ごそごそごそ。  
 ごそごそごそ。  
「ん?」  
 ハヤテが目を覚ます。  
 誰かが自分のベッドに潜り込んできたようだ。  
(不審者?……な、わけないか。大方お嬢様あたりかな?)  
 ハヤテが布団をめくり上げる。  
「おじょ……伊澄さん?」  
「見つかってしまいました」  
 隣に寝ていたのは、ナギではなかった。  
 ナギのところに遊びにきていた伊澄だった。  
「あの。何を?」  
「寒いです」  
 伊澄は布団のかかっていない体をキュッと縮めていた。  
「あぁ。す、すみません」  
 寝着から覗く白く引き締まった脚。細く華奢な腕。まるで日本人形のような彼女の姿は美しかった。  
 ハヤテは少し残念がりながらも伊澄に布団をかける。  
「って、そうじゃなくて。伊澄さんはどうしてここに?」  
「いえ。お手洗いに行った帰りにナギの部屋がわからなくなってしまい。暖かいほうへ来たらここに」  
「あ〜」  
 ハヤテは苦笑いをする。確かに屋敷は広いがトイレはナギの部屋のすぐ側だ。むしろハヤテの部屋はそこからかなり遠い。  
「じゃあ、僕が送っていきますよ」  
 ハヤテが起き上がろうとすると伊澄がハヤテのパジャマの袖をつかむ。  
「伊澄さん?」  
「………一緒に寝てはくれないのですか?」  
「いや。それはさすがに」  
 いつもの無表情な顔つきでハヤテを見上げる。  
「一緒に寝てくれないと………ナギに……ハヤテさまに部屋に連れ込まれて無理矢理されたって言います」  
「………」  
 伊澄は実際に言いそうだし、ナギも間違いなくそれを信じるだろう。  
 そうなった場合、一体どうなる事やら。  
「わかりました。じゃあ、マリアさんにだけ伊澄さんがここにいること伝えてきます。でないとお嬢様と二人で伊澄さんを探すかもしれませんし」  
「はい」  
「じゃあ、ちょっと待っててくださいね」  
 ハヤテは部屋を出る。  
 一人部屋に取り残された伊澄は、ハヤテの出て行ったドアのほうを見ながら、ゆっくりと寝着を脱ぎ始めた。  
 
 
「マリアさんに釘をさされてしまった。僕ってそんなに信用ないかなぁ」  
 ハヤテが一人部屋に帰ってくる。  
「いすみさ……」  
 ドアを開けようとした瞬間、ハヤテは部屋の中の異変に気づく。  
 微かにドアを開け中を覗き込む。  
「!」  
 中には伊澄がいた。だが、その身には何もつけておらず、大きく脚を開き、その脚の付け根に手をあて指を動かしている。  
 普段は無表情な顔にも、微かに快楽の笑みが見て取れる。  
「さま……ハヤテさま……」  
 まるで覗いているハヤテに見せ付けるかのようにドアのほうに向かって大きく脚を開いていた。  
 そう。まるで早くハヤテに帰ってきてほしいと願うように。  
 ハヤテはその場を動かずにずっと部屋の様子を見ていた。  
 数分して、伊澄の体が痙攣をはじめる。  
 指の動きが速くなり、大きく一回からだが動くとその場にくたりと倒れこんでしまった。  
「はぁ……はぁ……」  
 伊澄はノロノロとした動きで寝着に袖を通す。  
 そして、ハヤテが部屋を出て行ったときと同じ格好になると何事もなかったかのように布団に潜り込んだ。  
「伊澄さん。すみません。遅くなって」  
 伊澄が落ち着いたのを確認してハヤテが部屋へと戻る。  
「いえ」  
「マリアさんにしっかり釘刺されちゃいまして」  
「そうですか」  
 伊澄はクスクスと笑う。  
「あ。もう寝ます?」  
「いえ。ハヤテさまのお好きなようになさって結構です」  
「なら、ビデオ見ましょうか。面白いのがあるんです」  
 そう言ってハヤテはドアの脇に置かれた小型のビデオカメラを取り出す。  
「え?」  
「お嬢様がたまに悪戯をしにくるのでその対策でずっと録画になってるんですよ………どうしたんですか?」  
「あ、あの。もう、寝ませんか?」  
「すぐにすみますよ。本当に面白いですから」  
 ビデオカメラの中のテープを巻き戻し、伊澄の隣に腰掛ける。  
 そして、モニターを開いて再生。  
『ハヤテさま。ハヤテさま。わたしの……ん〜っ』  
 モニターには全裸の伊澄が映っている。  
 もちろん、大きく脚を開いて行為にふけっていた。  
「ぁぁ」  
「伊澄さん……これ。どういうこと…ですか?」  
 ハヤテは伊澄の肩を抱き寄せ耳元で呟く。  
「何をなさっているのですか?」  
「し、しりません」  
 伊澄は顔を真っ赤にしてうつむく。  
「綺麗ですよね。伊澄さんの体って。脚も腕も胸も……秘部も」  
「ぃゃ」  
 伊澄はモニターを見ないようにしながらも、モニターから流れる自らの喘ぎに体が熱くなりはじめる。  
 
「ここをこんなにしてるじゃないですか」  
「ひっ」  
 ハヤテが伊澄のヴァギナに触れる。  
 そこはしっとりと濡れており、着ている寝着にも小さなシミを作っていた。  
「僕に見てほしかったんですよね」  
「わ、わたしは」  
「ちゃ〜んと、見てましたよ。ドアの向こうで」  
 伊澄は一瞬ビクンとなると顔を上げてハヤテのほうを見る。  
「さぁ、僕にどうしてほしかったんですか?」  
「……わ、わたしの……自慰行為……を…見て…ください」  
「伊澄さんは人に見られて興奮する変態さんなんですね」  
 伊澄はもう一度うつむく。  
「今までも使用人やSPの人たちに見てもらってたんですか?」  
 そう聞くと首を横に振った。  
「本当に?」  
「ハヤテさま以外には……」  
「へぇ。じゃあ」  
 ハヤテはビデオカメラにベッドの側にあった線に差し込む。  
 そして、カメラを操作すると、今度はテレビをつける。  
「何を?」  
「面白いことですよ……今映ってるのは、ここから遠くの街にある三千院家の所有するビルの外の監視カメラです。これを少し動かすと」  
 テレビは監視カメラの受信モニターとなり、今は街の様子を写してる。夜中だけに人は多くないが、若い男女はまだ見て取れた。  
「向かいのビルにモニターがありますよね」  
「はい」  
「見ててください」  
 監視カメラの中心には今は向かいのビルとその中心つけられた巨大モニターが映し出されている。  
 そして、ハヤテがビデオカメラのボタンを押すと。  
「!」  
 巨大モニターに大きく脚の開いた女性の映像が。もちろん、それは先ほどの伊澄だ。  
「そんな」  
「顔と声は消してあります。さぁ、街にみなさんに見られるのはどうですか?」  
 監視カメラはモニターから街の様子を写すように切り替える。  
『おいおい。なんだあれ』  
『うわ。モロだよモロ』  
『きゃぁぁ。な、なんなの?』  
『うわ。こいつこれ見ながらセンズリはじめやがった』  
「ハヤテさま」  
 伊澄は青ざめ泣きそうな顔になりながらハヤテを見上げる。  
『指で広げて見せろ!!』  
 街は一気にヒートアップしている。  
「ご要望ですよ。伊澄さん」  
「え」  
 ハヤテは伊澄の寝着を無理矢理剥ぎ取る。  
 そして、先ほどのように大きく脚をひらかせその前にビデオカメラを置く。  
「さぁ。どうぞ」  
 街のモニターの映像が変わる。  
 今の伊澄の体がそこには写っていた。  
「開いてあげましょう……さぁ」  
 伊澄はおずおずと手を動かし、ゆっくりとヴァギナを開く。  
『すげぇ。ライブ!?これ生放送かよ!!』  
『じゃあ、じゃあ、次はクリトリスを摘んでくれ!』  
 伊澄は街の若者の言うとおりにクリトリスを摘みあげる。  
 街中からは大歓声があがる。  
「どうですか伊澄さん。大勢の知らない人に見られるのは」  
「わ、わかりません」  
「気持ちよくありませんか?」  
「………いい…です」  
 そのとき、街にパトカーの音が響き渡った。  
「おっと。潮時ですね」  
 ハヤテがビデオカメラの電源を切るとモニターもブラックアウトする。  
「このお屋敷から500キロ以上離れた街に伊澄さんの恥ずかしい姿が映し出されましたよ。多くの人が見てましたね」  
「ぁぁ……」  
「そして、見られておまんこを濡らす変態な伊澄さん……お仕置きが必要そうですね」  
 ハヤテはその場でパジャマを脱ぎ捨てる。  
 そして、伊澄をベッドに押し倒し、ヴァギナに自分のペニスをああてる。  
「初めてですか?」  
「はい」  
 伊澄のその顔は快楽と欲情に溺れた情婦のようにハヤテを求めていた。  
「ハヤテさま。お慕いしております」  
「僕も……伊澄さんが好きですよ」  
 何の躊躇も無く、ハヤテは伊澄のヴァギナに突き入れる。  
 処女膜は一気に破れ、激しい痛みが伊澄を襲う。  
「んっ、ぁっ」  
 ハヤテはその痛みを紛らわすかのように、伊澄の口に自らの口を重ね、舌を絡め、唾液を混ぜ合わせる。  
 伊澄の方も普段のおっとりした感じは消え、ハヤテを求め自らの意思でそれに応える。  
「っっ、ん。あ。ハヤテさま。ハヤテさま」  
 ハヤテの腰が上下し始める。  
 伊澄は痛みのためか、顔をしかめるが、溢れ出ている愛液のために段々と痛みよりも快楽が支配し始めていた。  
「伊澄さん。いきますよ」  
「はい。きてください」  
 ハヤテは動きを速めると、伊澄を抱き起こし彼女の一番深いところまでペニスを押し付ける。  
 そして、その場所に大量の精液を吐き出した。  
「んっっっ…………ふぅ…ふっ…ハヤテさまの…精液」  
「えぇ。子供が出来ちゃうかもしれませんね」  
「ハヤテさまのお子なら…わたし」  
 伊澄はそう言ってハヤテに寄り添うようにくっつく。  
「伊澄さん。今度デートしましょうか?」  
「え?」  
「僕たちが始めて出会ったあの公園で」  
「……はい…ハヤテさま。愛しております」  
「僕もです」  
 ハヤテは伊澄に聞こえないほど小さな呟きで「玩具として」と付け加えた。  
 

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