「う……ん」  
 
カーテンの隙間から朝日が僅かに射し込んでくる  
目を擦りながら上半身だけ起こし  
壁にかけられた豪華な装飾を施した時計を見てみる  
 
「まだ4時…」  
 
およそ大きさは4人分ぐらいだろうか  
全ての材質が最高品質で使われているであろうかと思われるベッドに  
隣で寝ている人を起こさないようにゆっくりと仰向けに倒れる  
目の前の景色が時計から、白い模様が描かれた天井へと移った  
 
ふと、視線の片隅に白い物が見えて  
首だけ動かし目を細め、その物体を確認する  
 
「うわ……また忘れてた……」  
 
思わず口に出してしまう。  
 
ハヤテの目に飛び込んできたのは  
散乱しているおびただしい数のティッシュと  
皺だらけになった2人分のパジャマと下着であった。  
同時に微かに独特の性臭の香りが漂う  
 
「あとで窓の換気をしなきゃ……ってうわっ!?」  
 
突然、腰をグッと抱き寄せられ  
そのまま毛布の中に取り込まれる  
それと同時に首筋に柔らかい吐息が感じられた  
 
 
「おはようございます……ハヤテ君」  
 
 
耳越しから愛しい彼女の声が聞こえてくる  
身体はキッチリとホールドされ、身動きがとれなくなる。  
あの、朝の挨拶はいいから背中……胸が当たっているのですが……  
 
昨晩、マリアさんの部屋でいつものようにいちゃついて  
その後、いつものように彼女を抱いていたのだが  
ティッシュを片付けてる事は毎回忘れてしまう  
そして毎回、生まれたての姿で疲れて寝てしまう  
そう、つまり今は全裸な訳だ、毛布こそを被っているものの  
今まで風邪を引かないのが不思議なくらいだった  
いつもマリアさんを抱きしめて寝ているお陰かな…とボンヤリと僕は思った。  
 
それにしても、マリアさんと付き合うようになってから全てが変わった  
朝はおはようのキスから始まり、その後、朝食を一緒に作って  
お嬢さまのお部屋に朝食を運ぶ、お嬢さまが食べ終えた後は2人っきりでの朝食  
昼は学校があるから一緒に過ごすことはできないが  
夜は一緒にお風呂に入って、背中を流しあいこをする  
就寝時にはしばらく抱き合ったり、キスをしたりと  
僕のこれまでの人生において、最高に幸せで満足な日々を送っていた  
流石に何日も続くと死亡フラグでも立つかと思ったが、未だにそんな気配はない  
ちなみに付き合うようになってから新たなことを1つ発見したのだが  
マリアさんの性格が豹変した…というよりも僕にベタベタと甘えるようになった……  
まぁ、それはそれでいいのだけど……  
 
マリアさんの方に身体を向けて  
今度は自分から彼女を抱きしめる  
 
「おはようございます、マリアさん」  
 
ピンク色の形の良い唇にそっと  
自分の唇を合わせた。  
 
 
――――これからも、そんな日々が続くようにと。  
 
 

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