「・・・・・・なぜハヤテ君がこのベッドの上にいるんですか?」
「さあ〜?」
「今日だけ!!今日だけだから!!な!!」
なぜかナギがハヤテ君を私達の寝室に連れ込んでいます。
今日、一日中妙にびくびくしていると思ったら、ハヤテ君と一緒じゃないと寝られない、
だなんて言っているのです。
「まぁ一緒に寝て何かあるとは思えませんけど・・・ 一応ハヤテ君も男の子ですし・・・」
「ははは・・・」
「じゃ!! じゃあ私が寝るまで!! 私が寝るまででいいから!! な!!」
この子はもう、言い出したら聞かないんですから。仕方ありませんねー。
「しょうがないですわね〜 じゃあさっさと寝てくださいね」
「うむ!! ではおやすみ!!」
ナギのむこう側にハヤテ君が寝て、電気を消しました。
「え〜と、寝ましたかナギ」
「ま・・・まだもうちょっと・・・」
「寝られましたか? お嬢さま」
「も・・・もう少し・・・」
「そういえばハヤテ君。最近のナギの様子はどうですか?」
「・・・・・・」
「そうですね〜 今日ワタル君のお店に行ったんですが・・・」
「裸の女性が大きく写っているDVDのパッケージを凝視していました」
「!!!」
「・・・・・・ へ〜・・・」
「・・・・・・」
「ああいう場合、やはり少し注意したほうがいいんでしょうか」
「そうですね〜」
「これ以上、人格形成に問題が出ても困りますしね〜」
「・・・・・・」
「最近お読みになられているまんがもちょっと過激なものが多いですからね〜」
「困ったものですわね〜」
「それでお嬢さま」
「・・・・・・」
「そろそろ寝ましたか?」
「そんな話を左右でされて・・・ 寝れるかーーーー!!」
まあ、そうこう言いながらも、隣で寝ているナギの寝息が聞こえてきたようです。
今はナギに背中を向けているので、寝ているのかどうかは見えませんけど。
ちょっと確認してみようかと思ったそのとき、背中側の布団が持ち上がって、
ナギが起き上がったような気配を感じました。
あら? 今寝始めたと思ったのに、起き上がったの・・・?
妙に思った、そのときでした。
誰かの手が、私のおしりの下のほうに触ったのです!
「きゃっ!」
な、何です? ナギなの??
「あっ、ダメですよマリアさん、静かにしないとお嬢さまが起きてしまいますよ」
えっ? その声は・・・まさか、これって、ハヤテ君!?
おしりに触った手は、そのまま私のおしりを撫でまわしています。
たまらず大きな声を上げようとしたそのとき・・・
「ふふっ、僕がこんなことをやっているなんてお嬢さまに知られたら、困りますよね」
「!!」
た、確かに、ナギが絶対の信頼を置いているハヤテ君が、こんなことをやっている
だなんて知ったら、あの子は大変なことになってしまうかもしれない。
これから先の人生ですら狂ってしまうほどに・・・。
今、私が声を上げたら、きっとナギは気が付いてしまうでしょう。
でも・・・、それを逆手にとって、こんなことするなんて・・・・・・。
「僕も『男の子』ですから、イタズラくらいやっちゃうんですよね〜」
「さあ、今度はこっちですよ」
おしりに触っていた手が、腰のほうへ上がってきます。
そして、私の腕の下に手を差し入れ、わき腹を通って、とうとう、胸を触ってきたのです!
「ちょ、ハヤテ君っ」
思わず小さな声をあげる私に、
「ふふっ、可愛いですねー。思ってたとおりです」
そう言いながら、ハヤテ君は胸の下のほうを触り続けてくるのでした。
今にも恥ずかしさと悔しさと悲しさで涙が溢れてしまいそうになります。
ナギがどれほどまでにハヤテ君のこと信頼しているか、ハヤテ君はわかっているはず!
それなのに! こんな・・・、こんな・・・っ!
でも、当のハヤテ君は、
「じゃあ・・・、こうすると、可愛い声で鳴いてくれそうかな?」
そう言って、胸のいちばん敏感な部分を包むように触ってきたのです。
その瞬間に、私のすべての感情は一瞬で怒りに変わりました!
『ハ、ハヤテ君!! いいかげんに・・・、して下さいーーーっ!!!』
私は弾かれるように起き上がって枕元の純金の目覚まし時計を掴むと、ナギの寝ているそばにいた
ハヤテ君を確認すると同時に、ハヤテ君の頭めがけて思いっきり投げつけました。
ゴスッ・・・
鈍い音とともに、ハヤテ君はナギの向こう側へ倒れていきました。
それと同時に、私の胸元からシラヌイが飛び出して寝室の隅に走っていったのです。
「えっ!?」
傍らで眠っているナギを見ると、ナギは猫耳のカチューシャと猫のひげをつけられて、
可愛らしい姿になっていました。
そして、その側にはウサギ耳のカチューシャが転がっています。
「今の、まさか・・・さっきのって、シラヌイ!?」
パジャマに残されたシラヌイの毛。ハヤテ君の言葉を思い出しながら、ナギの様子からなんとか
状況を整理しました。その結果・・・
ハヤテ君は、ナギにウサギの耳や猫耳のカチューシャを付けてイタズラしていただけと気付く私。
頭から血を流し昏倒するハヤテ君を呆然と眺めながら・・・
「え・・・、これ、どうすればいいのかしら・・・」
終わり。