「お〜い、マリア〜」
太陽が真上に上がった頃、目覚めたばかりのナギの第一声が屋敷に響く
「なんですか?」
数秒後、声に導かれマリアが寝室へやって来る
「何かハヤテの奴呼んでも来ないんだよ、買い物にでも行ってるのか?」
そう、起床直後ナギはハヤテを呼んでいたのである
しかし、ハヤテはいつものように現れず、仕方なくマリアを呼んだのだった
「ああ、ハヤテくんは今朝早く急用ができたらしく出掛けましたよ」
「急用?何処へ行ったのだ?」
「えーと、置き手紙によると…」
「置き手紙?ちょっと貸せマリア」
ハヤテが書いた置き手紙とやらを自分の眼で確かめようとナギはマリアに催促した
そしてそこには
『ちょっと虎鉄さんと熱海まで行ってきます。明日の昼までには帰ります。』
とあった
「…熱海……虎鉄…」
「熱海ですか〜、いいですね〜、ハヤテも最近お疲れのようでしたからね」
「…虎鉄……虎鉄…虎鉄……なぁマリア虎鉄って誰だっけ?」
ナギは『虎鉄』という人物を完全に忘れており、首を傾げた
「何言ってるの、虎鉄さんはこの前ナギを誘拐した瀬川さんの執事さんですよ」
その時ナギの全身に電流が走った
「ハッ!!!あの変態執事かッ!!」
「変態?」
「ハヤテはあんな変態と熱海まで行ったというのか!!しかも一泊!!マズイこれはマズイぞ!!」
「ナギ…?」
マリアをおいてきぼりにしナギは一人エキサイトする
「緊急事態だ!これは緊急事態だぞ!!直ぐに追わねばハヤテの貞操が危ない!行くぞ!マリア!!」
「え、ええ」
「待ってろハヤテエエェェェェッ!!!」
ナギの裂帛のプレッシャーにマリアはただ返事をするばかりであった
つづく