ときわづに抱かれてから…ていうかレイプされてから一週間。  
毎日のように香織に引っ張られて顔を出していた演劇部には、ずっと行ってない。  
行けるわけない。  
あんなことをされたあの部室に、もう絶対近付きたくない。  
 
誰もが褒めるあたしの身体を、あいつは冷たい床に押し付けて  
何の感慨もなく、少しの遠慮もなく、犯した。  
乱暴に捕まえて引きずり倒して  
前戯なんてなく下着を引き千切って、無理矢理犯した。  
 
乾いた状態でやるセックスがあんなに痛いと思わなかった。  
身体を引き裂かれるような激痛。  
痛くって痛くって悔しくって、突かれながら泣いて、  
帰ってからお風呂で生々しい傷を見て、また泣いた。  
 
政宗先輩にも会ってない。  
会って身体を見られたら、1発でバレるから。  
 
ときわづにナカで出されたのが怖い。  
ピルを常用してるから妊娠の心配は多分ないけれど、  
本当に、身体の奥まで侵入されたかんじ。  
あのじわっと広がる熱とか、忘れられない。  
 
「今日は次の公演で何やるか決める大事な会議だから、絶対一緒に来て!」  
放課後、何も知らない香織が  
あたしの制服の袖を引っ張って誘った。  
あたしは昔から、香織に本気で頼られると、それを断れない。  
 
緊張して部室に入ると、四角に並べた長机の周りに  
見知った演劇部員が、約十数人。  
そして、ホワイトボードの前の椅子に  
ときわづが座ってる。  
 
「よく来たね、藤原くん。こっちに座りなよ。」  
もう作り物としか思えない、あの一見穏やかな笑顔。  
「ほら、めぐみ!ヒロイン指定席!」  
香織が無邪気に、ときわづの隣の席へ  
あたしの背中を押す。  
 
会議が始まった。  
隣でときわづが、またふざけた自作のシナリオを披露してる。  
部員達はそれについて真面目に意見を飛び交わしてるみたいだけど、  
あたしの耳には入ってこない。  
 
早くここから消えたい…。  
 
「!!」  
長机の下で、上の空だったあたしの膝に  
ときわづの手が触れた。  
忘れるわけない、あたしの腕をねじあげて  
あたしの身体を床に押し付けた、冷たい手。  
 
顔はにこやかに部員達の方を向いて、変わらず話を続けながら、  
机の下では  
ときわづの冷たい手が蛇のようにゆっくり、  
あたしの太ももを這って、奥にねじりこまれていく。  
「ぃゃ…。」  
 
股間に辿りついた手が、下着の上からソコを縦になぞる  
割れ目をこじ開けるようにグリグリと下着を押し込んで、  
クリトリスを布越しに刺激する。  
 
「………!!」  
思わず無言で立ち上がってしまった。  
 
「…?どーしたの?めぐみ」  
香織が不思議そうに、あたしの顔を覗き込む。  
きっと人が見たら変に思うほど、真っ赤な顔をしてるんだと思う。  
 
「な…なんでもな…」  
「藤原くん具合悪いみたいだね。保健室まで送ろうか。」  
ときわづがさらりと立って、あたしの肩をつかむ。  
「いや…香織…っ。」  
「皆は会議続けてて。」  
香織に助けを求めたあたしをあっさり無視して、  
ときわづがあたしを廊下に連れ出す。  
 
「めぐみ、お大事にね!」  
香織の声だけが、空しくあたしを追う。  
さっきまで『温厚な部長』みたいな顔をしてたときわづは、  
震えがくるような凶悪な顔つきで、あたしの肩を抱いて、  
「続き、したいよね?」  
とだけ囁いて  
あたしを保健室とは逆方向の校舎へ引きずりこんだ。  
 
 
着いたのは、校舎の3階端にある男子トイレ。  
あたしは1番奥の個室に突き飛ばされる。  
「何すんのよ!!」  
強がってみても、声が震える。  
「ここなら大丈夫だよ。  
 この時間、この周辺の教室使ってるクラスや部活ないから……。  
 滅多に人は、来ない。」  
 
「大丈夫って何が…保健室に連れてくんじゃ……っ!?」  
言い終わらないうちに、  
ときわづの手が、制服の上から  
あたしの胸をきつく握る。  
「痛っ……!」  
 
「君は本当に淫乱だね。僕のことが嫌いじゃなかったの?」  
スカートの中に侵入した手が、さっきの刺激で  
濡れて肌にくっついた下着越しに  
割れ目をなぞる。  
「ぃやっ……。」  
 
「嫌いな相手でもこんなに濡らしちゃうわけ?」  
スカートの中に突っ込まれた手を掴みながら、  
否定の意味で首を振る。  
そんなリアクションを無視して、ときわづはあたしの髪の毛を掴んで  
ひざまずかせる。  
「痛っ、やめて……。」  
 
「まっつんにも連れ込まれたことあるんだろう?ここ。」  
 
こんなの違う。  
あのときは、抱きかかえてもらって、セックスが終わるまで  
あたしのシューズがこの不潔な床につくなんてことはなかった。  
 
こんなところに膝をつかされて、口で奉仕するなんて、あのときとは違う。  
「ちゃんと手を抜かないで、  
 まっつんにやるのと同じようにやってよ。  
 君がいつもどんな風に彼を悦ばせてるのか、  
 興味がある。」  
ときわづの冷たい手が、あたしの頭を撫でる。  
 
「上手くできなかったらお仕置きをするよ。」  
 
その優しい手つきが、攻撃的に変わるのを恐れて、あたしは  
一生懸命ときわづを奥まで咥えこんで、前後に首を振る。  
一週間前あたしを刺した凶器に、いっぱい唾をつけて口の中で磨き上げる。  
ときわづを見上げると、  
男のくせに長いまつげが揺れて、少しは感じてるんだってことが分かる。  
 
どぷっと、ペニスが爆ぜて  
あの熱い液体があたしの喉の奥を打った。  
「ゴホッ……ケホケホッ…うあっ…。」  
むせて吐き出そうとしたあたしの顎を、ときわづが掴んで上を向かせる。  
「出しちゃ駄目。飲んでみせて。」  
温度のない瞳で、命令を下す。  
イヤだ、  
こんなの政宗先輩にも強要されたことない。  
必死で喉を鳴らして飲み込むと、涙がこみ上げてきた。  
 
「よく出来ました。  
さすがに上手いね……。まっつんに鍛えられたの?それとも元々の才能?」  
嘲るように言うと、ときわづはあたしを立たせて  
耳元で囁いた。  
 
「どっちにしろ、ご褒美をあげなくちゃね。」  
 
 
結局のところ、「お仕置き」も「ご褒美」も、この場合  
同意語だったようだ。  
 
ときわづの手が  
壁に向かって立たせたあたしのお尻を撫でながら、  
下着を引っ張りふくらはぎのあたりまでずらす。  
そうやって剥きだしにされたあたしのあそこに、  
冷たい指先が触れる。  
 
くちゅ…  
「っ……ぁん……」  
 
「ほら、こんなにトロトロに溶けちゃってるよ。」  
長い指を奥まで差し込んで、ときわづがあたしのナカをかきまぜる。  
 
”ぐっちゅ ぐっちゅ くちゅ くちゅ ぴちゃ…”  
「うぅっ……」  
 
一旦深くねじ込まれた指が、内壁をこすりながら  
一定の速度で出し入れされる。  
 
”ずっちゅ ずっちゅ ずっちゅ ずっ ずっ ずっ ぴちゃ くちゃ”  
「あっ、あっ…、ああああああぁあぁあん!!」  
 
背中がぞくぞくする。  
ぐちゅぐちゅと響くいやらしい音が、あたしに屈辱感を抱かせる。  
 
「なんて貪欲なんだろーね。君のココは。  
僕の指を引っ張り込もうとするよ。」  
 
しゃがんだときわづが、あたしの太ももに舌を這わせながら  
しつこくあたしのナカを指でまさぐる。  
もう片方の手は乱暴に  
親指でクリトリスをこねながら。  
 
「………っ…あっ…あっ、ふっ…!」  
思わず腰が、ぷるぷる震える。  
ふぅふぅ漏れる息を、自分の手でふさいでやっと抑える。  
 
太ももから徐々に脚を上ってきた  
ときわづの舌が、あそこに触れる。  
「んっ…」  
お尻のほうから、両手で割れ目を押し開いて、  
あたしの中心に、ときわづが舌を挿し入れてくる。  
 
ひだに沿って動く生温かい舌が、あたしのナカをくすぐる。  
「ふ…あぁっ……!」  
今度は脚が震えてきた。  
 
「……っ…早く終わらせてよ!」  
 
荒くなった呼吸の隙間から、やっと搾り出した  
あたしの声を、ときわづは意地悪に捕らえた。  
 
「どういうこと?早く、入れて欲しいってこと?」  
 
「違っ…!!」  
 
「何が違うの。こんなにべとべとに濡らして。  
君のココは真っ赤に充血して、 『早く入れて』ってひくついてるよ。」  
 
「やっ!」  
 
壁に向かって手をついていたあたしの身体を、  
ときわづは自分のほうに向き直らせた。  
それから、  
ふたの閉じた便器に腰掛けさせて、あたしの両足をつかみ  
思い切り持ち上げて、自分で自分の下腹部がよく見えるような  
恥ずかしい格好をさせた。  
 
「どお?自分で見える?君のやらしいとこ。  
ほら、濡れてるよー。」  
 
大きく開かせた脚の間に、  
ときわづが1本立てた中指を挿し入れて、ぐちゅぐちゅと出し入れする。  
そうして中指と親指で絡めとった粘つく体液を、あたしの陰毛に擦り付ける。  
その一部始終が、あたしの目の前50cmくらいの距離で、  
卑猥な水音を立てながら、これ見よがしに行われる。  
 
「やぁっ……!!やめてよっ!!」  
 
「恥ずかしい?  
でも、今日は挿れるとこも見ててもらうから。」  
 
ファスナーを下げてアレを取り出すときわづが、笑顔で言った。  
 
「この前みたいに後ろから突いただけじゃ、いまいち印象弱いだろ?  
君のなかにしっかり刻んでよ。君は僕に犯されたんだって。  
いくら逆らっても、君は僕に勝てなかったって。」  
 
なに言ってんの、こいつ。  
 
「!!やだ!!絶対いや!!!」  
政宗先輩以外の男と、顔を見合わせあってセックスなんて、  
気持ち悪い、絶対いや、先輩に悪い、絶対いや!  
 
「やだ!!やだ!!やだー!!」  
 
逃げ出そうともがくあたしを、ときわづが押さえつけて怖い顔で言った。  
 
「いいから、よく見てなよ。君の膣に僕のペニスが入るとこ。」  
 
冷たい目、  
ぎゅっと心臓をわしづかみにされたように胸が苦しくなって、  
冷たい床に押しつけられて無理矢理犯された、  
あの日の恐怖を思い出した。  
 
 
あたしはまた、ふたの閉じた便器に腰掛けさせられて、  
両脚を大きく開き、今度は自分の手で、その膝裏を抱えさせられている。  
 
「エロいねー。その格好。半泣きの顔が、また…。」  
いい、と言いながら、ときわづがあたしの膣口に、  
正面からペニスを突きつける。  
 
「ほら、見てなよ。しっかり。」  
 
「…っ……ふ。」  
 
「入るよ…。」  
 
ゆっくり、あたしのナカに、  
ときわづの硬いペニスが侵入してくる。  
 
「うっ…、やだ……。やめて…。」  
前戯なしで乾いてたこの間とは違って、今日はぬるりと、  
難なくときわづを受け入れてしまう。  
 
「…ほら、入っちゃったよ…。奥まで。  
つながってるとこ、見てごらん。」  
見たくない、やめてよ。  
 
「藤原くんの中、吸い付くようで気持ちいいよ。」  
あたしのほっぺたの涙を舌で舐めとりながら、ときわづが言う。  
 
ゾッとする。  
 
犬みたいに後ろから乱暴に犯されたこの前より、  
恋人みたいに向かい合って  
、肩を抱きしめられながら  
髪に口付けられながら、そうされるほうが、  
ときわづの思惑通り……ずっとダメージが大きい。  
 
「んっ…。ひ…あんっ。」  
プラスチックの便蓋をガタガタいわせながら、  
ときわづがあたしに激しく腰を打ち付ける。  
 
「ふ…っ…あっ…あぁ、あんっ。」  
窮屈なスペースで、不自然な体勢を強いられて、  
背中が痛い。  
 
何度も何度も、奥まで貫かれて、  
達しそうになる寸前で勢いを落とされ、焦らされる。  
 
キモチイイ…と思いそうになるのを、頭で必死に否定する。  
 
目の前の、馬鹿みたいにひらひらした白いシャツの肩に顔を埋めて、  
余裕のない頭で一生懸命政宗先輩のことだけ考える。  
(先輩、先輩、先輩、先輩、先輩、先輩、先輩……。)  
気持ちよくなんかない、こんなやつに折れたくない。  
 
「っ……!!」  
 
またあたしの一番奥で、ときわづが射精した。  
 
 
 
「……そろそろ戻らなきゃ、皆が変に思うかな。」  
 
あたしの膣からあふれる、自分の白濁液を  
指ですくってクリトリスに塗りつけながら、ときわづがつぶやいた。  
 
あたしはだらしなく開かれた脚を閉じる気にもならないで、  
泣くのを我慢してる。  
 
「……まっつんにばれたら殴られちゃうね。  
女の子を挟んで殴りあうのは初めてだから、わくわくするよ。」  
 
「!!やめてよ!政宗先輩には言わないで!!」  
 
「なんで?報告しようかと思ったのに。  
君の身体が、なかなか美味しかったって。」  
カッと頬が熱くなる。  
反射的に常磐津を平手で殴ろうとしたけど、サラッとかわされた。  
 
「じゃあ、黙っててあげるかわりに、これからも時々つまませてもらおうかな。  
まっつんと女の子共有するの初めてだから、なんか嬉しいよ。」  
 
「やだ…!やめてよ……!!」  
 
あたしの身体を好きにしていいのは、政宗先輩だけなんだから。  
 
「……へぇ、泣くほどいやなの。  
それなら、ますますそうしたくなった。」  
あたしの涙を、ひらひらの袖でぬぐって、ときわづがせせら笑った。  
「いつでも僕の好きなときに、好きなだけ犯らせてもらうからね。」  
 
あたしのこと好きじゃないくせに、触らないで。  
 
あたしを虐めたいだけなら、抱いたりしないで。  
 
「そうだ…、気づかれたくないなら、まっつんの前で普通にしててよ。  
アレ以来、彼のこと避けてるでしょ。  
彼、かわいそうなくらいイライラしてるよ。」   
”彼女”なら、きっちり性欲処理してあげなよ。と、  
皮肉を言って、ときわづは会議中の演劇部室へ帰っていった。  
 
1週間前が、女として人生最悪な日だと思ってたのに、  
今日は同じ男に精液を飲まされて、  
中出しされて、暗くて冷たい男子トイレで犯された。  
その上、そいつはあたしを無理矢理犯したくせに、  
政宗先輩にも普通に抱かれろって言う。  
 
 
ふざけるな、  
あたしを誰だと思ってるの。  
 
絶対、独占したくなるように仕向けてやるから。  
 
 
制服を整えて演劇部室に戻ると、香織が「大丈夫?」と駆け寄ってきた。  
ときわづは一瞬驚いて、にやっと笑った。  
 
 
<終わり>  
 
 

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