「ま、マリア、さん・・・?」  
「は・・・ぁ・・・っ、は・・・ひ・・・っ」  
 
マリアは脱力しきった上半身を疾風に預けたままひくひくと震えながら、荒い息をついている。  
そんな彼女の身体を受け止めながら、ハヤテは軽い混乱の最中にあった。  
 
破瓜の痛みに耐えかねるように引き攣った声を漏らしていたはずの少女が、  
不意に甲高い・・・痛みとはかけ離れた、押し寄せる悦楽に耐えかねるかのような声を上げたことに・・・  
そして、彼女の一番奥まで埋め込んだモノをきゅぅぅ、と締め付けた後に、全身を脱力させて自分に身を預けてきたことに、  
ハヤテは戸惑わずにはいられなかった。  
マリアの身に何が起きたのか・・・正直なところ、想像できない訳ではない。  
訳ではない、のだが・・・  
 
「・・・どうやら、達してしまわれたようですね」  
「・・・え?」  
 
そんな中、マリアの背後からまさに冷静そのものの無機質な声が、そう告げる。  
 
「ははは・・・処女喪失と同時に達してしまわれるとは・・・  
 やはりマリアさまは筋金入りの淫乱なのか、それとも執事君との相性が最高なのか・・・」  
 
無機質な声で露骨なことを淡々と語られて、ハヤテは顔を赤くする。  
想像しない訳ではなかったが、“はじめて”を奪うと同時に絶頂を迎えさせるなど、  
そんなことは有り得ない、と・・・  
そう思い直していた状況を、13号の淡々とした語り口が妙な説得力で保証してくれたのだ。  
そんな彼に、“相性が最高”等と言われてしまうと、そこにまで説得力があるように錯覚されてしまい、  
ハヤテは照れずにはいられない。  
 
ハヤテの肩に顔を埋めたままのマリアもまた、ただでさえ紅潮していた耳と首筋を更に真っ赤にさせていて、  
13号の声が耳に入っていることは、どうやら間違いないらしい。  
 
「ですが、まだ僕はあなたを認めた訳ではありません。  
 お互いにマリアさまの奥を責められるようになったところで・・・決着と行きましょうか」  
「け、決着って・・・」  
「な、何、を・・・ひぁあっ!?」  
 
13号は二人の様子などお構いなしに、マリアの尻穴に埋め込まれていたアナルパールを“ずるるっ”と抜き取る。  
マリアはその刺激にびくっ、と身体を震わせるが、長らく彼女を悶え悩ませ続けた尻穴の異物が取り除かれたことで、  
久方ぶりの安堵を覚える。  
望んでいようがいまいが、尻穴の中で暴れ続けた“それ”がマリアに快楽を与え続けていたのは事実であり、  
いざ抜き取られてしまえば正直なところ、微かな物足りなさも感じない訳ではなかった。  
だが、今はハヤテによって絶頂に突き上げられた余韻もあり、彼女の快楽に対する飢えは満たされていて・・・  
純粋に、13号の尻穴責めから開放されたという安心感の方が強かった。  
安心して油断したマリアには・・・13号の言葉がそもそも、安堵を許すような類のものではないということを、忘れさせた。  
彼が懐から取り出したモノを、見るまでは。  
 
「・・・ひっ!?」  
「そ、それは・・・・・・」  
 
13号はマリアの尻から抜き取ったモノを懐に収めた・・・様に見えたが、彼が襟元から抜き出したその手には、  
たった今懐に仕舞ったモノと同じ形をした黒い責め具が納まっていた。  
彼は手にした“それ”を、マリアとハヤテの眼前に示す。  
―――形こそ同じだが、それを構成する粒の大きさ、そして長さは、先程までのモノよりも一回り以上も大きな、“ソレ”を。  
 
「如何です? 牧村博士からマリアさまへのプレゼントです。  
 成長したマリアさまのお身体には、あんな小さなモノでは物足りないでしょうというご配慮ですよ」  
「ひ・・・い、イヤ、そんな・・・そんな配慮なんて、い、いりませ・・・」  
「しかもコレ、こうして僕のココに直結できるんですよ」  
「うわ・・・」  
 
がきん、とアニメの合体ロボのごとくな音を立てて、新たな責め具は13号の股間に接続される。  
と、同時に“ヴィィィィィィ”と、聞く者の身体の奥底に響くような重低音が発せられて・・・  
絶頂の余韻で真っ赤に火照っていたマリアの頬が、あからさまに青ざめる。  
 
「こうすることで、僕の動力をそのままコレの駆動力に使えるんですよ。  
 さっきまでのような電池で動くオモチャとは訳が違うんです・・・とまぁ、能書きはこれくらいにして・・・」  
「ひっ・・・い、いや、イヤ! やだ、やめ・・・ひっ・・・ひぃいぃっ!」  
 
13号は既に振動している責め具の先端をマリアの菊門へと押し付けると、  
 
「では、どちらが三千院の執事としてふさわしいか・・・マリアさまを満足させてることで証明して見せましょう。  
 この新型でよがり狂わせて差し上げることで!」  
「や・・・ぁあぁあぁっ! イヤっ、イヤぁあぁぁぁあぁあ!」  
「う、わ・・・っ!?」  
 
ずんっ、と。  
またしても一気に、責め具を根元までマリアの尻穴へと突き挿す。  
 
「ひ・・・っ、は・・・っああぁぁあ! あひ・・・ふか・・・っ、これ、いひぃっ!  
 ふかいっ、こんな、あぅぅ! 深すぎ・・・ますぅっ、これ、ひぁ、あぁあぁあああぁ!」  
 
長さを増した凶器の圧倒的な存在感、そして比べ物にならないほどの振動が、マリアの身体を蹂躙する。  
一度絶頂に達した直後の敏感な身体には、この刺激はあまりにも強烈で―――  
 
「ぃ・・・いひぃっ! ひぁ! ダメ、これ、こんな・・・ぁああぁっ! ダメぇ、わた、あ、あひぃ!? いひっ! や、ダメ、ひぁああぁあっ!」  
 
マリアの心身を強制的に快楽の頂へと突き上げてゆく。  
後ろの穴のより奥底まで埋め込まれた責め具が発する強烈な振動は子宮まで揺り動かさんばかりで、  
身体の一番奥の敏感すぎるところを襲う刺激に、マリアは為す術も無く呑み込まれる。  
 
「・・・くっ!」  
 
マリアが今どんな状況にあるかは、彼女の表情や声でも十分に察知できたが、何よりも・・・  
中に埋め込んだままの肉茎が、きゅっ、きゅぅうっ、と膣肉に締め付けられる感触こそが、  
彼女がいつ達してしまってもおかしくないことを如実に示していた。  
13号は決着が云々と言っていたが、ハヤテにとってはそんなことよりも・・・  
一度は自分のモノで達させて、満足させたと思った女性が別の男―――メカなのだが、この際そんなことは二の次で、  
自分以外の者の手で絶頂を迎えさせるというコト自体が悔しくてたまらなかった。  
・・・それが、自分が憧れていた女性であれば、尚のこと。  
 
「・・・っひぃ!? ひぁ、あひぃっ! は・・・っあぁ! ハヤっ、くん・・・や、ひぁあ!  
 んぁ、ダメ、ハヤテ・・・くぅんっ! んぁ、いひぃっ! 動いたらっ、いまぁ、うごいたらぁ! ぁああっ、ひぁあぁぁあぁぁぁあ!」  
 
こんな状況に陥ったことで、そしてマリアと交わったことでハヤテの中で目覚めた男としての劣情と意地の赴くまま、  
ハヤテもまた腰を前後に動かしはじめ、マリアの膣内に埋め込んだ肉槍を抽送し始める。  
13号もまた、ハヤテの動きに呼応するかのように腰を前後に動かすことで責め具による抽送を開始して、  
マリアの身体を前後から挟んで、ハヤテと13号による二穴責めが始められる。  
 
「ひぃいっ! いひっ・・・ぃひあぁあぁああぁ! ダメぇっ! ダメぇええぇ! こんなのっ、これ、うぁ、んぁあぁぁああぁ!  
 イくっ、イくの・・・っ、こんな、こんなぁあっ! イっちゃう、イっちゃいますっ、こんな、あ、ぁあ、あはぁあっぁああぁぁあぁ!」  
 
ずちゅっ、じゅぷっ、ずぷぷっ、ずぶっ、じゅぶっ、ずるるっ―――  
膣壁を擦りあげ子宮口を叩く、どくどくと脈打つ熱い肉の槍と、  
尻穴を穿ち抉りながら振動する機械仕掛けの責め具。  
その二つがマリアの膣と尻穴に異なるペースで入り込み、抜き出され、彼女の敏感な穴を蹂躙し、身体の奥底まで突き上げる。  
 
「ひぁあぁあっ! イくっ! イってるからぁ! イってますからぁ、やめ、あひ・・・ひぁあぁあぁあっ!  
 もぉ、もぉだめぇ! わた・・・っ、ひぁあっ! やぁあぁあぁあぁああぁああ!」  
 
ハヤテに突き上げられ、13号に引き抜かれては悶え泣き、  
二人に同時に突き上げられればそのまま脳髄まで達するかのような快楽が走りぬけ―――  
マリアは涙と涎を抑えることも出来ず、髪を振り乱しながら・・・何度も何度も、絶頂を迎えさせられる。  
全身はがくがくと震え、もう快感以外の感覚が麻痺してしまったかのように“気持ちいい”“気持ちよすぎる”ということしか考えられない。  
13号に振動する責め具を尻穴の奥底まで突き込まれては、  
 
「ひぃぃいっ! ひあぁ! おひり・・・っ! おしり、こあれ・・・ちゃぁあぁあ! だめ、だめぇええ!  
 そんなっ、あばれたらぁああぁあ! おかひっ、なっちゃ・・・ぁああぁあ! あ! ひあぁあぁあぁあぁあ!」  
 
全身の肌が粟立つような不浄の快楽に理性もろとも溶かされて、  
ハヤテのはちきれんばかりに膨れ上がった肉槍で子宮口まで突き上げられては、  
 
「ふあぁあぁあぁあ! あひっ、ダメっ! ダメぇえぇえ! ふかいのっ! そんな、おくまでぇええ!  
 ダメぇ、またぁ! またイくのぉ! そんな、おくっ! されたらぁあああ! また、またぁ・・・あひっ! んぁ・・・ああぁぁぁああぁああ!」  
 
身体の奥から身体全体に走る悦楽の電流で身を焦がされ、感電するかのような激しい絶頂に全身を痺れさせる。  
 
尻穴を嬲られたことも、処女を捧げてしまったことも忘れ、今やマリアは、ただひたすらに・・・  
ハヤテと13号による全力の行為に、為すがままに・・・泣き悶えるばかり。  
 
「ふぁああぁっ! あぐ・・・んっ、いひぃいい、イっちゃ、ひぁあぁあぁあああ! もぉ、わた・・・ぁああぁっ!  
 やめ・・・ぇっ、らめ・・・だめぇえぇえ! しんじゃう、わたっ、こんなのっ、おかしくなっちゃうっ!  
 うぁ、あひぃいいっ! ひぁあぁぁああ! へんになるっ! こわれちゃいますぅう!」  
「っく、くぅう! マリアさんっ、マリアさんんっ!」  
 
だが、快楽を得ているのは当然ながらにマリアばかりではない。  
生身であり、そして初めての経験でもあるハヤテもまた、強烈な快楽に流されまいと必死だった。  
超人と同義である執事である彼も、憧れだった女性の膣内を己の分身でこれだけ存分に味わいながら、何も感じない訳がない。  
むしろ、すぐにでも溜まりに溜まったものを放ってしまいたい、  
マリアの奥の奥まで自分のモノを流し込んで、自分で染めてしまいたいという抑えがたい欲求が今にも溢れ出そうとしている。  
だが、マリアを挟んだ向こう側にいるメカ執事はどちらがマリアを満足させられるか、という勝負を一方的にではあれども挑んできているのだ。  
彼女が既に何度も達しているのは、中に埋め込んで悶え狂わせている肉の凶器を通しても、きゅうきゅうと締りを増す度に感じて取れる。  
だがその絶頂がハヤテの肉茎によってもたらされたものなのか、13号の責め具によるものなのかは判別のし様も無い。  
ならば、必然的にこの勝負・・・長くマリアを感じさせ続けた者が勝者となり得るとハヤテは考える。  
 
「ふぁあ、もぉ、もぉだめっ! ダメぇえぇええぇ! またイくっ、また、ひぁ、んぁあぁあぁああぁぁ!  
 もぉ、ホントに、ダメぇっ! もぉ・・・むりですっ! ひぁ、はぅ! んぅううぅうううっ!  
 こわれちゃぁあ! わた・・・ぁひぃっ! こあれちゃいますぅう!」  
 
だが・・・機械の彼と生身の自分では、その時点でどう足掻いても勝負にはならない。  
彼とて独立行動をしている以上、動力に限界はあるだろうが・・・それを待つのは恐らく無理がありすぎる。  
ならば・・・  
 
「っ、はぁ・・・っ、マリアさんっ、マリアさんっ! 僕、もぉ・・・僕もっ!」  
「ひは・・・っ! あひ、ひぎぃいいっ! は、ハヤテくんっ!? あひ、ひぁ、うぁあおあぁあああ!?」  
 
ハヤテは捨て身で最後の賭けに出る。  
どうせ長く持たないならばと、残りの力を一気に振り絞り、抽送のスピードを更に上げる。  
 
「ひぁああぁあぁぁっ! ひぁ、ダメぇええ! こんなっ、無理っ! わた、こあれちゃいますっ、死んじゃうっ、しんじゃぁあぁああ!」  
「マリアさんっ、僕も・・・僕もっ、もぉ・・・出る・・・出しますっ」  
 
イきにイき続けて、マリアが限界間近なのはわかっている。ならば・・・  
 
「やっ!? ま、待って、ハヤっ、あひ、ひぅ! んぅううううぅぅっ! まって、だめ、そんなぁあ!  
 なかはぁっ! いま、なかっ、出されたらぁああぁあ!」  
 
マリアがそんな状態だと理解しているからこそ、ハヤテは限界までピストンの速度を上げる。  
もはや溜め込んだものを我慢しようという意識すら捨てて、放たれるその瞬間まで全力でマリアの身体を突き上げて―――  
 
「ひぁ、あひぃいいっ! やぁ、もぉ、わたぁああっ! いひぃっ! ひぁ、ぃひぃいいぃいっ!」  
「マリアさんっ、出します、出します・・・っ! マリアさんの、中っ、僕の・・・出します・・・出る・・・出るぅっ!」  
 
最後に力任せに腰を突き上げて、マリアの子宮口をこじ開けるように、にぐりっ、と肉槍の先端を押し付けて―――  
 
「っく・・・っ、―――――――――っ!」  
 
びゅくびゅくびゅくびゅくっ!  
溜めに溜め込んだ熱い濁液の塊を、マリアの子宮へと叩き付けるように放つ。  
 
「ぃ・・・ひぁああぁぁあぁあぁぁあぁああぁああっ!」  
 
身体の一番奥底に直に精液を注ぎ込まれ、マリアもまた最後の力を振り絞るかのように甲高く喘ぎ悶え、これまでで最大の絶頂を迎える。  
膣内の最奥まで突き込まれた肉槍が脈打つ度に、放たれる熱い粘液が濁流となって狭い子宮口に流れ込み、子宮を満たしてゆく。  
子宮に溢れんばかりの精液を注ぎ込まれる・・・そんな、女としての性欲の根源的な欲求を満たす行為に、  
マリアの身体は悦楽の頂点を迎え・・・背筋を仰け反らせ目を見開いて、がくがくと身体を痙攣させた後に、  
糸が切れた人形のようにくたり、と脱力し、ハヤテの身体に再び倒れ込むようにしてよりかかる。  
それでもマリアの中に埋め込まれた肉槍は、勢いこそ衰えたものの溜め込んだ劣情の塊を全て彼女の膣内へと、  
子宮へと注ぎ込まんとするかのように脈動を続け、  
びゅくん、びゅくんっ、と、ほとばしる精液を子宮口の更に奥へと流し込む。  
だが、マリアにはもはや身悶えする余力もなく―――  
 
「ひ・・・ぁ・・・ぁっ、ハヤテ、くんの・・・がぁ・・・っ、なか・・・ぁ・・・・・・いっぱい、に・・・ぃ」  
 
ハヤテのモノが脈打つ度にマリアの身体も連動するようにびくんと震えるが、もはや甲高い喘ぎ声が放たれることはない。  
絶頂に突き上げられ続けた身体は疲労を極め、ただ、息も絶え絶えに、うわごとのように、  
 
「なか・・・ぁ・・・ハヤテくんの・・・いっぱい、で・・・あつ・・・ぅ・・・い・・・です・・・わ・・・」  
 
蕩けきった口調で注ぎ込まれたハヤテの濁液の感想を口走る。  
絶頂に次ぐ絶頂で理性が希薄になったマリアは、もはや恥じも外聞もなく・・・  
ただ、身体の奥底まで注ぎ込まれたハヤテの精液の熱さに、酔い痴れていた。  
 
「はぁ・・・はぁ・・・っ」  
 
それだけの精を放ったハヤテもまた疲労困憊で、全身を覆う倦怠感は耐え難いものがある。  
だが、脱力したマリアを支えなければならないし、それに・・・  
 
「はは・・・射精されて子宮でイかれてしまいましたか。  
 こればかりは流石にメカの僕には出来ないこと。どうやら、負けを認めざるを得ないようですね」  
「メカ執事さん・・・」  
 
彼が一方的に持ちかけてきた勝負、その結果を気にしていたハヤテに対し、あまりにもわかりやすく判定が下される。  
その潔さに、今更ながらにハヤテはある疑問が生じ、彼にそれを投げかけようとするが―――  
 
「・・・っひっ!? ぁ・・・あひ・・・っ・・・」  
「!? マリアさん!?」  
「安心して下さい、僕のモノをお尻から引き抜いただけですから」  
 
そう言うと、接続したときと同じく“がきん”と音を立てて・・・外されたソレを、ハヤテの前に差し出す。  
 
「・・・え?」  
「どうやら僕には三千院の執事になるだけの資格はなかったようですが、今回の件でお分かり頂けたように・・・  
 マリアさまは、やはりお尻でも快感を得られる女性であることには変わりありません」  
「―――っ」  
 
ハヤテに身体を預けたままのマリアの肩が、ぴくんと震える。  
確かに今更隠しようも無いことはわかってはいるが、それでも言葉にされるとそれは堪らなく恥ずかしいのだろう。  
 
「それに今回の最後、前と後ろの両方を思い切り犯されるという激しい行為も体験されてしまいました。  
 いくらあなたが頑張っても、時にはマリアさまを満足させてあげられないこともあるかもしれません」  
「そ、それは・・・」  
 
確かに、マリアを絶頂に突き上げて降りることを許さなかったあの責めは、ハヤテ一人では困難であるし、  
マリアもまたその強烈過ぎる快楽を知ってしまったのだ。  
自分の身体に刻まれた淫らな悦びが決して消えないこともまた、マリアは今更否定できなかった。  
 
「なので、コレを差し上げます。 なに、戦利品と思って受け取って下さい。  
 このアダプタを使えば家庭用電源で充電できますし、僕の身体に接続されていた時と同じだけのパワーに、  
 プラスして様々な動きも可能ですからね。  
 これらを駆使して、マリアさまの身体をいつまでも満足させてあげてください」  
「は、はぁ・・・」  
 
そう言われて差し出されたものを、拒む理由もなく・・・ハヤテは先ほどまでマリアの尻穴を犯していた責め具を受け取る。  
受け取ってから、ある種の確信を持ってハヤテは13号に今度こそ質問をしようとするが―――  
 
「ではマリアさま、ハヤテさん、これで私は失礼致します。  
 マリアさま、もしその執事君だけで不満があるようでしたら、いつでもお呼びつけ下さい。  
 また新しい道具を持って、いつでも駆け参じますので」  
「い、いや、それは・・・」  
「ははは、では、これにて!」  
 
最後の言葉は冗談のつもりだったのか、言うが早いか返事も聞かず、くるりと踵を返し13号はマリアの部屋から出て行ってしまう。  
 
「あ・・・」  
 
結局、質問するタイミングをことごとく挫かれて、ハヤテは脱力したままのマリアと共に彼女の部屋に取り残された。  
 
「結局、いいヒト、いや、いいロボ、だったの・・・かな?」  
 
ぼそり、と呟いてから、ふと我に返り・・・  
 
「あ、マリアさん・・・その大丈夫、ですか・・・?」  
「ん・・・ふ・・・ぅ」  
 
ハヤテに声をかけられて、マリアは擦れたような声を上げて彼の顔を見上げる。  
その顔は嵐のような責めに狂わされた後で疲弊しきっていたが、それでも彼女は美しく・・・  
逆に、弱々しい瞳や涙の痕までが、魅力的に見えて、思わず・・・  
 
「―――っ!? ん、む・・・・・・」  
 
ハヤテは衝動的に、彼女の唇を、己の唇でふさいでしまう。  
 
「・・・っ、あ、す、すみません! あの、つい・・・!」  
「は・・・ハヤテくん・・・」  
 
いきなりのことに驚いて目を見開きながら、だが抵抗する余力もなく為すがままのマリアは、  
とりあえずすることをしてから謝るハヤテをじろっと睨み付けて・・・  
 
「私は、その、初めてなんですからね・・・き、キスだって・・・」  
「え、ええっ!?」  
「“ええっ!?”じゃありませんっ! その・・・それを、つい、でしちゃうなんて・・・」  
 
少しずつ気力を取り戻してきたマリアにとって、それは精一杯の自己主張である。  
これまでお姉さんとして振舞っていたハズのハヤテに処女を捧げてしまい、  
二人がかりとはいえ一方的に何度も絶頂を迎えさせられてしまったマリアは、せめて少しでも、今更ながらでも、  
年上としての威厳を取り戻そうとしたかった。  
の、だが・・・  
 
「・・・っひ、ぇ、あ・・・」  
「? どうしました、マリアさん?」  
「い、いえ、その・・・」  
 
冷静さを取り戻しつつあったマリアの表情が、再びかぁ、と火照りを帯びる。  
僅かに身じろぎした際に、気づいて、そして感じてしまったのだ。  
 
「あ、あの・・・ハヤテ君のが、まだ・・・その・・・」  
「あ、ああっ!」  
 
その状況に酔い痴れすぎていたのか、お互いにまだ繋がっていたことを、一時的に忘れてしまっていた。  
ハヤテは慌てて、すっかり萎えた己の性器をマリアの中から引き抜くが・・・  
 
「あひっ!?」  
「わ、す、すみませんっ」  
 
その勢いで、またしてもマリアの身体がびくん、と震える。  
 
「も、もぉ・・・ハヤテくんったら、本当に、もっと、その・・・で、デリカシー、を・・・っ、ぁ・・・・・・ひ・・・っ」  
「え、ええと、マリアさん?」  
 
更にお説教が続くかと思いきや、マリアの声が徐々にか細くなり、そして表情は・・・  
急に先ほどまでの快感に支配されていた時の彼女のものに戻りゆく。  
 
「ひ・・・んっ、その・・・は、ハヤテくんのが・・・っ、なか、から・・・っ、垂れて、きて・・・ぇ」  
 
マリアの秘裂から、白く濁った粘液がとぽ、とぽ、と垂れ堕ちてくる光景に、ハヤテは目を奪われる。  
自分が放った精液は本当に彼女の膣を、子宮に注がれ、穢したのだと・・・  
憧れの女性を、その初めてを自分のモノにしたという征服感が、今になってハヤテの心に芽生えてくる。  
そんな意識の移り変わりを感じながら目の前の彼女を見ると、  
マリアもまた・・・子宮まで注ぎ込まれた精液が垂れ堕ちてくるその感触、その熱さに・・・先ほどの悦びを思い出しているように見えた。  
そんなことを考えていたら―――  
 
「きゃあっ!?」  
 
ハヤテは、マリアをベッドに押し倒していた。  
 
「いやぁマリアさん、さっきはほら、立ちながらで、しかも二人に挟まれてなんて、かなり不自然な格好だったじゃないですか。  
 でもせっかくベッドもあることですし、今度は・・・」  
「や、ちょ、ちょっと待ってハヤテくんっ! その、せっかく、って、そんな、あ、やぁ!」  
 
押し倒したマリアのエプロンドレスを器用に脱がしにかかり、あっという間に彼女の胸を露出させる。  
 
「こっちも触ってませんでしたし・・・今度は、もっとちゃんと、楽しみましょう?」  
「ひぁ、や、そのっ! あの、ハヤテくんっ! わたっ、私は・・・あひっ! ひ、待ってっ! まだ、びんか、んぁああっ!」  
 
押し倒した彼女の胸に舌を這わせつつ、再び硬さを取り戻した肉の槍を、もう一度マリアの中へと・・・  
今度はゆっくりと、埋め込んでゆく。  
 
「そうそう、せっかくですから、コレも使って・・・」  
「あひ、ひぎ・・・や、やぁあっ! ソレはっ、それはだめぇ! いまっ、お尻までされたら、私、わたしぃ!」  
「ふふ、大丈夫ですよ、そんなに激しくはしませんから。  
 今度は、ゆっくり、じっくり・・・味わわせて下さい・・・マリアさんの中・・・」  
「そ、それは・・・その・・・っ」  
 
言葉通りにゆっくりと埋め込まれてゆく肉槍の感触に、マリアはひくひくと身体を震わせて・・・  
 
「や・・・約束、してください・・・」  
「はい、何でしょう?」  
「さっきは、その・・・激しすぎたから・・・優しく・・・」  
 
不安げに涙を浮かべてそう懇願するマリアの表情に一瞬だけ湧き出る嗜虐欲を抑え、ハヤテはにっこりと笑って、  
 
「はい♪」  
 
そう答え、もう一度・・・今度は“つい”でも“せっかくだから”でもなく、唇を重ねた。  
 
 
 
 
「―――ふむ。 どうやら問題ないようですね」  
 
三千院の敷地を出たところで、13号は一人呟く。  
先程、三千院の執事君に渡した道具は早速使用され始めたようであるが、  
その“端末”を通してモニターされる、それを埋め込まれた少女の膣圧、体温、脈拍など・・・  
どれをとっても、彼女が望んで与えられる快楽を享受していることを・・・  
淫らな交わりを、純粋な悦びと共に受け入れていることを示している。  
最早、彼女は目覚めてしまった、覚えてしまった肉欲を抑えることは出来ず、  
そんな欲求を満たしてくれる相手を得たことで抑える必要も無く・・・  
あの執事と共に、劣情にまみれた日々を送ることになるだろう。  
彼の描いていた構図の、まさにその通りに。  
 
そんな彼の頭の中に、聞き覚えのある声が響く。  
 
『13号くん、おつかれさま〜♪』  
「牧村博士、モニターされていたとは思いますが・・・無事、任務完了です」  
『はーい、ちゃーんと見てたわよ〜♪ んむむ・・・大きくなったマリアちゃんがイきまくる姿・・・最高だったわぁ・・・』  
 
情念の篭った溜息と共に吐き出される台詞から、彼女がどれだけその様子を楽しんでいたか・・・考えるに難くなかった。  
と、同時に一つの疑問を彼は創造主に投げかける。  
 
「ところで博士」  
『ん? どうしたの?』  
「いえ、そんなにマリアさまのことがお気に入りなのでしたら、  
 僕の全機能をフルに使用して三千院の新しい執事に成り代わる方が良かったのではないのかと」  
 
それは論理的に考えれば、ごく自然な疑問である。  
ハヤテが疑問に思ったように、彼はハヤテを誘導し、挑発し、  
結果としてマリアのことをハヤテに委ねるようにシナリオを組み、それを実践しきったのである。  
 
『んふふ・・・それはそうなんだけどねぇ・・・でもそうすると、  
 やっぱりマリアちゃんの心のどこかには、 ハヤテ君への申し訳なさ、みたいなモノが残っちゃうんだよね。  
 そうすると、きっと最後まで溺れること、出来ないと思うんだ〜』  
「はぁ・・・そういうモノですか」  
『うん〜 でもこんな感じで最後にハヤテ君に落ち着いちゃえば、きっと気持ちいいコトがどんどん病み付きになって・・・  
 どこまでも、堕ちて行ってくれるんじゃないかなぁ、なんてね〜♪』  
「はぁ・・・」  
 
人間は、どうもよくわからない。  
 
『そうそう、それより13号くん、早く帰ってきてよ』  
「はい、次の仕事ですか?」  
『うーん、仕事、かな? ほらほら、マリアちゃんがハヤテ君と13号くんにサンドイッチにされてイかされまくってるのを見てたら、  
 なんかもう、我慢が出来なくなっちゃって・・・♪  
 前の方はエイトに射精機能をつければOKなんだけど、後ろの方からもこう、  
 抱えあげられて、思い切りされたいなぁ、なんて思っちゃってね、えへへ〜♪』  
「はぁ、そういうコトでしたら構いませんが・・・ところでエイトさんはそれで構わないのですか?」  
『ん? エイトがどうしたの?』  
「いえ、一応博士はエイトさんと恋人同士、ですよね? なのに、僕まで入ってしまっては、エイトさんが嫉妬されるのでは・・・」  
『あはは、大丈夫! エイトにはちゃんと前でしてもらうからね!  
 私のココは今はエイトだけのモノなんだから、13号くんもココは触っちゃだめだよ〜?』  
「・・・わかりました、では急いで帰途に着くとします」  
『おーけい、待ってるよ〜』  
 
そこで通信を切ると、13号はメカに似つかわしくないため息をついて、  
 
「やれやれ・・・やっぱり人間は、複雑だなぁ」  
 
無機質な声で、だがそんな台詞と矛盾するかのような“人間らしさ”の滲む声で、呟いた。  
 
 
 
 
 
 
(了)  
 

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