「ハルさんって、閨事も一流なんですか?」
「は、はいっ!?なんですか!?」
咲夜の屋敷の千桜用の待機部屋で、ハヤテと千桜は二人きりである。
咲夜に屋敷に呼ばれたハヤテが千桜の部屋で待っているように言われ、二人で待つあいだ、
いきなりハヤテがそんな話をしはじめた。
「咲夜さんが、一流のメイドさんはあっちのお世話も一流なんだって言ってたんですよ」
ハヤテは、ごく普通の会話を交わすがごとくに、思い切り下の方向の話を続ける。
『えー…咲夜さん…何を吹き込んでいるのですかー…?』
千桜はうろたえないように笑顔を維持しながらも、内心であきらかなセクハラ発言に
弱っていた。
千桜は、まだ男の子と手を握ったこともないくらい男性経験については皆無なのである。
確かにアレゲなゲームや本はよく読んでいるので耳年増と言われる程度にそっち方面の
知識が無いことはないのだが、実生活での免疫は全くといっていいくらい無い。
『こ、こういうときは…』
千桜はこんなときでも完璧なメイドさんを演じ続けようと、自分の中のメイドさんの
知識を総動員して、この場を切り抜けるのに最適なリアクションを見つけ出す。
そして、
「それは、ご想像にお任せしますわ♪」
爽やかな(作り)笑顔で切り返す。セクハラ発言にも動じず、うろたえず、完璧なメイドさんを
演じる千桜だった。
…が。
「へぇー。すごい自信ですね。どれほどの技をお持ちなのか一度拝見してみたいです」
ハヤテがなんだか目を輝かせる。
『ちょっ…!どうしてそうなるんだっ!?』
千桜は予想外なハヤテの食い付きに慌てた。予定ではさっきの台詞でさらりと話題をかわせる
はずだったのに。
相変わらず笑顔を崩さず維持しながら、内心動揺しまくりで、完璧なメイドさんが次に言うべき
言葉を探す。
そして、なんとかその言葉を見つけ出した。
「ふふっ、試してみられてはいかがですか?」
それはまさに、完璧なメイドさんのリアクションであった。
…ただし、千桜がメイドさんの知識を得るのに役立った、18禁ゲームの中のメイドさんとして。
『わーーっ!!私は何を言っているんだーーっ!!』
笑顔の裏で激しく動揺し頭を抱える千桜。男の子と手も繋いだこともないのに、そんな淫猥な
行為に自ら誘うようなことを言ってしまうなんて。
頼みの綱は、ハヤテが本気にせずに受け流してくれることを願うのみであったが、もちろん
そんな話題を振ってきた本人なのであるから、
「わぁ、そうですか。それじゃあお願いします」
興味津々、すごく嬉しそうな顔をしてハヤテはズボンのベルトに手を掛ける。
「はい♪」
そして完璧なメイドさんは、内心泣きたいくらい恥ずかしくて動揺していても、満面の笑みを
浮かべて返事するのであった。
『…こ、これが、男の人の…』
千桜は、ズボンを下ろしたハヤテの足元に膝をついて、ハヤテの股間から伸びるペニスを
眺めていた。
初めて実際に見る男性のペニス。しかもいきなりこんなに間近に。けれどもうろたえて見せては
いけない。完璧なメイドさんは、笑顔でハヤテの顔を見ながら、その細指をペニスに伸ばす。
『えーと…とりあえず立たせないといけないのか…』
すらりと伸びる細指でハヤテのペニスを触り、ふにふにと揉むと、あっという間に柔らかな
それは、膨れ上がって上を向いてそそり立った。
『わ…熱くて…硬い。ビクンビクンいってる…』
初めて触るペニスの感触に、心臓がドキドキして気後れしながらも、ゲームや漫画で見た通りに
ペニスを触り、指先で少しずつ上下にしごきはじめる。
「綾崎君のおちんちん、とっても元気ですね♪」
漫画で読んだまんまの台詞を口にしながら、これくらいならなんとか乗り切れそうと、千桜は
恥ずかしいのを我慢してハヤテがイくためにペニスの亀頭や袋なんかも一緒に擦り触り、
頑張ってご奉仕する。
「あの、口でもしてもらえますか…っ」
そのときハヤテが注文を付ける。
『!?く…口で…って』
またもや激しく動揺する千桜。こういう行為には付き物の、ゲームや漫画では非常にポピュラーな
行為、口でするご奉仕ではあるが、ペニスをはじめて見て触る千桜にはあまりにハードルが高い
ものであった。けれども、
「はい♪わかりました」
完璧なメイドさんは、戸惑うそぶりを見せるでもなく、ちゅっ、とその小さくて愛らしい唇を
ペニスの先端に付けると、小さな舌を沿わせながら、亀頭にキスをしていく。
そうしながら同時に指先でペニスもしごいていく。
「あ…う…っ、すごく…いいですっ…」
ハヤテが快感に背筋を震わせて顔を歪めながら、千桜のご奉仕を堪能している。
そんなハヤテがもっと気持ちよくなるように、亀頭を唇で包んで、舐めていく千桜。
『……私は…何をしているのだろう…。男の子と手だって繋いだこともないのに、…こんな…』
頭の片隅で冷静に自分のしている行為を見つめている千桜。それとはうらはらに、完璧なメイドさん
としての千桜は、淫靡にハヤテのペニスをくわえ、舐め、ハヤテにご奉仕を続けていく。
ハヤテのさらなる注文、胸も一緒にというご希望に、胸のブラウスのボタンをはだけさせ、
ブラジャーを持ち上げて胸元にペニスを沈み込ませ、ペニスをしごき、舐めていく。
胸の薄紅色の先端まで見えているのに、あまりの恥ずかしさで思わず眩暈がしそうなのを、
懸命にガマンしながら、完璧なメイドさんとしての責務を果たす。
そして、ついにハヤテが大きく身体を震わせる。
「あ…あうっ…出、出ますっ…!」
ペニスが大きくビクンと脈動したのに驚いて千桜が一瞬ペニスの先端から唇を離すと、勢いよく
放出された精液が千桜の顔や前髪に飛び散った。
慌ててとっさにペニスの先端に唇を戻すと、勢いそのままに精液が口の中へと注がれた。
『う…っ、変な味…っ』
思わず顔をしかめたくなるような未知の味のする精液。でも完璧なメイドさんは、笑顔で
さも美味しそうにこくんこくんと喉の奥へと通していく。
綺麗な唇で精液を脈動して吐出するペニスの先端を包み、嬉しそうに精液を飲んでくれる千桜の姿に、
ハヤテは一瞬眩暈を覚えるほどのいけない気持ちに襲われる。
そして、精液の放出が収まったあと、千桜はペニスの先端の精液を丁寧に舐め取って、ハヤテに笑顔を
向ける。
「ふふっ♪いっぱい出ましたね♪」
と、さすがに笑顔を作っても、目じりに、ちょっと無理をして精液を飲んだので、涙が僅かに
にじんでいたのだけれど。
そんな千桜の姿、顔に精液を飛び散らせ、とっても嬉しそうにご奉仕を終えた綺麗なメイドさんに、
理性のタガが限界に達し、もう我慢がならないといった様子で、ハヤテは迫った。
「あのっ!こ、この先のご奉仕もさせてもらえないかなっ!?僕ので気持ちよくさせてあげるから!」
ハヤテは完全に理性が飛んでいた。
そんなハヤテの歯止め無く性欲を開放したような気迫、この先のご奉仕という言葉の意味に、
『だ…っ、ダメだ!これ以上はっ!!ここは、断るところだっ!!』
そう理性が必死に制止する。
「はい♪綾崎君のお好きなように、なさって下さい♪」
理性の叫びも虚しく、完璧なメイドさんは、スカートのすそを持ち上げ、ハヤテに純白の下着を見せる
のであった。
「はぁ…♪…あんっ♪」
両脚を広げ、下着を下ろされて、千桜は女の子の大事な部分をハヤテにさらけだし、手指で、口で、
愛撫されている。
『あ…う…っ…、恥ずかし…い…』
本気で泣きそうなくらい恥ずかしい千桜。こんなところ、誰にも見せたことないのに。
けれど完璧なメイドさんは、とっても気持ち良さそうな表情を浮かべて、愛撫で感じさせられるのに
あわせ、可愛く嬌声をあげる。ゲームで記憶した声優の演技そのままに。
だが、そうして演技しているうちに、本当に身体が気持ちよく感じてきたのか、自然と嬌声が出てくる
自分に気が付いてくる。
「あっ…あん…あんっ」
演技とは違い、戸惑いや、困りの入り混じった嬌声。感じさせられるのが初めてなのだから、どうしても
仕方ない。
なんとか歴戦のメイドさんになるように、嬉しい嬌声を上げようとしてみるのだが、感じさせられるのに
負けてしまって、演技にならなかった。
けれどそうしているうちに、大事なところがたっぷりと濡れてくる。この次の行為への不安なんかが
すっかり頭から飛んでしまっていて、愛撫にとっぷりと浸ってしまえていたから。
ハヤテとしても、後からの戸惑い混じりの嬌声のほうがお気に召したのか、とてもノリノリで丁寧に
愛撫してくれた。
そして、
「さて、それでは挿れちゃいますね」
もう受け入れる準備が十二分に整ったとみて、ハヤテが起き上がり、ペニスを取り出す。
『え……あっ……』
すっかり挿入について失念していた千桜は、ハヤテの股間のもの…先ほどお口でしてあげた、もう
おなじみと言っていいペニスを、不安の色を濃く湛えた瞳で見つめる。
『あれ…、綾崎君のが私の初めての膣に……』
別段、千桜としては初めての相手は好きな人に、みたいな信念を持っているわけではなかったのだが、
やっぱり女の子、初めての相手というものは特別なもの。誰だろうが問題ない、ってわけにはいかない。
『ほ、本当に、初めての人が綾崎君で、いいの…?』
そう自分自身に問いかけてみるのであったが、
「はぁい♪どうぞ、来て下さい♪」
と、完璧メイドさんが自分の大事なところを指で広げながらハヤテのペニスを導くので、そんな考えは
頭から消えてしまった。なんて真似をしているんだー!と、顔から火が出そうになる。
ハヤテのペニスの先端が、千桜の大事なところへと導かれ、膣口へと先端が押し当てられる。
『あっ…、あぁっ…』
不安に怯える千桜。けれどもちろん笑顔は絶やさず、むしろ悦びの表情でペニスを迎え入れる。
そして、本格的にペニスが膣へと入ってくる。
『あっ…あぅっ…、い、痛い…っ…』
もちろん千桜にとってはこれが初挿入なので、破瓜の痛みを伴うのは当然なのだが、ハヤテは
そう思っていないので、気遣いもされぬままペニスを挿入される。
「うわ…キツい」
さすがに完璧メイドさんも、笑顔でニコニコしていられる状態ではない。眉をしかめながら、懸命に
作り笑顔を絶やすまいと、初挿入の痛みに耐えながら引きつった笑顔で頑張るのだった。
そうして、ようやくハヤテのペニスが一番奥まで入る。
「綾崎君の、私の中にみーんな入っちゃいました♪」
正直いっぱいいっぱいの状態なのだが、きっちり決めるところは決めなきゃと、ちょっぴりはにかんだ
ような笑顔を浮かべ、ハヤテに微笑みかける。
だが、その台詞としぐさがハヤテの下半身を直撃し、ハヤテは辛抱たまらないとばかりに腰を動かし
始める。
『ちょ…待って…あぅっ…』
ペニスを挿入されるだけで一仕事だったのに、休みも入れずにペニスが膣で動かされる。
「あぁっ♪綾崎君っ…そんな…もっと優しく…♪」
もはや完璧なメイドさんを演じきることができず、口調をなんとか合わせるだけで、言葉は千桜の
そのままでしかなくなっていた。
「ハルさんっ…はぁ…はぁっ…」
ハヤテがだんだんと腰を動かすのを速めていく。千桜の膣でハヤテのペニスが次第に激しく動かされ
その初めて味わう快感に、千桜は身体を、意識を支配される。
「あぁっ…!綾崎君っ、綾崎君っ…!」
もはや演じられているのかどうかも、わからなくなった。身体の奥で激しく突き動かされるハヤテの
ペニスに、その気持ちよさに、メイドとしてと普段の千桜の境界がもはや消失し、ただ感じるままに
声を上げ、息を荒げさせ、身を跳ねさせた。
そんな千桜の、完璧なメイドさんとして作られたものではない素顔の反応に、ハヤテはすごく興奮
させられ、一心不乱に千桜を激しく突き続けた。
「あっ!やぁっ!綾崎君っ…激しすぎるっ!」
さらにハヤテの手がやや乱暴に胸元のブラウスを開き、胸を全部あらわにさせて触り揉む。
「やっ!そんな、胸までっ…、あぁっ」
いくぶん乱暴に胸を触った後、ふたたび腰の動きを激しくし突いていく。
「あっ!あっ!あぁっ!」
もうなんだか凄すぎて気持ちよすぎて、千桜は限界を迎えていた。
「ハルさんっ…!もう…イきますっ…!」
ハヤテの言葉に、千桜も限界寸前ながら必死に声を振り絞る。
「だ、ダメっ…!!膣は…!!綾崎…君っ…!!」
そう言った刹那、頭が真っ白になり、身体が大きく震えた。
「あっ…!!あぁ…!!ーーーーーーー!!!」
それと同時に、ハヤテのペニスが膣でビクンと震え、すぐさま引き抜かれた先端から精液が放出されて
千桜の身体を汚していった。
『あ…熱い……』
イったあとで完全に脱力する千桜。もはや、完璧なメイドさんの演技をすることなんかできないで、
ただ絶頂の余韻に身をときおり小刻みに震わせるだけであった。
「いやぁ、どうもありがとうございました」
それからしばらくして、身なりを整えた二人。
「いいえ♪どう致しまして♪」
千桜もふたたび元の完璧メイドさんモードに戻ることができていた。
「さすが咲夜さんの言うとおり、あっちも一流でした」
「それはどうも♪」
笑顔で返す千桜。内心は、本当にあんなのでよかったのかなーと疑問符で、まぁ良かったと言って
くれているのだからよしとしよう、と胸をなでおろしているのではあったけれど。
「それにしても」
「?」
「ハルさんって、そういう完璧なメイドさんの顔のほかに、別の一面があるんじゃありませんか?」
千桜はドキッとする。
「え、どうしてそんなことを??」
「いえ、さっきなんとなくそう思っただけなんですけどねー」
やはり、さっきの途中からメイドを演じきれなくて雰囲気が変わったのをハヤテに感じ取られて
いたようだった。
動揺しつつもお決まりの言葉で返す。
「それはご想像にお任せしますわ♪」
なんというか、白々しいほどの満面の笑顔と口調になってしまう。
ハヤテはそんな千桜を微笑ましく見ながら、
「そうですか。じゃあもしかしたらそちらがハルさんの素顔なのかも知れませんね。いつか素顔の
ハルさんも見せて下さいね」
そう言って笑い、軽くお辞儀をして、部屋から出て行った。
ハヤテがいなくなった後、部屋の出口を眺めながらぽーっと立ち尽くす千桜。
「なぁなぁ、ハルさん、うまくいった?」
「うわぁっ!咲夜さん!?」
咲夜に唐突に声をかけられ、激しく慌てる。
「咲夜さん、どういうおつもりなんですかっ!?あんな、綾崎君をけしかけるみたいなこと吹き込んで」
「いやー、そろそろハルさんにもステップアップが必要やと思うてな。やっぱり完璧なメイドさんを
やるんなら、あっちのことも覚えといたほうがより完璧になれるやろ?」
「だ、だからって、あんなっ」
「なんや、ハヤテが相手じゃイヤやった?」
「そ、そんな問題じゃ……、………いえ、そこは、まぁ別に…」
「だったらええやん。まあ、ハヤテのことやったら気にせんんでええよ。一回やったからって後に引く
ような男ちゃうからな」
咲夜はそう言いながら笑って部屋を出て行った。
「…気にしなくていい、ったって…」
さっき考える途中で中断した『本当に、初めての人が綾崎君で、いいの…?』という問いかけを
思い浮かべ、そして…、
「私は…気になりますよ…」
去り際のハヤテの言葉と笑顔を思い出しながら、ドキドキしてしまう千桜であった。
終わり。