「お誕生日おめでとうございます。マリアさん」  
私の目の前に、花束を抱えて真面目な顔をしたハヤテ君が立っています。  
「へ? ハ・・・ハヤテ君?」  
え・・・今日ってクリスマスイブだったかしら・・・?  
「マリアさんの18歳の誕生日、どんなプレゼントがいいかずっと考えていました」  
そう言い、花束を私に手渡してくれます。  
あ。・・・あのときの約束、覚えていてくれたんですね、ハヤテ君。  
「・・・・・・ありがとうございます・・・・・・」  
少し赤くなって花束を受け取る私。  
「そして考えた結果・・・」  
と、気が付くとハヤテ君の顔が私の目の前に・・・。  
「僕からのプレゼントは・・・」  
「え?」  
胸がドキッとしました。え・・・、これって?  
ハヤテ君の前髪と私の前髪が触れ合い、ハヤテ君の腕が私の背中にまわされます。  
そしてハヤテ君の唇が、私の唇に近付けられて・・・。  
 
えっ、そんな・・・、わ、私、まだ心の準備が・・・!  
 
戸惑って身を引こうとしましたが、背中に回された腕で受け止められて、  
そのまま、ハヤテ君の唇が私の唇に重ねられました。  
・・・ん・・・っ・・・  
 
そして、唇が離れ、ハヤテ君の顔が遠ざかると、私は赤くなった顔で目から涙が滲んできました。  
「・・・ど・・・どうしてですか・・・」  
私の気持ちも聞かずに、いきなり唇を奪うなんて・・・。ファーストキス、でしたのにっ・・・。  
 
「それは、僕がマリアさんを愛しているからです」  
そう真顔ではっきりと答えるハヤテ君。  
「え・・・」  
あまりにも堂々としたハヤテ君の姿に、思わず真っ赤になってしまいます。  
「マリアさん・・・、あなたに、僕の愛を差し上げます」  
「えっ・・・?」  
 
ハヤテ君が私の身体を抱き上げると、そのまま下に横たわらせます。  
すると、なぜかそこが白いシーツのベッドの上で、私は、大きくて柔らかな白いクッションの上に  
上体を預けるように寝かされました。  
いつのまにか、履いていたはずのブーツと靴下が脱がされていて、裸足になっていました。  
ハヤテ君は私の顔を見つめながら、私の頬に触れ、私の髪を指ですきながら、もう一度私に口付けをしました。  
「んふ・・・」  
そして、それからハヤテ君は、私の上に被さると、私の服を脱がし始めました。  
「あっ・・・」  
ハヤテ君は、あっという間に私のエプロンを取り去ると、メイド服の上着のボタンを外して合わせを開き、  
そのまま魔法のように上着を脱がせてしまいました。さらにスカートも瞬く間に身に着けていなくなります。  
何をどうやっているのかはよくわかりませんが、あっという間に下着姿にさせられて、そのままブラも  
取り去られて、裸にさせられてしまいました。  
すごく恥ずかしいはずなのに、私はどうしてか抵抗することもできません。  
そして、ハヤテ君は私の胸に手を添えて、触り始めました。  
「あっ・・・ハヤテ君っ・・・」  
いつの間にかハヤテ君も裸になっていました。ハヤテ君は胸を触りながら、私の胸元に口付けをしていき  
そして胸の先端の部分にも口付けをしました。  
「は・・・ふ・・・」  
頭がボーッとしていて、なんだか触ってくれているのが気持ちいいというのだけが感じられます。  
そして、ハヤテ君の手が私の大事なところに伸ばされ、そこを触ってくれます。いつのまにか、下着も  
取り去られていました。  
やっ、はっ・・・はぁっ・・・  
そんなところを触られて恥ずかしくてたまらないはずなのに、なんだかとても気持ちよくて息が乱れてきます。  
そのままハヤテ君は私の身体を愛撫し続けて、私の興奮は次第に高まっていきました。  
「あっ・・・ああっ・・・」  
そして、私がもう限界寸前になったころ、ハヤテ君は自分のものを出し、私の両脚を広げて、そこにあてがおうと  
しているのがわかりました。  
やっ、だめですっ、私、初めてなのにっ、そんな・・・っ  
そしてハヤテ君はそのまま・・・  
やっ、――――――・・・  
 
 
・・・・・気がつくと、寝室のベッドの上でした。  
「・・・ゆ、夢?」  
頭を少し起こして周りを見回すと、まぎれも無くいつもの寝室です。  
「・・・でしたのね・・・。今の・・・」  
乱れた呼吸を整えながら、枕に頭を沈めました。  
と、慌てて飛び起きて、横にいるナギのほうを見ます。  
いつもどうりに、すぅすぅと寝息を立てているナギがいました。  
・・・はぁ、よかった。今の夢で、寝言で変なことを口走ったりしていて、ナギに聞かれていたりしたら  
どうしようかと思いました・・・。  
枕元の時計を見ると、まだ午前3時過ぎでした。  
起きるにはまだ早い時間なので、もう一度ベッドに横になります。  
「それにしても・・・今の夢・・・、ハヤテ君と私が、あんな・・・」  
今見た夢のことを考えようとして、思い出したら、あまりに恥ずかしくて真っ赤になってしまいました。  
無理です。こんな状態で眠れるわけがありませんっ。胸がドキドキして、身体が火照ってしまっています。  
どうしましょう・・・。こんなんじゃ、ハヤテ君とまともに顔を合わせることなんてできそうにありません。  
それに・・・、こんな発情期の猫のような身体では、とても人前に出られませんわ・・・。  
なんとか深呼吸して熱くなった身体を落ち着かせようとしましたが、さっきの夢が頭から離れなくて  
いつまでたっても落ち着きそうにありません。  
困りました・・・。どうしたらいいのかしら。  
 
・・・・・。  
 
・・・・・・・・・こういうとき、ふつうの女の子なら、自分でしたりするんですよね・・・。  
 
でも、私、そういうことって、したことがないんですよね・・・。  
そういうことを知らない、っていうわけではないんですけど。  
でも、そういうのって、淫らな行為ですし・・・。やっぱり、エッチなのはいけないと思いますから、  
知識程度に留めてはいるのですけど・・・。  
 
でも、このままでは仕事になりそうもありませんですし・・・、仕方ありませんね・・・。  
私は、寝室のベッドから下りると、火照った身体を抱えて自室に向かいました。  
はぁ・・・、とついたため息までもが熱い吐息なのに閉口しながら・・・。  
 
 
 
自室に入ると、部屋の鍵をかけて、カーテンがきちんと閉められているのを確認して、ベッドに向かいました。  
・・・んー、今着ているパジャマって、裾が膝下まであるワンピースタイプなので、やりにくそうですよね・・・。  
仕方なくパジャマを脱いで、肌着姿になって部屋の明かりを暗くすると、ベッドに潜り込みました。  
 
で、とりあえず・・・、どうしましょう。  
胸・・・でも触ってみましょうか・・・? 肌着の上から胸を触ってみました。けど、これじゃよくわかりませんね。  
肌着の中に手を入れて、直に胸を触ってみます。  
ん・・・、いちばん敏感なところに触れると、体がビクッとしました。いつもはこんなにならないのに・・・。  
なんだか身体が敏感になっているみたいですね・・・。  
しばらく胸を自分で触ってみていますけど、思っていたほど、良い感じに思えません・・・。  
これでは身体の熱くなったのをどうにかできそうにありませんね。どうすればいいのかしら・・・。  
そう思いながら、目を閉じると、夢の中でハヤテ君が私の胸を触ってくれていたのを、思い浮かべました。  
そうすると、胸の奥になんだか切ないような、暖かい感覚が広がって、胸を触っているのが気持ちよく思えて  
きました。  
・・・あ、なるほど。こういうことは、大好きな男の方が触ってくれているって思い浮かべながらするものなん  
ですね・・・。  
まあ、大好きな、っていうのは、今の私にはちょっと違う気がしますけど・・・。  
でも、これって、確か、なんとかって言ってましたよね・・・。何でしたっけ・・・。  
えーと、・・・あ、そうですわ。ハヤテ君を、・・・おかずにする、・・・?  
その言葉を考え付いた瞬間、あまりに恥ずかしくて顔から火を噴いてしまいました。  
わ、わわわ私ったら!今からやろうとしていることって、そういうことなんですか!?  
うぅ・・・、恥ずかしすぎて泣きそうです。  
ハヤテ君、ごめんなさい、ごめんなさいっ。  
私は心の中でハヤテ君に何度も謝りました。私の自慰行為に使わせてもらってしまいます・・・。  
でも、でもっ、ハヤテ君だって悪いんですから! 私の夢の中であんなことするからいけないんです。  
このくらい責任とって頂かないと・・・。  
罪悪感を打ち消そうと自分の中で勝手にハヤテ君を悪者にして、行為を正当化しようとする私。・・・うぅ。  
でも、とりあえずそうしないことには治まらないですので、行為を続けることにします。  
夢の中でハヤテ君が、私の服や下着を脱がせていったのを思い浮かべながら、肌着を胸の上までたくし上げて  
胸を露わにします。  
「あ、ハヤテ君・・・っ」  
そうして、ハヤテ君が私の胸を触ってくれるのを思い浮かべ、重ねながら、自分で胸を触っていきます・・・。  
「ん・・・んふっ・・・」  
すごい・・・身体がぞくぞくって震えて、身体が熱いのが、なんだか逆に気持ちいいって思えてしまいます。  
私の上で胸を触ってくれているハヤテ君の姿を、ハヤテ君の逞しい身体を、思い浮かべます。  
ハヤテ君って、女の子みたいな顔をしているんですけど、すごく筋肉質で締まった身体をしているんですよね。  
初めて会ったときに、お風呂で倒れたときなんか、介抱するためにハヤテ君の身体をこの手で拭いてあげたり  
しましたし・・・。何度かハヤテ君に抱きついたり、抱きかかえられたりしましたよね・・・。  
そんなハヤテ君の身体の感触を思い出しながら、思い浮かべたハヤテ君の姿に重ねていきます。  
やっぱり、ああいう逞しい男の子に抱かれると、嬉しいものなのかしら・・・。  
そういえば、このベッドもしばらく使っていませんでしたけど、前に使ったのって、ハヤテ君を看病したとき  
ではなかったかしら・・・。それから週に一回はお布団を干しているので、お日様の匂いしかしないのですけれど、  
それがなんだかハヤテ君の残り香に思えてきます・・・。そんなはずはありませんのに。  
はぁ、はぁ・・・、だんだん呼吸が乱れて、気持ちが高ぶってくるのがわかります。  
 
そして、ハヤテ君が私の身体に、胸の先端に口付けしてくれたことを思い浮かべながら、指先でそこを触りました。  
「きゃっ・・・!」  
身体に電気が流れたように強くビクッと感じました。夢の中では、なんとなく気持ちよかったくらいの感じしか  
なかったのですけど、こうして触るのが初めてなんですから、夢でわかるわけなかったんですね・・・。  
指先でそこを触りながら、ハヤテ君が何度もそこへ口付けしてくれるのを思い浮かべます。  
「あっ、あっ! ハ、ハヤテ君っ!・・・はぁっ、はぁっ・・・」  
そして、それから夢の中のハヤテ君は手を私の身体の下のほうへ伸ばしていきました。私もそれにしたがって、  
手を身体に沿わせて下へ進めていき、下着を少し下へずらして、その奥の大事な部分に指を進めていきます。  
「あ・・・」  
そこは指が濡れるくらいに液体が滴っていました。・・・これって、愛液っていうものですよね・・・。  
こんなになっている自分の身体に恥ずかしさを覚えながら、指を大事な部分の割れ目にそってなぞっていきます。  
「んんっ・・・」  
さすがにこんなところをよく触ったことなんてありませんので、ハヤテ君の姿を重ねるよりも、触ってみることに  
意識を集中してしまいますね・・・。  
そしてそこをすこし広げながら、内側にある突起を指先で触ります。  
「あっ、あぁっ」  
身体がビクビクッと反応して・・・、気持ちいいのかどうかは、わかりませんけど、っ・・・、ハヤテ君が触ってくれて  
いるって思ったら、これもなんだか気持ちいいって思えてきて・・・。  
「はぁ、はぁっ、ハヤテ君っ・・・そんな・・・あっ、あっ」  
ハヤテ君の指が、濡れた私のそこを広げて、触っていきます。敏感な突起も指先で擦るように触って、身体が  
ビクッと震え、それと同時に胸も手指で回すように愛撫しながら、先端の部分も摘んだり、口付けしたりして、  
身体が反応してしまいます。  
「んんっ、ハヤテ君っ・・・はぁっ、はぁっ・・・」  
ハヤテ君の愛撫に、どんどん気持ちが高ぶって、息が乱れて、身体が熱くなります。  
それにしたがって、ハヤテ君の愛撫がだんだん強くなっていきます。  
「やっ、やっ、ハヤテ君っ、あっ、はぁっ、はぁっ」  
もう大事な部分から水音がしてしまうくらいに指を動かして。  
「・・・ハヤテ君っ、ハヤテ君っ・・・!」  
もう、気持ちと身体の高ぶりにまかせて、必死にハヤテ君の名前を繰り返す私。  
ハヤテ君の、指を、唇を、そして全身を、頭で、身体で感じて。  
そして、もう何も考えられなくなるのを感じます。  
も、もうなんだか、ここまでみたいですっ!  
夢の中でハヤテ君が最後にしようとしてくれたことを思い浮かべながら――  
やっ、んっ!!  
身体がビクビクッと激しく震えて頭が真っ白になって・・・  
――――――っ!!  
 
 
「マリアさん、おはようございます」  
いつものように早起きのハヤテ君が、爽やかな笑顔であいさつをしてくれます。  
「ハ、ハヤテ君っ、おはようございますっ・・・」  
・・・あれから、すこし落ち着くのを待って、シャワーを浴び、着替えをしました。  
身体の疼きのようなものが治まって、ようやく冷静になってきたので、あれは夢の中のことで、本物のハヤテ君  
とは関係ない、って自分に何度も言い聞かせて納得させました。  
でも、やっぱりさっきハヤテ君の名前をたくさん呼んでしまったことが恥ずかしくって、思わずハヤテ君から  
目をそらしてしまいました。  
「あれ? マリアさん、なんだか顔が赤いですよ? 熱でもあるんじゃないですか?」  
そう言いながら、私のほうに近付いてきて顔をのぞき込もうとしてくれるハヤテ君。  
「な、何でもありませんからっ」  
慌ててハヤテ君から逃げるように、隣の部屋に駆け込む私。  
「?」  
 
・・・どちらにしても、今日はハヤテ君の顔をまともに見ることができないみたいですわ・・・。  
 
終わり  
 

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