「な……なんだよ、こりゃ……」
誰にも聞こえない様、小さく小さく呟きながら、橘ワタルは信じられない光景を目にしていた。
夜も半ばふけたこの時間まで彼は、今日珍しくも開かれていた三千院家ホームパーティーに招かれ、そこでダメ教師に無理矢理呑まされた酒でダウンしていたのだ。
彼が好意を抱く伊澄の前で恥をかいた事を思い出し、夜の庭内を散歩して気を紛らわそうとする所だった。
そこで聞こえた奇妙な音に好奇心を抱いたのが発端だった。
くぐもった様な聞きなれない音。
(……ぁ……は……)
? と思い、その音の原因を探す。すぐに見つかった。使用人用の寝室だ。
わずかにカーテンの開いた窓から聞こえてくる。
そこで、彼は見てしまったのだ。
「ん……ハヤ、テぇ。だめ……くふぅっ……」
声とともに、二つの影がからみ合っている。
「……あ。すみません、お嬢様……まだ、慣れない……ですよね?」
「……大丈夫、だ。気にするな……。それに、私の方からしてあげようとしても、まだ全然知らなくて…ごめん、な……」
「……気にしないで下さい。時間はたっぷりあるんですから。」
「こ……こういう事がいやな訳じゃ、ないからな…!」
「それはわかっていますよ。お嬢様、ずっとご機嫌ですし。今日のパーティーだって……」
「ば、馬鹿、いちいち口に」
と、影の片方がいきなりもう一方に覆いかぶさり、口を塞ぐ。
「んあ……」
わずかな後、影は離れ、
「……バカ!」
と片方が言い、
「ええ、お嬢様に関しては僕は馬鹿になりますよ。」
と返す。
「……!」
影はうつむき、しかし動けず。そして、もう一方の影が近付いていった……
「なんだよ、こりゃあ……」
ワタルはまた呟く。そして躊躇いもなく、その場を駆け去った。
「は、……は…はぁ、……は……」
息が荒い。しかし、ワタルの意識はそんな事は微塵も気にできる状況にはない。
形だけとはいえ婚約者の幼馴染みが、自分の知らない姿を曝け出していた。それがワタルの思考を止めていた。
「……くそ。」
誰へとも知らぬ悪罵をつき、ワタルは池のほとりに座り込む。
冷静になれ、と思いつつ、彼は自分の好きな相手の事を考える。
「伊澄は……この事を知っているのかな。」
彼女は以前、借金執事の事を好きと言っていた。しかし……
「……あのわがままなヒキコモリと、ヤツはもうああなっているわけで……」
この事を知ったら、傷付くのではないだろうか。
「……なんとか、励ませないかな……」
ワタルは、その方法を幾つも考える。
そして、ふと浮かんだ思考にワタルは嫌悪を抱いた。
「……嫌なヤツだな、オレって。都合が良すぎるし、第一……そんなんじゃ、からっぽになった所に付け込んでるだけじゃないか……」
自分を代わりにしろ、という考え。だが、それはワタルに対しても、伊澄に対しても妥協と苦渋の結果でしかなく。
「……オレだけならいいけど、結局誤魔化しでしかないよな……」
ワタルには、伊澄を苦しめる選択はできない。自分よりも、伊澄がどう思うかが何より肝心なのだ。ワタルは自分を嫌悪し、そして言葉を連ねる。
「……こんな事考えるオレに、伊澄のこと好きになる資格なんて、あるのかな……」
「……ワタル君が私の事を、好き……?」
聞こえた声は、ワタルの意識の方向を変えるのには、十分すぎた。
「伊す……み?」
何故。こんな所に。知られてしまった。想いを?
思考の重なりが止めどなく溢れ、止まらない。が、引き戻される。伊澄の言葉で。
「……どういうこと?ナギの事は、どうなの?……どう思ってるの?」
伊澄の表情はいつもと変わらない。多少困っている様な、そんな顔だ。
いつも通り、親友の心配をしている。
「……」
わずかな沈黙。それで考える事を切り替える。
「……アイツなら、心配ない。いつもアイツのそばにいる奴がいる。これからもだ。
元々オレは、……まあ、嫌いじゃなかったが、あくまで友達としか思えなかったし……」
それはハッキリしている。だからそれだけは躊躇いなく言った。
そして伊澄は
「……そう、ですか。知って、いらしたんですね?」
伊澄も二人のことは知っていたという事だ。それに伊澄がショックを受けていない事を確認できたワタルは安堵する。気が抜けて、
「……知っていたというか、知ってしまったというか……」
ふう、と伊澄は息をつく。良かった、と呟く。が。
「あ。」
そう、ワタルの台詞が消えた訳もなく。伊澄の意識にそれが戻ってきた。
「……あの、ワタル君。私の事……好き、って……」
「え、あ……」
ワタルは未だにこの事に対処しきれていない。だから、また沈黙する。
思考が混沌として、まとまらない。自分の想いはあるが、伊澄がどう答えるか解らない。自分が振られるのは構わないが、下手したら傷つけてしまう。どう答えるべきなのか。
ここで誤魔化しておけば、伊澄に気を使わせることはない。そう思ったときだ。
「……私を、そう思っていてくれたんですか……?」
伊澄の声がもうろうとした脳に届いた。それが契機だった。衝動は止められない。
「あ……ああ!好きだよ!ずっと好きだった!結局……言う事はできなかったけどな。」
と、そこまで言って、ワタルは自分の脳内を実況中継していたことに気付く。
見れば、伊澄は自分の事を、ただじっと見ている。
そこからなにかしらを読み取る事は、今のワタルにはとてもできなかった。
「あ…あ、あう……」
伊澄の直視にワタルは耐えられない。いつ、自分を否定する言葉が来るんじゃないか、と。
伊澄が軽く目をつぶり、そしてこちらを見据えなおした。
「……あの、ワタル、君……」
ワタルを恐怖が襲った。この場にはいられない。
「あ……。……すま、ねぇ…」
それだけ呟き、ワタルは夜の闇のなかに駆けだした。なにに対して謝っているのか、自分にも解らないまま。
「……くそ」
ワタルは、いつの間にか自分の家に帰っていた。今は、玄関口に座ってもの思いに耽っている。
「……情けないな……」
夜のなかを歩いた事で、頭は大分冷えていた。
「絶対、嫌われたよな……どうすりゃいいんだ。
伊澄のこと以外も、挨拶も無しに出てきちまったし……」
と、そこでワタルは二人の情事を見てしまったことを思い出す。
「……。あー、くそっ!……そういやサキも置いてきちまったじゃねえか」
「……挨拶なら、大丈夫ですよ……。私が連絡しておきましたから。
サキさんも、マリアさん達が今晩は預かっていてくれるそうです。」
「ああ、そうか……今夜は落ち着いていろいろ考えられそうだな。」
「……でも、私がいると五月蝿く感じてしまうかも……」
「いや、それは大丈夫だとおも……う……?」
と、そこでワタルは気付く。
「い…いいいいいいいい…い…伊澄ぃ〜!?な、なななななんでここに」
呂律が回らず、伊澄を驚かせる。
「え……いや…あの……その。えと、あのまま一人でいたら迷子になりそうだったのでワタル君の後を……」
「……ああ。もういい。わかった……」
「あ、はい。」
・
・
・
会話が続かない。沈黙。
ワタルは何をいったらいいものかまとまらず、伊澄はいつもと様子を変えない。
気まずい。
次第に、ワタルの脳内はマイナスのスパイラル思考で満ち始めてきた。
しかし、とりあえず何か言おうと思い、
「「あの」」
伊澄と声が重なった。
「……あー……い、伊澄から先に。」
「……えーと、ワタル君からどうぞ……」
と、伊澄がワタルをじっと見る。
「あ〜……送っていこうか?」
元々たいした事を言おうとしていた訳ではないので、無難な言葉しか出て来ない。が、
「でも、もうこんな時間ですよ?私たちだけじゃ危ないんじゃないでしょうか……?」
見れば、時計の針が指すのは良い子は決して起きていてはいけない時間だ。都心にあるこの辺りは、確かに治安が誉められたものではない。
「……そ、そうだな……じゃ、じゃあ……」
そこまで言ってワタルは気付く。今、伊澄と二人きりで、更に朝まで外に出られないと言う事を。
「……ワタル君?」
返事がない。ただの屍のようではないが。どちらかと言えば、2000Gでジージョの土産にされそうな具合に固まっている。
「ワタル君?」
金の針が効いた様だ。不埒な思考をやっとの事で収め、ワタルは動く。
「あ……い、いや、何でもない。……オレの方はそれだけなんだけど。伊澄は?」
「……え?なにがですか?」
脱力。が、気を取り直し、
「えーと……さっきなにか言おうとしてた事で……」
伊澄は合点がいった様だ。ぽん、と着物に隠れた手を打ち鳴らす。
「……ええと……さっき、ナギの家でワタル君が言っていた事に関してなんですけど……」
ワタルはまたもジャミの呪いを食らった様だ。ぴしり、と固まる。墓穴を掘った。
人形じみた動きで伊澄の方を見つめなおす。
「え、いや……その、だな……」
戸惑うワタルの前で、伊澄は言葉を列ねる。
「私は……」
そこまで聞き、ワタルは言っていた。
「……聞かなかったことにしてくれ!」
「……え?」
ワタルはうつむく。
「……さっき、伊澄にああ言っちまって、何か今答えてくれようとしていたけど……
それを聞く以前にオレは自分の現状に納得がいっていないんだ。
お前に何か言う以前に……自分の家がこんな状況で。そんな資格はない。本当は、もっとしっかり……ナギの野郎よりもいろんな力をつけてから、言うつもりだったんだ。
それに……」
伊澄は黙って聞いている。
「……正直、オレはお前の言葉を聞くのが恐い。オレは臆病者だ。……だから。
オレは、そんな臆病なのが自分ってことが嫌なんだ。
自分でよく解る。オレは、おまえにはつり合わない。
だから……そんな臆病なオレがおまえを好きになるって言うのはまだ早いんだ。」
と、そこまで言い、顔を上げた。その瞬間。
「……!?」
ワタルの目の前が何かで埋まっている。同時に、ワタルの顔にそれが当たっているのだ。
ワタルの脳裏に使用人室の前で見かけた光景がフラッシュバックし、その事が現状をはっきり認識させた。
「……!!」
そのときと同じく、伊澄がワタルの唇を、己のそれを以って塞いでいた。違うのは、行為の主体と客体の性別がそれぞれ逆だったことだけだ。
数秒たち、ワタルから伊澄が離れる。
「………」
ワタルは放心状態だ。見れば、伊澄も顔を赤らめている。
「……どうして……」
やっとのことでそれだけを口にだす。
「……ワタル、君。」
伊澄がワタルの名を呼ぶ。
「え、あ、ああ……」
「好きって言われて、嫌な気分がすると思いますか?」
「え、あ……。」
「……私は、嬉しかったですよ。あんな事言われたの、初めてでしたから……」
「で、でも……」
そんな事だけでは納得できない。好きと言われただけで、キスまでするなどと言うのは……
だが、伊澄はワタルの内心を見透かした様に続ける。
「それに……ワタル君は、真剣に私の事を大切に思ってくれているみたいですし……」
「え?そんなことまで……」
わかるものだろうか。
「……だって、ワタル君は……多分私がハヤテ様の事を殿方として好いていると思っていたんでしょう?
私を気づかって、それで慰めようとしてくれて……」
自分が先程口に出していた事だ。
「そこも聞いていたのか……」
コクリと伊澄はうなずき、続ける。そして、そこから聞いていたと言う事は。
「でも……私を好きなのにも関わらず、もし私が傷付いていたとしても、そこに付け込まない様本当に真剣に考えてくれて……」
「御自分を憶病者って言うのも……それだけ真剣に私と向き合う事を考えてくれたってことですよね……?」
ワタルは何も言えない。
「だから……私は、それだけ真剣なワタル君を好ましく思って……
それで、向き合いたいと思ったんです。」
「でも……」
「解ってます。ワタル君、本当に真剣に考えて下さいますから……
納得、できないんですよね?」
見透かされている。けれど、否定する理由もない。だから、
「……ああ。」
肯定する。
すると、伊澄が近寄ってきた。
「お、おい……」
「私も……真剣にワタル君と向かい合いたいです。
でも……私はワタル君の様に未来をしっかり考えている訳じゃ、ないんです。
だから……私なりのけじめとして……」
伊澄はワタルを見据えた。
「私の体を…ワタル君に捧げたいです。」
ワタルの時間が止まった。
「……ご迷惑、でしたか?」
そして時は動きだす。
「……ちょ、ちょっと待った。お前……自分のいっている意味……」
「はい。……解っているつもりです。」
「……それって、オレの事を……」
「……はい。私もワタル君のこと……好きです。
……違います、ね。ワタル君が、私にワタル君の事を好きにさせたんです。」
「え、あ……」
ワタルは顔を赤らめる。同時に、ワタルは複雑な気分だった。
嬉しさは確かにある。それも、人生の中で最高のものがだ。
しかし、それと同程度で釈然としないものもあるのだ。
それは沈黙を生む。
それを伊澄はどう取ったか、
「え……ええと……あの、こんな事を言うのもワタル君が初めてで……
他の方に体を許した事も、ないですから……」
今までのシリアスな雰囲気が嘘の様に、いつも通りオロオロしだす伊澄みを見て、ワタルは苦笑してしまった。
「はは……」
同時に気が楽になる。なので、言った。
「……本当にオレで、いいのか?」
「……はい。」
伊澄はオロオロを止め、ワタルと向き合う。
「だって……ワタルくんは自分の事を私につり合わないっておっしゃっていましたけど……
買い被り過ぎですよ。私だって、そんな凄いものじゃないんですから……」
もう何度目か解らない程の沈黙が生じた。が、これまでと違い、そこには動きが伴っている。
二人の影は次第に近付き、一つになった。
ワタルは、膝の上に伊澄を腰掛けさせた。
「ん……」
「だ、大丈夫か!?」
「……ちょっとくすぐったかっただけですから。平気です。
……もっと激しくなさっても、全然構わないですよ?」
和服の上から、伊澄のまだ小さな膨らみを愛撫する。
「んふ……」
伊澄が体をくねらせる。ワタルの手付きはぎこちないが、伊澄も初めてなのであまり影響はない。
と、
「んっ……!」
伊澄が動いた拍子に、ワタルの手が鎖骨の辺りから和服の隙間に滑り込んだ。
「はあぁ……」
伊澄は甘い息をつき、それがワタルを昂らせた。
「っと…ここ……か?」
「ん……は、はい……」
しばらく、ワタルは伊澄のそこを揉みしだいた。
「ん……ふ……ん…あ……あん……は、ぁ……」
一息つく。そしてそのまま、ワタルは伊澄みの上半身をはだけさせた。
「あ……」
ワタルは思わず呟く。
「……奇麗だ……」
伊澄の柔肌は雪の様に白く、それが月明かりで艶かしく光る。
絹の様なそれは、次第に羞恥心で赤く染められていく。
「……み、見ないで下さい……」
伊澄の言葉をワタルは無視できない。
そして、今度はじかに裸身に触れる。
しばらく、先程の位置に固執した。
その後、ゆっくりと伊澄の胸元に顔を近付ける。
「あ……ワタル君……」
ワタルは、ゆっくりとまるでガラス細工を扱うかの様に、伊澄に行為をなす。
「ん、ふ……」
数分。伊澄みの白い体には、幾つかの赤い跡が残る。
わずかに伊澄を浮かせ、仰向けにする。
そのまま、伊澄をワタルは横たえた。
「……下の方も、いいか?」
ワタルの台詞を聞いた伊澄は、顔を赤く染めながらもこくりと頷く。
和服には下着は用いられない。せいぜい腰帯があるくらいだが、伊澄はそれも使っていなかった。
その誰も手を振れていない場所に、ワタルは手を延ばす。
「ふ、く、んっ……!」
「す、すまない!大丈夫……か?」
「は、はい……。ただ、もう少し……」
解った、と頷き、ワタルはそこへ再度手を延ばした。
「は……ああ……ん……あふっ…く……ん……あ……
はぁっ、あ…あ、あ、……んくぅっ!!」
伊澄の喘ぎは次第に強くなっていく。
と、ワタルは、伊澄のそこで、自分の股間にあるものに当たる部位を見つけた。
「……ここ、か?」
そこを、丁寧に、だが強く刺激。
「んふぅぅ……!」
伊澄の体が仰け反る。
「は……気持ちいいです……」
ワタルは期待に答えた。
伊澄の声が、しばらく響く。
そして、
「……いいか?」
ワタルが問うた。
伊澄身は夢の中にいる様な目でワタルを見る。
言葉はもういらなかった。
伊澄は、ワタルの服を脱がせた。
ワタルは何もしない。もう伊澄の和服は、服としての意味を為していたのは帯だけだったからだ。
「く、ん、……ッ!わ、たる、くぅ……!!」
「くあっ……!」
伊澄の中に、ワタルは自身を入れた。そこはあまりにも狭く、また気持ちよかった。
この様な経験の全くないワタルには、果てるのは時間の問題だった。
だが、
「平気……か?いす……み……」
彼にとって、伊澄はいかなるときも優先される。伊澄はそれを知っている。
だから、息も絶え絶えながら、伊澄はこう言った。
「……は……だいじょ…ぶ、ですか……ワタル君の……好きな、ように……」
自分の事を大切に思ってるからこそ、好きにしてほしい。
今は、ワタルにもそれが十分伝わった。一心二体、だ。
だから、ワタルは動いた。躊躇いなく、果てるまで。
「く……あ、あ……っ!伊澄!伊澄ぃっ!!」
「は……は…んっ……ワタル、く……は……あ……」
そして、ワタルは伊澄の中に想いを放った。
「……伊澄……」
「……ワタルくん……」
「ん……」
ワタルは目を覚ました。朝の光が目を刺す。
とても良い夢を見た気がする。現実ではないかと、ふと、傍らを見るが。
「……やっぱり、夢だよな……」
ふう、と息をつく。と、気付いた。何故か、服をきていない。
「……え?」
同時、部屋の扉が開いた。見れば、
「……伊澄?」
「あ、目を覚まされたようですね……?……朝御飯、勝手ですけど……作らせてもらいました。
お召し上がりに……なりますか?」
「あ、ああ……」
生返事しかできない。伊澄は、
「ええと……いろいろと言いたい事や、話し合いたい事はあるのですけど。
まず、これだけは言わせて下さい。」
「な、なにを……」
「……ふつつか者ですが、よろしくお願いしますね?」
にこりと笑う。
いろいろと言いたい事や、話し合いたい事。それらはやはりワタルにもある。
だが、ワタルの口からは、自然と言うべき言葉が出ていた。
「……こちらこそ、よろしくな、伊澄。」
「はい」
そして伊澄はワタルに寄り添った。それは、これからは、ずっとずっと続くのであろう。
END