「ん……んぁぁ!?」  
 大きな音と共に綾崎ハヤテはベッドから落ちる。  
 寝相のいい彼がベッドから落ちるなど初めてのことだ。  
「ててて。あれ」  
 ハヤテはベッドの下にいるはずなのに、ベッド上の布団はふっくらと膨らんでいる。  
「お嬢様でももぐりこんだのかな?」  
 布団をめくる。  
 キョロキョロ。  
 周りを見回すがドッキリの類ではないようだ。  
「そうだよな。あの番組はもう何年も前に」  
 心を落ち着けもう一度ベッド上を見る。  
 寝ているのは見たことのない女性。  
 長い黒髪、褐色の肌、申し訳程度に胸と尻を覆う黄色い布。  
「んっ。ふぁ〜〜」  
 女性が目を覚まし四つん這いで腕だけを伸ばし大きくノビをする。  
 猫特有のノビの仕方だ。  
「ん?あれ。ここ………おぉ、借金執事。すまんすまん。昨日寝ぼけて潜り込んじまったみたいだな」  
 ベッドの上に胡坐をかいてハヤテに向かって手をあげる。  
 Eカップ以上の大きな胸がフルフルと震える。  
「どした?借金執事」  
「ま、まさか。タマか?」  
「当たり前のことを言う………うぉぉ。なんじゃこりゃ〜!!!」  
 ハヤテの主、三千院ナギのペットのタマ(詳しいことが知りたければハヤテのごとく!を読もう)  
 しかし、昨日までは明らかに見た目通りのトラだったはずだ。  
「あ、あれか?昨日、三千院薬学部のやつらが来て俺に注射してた」  
「そんな危ないもの拒否しろよ」  
「マリアには逆らえないからなぁ。それに、確か予防接種だって言ったぜ」  
「予防接種って………………本当にタマなんだよな」  
「おうよ」  
「お前、オスじゃなかったのか?」  
「ん?」  
 タマは大きな胸を見たあと、パンツの中に手を入れて何かを確認する。  
「………両方ついてる」  
「……………それって」  
「いわゆる、ふたなりって奴だな」  
 タマはニヤリと笑うと、ブラとパンツを剥ぎ取る。  
「おい」  
 そして、ベッドの上で大きく脚を開いた。  
 ハヤテの目には巨大な男の竿と女の穴の両方が見える。  
 竿は女性で言うクリトリスの位置に大きくそそり立っていた。  
「どうだ。卑猥だろぉ。俺様のちんぽもまんこもケツ穴も全部見せてるんだぜ」  
「タマ。いい加減に」  
「お、そうだ。どうせこの格好じゃ誰も気付かねぇだろうし。ナギとマリアを犯してくるかな」  
「お、おい!」  
「そうだな。外見的に名前は夜一ってことで」  
「いや。それはマズイ。色々とマズイ」  
 タマは立ち上がり部屋を出ようとする。  
「待て!」  
 ハヤテは飛びつき体を呈してタマを止める。  
 ハヤテの手に柔らかな感触。  
「おいおい。そんなに俺の胸が好きかよ」  
「え?いやいや、そういうわけじゃ」  
「ったく。なら、マリアを俺にくれるならお前にはナギをやるよ。そういや、昨日からノホホン娘と関西弁も来てたな」  
 タマが舌を舐めまわす。  
 同時にドアを蹴破り脱兎のごとく飛び出す。  
 
「け〜っけっけ。俺様のこの巨根で娘らを昇天させてやるぜ〜!!」  
 見た目はエキゾチックな美女なのだが、言ってることは外道だ。  
「阿保かぁぁ!!」  
 ハヤテがタマの背にドロップキックをかます。  
 タマは弓なりに背をそらし、壁に激突する。  
 目を回しているタマの首根っこを捕まえ、近くの空き部屋に放り込んだ。  
「あのハヤテくん。どうかなさいました?」  
 すぐそばの部屋からマリアが顔を出す。  
「あ。いえ。タマがちょっと暴走しちゃって。今日はここに閉じ込めるのであけちゃだめですよ」  
「は、はぁ。わかりました」  
 そう言ってもう一度部屋へ戻る。  
 ハヤテはそれを確認し、タマを閉じ込めた部屋に入る。  
「はぁ……はぁ……んっ」  
「タマ?」  
 部屋は電気がついておらず、窓もしまっているせいで真っ暗だ。  
 だが、不審な声だけが聞こえてくる。  
「はぁはぁ。ぁっ」  
「おぉい」  
 ハヤテの目が闇に慣れてくると、だんだんとそこにいるものの輪郭がはっきりと見えてくる。  
 たち膝になり、右手で竿をこすり、左手で穴をいじる。  
 それぞれの敏感な場所を同時に刺激しているタマの姿だ。  
「た。タマ!?」  
「ぉぉ………」  
「ぅぁ」  
 タマがハヤテに飛び乗ってくる。  
 ハヤテも突然のことにバランスを崩し倒れてしまった。  
「はぁはぁ。発情した……やらせろ」  
「えぇぇぇぇぇ!?た、タマ。やめろ。おぉぃ!!脱がすな!!!」  
「安心しな。てめぇのケツにぶち込むわけじゃねぇ。俺のまんこ使わせてやるからよ」  
 タマは上に乗りながら器用にハヤテのズボンを下げる。  
 だが、ハヤテのそれはこんにゃくのように力なく垂れていた。  
「おいおい。どういうことだ」  
「当たり前だ!僕は変態じゃないんだぞ!!」  
「変態だ。ロリコンでメイド好きな変態だ。ナギもマリアもイスミもサクヤも首輪をつけて足元で飼いたいんだろ」  
「ぼ、僕は……」  
「いまさら獣姦のひとつ増えたところで変わりはしないだろ。それに、この体ならそれほど違和感もないだろ」  
 タマがハヤテの竿をこすっていると、段々と固くなり始める。  
「そうそう。素直になれよ」  
「ぅぁっ」  
 ハヤテのが十分に勃起する前に、タマは腰を落とす。  
「うっはぁ。なんだ、結構いいものもってるじゃねぇか。ぉぉ。中で大きくなりやがるぜ」  
「や、やめ」  
「って、ちょ。ぉぃ。だめ……ひゃん……俺がいくら人間サイズになったとはいえ、お前のデカイ……こんな…うぅ」  
「はぁはぁ…タマ」  
「奥。奥にあたってるぅ。んぅぅ。は、はやて……の……げて」  
「え?」  
「私のいやらしいおまんこ!突き上げて!!!」  
 タマは恍惚とした表情ですばやく腰を動かす。  
「タマ。タマ!!」  
 ハヤテもそれにあわせるように腰を下から突き上げる。  
「いぃ。はやて!!いぃ。ぁぁ。いく、いぐ、いぐぅぅ」  
「タマ!!タマ!!タマ!!」  
「うぅぅぅ!!ぁぁぁぁぁぁ!!!」  
 お互い絶頂を向かえくたりとなる。  
 タマは寄り添うようにハヤテの上に経たり落ちる。  
 
「ふぅふぅ。すまん、我を忘れるくらいによかった」  
「タマ」  
「あのな………俺、本当はメスなんだ。ナギもマリアもオスだと思ってるけど」  
 タマがハヤテの胸に顔をうずめながら言う。  
 ハヤテも愛しい眼をしながらタマの頭を撫でる。  
「でも、俺がまだ幼かったころ。ここに拾われてきて………クラウスの親父に何度も犯されたんだ」  
 ハヤテの手が止まる。  
「もちろん。こんな姿じゃなくて、トラのままでだ。で、それ以来俺はオスの獣格を作ったのさ」  
「タマ」  
「でも、お前が俺のメスの部分をもう一度思い出させてくれた。悦びを思い出させてくれたんだ」  
 タマの声に嗚咽が混じる。  
「なぁ……お前の前では…」  
「いいよ。僕の前では可愛いタマで」  
「………ありがとう」  
 
 数日後。  
「なぁ、ハヤテ。タマ知らないか?」  
「タマなら修行の旅に出ましたよ。なんでも僕に勝つためだとか」  
「そっか」  
「あ、ハヤテさん。クラウスさん見かけませんでした?」  
「さぁ。見てませんけど」  
「そうですか。どこに行ったのでしょう」  
 ナギはいつものように部屋にこもり、マリアはメイドの仕事をこなす。  
 いつもと変わらない日常。一匹と一人がいなくてもほとんど変わりない。  
 そして。  
「ただいま。タマ」  
「おかえり」  
 ハヤテは普段使っていない部屋の戸を開ける中に入る。  
 待っていたのは首輪をつけたタマ。  
 あれからタマは元には戻らなかった。  
 とはいえ、人前に出すこともできないので、ハヤテがここで『飼う』ことにしたのだ。  
「いい子にしてたかい?」  
「うん」  
 すっかり男言葉と態度が抜け、見た目よりも若い少女となったタマ。  
 どうやら少女の心はタマが心を閉ざした時に止まってしまったようだった。  
「いい子にしてたら、じきに友達をつれてきてあげるからね。一緒に遊んであげようね」  
「うん……ぁっ、ハヤテ。んっっ」  
「今日はこっちもしてあげるよ」  
 ハヤテがタマに覆いかぶさりタマの大きな竿を口に含む。  
「ハヤテぇ」  
「ふふ。オスとメスの両方をもつ体、タマにはぴったりだ」  
「バカぁ……ひゃん」  
 毎日の日課。タマと愛を語らい体を愛すること。そして、それはすべての序章にすぎなかった。  
 

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