「・・・・」  
 私の名は、リィン・レジオスター。何を隠そう、幽霊だ。  
 一時は成仏を考えてもいたが、勿論ナシだ。  
 まだ現世に素晴らしい“萌え”が残っている限り、私は消えるわけにはいかない  
 先日、鷺乃宮伊澄君―――――――巫女である彼女のおかげで  
 素晴らしいメイド魂を見せていただいたのだが・・・・・  
 この程度で私が満足できようか!  
 
「ああ――――――――――――――――――――――――――っ!!  
 メイドさんとイチャイチャして――――――――――――――!!!」  
 
 こんな風にどこかの公園で大声を出してもほとんどの人が気付かない。  
 だって幽霊だもん。  
 
「ん?何か声が聞こえたような・・・・誰もいないはずなのに・・・・」  
 む?誰か近づいてくる。私の声が聞こえたのだから、見知った人物だろうか?  
「心配する必要はないと思うが・・・・」  
 ちょっと公園にある子供用の施設から隠れて観察してみる。  
 彼は・・・・誰だ?あの黒髪ツンツン頭の少年は。  
 そういえば地下ダンジョンにいたような・・・・。  
「よっこらせっと・・・・」  
 その少年は公園のベンチに座り、ポケットから何かを取り出した。  
 あれは・・・・写真か?  
「はぁ・・・・伊澄・・・・」  
「―――――彼女が、どうかしたのか?」  
 彼の後ろを取り、声をかける。  
「うわっ!な、何だよアンタは!」  
 少年はすぐさま写真を隠したが、すぐに確認できた。  
 あれは伊澄君の写真ではないか。しかもあの時のメイド服姿の・・・・。  
「アンタ・・・・伊澄のコト、知ってんのか?」  
 しかし、私は既に気付いていた。彼からは感じるものがある。  
 私と共通する、強い“メイド萌え”を―――――。  
「ふむ・・・・君は、彼女が好きなのか?」  
「なっ!べ、別にそんなワケじゃ!それよりアンタは―――――」  
「ふーん、そうか。じゃあ、知っているか?  
 
 実は彼女は――――――重度のコスプレイヤーだったんだぞ!」  
 
「な、なんだって―――――――――――――!?」  
 おお、冗談気分でからかおうと思ったのだか、結構効いているではないか。  
「ククク・・・・実は私は彼女とオタク趣味が共通していてね・・・・  
 彼女はメイド服だけでなくナース、スク水、アニメキャラのコスプレにも  
 精通しているのだ」  
「そ、そうだったのか・・・・何だか、イメージが・・・・」  
 よし、これなら――――。  
「君はやっぱりその写真を見続けているということは、  
 やはりメイドさんが好みなのかな?」  
「なっ!べ、別にそんなコトねーよ!」  
「フフフ・・・・別に恥ずかしがることはないぞ?  
 今は周囲に人がいない。メイドさんマニア同士、熱く語ろうではないか?」  
 少年は私の言葉で数秒黙った後―――――、  
 
「・・・・しょうがねーな。  
 特別興味はないが、アンタがそんなに聞きたいっていうなら話してやる。  
 ―――――いいか!?メイドっていうのはなぁ!  
 気品!清楚!奉仕の要素を含んでいて物腰の柔らかさ、  
 母性を武器にして主人に仕えるのがいい!  
 最近はミニスカメイドとか言うけどあんなモンは邪道の中の邪道!  
 メイドさんの良さはクルッと回ってブワッと広がるスカートが・・・・」  
 
 ―――――――――1時間後  
 
 ・・・・まさか、私以上にメイド萌えを語ることができるとは。  
 もしかしたら、この少年であれば――――――今だ!  
「少年よ・・・・ひとつの野望を、共に実現しないか?」  
「はぁ?」  
「君と私なら、出来る!  
 メイドさんとイチャイチャなパラダイスを―――――――!」  
 
「えっと・・・・ここは・・・・。咲夜の家に行こうと思ったらここに来るなんて・・・・」  
 先日、神父さんにからかわれてメイド服を着せられ、  
 気付けば咲夜に写真を撮られていたなんて・・・・。  
 せめて、あんな恥ずかしい姿を他の人に見せびらかさないように  
 注意しなければ―――――。!!  
「これは・・・・」  
 近くの公園を通りかかると、おぞましい“何か”を感じ取りました。  
 私は光の巫女。いざ妖魔と闘う時に剣となる力を持っています。  
 何も処置しないワケにはいきません。  
「イザという時のために・・・・はっ!」  
 事前に用意していた符を取り出し、公園全体に結界を張っておく。  
 これで誰も入ってこないし、戦場になっても外に漏れることはありません。  
「では――――――え?」  
 侵入した園内の中心。そこには見知った私の友人がいた。  
「ワタル、君・・・・?」  
 いえ、この気配は・・・・違う!  
「あなたは・・・・・まさか、神父さんですか?」  
「そのとおりだよ、伊澄君」  
 よく見れば彼の周りには人魂がホワホワと漂っています。  
「フフフ・・・・どうだね?  
 彼の思想(メイド萌え)とシンクロしたことにより彼の許可なく憑依を可能とし、  
 現世にてより活動しやすくなったぞ!」  
 そ、そんな・・・・。咲夜の虫歯の時は私の力を借りることで憑依できたというのに、  
 ここまで出来るなんて・・・・。  
「それで・・・・神父さん。あなたは、どうするつもりですか?」  
「聞くまでもないだろう?メイドさんとイチャイチャするのだ。  
 まずは誰から行こうか・・・・・・・・ん?」  
 神父さんはいきなり目付きが鋭くなります。  
「どうか、しましたか?」  
「ククク・・・・いや、体を借りている少年の記憶を探ってみれば―――――  
 いるではないか!上質なメイドさんが!」  
 まさか・・・・。  
「そもメイドさんは・・・・サキさん、ですね?」  
「ふはははは!そのとおり!ドジっ子メイド!素晴らしいではないか!  
 メイドでありながらも痛い欠点を持つアンバランスさ!  
 記念の一番のターゲットは彼女にしよう!そうしよう!」  
 くっ・・・・。これは、流石にマズイわ。  
 このままではサキさんが彼の慰み者になってしまう・・・。  
 こうなれば、この周辺にいるメイドさん達に危害がないように―――――。  
 
「ならば・・・・私自身が、“贄”となりましょう。  
 私を、抱いてください」  
 
「ほぅ・・・・強く出たものだな。だが、私の好みは君よりもメイドさ――――!」  
 いきなり彼の表情が険しくなり、膝をついた。  
「な・・・馬鹿な・・・・」  
 何だか、彼の様子が可笑しい―――――。  
「私が借りている体が―――――伊澄君を、求めている・・・・。まさか、彼が・・・・」  
 ?何故か分かりませんが・・・・好都合です。  
「では・・・・これでどうです?」  
 あまり使うことのない特殊な符を取り出し、天にかざす。  
 すると『パァ・・・・』と私の体が光に包まれ、アニメの女の子主人公のように  
 姿が変わった。  
「ま、まさか・・・・」  
 その姿は―――――メイド服。  
「こ、この姿であれば文句は・・・・ないですね?」  
「ぬおおおおおおおおおっ!!!メイドさんに変☆身だとぉ!?このままでは・・・・  
 しまった!体が操作できな――――」  
 
「結界の、中ですから・・・・んっ・・・・好きにしても・・・・あっ・・・」  
「んっ・・・・むっ・・・」  
 ワタル君の姿をした神父さんはその場で私を押し倒し、私の体を貪り始めました。  
 私自身も女であるために少しずつ、少しずつですが、彼の愛撫に身を委ね、  
 快楽に堕ちて行く。  
 実際に魔に憑依した人間が欲望に飲まれ女を犯す例もあり、  
 その為にわざと性交をさせることで魔払いするという除霊方法もあります。  
 でも―――――  
「はぁ・・・・あっ・・・・あん・・・・んっ・・・・!」  
「あ・・・・ああ・・・・」  
 もっとおぞましく蹂躙されるかと思ったのですが―――――何故か、優しい。  
 手使いが乱暴でなく、私を尊重しようという手順。  
 もしかしたら・・・・ワタル君の意識がまだ・・・・。  
「い・・・・すみ・・・くっ!」  
「ふあっ!あんっ!ひゃあっ!」  
 既に私の着たメイド服は何度も触れられたことで乱れていましたが、  
 決して服を乱暴に破ることはせず、むしろ優しく扱ってくれました。  
 確かに陰部や未成熟の乳房に手を添え、撫で回すことはあっても、  
 やはり無理矢理犯すことはしていません。  
 むしろ、躊躇いがあるようにも・・・・。  
「く・・・・声は出しても、あまり抵抗はしないんだな・・・」  
「んっ・・・・あなただって・・・・本当に、“したい”のですか・・・・?」  
 そう尋ねると神父さんは「フッ・・・・」と声を漏らしたら―――――。  
「そうか―――――そんなに余裕な返事が出来るなら、もういいだろう」  
「え?きゃあっ!」  
 そう言うと“彼”は私のスカートをめくり上げ始めました。  
 そして私の足を取り、ゆっくりと広げようとして―――――。  
「――――これは、流石に、幼いと言えど・・・・うっ!」  
「・・・・うう」  
 はしたなくも、メイド服でありながら下着を着用していない私の女陰は  
 淫らに濡らしたまま、他者の眼前に晒されることになってしまいました。  
 彼が衣服を脱ぐ音がしますが、仰向けになっているので見えません。  
 
「じゃあ・・・・いくぞ、“伊澄”」  
「え?・・・・・あっ・・・・んっ!ああっああああっ!」  
 
 私にとって初めて殿方の侵入を許してしまった。  
 ズルズルと陽根が侵入することで今まで経験のない激痛が体中を駆け巡り、  
 涙が零れそうになる。  
「んっ・・・・あふっ・・・・ああっ・・・・い、た・・・・」  
「ゴメン・・・・ちょっと、乱暴にしてしまったな・・・・もう少し、我慢してくれ。  
 ―――――んっ!!」  
 彼の侵入が私の深い場所まで進んでいく。  
 そして何度も腰が動く度に、奥底にある子宮に陽根が打ち付けられて――――――!  
「ああっ!ひゃんっ!ああんっ!ああああっ!」  
 快楽よりも痛みの方が強く、自分の喉から信じられないくらい甲高い悲鳴が漏れる。  
「いい・・・・いいよ・・・・すごく・・・・気持ちよくて・・・・んっ!くっ!」  
「ふあっ・・・!やっ!ああっ!だめ・・・!ゆるし・・・・・きゃあ!」  
 何度も、何度も何度も局部に激しい刺激が――――――!!  
 もう、私の方がもたな―――――。  
「あっ・・・・あああっ・・・ああっ!で、出る・・・・!くっ!」  
「あああああああっ!あんっ!あああ――――――っ!」  
 女陰から異物が無理矢理抜き出され、すぐに私の顔に熱いモノが降り注いだ。  
「ああ、あ・・・・これが・・・・殿方の・・・」  
 少しずつ私の体を白へ染め上げ、熱くなった体を更に熱くしていく・・・・。  
「あ・・・・ああ・・・・んっ・・・・むちゅ・・・・い、すみ・・・・・」  
「んっ・・・・」  
 “彼”の唇の感覚を最後に、私の意識は遠ざかっていった――――――。  
 
・・・・・・・・  
・・・・・・  
・・・・  
 
「・・・・・むぅっ」  
 勿論、私は怒っています。事件の張本人の態度に。  
「ま、まあ、確かに少々強引だったかもしれないが・・・・  
それに、君も結構満足していたのではないか?幼子でありながらあそこまで・・・・」  
ぷちっ  
「しばらく―――反省してくださーい!」  
「ウウゥボアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!!!」  
   
ふう、これで神父さんも少々懲りたかと・・・・。  
公園の結界も取り外したし、あとは彼が起きるのを――――。  
「ん・・・・」  
 ワタル君・・・・。ベンチで、とてもいい顔で眠っています。  
 この件は彼も記憶に残ることはないはず。  
 とんでもない事件だったけど、被害は私だけで済んでよかった・・・・。  
「ん・・・・ここは・・・・って!伊澄!?何でここに!?」  
 彼が目を覚まし、起き上がる。  
「ワタル君、やっと起きたのね。公園で何故か倒れていたからとても心配しましたわ」  
「そ、そうなのか?なんか、その、みっともないトコ見せちまったなー・・・・」  
「いいえ、私は大丈夫よ」  
「でも・・・・伊澄に助けて貰ったから・・・・かな?」  
「え?」  
 私は首を傾げる。  
「イヤ・・・・その・・・・なんかさ・・・・夢の中で、その、伊澄と・・・・」  
 え?  
 ま、まさか・・・・この件のことを・・・・。  
「あ!な、なんでもないっ!」  
 そう言って彼はそっぽを向きました。  
 
「でも――――――幸せだったな。  
 伊澄と、キスするの」  
 
「え?」  
 
 
                            THE END  
 
 

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