タイトル「美希の君」
ある日の午後の休日
休日の課題も午前中に全て終わらせて、自室で手持ち無沙汰にしていた時
どこからともなく低い振動音が私の耳元に届いた
その音の主の方向に顔を向けると、テーブルの上に小さな赤い固形のものが一定のランプと振動音を刻んでいた。
その固形の物を手に取り、名前を確認して電話にでる。
「もしもし…どうしたの?」
相手は小さい頃から付き合いがある美希だった
ずっと同じ学校に通っていたりする
これまでの経験上、課題の催促か買い物に連れまわされるかの二択である可能性が高い。
「あ…ヒナ…今忙しい?」
多少ノイズが混じった美希の声が返ってきた
ノイズ以外にも何か違和感があったような気がしたがさほど気にはならなかった。
私は手先で腰までかかった長い髪をかきあげながら
座布団に座った。
「忙しくないけど…遊ぶならいいわよ?」
本当は生徒会に関する書類を一通りチェックをしなければならなかったが
たいした量ではなかったし、学校がある日にやれば済む作業であった
流石に課題をこなした後では疲労感があり面倒くさいのもあった。
「……美希?」
返事が返ってこない
私は少し不信感を抱きつつも
先ほどの違和感と関係があるのかと思い
再度、彼女の名前を呼ぶがやや遅れて咳混じりに返事が返ってきた。
「あ…ごめんね……遊ぼうと思ったけど」
電話口から聞こえる美希の声はとても弱々しかった
いつもと口調が違う…もしや
「風邪…引いているの?」
「うん…そうだけど……家に誰も居ないし」
以前、遊びに行ったとき
お手伝いさんが数人居たけどその人たちはいるのかと聞いたら
どうやら数ヶ月に一度、全員が出払っていることがあり、今日がその日らしい
両親も仕事の関係で、一日中不在であるということ
まあ、美希の場合は家柄がそうだから両親が不在なのは何の不思議ではない
いつもは使用人たちが美希の相手をしているそうだ。
「ヒナ…あのね……」
美希のすがる様な声。
今と全くの場違いなのだが、一瞬、自分達がまだ小さい頃の時を思い出していた
これは自惚れでもないのだが、美希は私を何かと頼りにしていた
今となっては昔の出来事だが、美希をいじめていた男子をおっぱらってやったこともある
正確には覚えていないがその日をきっかけに私に色々と甘えるようになった。
だから、この声から察するに彼女が何を求めているのか大体の予想はできた。
「ヒナに会いたい…」
美希が私を必要としている
だから私はいつも通り応えなければいけなかった
美希の前では頼りになる女じゃなければいけない。
私は電話を切り
着替えと必要なものをバッグに詰め込んで家を出た。
――――――遠い夢をみていた。
私は泣いていた
どうして泣いていたかハッキリと思い出せないが
確かクラスの男の子に嫌がらせをされていたと思う
その頃の私は気が小さく、言いたいことも言い返せずにグズグズしていた
そんな時、決まって助けてくれたのがヒナだった。
いじめられっ子の元に救世主が現れるというのは
漫画やドラマによくある光景だが
まさしく、ヒナは私にとって王子様だった
困った事があればいつでも私の元へやって来てくれて助けてくれる。
私だけを見つめてくれる猫のような瞳
―――美希は私が守るから。
私はいつもヒナの事を考えるようになった。
そして…いつからかヒナに対して恋愛感情を抱くようになった
同性愛者じゃないが、ヒナには何をされてもいいと思うようになった
その思いは募るばかりで一向にその熱は冷める気がしない。
ヒナとずっと一緒にいたい……
ずっと、私のほうだけ見て欲しい……
男とは付き合わないで欲しい……
様々な想いが私を一層苦しめた。
「う……ん…」
目が覚めたと同時にある独特のけだるさが身体をかけめぐる
夢か現実か……よくわからないまどろみの中に私はいた
ただ聞こえるのは心臓の鼓動音とやや荒い息遣い
全身のだるさのおかげで、それが私自身から発する音だと気づくのに数秒を要した。
目の前にあるのは白い天井。
どうやらここは現実らしい
そうか、懐かしい夢を見てしまったな……
軽く目を瞑り、ヒナのことを考える…が
それよりも、猛烈に喉が渇いたので意識的にそちらを優先した。
喉が渇いたな…水でも飲もうか………
私は身体を起こして自室に備えられた
冷蔵庫にミネラルウォーターを取りに行こうとした、その時であった。
「だめよ、病人なんだから……おとなしく寝ていなさい」
それは聞き覚えのある声だった。
え…まさか…?
目を開け、声の発せられた方向に振り返る
そこにはヒナギクがいた。
「ヒナ……?」
「今日は家の人が誰も居ないって聞いたから勝手に入らせてもらったわよ……不法侵入だけどね」
まるで悪戯っ子のようにチロリと舌を出して
こちらに笑顔を向けた
まさか…本当に……会いに来てくれるなんて
「ヒナぁっ!」
私は思いっきり抱きついていた
ああ……夢じゃない、この匂いは間違いなくヒナのものだ
「ちょ…ちょっとちょっと、どうしたのよ………んっ!」
私は衝動的にヒナの唇を奪った
まるでカップルが久々に邂逅するかのように
一人で心寂しいときに好きな人が近くにいるだけでこうも違うのか
ヒナは暖かかった…色々な意味を含めて。
私の突然の行為にヒナは驚いていたが
私を引き離したりしなかった、甘える私を嫌がったりしなかった
これだけでは飽き足らず、ヒナの唇を更に貪ろうとして、舌を入れようとしたが
何だろう…理性だろうか「何か」のタカが外れようとしていたのを
ヒナの方がいち早く察して、ヒナの方から引いた。
「ヒナ……あっ」
ぎゅうっと抱きしめられる。
そういえば抱きしめられてから気づいたのだが
私は汗を大量にかいていた、ずっと寝ていたから
身体を拭くのを忘れていたし、服も着替えていない。
そのことを伝えようとしたが、コツン……とおでこをくっつけられる
「もう…私にキスなんかする暇があったら自分の体でも心配しなさい、熱があるじゃないの」
近距離で喋るヒナの吐息がくすぐったい
そこで私はヒナの背後にある床のデイバッグに初めて気が付いた。
「何、そのバッグ…?」
ヒナは一瞬キョトンとして
何を言っているんだといわんばかりに口を開いた。
「今日は泊まるからね、ずっと一人なんでしょ? 放っておく訳にはいかないわよ」
「え……じゃあ……ずっとに一緒にいてくれる?」
「……当たり前じゃない、何を言っているの?」
への口をして、私の頭を撫でてくれる
「とりあえずタオル濡らしてくるからね、動いちゃ駄目よ、それとお腹は空いている?」
そこで、先ほどの喉の渇きを思い出す
お腹自体あまり空いていなかったが、とりあえず水分を取りたかった
「じゃあ、水をくれる……? 口移しで」
「馬鹿ね…そんなこと言っている暇があるなら寝てなさい」
口ではそんなことを言いつつも
満更ではなさそうな顔をしていた。
心中で今日と明日はヒナを独り占めできるかと思うと私は興奮した。
「ヒナの作った愛妻お粥はおいしい」
「はいはい」
ある日、休日だというのに不覚にも風邪を引いてしまった私は
一日中、寝込むことになってしまった
今日に限って使用人がみんな出払っている中
私は自宅で孤独に過ごしていたが、そんな時ヒナに無性に会いたくなり
メイド…もといヒナにお世話になることになった、まぁメイド服は着ていないけど。
瞳から窺える意思の強そうな目
左端の前髪には可愛らしい髪留め
腰まで伸びるサラサラの長い髪
セーターから窺える控えめな胸
剣道部だというのにやや短めなハーフパンツから伸びる細くて綺麗な脚。
異性だけではなく同姓からも
好かれている言わば学園のアイドル。
ヒナと友達でつくづく本当に良かったと思う。
茶碗からお粥をスプーンですくい
私の口元に運んできた。
「はい、あーん」
おまけに頼んでも無いのに
お粥を食べさせてくれる
何がおまけって話なんだろうけど。
お粥はこれはまた絶妙な塩加減が美味しくて、私の口にとても良く合った。
大げさでもなくヒナに奉仕されている私はとても幸せ者だと思う
何をヘラヘラしているのよと指摘までされてしまった。
「食べ終わったら、身体を拭くからね」
ブッっと思わず口の中に含んでいたおかゆを吐きそうになり
慌てて口元を押さえ噴き出しそうになったのを防いだ
今…サラリと凄いことを言わなかった?
「私の身体を拭くの…?」
既にヒナはいつの間にか用意していた洗面器から濡らしたタオルを手に取り
何を言っているんだと、またもやへの口をした。
「うん…そうだけど?」
別に相手が男って訳ではないし、女の子同士だから問題は無い
体育の着替えだって特別、変に意識するようなことはなかった
ただ、その女の子でも自分が世界でただ一人…もどかしいというかなんというか
恥ずかしいというのが一番当てはまるのだろうか、素肌を見せるのが躊躇われる人が存在する。
それは……
「う……」
見詰め合っていたヒナの顔に耐え切れず
思わず顔を逸らしてしまう
多分、今の私の顔って赤いんだろうな……
胸も自然と締め付けられるような思いで苦しかった
私をこんな状態にさせた当の本人は気が付いていないし……
「まったく……ヒナは私の気持ちも知らないで……」
そう、私はイライラしていたのだ
私がヒナの事を好きなのを気づかないことに
先ほどキスまでしたのに何だったんだろう…自分が恥ずかしく思える。
少しの空白、最初に口を開いたのはヒナギクだった。
――――美希の気持ちなら知っているわよ………
「…え?」
次の瞬間、軽い衝撃と共に
私はヒナに思いっきり抱きしめられていた
「ヒナ…?……っ!?」
―――頭の中が真っ白になる
ただ、気が付いたときには目を閉じたヒナの顔が目の前にあり
唇も何か当たっているぐらいにしか理解ができなかった
私に意識を取り戻させるきっかけとなったのは
口内に熱を持った軟らかい物が侵入してからだった
ヒナは私の時と違って何の躊躇もなく唇を割って舌を絡めてきたのだ
「んぷ……んっ…ぷ…はぁ……あ……」
脳内に非常に心地良い電気信号が思考を麻痺させる
甘ったるい感覚が全身を駆け巡り次第に身体の機能を奪っていく
まるで水中にいるかのように、気だるさが全身を支配していった
だが……それも悪くないと思った、ヒナになら何をされてもよかったから
同時に私もヒナに応えようとしたが………当然、私には受けは合わない。
ヒナギクは美希のネグリジェに手を伸ばそうとしたが
それを手で制した
当然ながら不満そうな顔をこちらに向けた
「どうして…?」
「ヒナのキスが下手糞だからよ、相手は病人よ、もっと優しくできないの?」
「なっ!?」
敢えてここは挑発をする
こちらの考えたシナリオにヒナを誘い込む
「しっ仕方ないじゃない!……ファースト………キス…なんだから…」
末尾の方は口調が小さくなったが
それでもハッキリと聞き取れた
普段のサバサバした性格とは対照的に乙女チックな部分を垣間見れて
欲望が更に増大をする。
私は自分でも気味の悪いくらいニヤニヤしながら
ヒナギクを自分の方に抱き寄せベッドに押し倒した。
「えっ?…ちょっと美希!貴方、病人でしょ!?」
―――自分から仕掛けてきた人間が何を言っているのかしら?
まあ、最初は私がやったんだけどね
「大丈夫、ヒナのおかげでもう治ったから」
先ほどのヒナギクと同じように今度は美希が舌を割って入る
美希のヒナギクに対する愛情は人一倍強い
だから、自分自身の持っている愛情をそのままぶつけようと考えた
喧嘩で例えるなら容赦はしないっていった所だろう。
「ぷ……はぁ…ぁ…ん………んっ……は」
口内から響く淫らな音は官能を刺激させる
予想通りヒナは抵抗しようと試みるが、本気で引き離したりはしなかった
馬鹿ね…中途半端に抵抗するのが、増々相手を興奮させるのよ
口内を犯し続けながらも美希は
ヒナギクのハーフパンツから伸びる太股を緩急をつけながら愛撫をする
愛撫するだけには飽き足らず、太股にむしゃぶりつきたいのを必死で我慢しながら
時には撫で擦りながらヒナギクを高ぶらせる
勿論、気持ちが高揚していくのはヒナギクだけではないが。
美希は次の段階に移ろうと
ハーフパンツのボタンを外し、素早く手を潜り込ませた。
「うぁ!?……そっ…そこはだめぇ!」
下着に覆われているその先の秘所に中指と薬指を一気に挿入する
ビクンッとヒナギクの体が一瞬痙攣した
「やっ!……」
くちゅっ……と蜜の手ごたえが確かにあった
ヒナってもしかして感じやすいのかしら
だったら、もっと乱れるとこを見てみたい
普段、品行方正で通っているヒナを完膚なきに犯したい
口からは涎を垂れ流させ、淫らな声を叫びさせたいと思う。
既に充血しきっていたヒナギクのクリトリスを
軽く花でも摘むように摘んでみた。
「うぁっ!?」
部屋中を響き渡るくらい激しい嬌声と共に
ビクンッとまたしても身体全体が痙攣した
それでも指の動きを止めることはしなかった
「うわ…ヒナ……凄く濡れてる、もしかして自分でイジったりしてる?」
「なっ!? そんな事する訳ないでしょ!」
軽口も叩きながらも、騎上位の姿勢をとり
ヒナギクの膣内を犯し続ける
そんな中ヒナギクの惚けた顔は美希の理性を粉々に破壊した
指をコツン……と更に深い位置まで侵入させ
クリトリスを今度は強く摘んだ
「あーーーー!? はうっ…あうっ…あ……」
これが最後の引き金となって、一際高い叫び声を上げると
ヒナギクは絶頂に達しそのまま激しい呼吸を繰り返すと
ぐったりと横たわった。
美希も風邪を引いているせいもあるが、ただでさえ体力が無い
そのままヒナギクの身体を覆うように倒れこんだ。
―――はぁっ はぁっ はぁっ………
二人の少女の艶がかった息遣いが部屋中にこだまする
衣服はとてもお嬢さま学校に通っているとは思えないくらい
はしたなく乱れていたが、疲れているせいで身なりを整えようと気にはとてもならなかった
このままグッスリと眠りたかったが、美希はあることを思い出した。
「あっ…」
「何よ……」
憔悴しきっているヒナギクは顔だけ美希の方向を向けた
「いや……ヒナの胸を堪能するのをすっかり忘れていた」
その後、部屋には「ばかっ!」という
言葉が炸裂したのは言うまでもなかった。