[if]  
 
 
 二人きり。  
 それはチャンスなのでは。  
 ヒナギクの心の中で、何かが囁いた気がした。  
 異国の地、多少なりとも非日常という状況で、好きな人と二人。  
 何かが起きるなら、最適なシチュエーション。  
 と。  
 その何か、が頭に浮かんでヒナギクの脳はショートを起こした。  
「う……」  
 ――な、……何を考えているのよ!?  
 ――そんなこと……そんなこと……起こるわけないじゃない。  
 じゃあ。起きてほしくないのかとヒナギク考える。  
 好きな人との行為。  
 それは全てが嬉しいもので、心躍るものだという。  
 男の子と女の子の行為。  
 また何かの映像が頭に浮かび、ヒナギクの心臓が強く脈打ち顔が一気に朱色に染まった。  
 恥ずかしいことで、まったく経験のないことで。  
 深いこともまったく分からないこと。  
 でも。  
 ハヤテくんとなら――。  
 目の前にいる少年は少しだけ困った風にどこか別の方向を向いている。  
 このままだと、彼はナギを探しに行くことだろう。  
 そうしてまた目の前で、別の出来事が起こるに違いなかった。  
 ハヤテは、そういう何かに巻き込まれやすい人生だから。  
 今までもそうだったし、これからもそうなのだろう。  
 だから、この機会はもう二度と訪れないかもしれない。  
 これは、この状況は――!  
「あれ? ヒナギクさん、どうしたんですか? 顔があk」  
「ハヤテくん!」  
 重なる声。少し張り上げたヒナギクの声にハヤテは驚きの色を表情に込める。  
 ただ、ヒナギクは意を決してハヤテの名を呼んだものの、どうしていいか分からなかった。  
 じっとハヤテのことを見つめることしかできない。  
 喉の奥の言葉は出てこないどころか、言葉にすらなっていない。  
「そんなに睨まないでください、ヒナギクさん」  
「べ、別に睨んでなんかないわよ! ただ、ちょ……っと」  
 ちょっと。  
 その先は言えない。  
「どうかしたんですか? もしかして急に体調が悪くなったとか。外国では、そういうことがよくありますからちょっといいですか?」  
 ――っ!!  
 手際のいいハヤテはすっとヒナギクに近寄って、額に手をあてた。  
 そうしたあと、様子をみるようにヒナギクの顔を見つめる。  
「感染症とか、そういうのもあるから外国は怖いんですよね――」  
 ああ、もうこの……。  
 当たり前のことでも、気付いてくれないハヤテにいら立ちを覚えた。  
 気付いてほしかった。  
 
 たとえそれが欲張りで、自己中心的で、矛盾を抱えていても。  
 それでも、ヒナギクはハヤテのことが好きだった。  
 だから、先のことを期待する。  
「もう、この鈍感――!!」  
 けして日本にいたヒナギクならしなかっただろう。  
 この外国で二人きりという状況が、ヒナギクの心を、体を動かした。  
「んっ――」  
 唇が重なるのが分かって、ヒナギクは目をぎゅっと瞑った。  
 少しだけ歯が当たってカツン、という音がしたものの、暖かくて柔らかいものが触れ合っている。  
 確かに感じる、体温の向こうにいる存在。  
 それが、一気にヒナギクの体を疼かせる。体の奥底から出てくる欲望に火がともる。  
「んんっ……」  
 戸惑った風だったハヤテもヒナギクの熱意を感じてか、抵抗しようとした手をだらしなく垂らした。  
 ヒナギクは離さないよう、しっかりとハヤテを抱きしめる。  
 ぎゅう、と強く。  
「……ぷはっ」  
 息苦しくなってヒナギクが顔を少しだけ離すと、そこにはヒナギク同様顔を赤くしたハヤテがいた。  
 もし、拒否されたら。そんな不安もあったものの、そんなことはなかった。  
 ヒナギクは上昇していく体温を感じながら、もう一度ハヤテの唇を貪ろうと、ゆっくりと迫りゆく。  
「ヒナギク……さん」  
「好きよ、ハヤテくん……」  
 迷う前に、言葉が勝手に口から発された。  
 自然と気持ちが外へと漏れたのだ。  
 その勢いで、もう一度キスをする。くちゅ、という水音がして、ヒナギクの興奮はより増していく。  
 唇を押しつけるのではなく、ついばむように、求めるように、キスをする。  
「……んあ」  
 何かを感じ取り、ヒナギクがもう一度唇を離すと、ハヤテの下腹部にあるものが存在を強く主張していた。  
「――!!」  
「……ボクだってその、そういうことされると……」  
「そ、それにしたって、こんなに大きくなるものなの!?」  
 ヒナギクはその出っ張ってるものをじっと見て、その大きさに驚愕しながらも、目が離せなかった。  
 布地を押し上げて、破って出てきそうなそれは、つまり、アレである。  
 ヒナギクはそうなることは知っていても、想像以上のモノに一種の恐怖も覚えた。  
 ――でも、私でそうなったってことは、いいってことなのよね……。  
 ジッパーを少しずつ下げさせると、ハヤテが慌ててその下げようとするヒナギクの手を止める。  
「ヒ、ヒナギクさん!?」  
「なによ……こんなにしてるくせに」  
「それはそうですけど」  
 目をそらすハヤテ、ヒナギクはその瞬間に一気にジッパーを下ろした。  
 止まらなかった。頭の中で聞こえてくる、友人たちの声。  
 三人の友人のうちの一人が、そのやりかたを以前あっけらかんと説明していた。  
 何を言っているのよ、とその破廉恥な説明に怒り説教をぶつけたことはあった。  
 でも、その説明が今役に立とうとしていた。  
 
「うわ……」  
 ジッパーの奥、そこに手を入れると、人間のものとは思えない熱くて硬いモノがあった。  
 それをゆっくりと取り出すと、グロテスクな男にしかない器官が露になる。  
 こんなものが、本当にあるんだ。  
 ファンタジーというべきか、異世界というべきか、自分の知りうる世界のものとは思えないモノにヒナギクは目を見張る。  
「ヒナ……」  
「んむ」  
 こうすれば気持ちいいはず、とヒナギクは迷わずモノを口に含んだ。  
 熱くて硬い、ハヤテのモノの匂いが口内に充満する。  
 大きいものをくわえたせいか、すぐに口の中で唾液が分泌されてモノに染み込むように濡れていく。  
 ちゅう――  
 少しだけ吸うと、ピクンとモノが反応する。それが可愛らしく、ヒナギクは吸いながらさらに深くくわえこんでいく。  
「ん……ん……」  
舌で全体をなぞるようにしながら、できるだけ奥までくわえると、モノが生き物のように跳ねた。  
「んんん……っ!」  
 それでも吐き出さず、ヒナギクは必死に舌を動かし続けた。  
 こうすれば気持ち良くなると聞いていたから。それに、あのピクピクとした動きは、気持ちい証拠なのだろう。  
 グチュ、という淫猥な音が口内で響く。  
 唾液が口からこぼれ、自分のスカートに落ちる。  
「あの、ヒナギクさん。良かったら……上下に動いてくれませんか?」  
「ぷは……上下? そうしたら、いいの?」  
「はい、もう今のだけでも頭おかしくなりそうなんですけど」  
 欲張りなんだから、とヒナギクは呟いて、ハヤテの言葉に対する喜びを隠す。  
 そして、それがバレないうちにもう一度深く咥えこむ。  
「……んぐ……んう」  
 一番奥までくわえたあと、ゆっくりと引きぬいていく。  
 唇でモノを擦っていき、出っ張ったカリを越えたところで、もう一度くわえる。  
 その動きを繰り返しながらも、舌の動きは続ける。  
「んちゅ……んぶ……じゅ」  
 硬く、熱い……。  
 亀頭が舌のざらざらとした腹の部分で舐められる度にピクリと反応する。  
 自分の体が好きな人の快楽を生んでいる。  
 その喜びが甘美なものとなってヒナギクの体を火照らせる。  
 ヒナギクの下腹部もキュゥと疼く。  
「ん……ん……れる……ちゅぷ」  
「う……」  
 情けないハヤテの声が聞こえる。  
 声が出るほど気持ちいいんだ。  
 ヒナギクは蕩けていく思考の中で、ハヤテを見上げると何かに耐えているハヤテの顔があった。  
「ぢゅる……じゅ……ん……ちゅ」  
「ヒナギクさん……もう……離れてくだ……」  
「ひやよ」  
 
 ヒナギクはこのまま続けたかった。  
 射精というものを見たい気持ちもあったが、それよりも自分の口の中で果てて欲しかった。  
 ヒナギクはさらに大きくなっていくハヤテのモノを強く吸いこむ。  
「じゅぼ……じゅるるるっ!」  
「うあ……ああっ」  
 どぷっ! ドピュ! ドピュッ!  
 先端から激しく熱い液体が吹き出し、ヒナギクの喉の奥へと発射される。  
「んぶっ! んんんんん……!」  
 その勢いに驚きながらも、ヒナギクはけして吐き出そうとは思わなかった。  
 むしろより深くくわえこみ、一滴のこらず口に出させようとする。  
 何度も口内でモノが跳ねて、どろどろとしたものを吐き出す。  
「んぐ……う……ふぅ……んっ」  
 全部吐き出したのか、モノの動きが止まると、ヒナギクは口内に溜まった液体をこくり、と飲みこんだ。  
「ヒ、ヒナギクさん!?」  
「にっが……何よ、これ……ねばつくわ」  
 変な味に少しだけ咽てしまうものの、全て飲みこむことができた。  
 ハヤテの、精液を。  
「ご、ごめんなさい」  
「謝ることないわよ。私がその……飲みたかったんだから」  
 一旦、ふぅ、と息を吐き出すとヒナギクの目に未だ空を突かんと反り返っているモノが見えた。  
 さっきと同様に凶悪なくらいにグロテスクで、精液と自分の唾液できらきらと光っている。  
 それを見て、また下腹部が疼いた。  
「ヒナギクさん……」  
 ハヤテが近付いてくる。  
 今度は……そういうことなのだろう。  
 ヒナギクは覚悟をきめて、近くのソファに寝転んだ。  
「優しく……しなさいよ」  
 目を逸らして、ハヤテに言う。  
 今の自分は真っ赤でとても恥ずかしい顔をしているのだろう。  
「はい」  
 ハヤテがそう返すと、一瞬でヒナギクのショーツは脱がされた。  
 その慣れたような手つきにちょっと嫌な気持ちになるものの、割れ目に押し当てられたモノの感触で全てが吹き飛んだ。  
「ん……」  
 割れ目からは既に愛液がとろりと垂れていて、むわっとした女の子の匂いが漂っていた。  
 その割れ目に当てられる、熱いもの。  
「いきますね」  
「来て……」  
 ぐっ、とモノが割れ目に押し込まれる。  
 その瞬間に裂けてしまいそうな痛みがヒナギクに襲いかかるも、我慢する。  
 
「……っ」  
 メリ……。  
 何かがハヤテのものを引き止める。処女膜だろう。  
 ハヤテは迷わず強く腰を進める。  
「あ……っ」  
 ぷち――。  
 ずちゅ! 一番奥までモノが貫き、ヒナギクの全身に衝撃が走る。  
「ふ……あっ……!」  
「根本まで入りきりましたよ……ヒナギクさんの中もう、グチュグチュですよ」  
「そ、そんな報告するなぁっ!」  
 その瞬間、ハヤテが腰を動かし始める。  
 ぬぷっ、ぬぷっ、といういやらしい音が耳に届く。  
 音だけでなく、中を擦られているという感覚が脳を痺れさせる。  
「う……んぅ……」  
 熱い、大きい、太い……!  
 自分の体に異物が入り込んでくる違和感。  
 それでも、ハヤテが自分の中に入れているんだと思うと、痛みも和らいでいく。  
「ヒナギクさん……気持ちいいです」  
「ん……ふ……く……」  
 ヒナギクはその言葉に返す余裕はなかったものの、自分の初めてを好きな人にあげられた喜びで、顔がさらに赤く染まった。  
 ずん、ずん、と突いてくるハヤテ。  
 その度に、変な感覚が全身を支配していく。  
 今までに体感したことのない感覚。  
「うぅ……はぁっ……」  
 ぬぷっ、じゅぷ、ぐちゅぅっ!  
 愛液が水音をたてる。  
 ハヤテはどんどん腰の速度を速めていっている。興奮が増していっているのだろう。  
「あっ……んっ……や……」  
「気持ちよすぎます……っ」  
 ヒダをひっ掻いていくハヤテのモノ。  
 ヒナギクがそっとハヤテを抱きしめると、体が密着した。  
 好きな人が、こんなにもそばにいる。  
 ヒナギクは最上の喜びに浸る。  
「ちゅ……」  
 愛らしく、ハヤテにキスをすると、ハヤテはヒナギクをより強く抱き抱え、激しく腰を振る。  
「もう……!」  
 じゅぷっ! ずぷっ! じゅぷぷ!  
 ハヤテの腰の動きが小刻みになっていく。  
 ヒナギクの子宮口が何度も突かれ、ヒナギクは嬌声をあげる。  
「ひあっ! ハ、ヤてくんっ! ふああぁっ!」  
 気持ちよかった。  
 こんなことで、こんな風になるなんて思わなかった。  
 でも、確かに今、ヒナギクはハヤテのモノで快感を得ていることを体で強く感じた。  
「出る!」  
 強く腰が突きだされ、ハヤテの体が痙攣する。  
 ドクン! どぷっ! どぴゅっ! ごぷっ!  
 
 何度もモノが跳ねて、先ほどよりも多いのではにかという精液をヒナギクの中に注いでいく。  
「ふあ……はやて……くんのがでて……る」  
 膣内に出された熱いものを感じ、とろんとした表情を浮かべるヒナギク。  
 好きな人に出される喜び……。  
 どろどろとしたものが割れ目からこぼれ、ハヤテも抜こうとする。  
 それをヒナギクがハヤテを抱きしめて妨害。  
「ヒナギクさん?」  
「……だめ。もう少し、こうしていなさい」  
 そう言って、もう一度強く抱きしめる。  
 感じるぬくもり。  
 結合部分が温かく、抱きしめてくっついた肌も暖かい。  
 その温かさが、何よりも幸せだった。  
 
 
 
 end  
 

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