロい占いとかしたりすんのはちょっと思うけど…
お前と一緒に気持ち良くなりたいし、嫌いになることなんて絶対無いから。」
普段はぶっきらぼうでそっけない泉水の優しい言葉と
ギュッとされた時に感じる泉水の微かな甘い香りが
香織の心に染みこむ。
あぁ…私って本当に馬鹿なんだ…
泉水ちゃんはいつだってこんなに優しいのに…
「うん…泉水ちゃん…ゴメンなさい。」
泉水の胸に抱き込められていた香織はそっと顔を上げた。
「泉水ちゃん…Hなこと…して?」
泉水の体がピクリと反応する。
「俺は全然…むしろ嬉しいけど…大丈夫か?」
「うん。もう平気。怖くない…」
「香織…香織、好きだ…」
その言葉が合図となり泉水はその小さな唇にそっとキスを落とした。
「んっ…泉水ちゃん…」
香織は泉水の体に手を回し、キュッと体を摺り寄せた。
小さな泉水の体よりも更に小さな香織の体は
すっぽりとその中に埋まった。
幾度も軽く唇を合わせてゆくと、泉水の舌が香織の口内に侵入してきた。
その手は自然に香織の髪留めを外し
パチリと言う音とともに香織の髪が解かれる。
「香織っていい匂い…」
「泉水ちゃんの方が甘い匂いがするよ?」
「そうか?お前甘酸っぱくて優しくて…なんか胸が締め付けられる…」
泉水は香織の髪に顔を埋めると抱きしめる手に力を込めた。
「…ベッド行くか?」
「うん…」
電気が消され薄暗くなった部屋の中
香織の体がフワリとベッドの上に横たわされる。
ドキドキする…でも怖いからじゃない。
泉水ちゃんと一緒になるのが嬉しいから。
泉水ちゃんにいっぱい色んなことして欲しいなんて言ったら
はしたないって怒られちゃうかな?
「香織…」
上着を脱いで下だけになった泉水がその上に覆いかぶさる。
徐々に体重を掛けて体を近づけていきその頬に触れた。
「布団被っとくからあんま見えないし声も出していい。
香織が感じたままをさらけ出していいから…」
頬に触れていた手がそっと降ろされ、ブラウスのボタンが外されると
スゥッと中に進入しブラをたくし上げた。
「んん…泉水ちゃん…も…もう気持ちいい…」
「まだちょっと触っただけじゃん…」
「やっ…だって気持ちいいもん…あっ…」
寒さで冷たくなった泉水の指がやわやわと胸を刺激する。
その度に香織の体はピクピクと小さく反応した。
「はぁ…香織…そんな顔されたら俺もあんま我慢出来ない…」
「んっ…ご…ごめっ…だって…私…」
見下ろす泉水の切なげな顔が見えた。
息を上げて…苦しそうな…色っぽい泉水ちゃん。
それだけでキュウッと胸がいっぱいになる。
「香織…コレ降ろすぞ…」
下着の端がクイッと引っ張られユルユルと降ろされた。
いつもなら恥ずかしくてガチガチに固まってしまうこの瞬間。
でも今は…そんなこと考えている余裕もない…
ただただ気持ちよくて頭がクラクラする。
「香織…なんか今日…」
クチュっと音を立て泉水の指が触れた。
トロトロと溢れて太ももを伝っているのが自分でもはっきりわかる。
「や…ダメ…言わないで…」
必死で泉水に手を伸ばすが上手く力が入らない。
何故か溢れ出す涙で視界もぼやけてきた。
泉水はそれ以上何も言わず
スッと起き上がると、ズボンに手をかけ下着ごと脱ぎ捨てた。
「香織…もう…いいか?」
濡れた秘所に泉水の性器があてがわれる。
香織は真っ直ぐ泉水を見つめ、コクコクと頷いた。
「キツイだろうけど…ちょっと我慢しろよ?」
「んんっ…んっ」
徐々に熱いモノが中に入ってくるごとに、
香織は体の中をビリビリと電気が流れていく感覚に襲われた。
「何か…今日の泉水ちゃん…おっきぃ…」
「お…俺だって気が変になりそうなぐらい興奮してんだよ!!」
「うっ…いっ…泉水ちゃぁぁん!!」
照れたその顔がすごく可愛かったりとか
自分のために気持ちいいの我慢してくれてた優しさとか
ちゃんと感じてくれてたのが嬉しかったりとか
色んな気持ちが重なって思わずボロボロと涙を流しながら
泉水に抱きついた。
「おい…なんだよっ…いきなり動くなっ」
「だって…泉水ちゃんっ…カッコいい…」
「…っバカ!!そんなこと言ったら知らないぞお前…」
「いいっ…いいもん…めちゃくちゃになるくらいいっぱいしてっ!」
そう言ってキュッと唇を噛み締めた香織のおでこにキスを落とし
泉水は腰を浮かし激しく打ちつけ始めた。
「香織…ゴメン…めちゃめちゃ気持ちいい…」
泉水は苦しそうに眉をひそめ、香織にキスをしながら激しく腰を動かし続けた。
「んん…あっ…泉水ちゃっ…!」
香織は雨のように降ってくる泉水の甘いキスに酔いしれながら
途切れ途切れに切ない声を漏らす。
誰もいない空間の中で、性器が擦れ合う音と
二人の吐息だけが響き渡っている。
「やっ…泉水ちゃん…もっとぉー…」
唇がそっと離れると、その間に名残惜しそうに唾液の糸が伸びた。
「はぁっ…香織…俺もう…ダメだっ…」
「んっ…わ…私もっ…」
泉水は香織の腰を掴み、より奥深くに性器を打ち込んだ。
「泉水ちゃ…大好きっ…!」
「…っ!!」
その瞬間、泉水は香織の中でドクドクと脈打ちながら果てた。
そしてそのまま、グッタリと気を失った香織の上に倒れこむように
力尽きた。
「泉水ちゃん…」
「なんだ?」
どれくらい時間が過ぎただろう。心地よい倦怠感のなか目を覚ました二人は
まだ虚ろな目をしたまま布団に包まっていた。
「泉水ちゃんなんか魂抜けたみたいな顔してる」
「お前は目の周り真っ赤にしてすごい顔になってるぞ…」
少し言い合った後、お互い力なく笑い合って今日何度目かもわからないキスをした。
その瞬間-----------
『ガタン』
「!?」
隣りの部屋から物音がした。
「あ…あ…嵐士の部屋…!?」
「えっ!?今日バイトじゃなかったの!?」
「い…いつから…」
パニックに陥った二人は飛び起きアタフタと服を手に取った。
その真相は…また今度。