12月24日。  
この日は特別な日である。  
 
深夜。とある豪邸にて盛大なパーティーが終わった後、  
三千院邸の使用人専用部屋にて、二人の影が存在した。  
 
「改めて、お誕生日おめでとうございます。マリアさん。  
 といっても、既に日付が変わってますけどね・・・・」  
「ありがとうございます。ハヤテ君。」  
 
今日と同じ日に出会ってから×年後・・・・二人は深い関係となった。  
しかし、この事実は、主であるナギには未だ知られていない。  
その為かマリアは彼とこのような密会をする度にナギに対して罪の意識を感じてしまう。  
だが、もうマリアは止まることはできなかった。  
もうハヤテに対する想いを自分の内に閉じ込めることが出来なくなってしまった。  
 
ずっと、『誰かに愛されたい』と彼女は願っていた。  
孤児となったマリアは『人から愛されない』という呪いにかかったように錯覚するほど  
悩むこともあった。気付けばそれも慣れてしまったが・・・・。  
自分を慕ってくれるナギもいたが、それでも心に虚無感が残されていた。  
そんなとき、ハヤテがそばにいてくれた。  
時には甘く見られる時もあったが、今ではそれも幸せのひとときと感じている。  
デートの真似事もしたが、『あの時もっと素直になっていれば』と悔やむほどだ。  
二人きりの勉強会。彼を異性と意識するばかりで落ち着かなかった。  
 
あの日、異性を苦手としていたハヤテ自身から出た言葉、  
1つしか年が変わらないはずの彼が、ウブな少年にしか見えないくらい真っ赤な顔で、  
『僕は、マリアさんのことが・・・・。』  
涙が止まらなくなる程、嬉しかった。  
初めて彼に自分の身を捧げるときには今まで経験のない激痛を伴ったが、  
それを忘れるほど、彼と結ばれたという幸福感に包まれた。  
 
そして、また今日も。  
 
既に二人は衣服を脱ぎ散らかし、ベッドへ倒れこんでいた。  
「お、お願いします・・・・ハヤテ君・・・・。」  
「はい・・・・。」  
下着姿になったマリアの姿はか細く、そして瑞々しい肢体だった。  
ハヤテはマリアを怖がらせないように、ゆっくりと彼女のレースのブラに指を入れる。  
「・・・・っ。」  
切なさがこもったマリアの声で、ハヤテの中にいる獣が目覚める。  
既にホックを外すことに慣れてしまったせいで、すぐにマリアの豊満な乳房が溢れ出す。  
「マリアさん・・・では・・・・。」  
「あっ・・・・。」  
ハヤテの綺麗な指先に乳房を鷲掴みされ、マリアは甘い声を漏らす。  
マリアを抱きたい想いでハヤテは暴走する。  
「あっ、アンっ!ああっ!あぁ――――――っ!」  
屋敷中全体に響くかと思うような声でマリアは喘ぐ。  
ハヤテに触れられることで絶頂するほどにマリアの体は変わってしまった。  
そして――――マリアの理性もなくなるのは時間の問題だった。  
「ハヤテ君・・・・ハァ・・・・もう、私・・・・あっ・・・・。」  
「・・・・はい」  
何度も行っているはずの行為でありながら、毎回躊躇いが出てしまう。  
それでも、ハヤテはマリアと――――大好きな人と結ばれたいと願う。  
マリアもまた同じだった。  
ハヤテの下腹部には禍々しく猛るペニスがあった。  
マリアを傷つけたモノであるそれはハヤテにとって醜いものでもあったが、  
彼女にとっては二人の繋がりを象徴する架け橋のようなものだった。  
「マリアさん・・・・ちょっと・・・・。」  
「んっ・・・どうか、しましたか?」  
「今日は、後ろから・・・・いいですか?」  
「え?ま、まぁ・・・・。い、いいですけど・・・・。」  
少々声に恐れがありながらもマリアは腰を上げ、ハヤテに背中を向ける。  
マリアのアダルトさを出したショーツは蜜のような愛液によって漏れている光景を見て、  
ハヤテはツバを飲む。  
 
「失礼、します」  
「ひゃっ!」  
その指で下着をずらし、整った陰毛に隠れている割れ目を見つけ―――――。  
「ハ、ハヤテ君・・・・。」  
「では、いきます―――――。」  
自分の腰をマリアに重ね、あてがい、  
「あっ・・・・はぁ・・・・あっ!アンッ!ああ―――――っ!」  
そして二人はひとつになった。  
最初はマリアが痛さを堪えるばかりだったのでハヤテにも辛いセックスだったが、  
今となっては予想以上に体の相性が良くなってしまい、  
ハヤテの動きは時に乱暴になってしまう。  
「ご、ごめんなさい!マリアさん・・・・くっ!」  
それでもハヤテはマリアを想うためにギリギリ残っていた理性で自分を抑えようとするが、  
「い、いいの・・・・ハヤテ君・・・・  
もっと・・・・アッ!もっと来て。激しくしてぇ――――っ!」  
マリアもこのような艶かしい喘ぎ声を出すようになり、ハヤテを強く求め始めた。  
そのおかげでハヤテの腰の動きが一気に早まる。  
マリアも体位の都合上、ハヤテの顔を確認できないから少々怖さもあったが、  
それでも彼を信じることが出来るから許せる行為だった。  
「くっ!・・・はっ・・・・うぅっ!マリアさ・・・・」  
「あっ!アァンッ!きてっ!ああっ!」  
室内に二人の体がパンパンと打ち付ける音が、  
ベッドのギシギシとした音が響き渡る。  
真冬でありながら二人は燃え盛るかのように熱く、激しく交わっていた。  
「あっ!ひぃあっ!あぅっ!」  
「はぁ・・・あっ、くっ・・・・んんっ!」  
「ああんっ、きて・・・・あああああっ――――――っ!!」  
「う・・・・・くぁああああああっ!!!」  
 
ビクンッ!  
 
残った理性ギリギリで外に出した・・・・。  
 
疲れ果ててしまったのか、マリアはすやすやと可愛い寝息をたてている。  
その安らかなマリアの寝顔を見ることで、ハヤテは幸せでいられる。  
(・・・・だけど、このままではいられない)  
ハヤテは今、マリアと結ばれたことで覚悟した。  
(あの日、お嬢様は『マリアに手を出したらタダじゃすまない』と警告なさった。  
 でも・・・・僕は、これからお嬢様と敵対することになる)  
それはハヤテにとって決して進みたくない道だった。  
(でも、僕は決めたんだ・・・・。  
 マリアさんに想いを告げたとき、たとえ誰が敵に回ろうと立ち向かうと・・・・)  
そうマリアと約束した。  
だが、ハヤテは何も知らない。  
彼を中心にいくつもの想いが繋がり、そしてぶつかり合おうとしていることに・・・・。  
(明日、明日だ・・・・。お嬢様にこのことを告げよう。  
 僕は屋敷から追い出されるかもしれない・・・・  
 最悪の場合、マリアさんとも会えるのかすら・・・・)  
 
道を進むにはいくつもの不安になる要素があった。  
それでも、隣で眠っているマリアの顔を見ることで、  
決戦前のひとときの休息を得ることが出来た。  
 
                              
おわり  
 
 

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