「んっ……あああああっん」
「クッ……イイ……っ」
ムシムシじめじめとした熱気に耐えかねて生物準備室の窓を開けた途端、植え込みの方角からフラチな声が大音量で聞こえてきた。
明らかにアレ中のあえぎ声とわかり、そうでなくても88%地点に達していた不快指数の針が、一気にMAXをふりきった。
発情期のネコじゃあるまいし、とオレは思いっきり眉を顰める。
大体校内で、そんな(うらやましい)行為をするなんてヤツらは本当にフジワラと同じ純粋な高校生なのか?
マイ・エンジェル藤原のコトを思い出して一瞬思考がどこまでも天に昇ってしまいそうになるが、
教師としてヤツらの行為を黙って見過ごすコトなんて出来るわけがない。
多摩先生ほどでは無いにしても、オレだってそれなりに生徒指導的なことはしているつもりだ(情けないことに、
増田と悪の仲間達の様子を見ていると、あんまり効果が現れているようには思えないが)
「あっ……ひっあ……センパ、ぁッ」
なんて怒鳴りつけてやろうかと、ちょっぴりウキウキと考えていた矢先。
女生徒の高いソプラノが、オレの脳天に直撃した。
こっこっこっここここここの声は!!!
間違いない!
オレの下半身に備え付けられたフジワラアンテナが、激しく反応を示している。
スラックスのジッパーを壊さんばかりに押し上げるジュニアにせかされながら、目をシャーレのようにして、その姿を探す……と、いた!
あのさらさらつやつや、コネコのような髪の毛は間違いなくフジワラだ!
それを目にした途端、オレの足はチータよりも速く、彼らを見ることのできるベストポジションへと移動していた。
(ああっ……やっぱり)
果たしてソコには、華奢な肢体をアクマに押さえ付けられたフジワラの姿があった。
――『アクマ』 すなわち空手部主将であり3年の松本だ。
松本は一応藤原と公認のカップルみたいに言われてるが、あんな野蛮なけだものと
マイ・エンジェル藤原が付き合ったりするはずはない!
そりゃ、顔はいいかもしれんが、喧嘩も強かったり逞しかったり高校生のくせに悪っぽい男の色気を放ってたり
意外に同類の奴らには人望もあつかったりするかもしれんが、
絶対に絶対に、無理矢理松本が藤原を手篭めにして関係を繋いでるに違いない!!!
それが証拠に、見ろ、あの藤原の悲痛な表情……!
「あっ……あ……はっ、センパ… おっきいっ! あっ……そこぉ!」
アクマ松本は、寝そべった藤原の足を大きく上げさせ、両腕に抱え込み
タンタンと規則正しいリズムを刻み藤原の中心に己の杭を打ち込んでいた。
あんな巨体にのしかかられてたんじゃ、華奢な藤原が逃げだせるはずもなく――
見ろ、あの哀しげな悲鳴
「やっ、あっ、は……はぁあ! そこ、いいぃっ!いいよぉっ……!」
か細い体を突き破りそうな巨根を激しく出し挿れされ、あの豊満な胸をでかい手のひらで揉みしだかれ、
藤原の肉体的・精神的苦痛はいかばかりだろうか。
かわいそうに、藤原……あんな不良の性欲の犠牲になって………。
「いやっ、あっ!あ! 〜〜〜!! もっとしてぇ〜〜!!」
…………………………。
「あっ、イク、いっちゃう……!!」
藤原が絶頂に達するのとほぼ同時に、オレも自分の右手の中でオレ自身を弾けさせた……。
涙が目にしみる初夏の昼下がりだった。
「うっ……アアッ……イイ、イクぞ、フジワラッッッ!」
クリーム色の天井に向かってそそり立つ己を猛烈な勢いでしごきたてると、オレは頂点に向かって上り詰めていった。
「ウッ……」
生臭いスペルミンのニオイと共に、粘液が迸る。
だが、オレは自分の手が汚れるのも構わずに、黒いプラスチックの箱に向かって、大量の白濁液を降り注がせた。
19インチの液晶ディスプレイに囲まれた少し粒子の粗いフジワラの肢体は、先日、生物準備室からケータイの動画機能を使って盗撮したものだ。
余計なものは当日徹夜をして編集済み。
フジワラのクラスのコマが入ってない次の日の授業がどうなろうが、オレの知ったコトじゃない。
フジワラ、
フジワラ、
オレの天使。
「ああ、かわいいよ、フジワラ」
オレは熱っぽい息を吐きながら、丁度アップになったその愛らしい顔へ、まだ生温かい精液をなすりつけた。