タイトル:今日もまた近所の本屋で7巻とジョジョ38巻の表紙を並べて回る仕事が始まるお……  
 
 白皇学院の一角にある体育倉庫の中にぴちゃぴちゃと何かを舐めるような音が響いていた  
 音は、畳まれたバレーボールネットやバスケットボール満載のカゴ、平均台や跳び箱や獣の  
槍で壁に縫い付けられたとらとかの、ごくありきたりの貯蔵物を抜けた更に奥から響いていた。  
 体育倉庫の奥といえば基本的には丸めたマットが林立しているだけで、あとは突き当りの壁  
沿いに設けられたX字型の灰色の支柱と、その左手の壁高くにある細長い明かりとりの窓だ  
けが辛うじてそこまでの景観との差別化を図っている程度の殺風景な場所だ。  
 ちなみにマットのような重い物をわざわざ奥に入れるのは出し入れの際非常に不便なため  
生徒からは常々不興を買っている。だからか、体育倉庫の奥はあたかも不便の意趣返しのよ  
うにあまり掃除されておらず、すえた匂いの埃がつもり、じめじめした雰囲気を醸し出している。  
 そんな体育倉庫の奥ではあるが、しかし今日ばかりは平素と異なる甘さに満ちていた。  
 丸まったマットのほとんどは壁に押しやられて、一枚だけ床へ窮屈そうに広げられていた。  
 すっかり灰色に色褪せたそれの上では、ハヤテが泉に69の体勢でのしかかっている。  
 ぴちゃぴちゃという水音は目を閉じたハヤテの口元で優しげに動く舌から響いているのだ。  
 ハヤテはいつものように執事服、泉は制服姿だ。  
 然るにスカートは腰のまわりに押し上げられ、スパッツを露出させている。  
 そのスパッツ越しにハヤテが足の付け根を舐めるたび、泉は笑顔をこそばゆそうに歪めてもが  
くのだ。  
「うぅ、じれったいよぉ……ハヤ太君」  
 黒いスパッツはすでに泉の愛液とハヤテの唾液で秘所の周りがじんわりと濡れており、いま  
にも恥丘が透けて見えそうである。  
「だ、だめだよ! ふぁ……っ!」  
 泉が舌ッ足らずな甘い声をあげたのは、そこへハヤテの唇がちゅーっと吸いついたからだ。  
「だめ、だめ……」  
 言葉とは裏腹に泉の体からは力が抜け、されるがままになっている。  
 ハヤテはひどく手慣れた様子で吸い、舐め、或いは甘く噛み、スパッツ越しの愛撫を継続する。  
「もぉ、だめだよ……このままじゃ……うぅ…………あ、そうだ」  
 潤んだ瞳で泉は力なくハヤテの股間へ手を伸ばした。そこはなよなよした体つきに見合わぬ  
ほど膨らんでおり、泉は羞恥に耳まで染めつつさすってみた。  
「ちょ、そこまでして頂かなくても」  
 思わずハヤテは愛撫を中断して泉を振り返った。幼い顔は不意の反撃に焦っているようだっ  
た。  
「ふふふ。いいんちょさんをいじめる罰だよーん」  
 屈託なく泉は笑うとハヤテのペニスを取り出して、ほうほうと目を丸くして興味深そうに眺めた。  
「へぇー。ハヤ太君のこうなってるんだ」  
 顔に似合わず太く逞しいがまだまだ少年らしいサーモンピンクの肉棒だ。泉はそれが鼻先で  
ピクピクするのを見て「にははー」と嬉しそうに笑った。  
「あ、あまり観察しないで下さい……」  
 ハヤテの抗議を泉は無視して、すべすべした手でペニスを擦り始めた。  
「ちょ、やめ……! もう、泉さんがそうするなら僕だって」  
 声を跳ね上げた少年は少し怒ったようにいっそう愛撫を強くした。  
 
 瀬川邸の一件以来、ハヤテと泉の距離は急速に縮まった。そして遂にこうなった。  
 サンデー19号166ページでヒゲをなくしていたヒゲがこの光景を見れば  
「うめえ! やっぱりプリンは最高だぜ!」  
 と悩乱の挙げ句に憤死するだろう。  
 だがそれがいい。  
 だからハヤテに視点を移すべきなのである。  
 
 ハヤテにとっての泉がただの顔見知りでなくなったのは、たぶん瀬川邸でそっと抱かれた瞬  
間だろう。幼さゆえにわからなかった過ちの重さを突如と知り、混乱と悔恨に涙を流すハヤテ  
を泉は追及もせず責めもせず、普段のようにうろたえる事も決してなく、正面から支えるように  
抱いてくれたのだ。  
 嬉しかった。ピアノをまた弾いてねといわれたジョージより嬉しかった。  
 ハヤテは困難のせいで年齢相応の感情を幾つかどこかに置き忘れた感がある。いや、置き  
忘れなければ次々と嵐のように襲いくる困難に太刀打ちができない環境にいた。本来その辛  
さを聞きいれ励ましや慰めを与えるべき両親ですら困難の一要素でしかなく、同年代で対等  
な交流や相談の出来る相手もほぼ皆無だったのだ。  
 
 だからこそ突然よみがえった感情に正面からそっと向き合ってくれた泉への感情は大切にし  
たいし、弱い部分も含めたありのままの自分を見せていきたい。ずっと慰められたいというワ  
ケではなく、ひた隠しにしていた弱い部分を白日にさらす事で乗り越えたいのだ。そう思い、好  
意を抱き、触れ合いたいと欲するのは一人の少年としては本当にありふれた感情なのである。  
むしろそれを許さなかった環境と、環境への超人的な迎合こそ異質といえるだろう。  
 
 上記のような明確な形は取っていなかったが、ハヤテがたまたまそこにあった三段積みの跳  
び箱に腰掛けながらぼんやりと思った事柄は要約すればそうである。  
 しかし泉はそういう一種の深刻さも知らず、膝立ちでハヤテの足の間にすり寄ってくると、い  
つものような笑顔で彼を見上げた。常に大輪のひまわりのように暖かさを含んだ笑顔だ。純粋  
で爛漫で、ただ眺めているだけで心の冷えた部分がゆるゆると氷解していくように思えた。  
「っていうか、なんでもう脱いでるんです?」  
 見れば泉は制服を脱ぎすて黒い半袖の上着と黒いスパッツだけになっている。制服の一枚  
下に着る物だからお世辞にもお洒落とは言い難いが、柔らかそうでこざっぱりとした質感は不  
思議と泉には似合っていて、快活で健康的な印象を振り撒いている。  
「ねー、ハヤ太君。パイズリって知ってる?」  
「い、いやまぁ、その……」  
 だしぬけな質問に、ハヤテは頬を赤らめて目を背けた。  
 優男であるが健全な男子でもあるから知らぬワケはない。  
「知らない? あのね、おっぱいをこう」  
「し! 知ってます! 知ってますからあまり女のコがそういうコト、いわないで下さい!」  
 まるで少女のように恥じらうハヤテに、泉の丸っこい顔がぱぁっと微笑に輝いた。  
「にはは。実はいいんちょさんも興味津津なのだー」  
 いうが早いか泉は上着をたくしあげ、ニコニコと裾を咥えた。  
「ふぇほ、ひへへいるほほほひはいへへ? ひははひははほ?」  
 上目遣いでネコ口をもがもがさせる泉にハヤテは困惑した。  
「すみません。何いっているか分かりません」  
「だーかーら! 私がパイズリしてる時、おっぱい見ちゃ嫌だよって……ああ! もぉ、ハヤ太  
君が話しかけるから上着落ちちゃったよぉー!」  
 憤懣やるせないという風に泉はまた上着をたくし上げ、再び裾を咥えた。  
(咥える前に断ればよかっただけじゃ…………?)  
 悩むハヤテのペニスが俄かにふわりとした感触に包まれた。  
 まったくいつの間にブラを外したのかと思うほどの早業だ。  
 上着がテントのようになってよくは見えないが、たぷたぷとした心地いい膨らみがペニスを圧  
迫するのが分かった。かつて抱きしめられた時やっと気づいたが、泉は制服越しからは想像も  
できないほど豊かな胸を持っている。瀬川邸訪問以前にもある程度の親交がありながらそうと  
気づけなかったのは、泉の幼い顔立ちと言動ゆえの錯誤だろうか。ともかく、見過ごしていた  
豊かな胸は、ハヤテの分身を左右から優しく圧迫したまま上下に揺れている。  
 だがその様は直接は見れない。泉が上着の裾を咥えたまま身を乗り出しているため、愛情い  
っぱいの愛撫は天幕の中の出来事でしかないのだ。  
 ハヤテは肉棒を通り過ぎる柔らかな感触に息を軽く荒げながら、眼下の泉を見た。  
 彼女は笑顔を照れくさそうに赤く染め、両側でくくった髪の毛がぴょこぴょこ跳ねるほど一生  
懸命動いている。  
 生唾を飲むと同時に、我慢しがたい愛おしさが突き抜けた。  
「あの〜、泉さん、ちょっとバンザイして下さい」  
 泉はハヤテを見上げると、不思議そうに二、三瞬きをしてバンザイをした。  
「こう?」  
 泉の口から裾が落ちた。肉を咥えた犬が川に映った自分の姿に吼えて肉を落としたという  
童話があるが、そんな感じだ。だがハヤテは安堵した。なぜならば衣服に噛みついたまま激し  
く動くと前歯が全部持ってかれるのが珍しくない(ソースは勇次郎)のだ。然るに泉は裾から  
口を離した! よってハヤテは安心して気合一閃、袖を掴むと上着を天空へ引っ張りあげた!  
「きゃあ!」  
 目を白黒さえながら泉は飛びのき、慌てて胸の前で腕を交差した。もちろんハヤテは隠され  
る寸前のピンクの蕾を視界に収めたので、熱い血が然るべきところに充満した。  
「もぉ! だめだよハヤ太君。見ないでっていったのに」  
 お馴染みの笑顔が流石に恥ずかしそうに顔を染め、あせあせと抗弁した。  
「すみません。でも、やっぱり……その……気になって」  
 
 謝りながらもハヤテの目線は細い手に覆われた胸の谷間にちらちらと向いている。  
(……ああ、こういう時はちゃんと許可をもらうべきなのに、つい。何やってるんだろう僕)  
 後悔しながらも耐えがたい興味が泉の胸に向いて仕方ない。  
 ちょっとどんよりしたハヤテを見かねたかのか、泉は両手を肩と水平に大きく突き出すポーズ  
をしながら必死にフォローした。  
「ち!! ちがうよ! 見られるのが嫌なんじゃないよ!! ほら、私ってそんなに胸ないから!  
見てもハヤ太君がっかりしそうだから隠してただけなんだよ!!」  
「見えてますよ」  
「ほえ?」  
 とくとくとした心音が伝わりそうなほど緊張したハヤテを見て、泉は首を傾げた。  
「何が?」  
「ですから、その、泉さんの胸が」  
「え゛!」  
 慌てて胸を見た泉は五千百度の炎より真赤に赤熱した。なるほど彼女は手を広げているの  
で白い胸を露にしている。釣鐘形にぷるんと突き出した乳房はいわゆる巨乳にはほど遠いが、  
決して貧乳でもなく、ありていにいえば「小ぶりだが形の良い乳房(定型句)」である。  
 ハヤテも泉と同じくだ。顔を誓いのように真赤にしながらふるふると息づく膨らみを凝視して  
いる。  
「ほらぁ! 小さいでしょ! だから見ても仕方ないって……」  
 軽く泣きべそをかき、また胸を隠そうとする泉だが、今度はその繊手がハヤテに捕らえられ、  
同時に彼の残る左手が脇へ滑り込み、小さな体がハヤテと同じ目線にまで持ち上がった。  
 俗に女性の顔はタヌキ顔とキツネ顔に分類されるというが、丸々ころころとした透き通るよう  
な瞳を持つ泉は間違いなく後者だろう。そんなコトを考えながらハヤテは、しばし無言で相手  
を見つめた。  
 泉はあっけに取られた童顔でハヤテを見返した。それきり言葉が途切れて体育倉庫に静寂  
が訪れた。  
(しまった、さっきから僕は何をやってるんだ! 後が続かないぞこれじゃ! 何かいわないと、  
何かいわないと……)  
 だが考えれば考えるほど、浮かぶ言葉の総てがひどく実効性のない物に思えてハヤテは黙  
るしかない。泉はというと、その困惑の原因が自分にあると察したらしく、次なる行動に移った。  
「まぁまぁ、どうせ私の胸だし、そんな頑張って考えなくてもだいじょーぶなのだよ」  
 言葉と同時にハヤテの頭頂部にぽふりと何かが乗った。泉の手だ。彼女は丸く開いた瞳に  
優しい光を灯らせたまま口を綻ばせ、「よしよし」と撫で始めた。  
「すみません。僕、こういう時に何をいえばいいか分からなくて」  
「ふぇ? 触るのは上手なのに?」  
「その、昔いろいろあってテクニックだけは父に仕込まれたんですが……何をいえばいいかまで  
は教えてくれなくて……分からなくて……だから、だから…………」  
 取り返しのつかない記憶がまた蘇ったのか、ハヤテの瞳にじんわりと涙が浮かんだ。  
 そんな彼をしばし「ほえ」と観察していた泉だが、やがて瞳を微笑に細めるとハヤテのおでこに  
自分のおでこをコツリとぶつけた。生ハム兄貴が「ペッシペッシペッシよォ〜」としたアレである。  
「そういう時はね」  
 穏やかな旋律が少女の唇から紡がれた。決して叱責でも怒りでもない静かな言葉が。  
「そういっちゃてもいいんじゃないかな。ほら、私だってヒナちゃんに出す報告書にどうしても何  
かけばいいかわかんない時はそう書いちゃうし」  
「でも……そういうのって怒られませんか?」  
 顔は見えないが、きっとハヤテはまなじりにうっすらと涙を浮かべて小さな女の子のような表  
情かも知れないと泉は思った。  
「あははは。その通り。でもヒナちゃんはちゃんと何書けばいいか教えてくれるし、それでいい  
んじゃないかな? うーん。なんていえばいいんだろ。何もできないよりはいいというか……」  
 目を細めたまま泉はうーんと眉根を難しそうに引き上げたが、やがて微苦笑で誤魔化した。  
「……にはは。難しい事はやっぱりわかんないや、あ、でもね、ハヤ太君!!」  
 涙目のル……ハヤテを見つめた泉は頭上でぴこーんと電球を点灯させた。  
「はい?」  
 泣き腫らした瞳がみるみると拡大するのをハヤテは禁じえなかった。何故ならば応答と同時  
に泉の唇がハヤテのそれに押し当てられていたからだ。唇同士が触れ合う程度の軽いキスだ  
が、泉の湿った桃の唇から芳しい香りが立ち上り、ハヤテの鼻孔を甘く痺れさせた。少年はそ  
の心地よさに誘われるまま泉の唇を吸い、鼻にかかった甘美の息を漏らしながらしばらくそう  
していた。いつしか頭を撫でていた手は首の後ろに回り込み、強張っていた肩周りの筋肉を  
子供を寝かしつけるようにとんとんと叩き始めた時、ハヤテは脳髄を占めていた重苦しさが徐々  
に抜けていくのを感じた。  
 何秒そうしていたかは分からないが、二人は名残惜しそうに唇を離した。  
「えへへー。分かんない時はこうしちゃえばいいのだよハヤ太君!! ほ!! ほら、私って  
変な子だし、あまり気遣ってもなんにも出てこないしさぁ……!! ねっ、ね!!」  
 照れが高じてじたばたとまくし立てる泉を見たハヤテは、何かをふっ切るように小さく頷いた。  
 それでも彼は意志を示すのに何かが足りないと思ったのか、堰を切るように慌ただしく叫んだ。  
「で!! でも、泉さんの胸は綺麗だと思います!!」  
「ほえ?」  
 何の話題か一瞬判じかねたらしく泉はキョトンとしたが、意味を理解すると口に手を当てくす  
くす笑いだした。  
「ありがとー。でも遅いよハヤ太君」  
(それもそうだ)  
 ワンテンポもツーテンポも遅れた反応を恥じたのか、ハヤテはがっくりと俯いた。  
「ふえ〜 ハヤ太君、耳たぶまで真赤だね〜」  
「い、いちいち指摘したり触ったりしないでください。あれでも僕は一応真剣で……!!」  
 耳たぶへ物珍しそうにちょいちょいとじゃれてくる泉にハヤテは困ったように抗弁した。  
「あははは。ゴメンゴメン。じゃあお詫びに……」  
 泉は恥ずかしげにおどおどとハヤテの手を掴むと、そのまま自身の胸へと導いた。  
「〜〜っ!!」  
 柔らかな果実の感触に少年の頸すじは瞬時にして爆熱した。もはや口の中は緊張と動揺で  
からからに乾いており、爆熱番長は改心さえすれば心強い味方になりうるように思えた。  
 ハヤテの掌にはふにふにとした弾力がすっぽりと収まり、中心では硬くみずみずしいしこりが  
小さいながらに存在を告げている。  
 泉は微笑を湛えたまま、しかし頬にありったけの紅い斜線を走らせたままハヤテの掌を感じ  
ているようだ。  
「あまり大きくないけど……それでよかったらハヤ太君の好きなようにして……いいよ」  
 濡れた瞳で恥ずかしそうに呟く泉にハヤテの中で何かが切れた。  
「は、はい! でも痛かったらいってくださいね!」  
 掠れた声でしどろもどろに叫ぶやいなや、彼は掌全体を使って小ぶりだが形の良い乳房(定  
型句)を丸ごとゆっくり時計回りにこね回し始めた。  
「んん……」  
 泉の剥き出しになった細い肩がぴくりと跳ね、彼女は笑顔をくすぐったそうに歪めた。熱く湿っ  
た呼気が口から漏れ、ハヤテの鼻先にかかった。彼の昂揚はそれで一段と高まり、さくら色に  
染まりつつある乳房をふにふにと揉み始めた。そこは比較的小ぶりだが弾力に富んでいて、  
沈み込んだ指へ心地いい反発をもたらしてくる。ハヤテは初めて触る泉の胸の感触に魅了さ  
れ、一段と愛撫に力を入れた。  
「んきゅ……ハ、ハヤ太君…………ちょっと強っ……んむ」  
 抗弁しかけた泉の唇はしかしハヤテのそれに封印され、ぴちゃぴちゃと唾液を交接するだけ  
の器官と成り果てた。いつしか泉はハヤテの太ももの上に腰掛け、胸を揉みしだかれる心地  
よさにうっとりと身を任せている。  
 両者は鼻にかかった甘い息を漏らしながらなおも唇を吸いあい、脳髄を蕩かし合った。  
 そんな中でハヤテのサービス精神と男性的希求は次なる段階を模索し始め、彼はそーっと  
手つきを変えると泉のコリコリとした乳首をつまんだ。  
「ニャ!! ニャアア────────!?」  
 だが泉は反射的に唇を放しがてら素っ頓狂な声を上げ、うっすら涙を溜めた真赤な顔をぜぇ  
ぜぇと喘がせた。体からは力が抜け、あやうくハヤテの上からずり落ちかけた。しかしそこは機  
転の効くハヤテだから咄嗟に左腕を泉の背中に回し、なんとか支えるコトに成功した。  
「い、痛かったですか!? だったらすいません!」  
 ハヤテはおろおろとした様子で泉を見た。すると彼女は戸惑いを孕みながらも首を横に振り  
「ち! 違うよ!! その、その……突然触られちゃったからビックリしただけ……だけだよ」  
 きょどきょどと怯えたように弁明した。そういって震える泉にハヤテは軽く唾を嚥下すると思わ  
ぬ質問をしてしまった。  
「気持ち……良かったですか?」  
「…………うん」  
 
 目を逸らして心から恥ずかしそうに頷く泉にハヤテは嗜虐芯をかきたてられる。  
「泉さんも耳たぶまで真赤ですね」  
 ハヤテの手が、泉のおでこの端で綺麗に切り揃えられた前髪を掬いあげ、長いもみあげの  
横を通り過ぎ、かつかつと熱ぼったい耳たぶに触れた。  
「ふぇ……」  
 胸とは違う愛撫に泉はこそばゆそうに眉をしかめた。たまらずハヤテは顔を耳たぶに近づけ  
ると、髪をそっと拾い上げ耳たぶへとキスをした。するとさらさらとした紫の髪からいい匂いが  
立ち上がり、ハヤテはますます泉に触れたくなってくる。  
「もぉ〜 変なトコに目をつけるんだからぁ」  
 笑顔がもどかしげに悶えるが、そう満更でもなさそうだ。ハヤテは瞑目すると濡れた髪に鼻  
を当て、くんくんと匂いを嗅いだ。  
「変じゃありませんよ。髪も耳もすごく綺麗だし、匂いだって良いんですから」  
 一度胸を褒めて、率直な感想を述べられるようになったのか、ハヤテは嫌味のない美辞麗句  
を泉に囁いた。  
「うーん。褒めてくれるのは嬉しいけど、耳ばっかじゃやだよぉ」  
「はいはい」  
 ハヤテは再び乳房に右手を伸ばし、鮮やかな色の乳輪に指を這わせた。それだけの刺激  
に泉は可憐な声を立てて華奢な体をぴくぴくと震わせた。ハヤテは二、三度乳輪を撫でまわ  
すと親指と人差し指で可愛い乳首をくりくりと擦りあげる。  
「にゃ、にゃあー……」  
 すると泉は何とも間の抜けた声で鳴く。何とも子供っぽい喘ぎだが、だからこそ泉に似合っ  
ていてハヤテはますます自らの手で快楽をもたらしたくなる。  
「声も可愛いですね泉さん」  
 肉づき薄い桃色の唇をついばむように一吸いすると、そのままハヤテは左腕に抱えた泉を  
するすると後ろへ傾けた。自然、そういう傾斜を得ると彼女の白い裸身はより広くハヤテの視  
線に収まるコトとなる。(垂直に並んでると意外に見えない部分が多い  
 いつかの人気投票結果発表で見たような見なかったようなウェストのくびれやおへその陰  
影を熱っぽく眺め終えたハヤテは、そっと泉の右の乳首にキスをした。  
「ふぁぁあ」  
 一際甘い声を上げながら泉は上体を仰け反らせ、小ぶりな乳房をぷるぷると揺らした。  
 ハヤテは更に右手で左の乳房を掬いあげるように揉み込みつつ、キスした乳首に再度口を  
当て、音を立てて吸い始めた。  
「だめ、だめだよぉ……両方いっぺんとか……はぅっ! はぅう…………」  
 硬く尖り始めた乳首をハヤテが口中でころころと転がすと、泉は耐え難いようにぎゅっと目  
をつぶり白い頸で綺麗なアーチを描きつつ後ろへ頭を垂らした。  
 やがてハヤテが尖りきった左右の芽へまったく同時に甘噛みとつねりを咥えると、泉は瞳孔を  
思いっきり見開き全身を痙攣させた。  
「ふみゃ!! ふにゃあああああああ!!」  
 痙攣につれて、紅いとんぼ玉付きのヘアゴムで括られたおさげもしばらく激しくピョロピョロと  
跳ねまわった。そしてそれが終息すると泉は大きな息を吐き、ぐったりとハヤテの体によりか  
かった。  
「うぅ、なんかビリビリしたよぉ〜 ビリビリしたよぉ〜」  
 荒く息をつきながら糸目から滝のような涙を流す彼女は、どうやら「イく」という感覚が未知の  
物すぎて、怯えがあるようだ。  
 しかしいかにもその訴え方が泉そのもので、ハヤテは優しく笑みを湛えたまま彼女の髪を撫  
でてあげた。泉もそれを受け入れて、ネコがごろごろと喉を鳴らすような表情でハヤテにしばら  
く寄りかかっていた。  
 
「私ばかり気持ちいいのはズルいし、せめてさっきの続きぐらいはするからねハヤ太君」  
「は、はい」  
「ちなみに知識は一応あるから安心するのだ。動画研究部は本当にいろいろな物を……」  
 言葉半ばで泉は硬直し、頭からちょっと湯気を吹いた。ネット上に流れるあらわもない映像  
を思い出しているのかも知れない。  
「と!! とにかく、いろいろな物を見ているからだいじょーぶだよ! たぶんっ!!」  
「はぁ……」  
 ハヤテは足の間に座り込んだ泉をどぎまぎと眺めた。  
 時に視線は見ていなくてもそれに籠った感情が分かるものだ。科学では解明されていないが  
機微としては確かに存在している。  
 すっかり先端から先走りの液を迸らせるペニスを見下ろす泉がどんな目をしているかハヤテ  
は見えないが、雰囲気から慈愛に満ちた眼差しを感じるコトができた。  
 
 同時に泉はうんしょと身を擦りよせると、先ほど同様、パイズリを開始した。  
 今度は上着がないからハヤテはそんなに多くない乳肉が泉の両手で圧縮されて、どうにか  
こうにかハヤテの分身を包みこんでいるの視認できた。  
(一生懸命……なんですね)  
 しきりに胸の大きさを気にしながら、泉はハヤテの喜びそうな行為を選択し持ちうる全てを健  
気に活用しようとしているのだ。  
 ハヤテは胸がきゅうと締め付けられる思いをしながら、とりあえず泉の頭を撫でた。  
 彼女はそれが本当に嬉しかったらしく、挟み込んだペニスをぎこちなくも上下にしゅっしゅっと  
勢いよく動かし始めた。  
 吸いつくような滑らかな肌は擦れるだけで肉棒に暖かい刺激を走らせて、ハヤテを震わせた。  
「…………っ!」  
 男らしくもなくびくりと快美に顔をしかめたのは、泉が乳房からはみ出たペニスにかぶりつい  
たからだ。  
「ちょ、いきなり、そんな……」  
「ふぇ?」  
 泉は亀頭を口に含んだまま無邪気な丸い瞳でハヤテを見上げた。どうやら彼女には一般的  
な痴態を痴態として認識する性質がないようだとハヤテは思った。  
 然るにそういう無自覚の痴態は、却ってそれを制止もせずただ浸っている自分へ倒錯をもた  
らすらしく、ハヤテは背中にぞわぞわとした快楽の波が突き抜けるのを感じてしまう。  
 泉は応答すべく、せっかく咥えたカリ首から銀糸をぬちゃりと垂らしつつ口を離して質問した。  
「どーしたのハヤ太君? 痛かった?」  
「い、いや、そうじゃなくてですね、その、あの」  
 理論立てて説明するには複雑で難しい話題だし、それに何よりハヤテ自身が泉にそういう  
行為を求めているからどうも制止はやり辛い。  
「……何でもないです」  
 ハヤテは負けた。あらゆる事柄に負けたのだ。説明の困難さや泉の純朴なる魔性や快美に  
負けたのだ。  
(し、しかし、某ヤシガニアニメのOPの二番でもあるじゃないですか。潔く負けを認めるのは明  
日を勝ち取るため……って、誰も分かりませんけどねこんなネタ!!)  
 暗澹たる思いのハヤテを泉は良い意味で一笑に付した。  
「あはは。おかしなハヤ太君」  
 そういうとまた胸の柔肉でよいしょよいしょと肉棒をしごきあげ、尖端へ愛おしそうにあむあむ  
と口唇愛撫を加えるのだ。  
 しかも口元からツツーっと垂れた唾液が偶然胸の谷間に溜まり込み、滑りを良くしたのを発  
見すると、泉はぱぁっと瞳を輝かせて、フェラチオがてらにむぐむぐだらりと唾液を垂らしていく。  
 亀頭を垂れ落ちた滴がペニスと泉の胸をべとべとに濡らし、ハヤテの背中の粟立ちを一層  
強くする。  
「く! だ、出します」  
 やがてハヤテの分身が泉の口の中で脈動し、粘り気のある白濁液を次から次へと放出した。  
「んぐ……んぐぐぐ」  
 その間泉は少し苦しそうに顔をゆがめたが、決して口は離さず放出の全てを受けきった。  
「泉さん、ちゃんと吐かないと……」  
「んーん」  
 ペニスを咥えたまま泉は器用に首を横に振って、それからごくりと喉を鳴らした。  
(の、飲んだんですか……? こんな僕なんかのを)  
 嬉しいやら恥ずかしいやらだ。ハヤテはまた耳たぶまで真赤に染めた。  
 しかし泉はそれだけで終わらない。両手をぱっと乳房から放してパイズリの姿勢を解くと、い  
まだ熱く震える肉棒を根本まで咥え込み、口をすぼめて尿道に残った精液をちゅるちゅると吸  
い始めたのである。  
 この不意打ちともいえる行為にハヤテは声を漏らす暇もなく、二度目の射精を迎えた。  
 もちろん泉はそれも受け止め、少し口の端から白い液を垂らしながらも飲み干した。  
 ハヤテはその間、苦悶に近い快美の顔で天井を見上げ、か細く喘いでいた。  
 
 数分後、泉とハヤテはマットの上に移動していた。  
「……やっぱにがいね。えへへ」  
 ちょこりんと座ったまま悪戯っぽく舌を出す泉だが、ハヤテは無反応だ。  
「あ、ハヤ太君もしかして疲れた? じゃあ今日はココまでにする?」  
 ハヤテはしばらく黙っていたが、表情を見せない表情で幽鬼のようにボソリと呟いた。  
「ハサミ、ありますか?」  
「ううん」  
 
 するとハヤテは泉の肩に手を当てて、ゆっくりとマットに横たえた。  
「?」  
「動かないで下さいね。絶対に動かないでください」  
「ほえ? うん、動かないけど、なんで?」  
 よく分からない、そんな表情をする泉の下腹部に、何やら裂帛の剣気が炸裂したではないか。  
 すわ何事かと泉が首を持ち上げると、ちょうどスパッツの間に十字の切れ目が走り、生地が  
はらりとめくれているところだった。こんこんと蜜に濡れそぼる秘裂が露になり、淡い茂みも  
切れ目の上部で見え隠れしている。  
「えええええええええ!?」  
 一方ハヤテは泉の足の間に手刀を振り下していた。  
「僕の右手は……エクスカリパーです」  
「ニ、ニセモノだけど切れ味はあるってコトだね!!」  
 ノリよく解説などする泉に首肯すると、ハヤテは身を進めた。  
「んにゅ?」  
 下腹部にぬらりとした感触が走り、泉がそこを見ると……ハヤテのスラックスから飛び出し  
た肉棒が、スパッツの切れ目へ押しつけられていた。  
「もう、いい……ですか?」  
 頬に汗を垂らしながら、ハヤテは伏せ目がちに質問した。  
 年にも顔にも不相応な太いカリ首があてがわれた泉のそこは、先ほどの愛撫ですっかり濡  
れており、いつでも受け入れられる態勢ができている。ちゅくりと触れあった粘膜たちは、一層  
柔らかくふやけそうなほどに先走りの液や愛液をこんこんと湧き立たせ、いよいよハヤテの息  
を昂揚に荒げさせた。  
「うん」  
 泉は微笑した。しかしふっくらした頬は強張りを隠しきれず、声も幾分震えている。  
 それでも熱くたぎる肉の棒へそっと持つと、にちゃにちゃと音を立てて上下に擦り始めた。言  
葉よりも行動で意志の大半を伝えたかったのだろう。それほど次の言葉は短くて簡素だった。  
「ハ……ハヤ太君ならいいよ」  
 泉の感じている怯えや恐れはハヤテにもちゃんと伝播している。やめた方がいいとも考えた。  
だが声を震わせながらもなお笑みを浮かべられる泉がどうしてもどうしても愛おしくて、ハヤテ  
は熱くふやけた亀頭をそっと泉の膣口へと埋没させた。  
「んん……っ」  
 華奢な少女の体がぴくりと跳ね、乳房を揺らした。  
 笑顔は流石に苦しげにゆがんだが、ハヤテはその表情に誘われる様にゆっくりと腰を前進  
させ始めた。花弁を窮屈そうに広げた秘裂へ繊細な少年の物とはとても信じられない剛直が  
ずぶずぶと肉襞をかき分けるように沈んでいく。  
 やがてひときわ狭い感触……純潔の証に突き当たったハヤテは今一度泉を見た。  
 彼女は顔も瞳も真赤にして半泣き状態ではぁはぁと息をついていたが、視線の意味を感じる  
と精一杯の微笑を浮かべて頷いた。  
 迷いはそれで消えた。ハヤテはただ愛しさの赴くまま腰を突き入れ、ぴっちりと閉じた処女の  
肉をこじ開けた。  
「ん……ぐっ」  
 破瓜の痛みに泉は歯を食いしばり、白い喉元があらわになるほど顔を仰け反らせた。普段  
笑顔が絶えない彼女にそういう挙措をさせてしまったのが申し訳ない反面、自らの手で導き  
出した苦悶の表情に少しだけ男性的な征服欲を覚えたハヤテは、泉の唇目がけて身をかが  
ませ、唇を務めて優しく重ねた。  
 泉はそれを受け入れたままハヤテの首に両手を回してしがみつき、秘所にずぶずぶと沈ん  
でいく灼熱の違和感にふいごのような鼻息を漏らしながら必死に耐えた。  
 やがて半透明の愛液と幾筋もの赤い滴を垂らしたペニスが根本まで収まりきると、濡れそぼ  
った陰毛が触れ合うほどにハヤテと泉は密着し、彼らは余韻に浸るように静かに静かに唇を  
重ね続けた。  
 
 どちらからともなく、大きな息が漏れ、唇が離れた。両者の唇からとろりとした銀のアーチが  
引くのを見たハヤテは、それが都市伝説上の物でなかったコトに軽い感動を覚えた。  
「ふぁ」  
 なのに泉はあくびをするような間の抜けた声を漏らして、ハヤテの微笑を誘った。  
「もぉ、笑っちゃだめだよハヤ太君!! け!! けっこう辛かったんだから!!」  
 目を見開いてきゃんきゃんと抗弁する泉に、ハヤテは申し訳なさそうに微苦笑した。  
「すいません。でもなんだか泉さん、いつも通りなので、つい安心しちゃって」  
「も──!!」  
 つられて泉も汗をかきつつ微苦笑した。  
 
「で、でも」  
 半ばハヤテに組み伏せられるような姿勢で、泉は顔を起こし、結合部を見た。そして、「ベ、ベ  
タな感想でごめんね」と困ったように笑顔をしかめて断りを入れると、満足そうに呟いた。  
「えへへ。ハヤ太君と私、一つになっちゃったね」  
 泉はあらゆる苦しみを忘れたかのように透き通るような笑みを浮かべた。  
「は、はい!」  
 ハヤテは動揺した。またも何をいっていいか分からなくなったのだ。何というか彼の語彙では  
何をいおうと泉の笑顔に及ぶほどのセリフが紡げず、ただただ陳腐になってしまいそうな気が  
したのだ。しかしそれで黙ってても仕方ないと首をあわてて横に振ると、泉へのあらゆる感情を  
込めて、呟いた。  
「つ!! 月並みですけど、僕も嬉しいですよ! ほ……本当です!!」  
 しかしやはり言葉が伝えられる感情は限られているような気がしてたまらなくなり、ハヤテは  
顔を真赤にしながらまた泉の唇にキスをした。  
 それは余裕も打算もないまま大急ぎで浴びせたキスだから歯が軽くぶつかり、両者は走った  
痛みに「しまった」という顔をした。  
 顔を離したハヤテはもうこの世の終わりが来たような表情で、「ムード壊して……すいません」  
と謝った。  
「だだだだいじょーぶ!! ハヤ太君の気持ちはしっかりと受け止めたから、心配しなくていい  
のだよ!! 本当、本当だから……」  
 あたふたと泉はおかしな口調で慰めていたが、徐々に語尾がしゃくりあげるような調子になっ  
ていく。ハヤテはそんな彼女の顔を見ると、心臓が跳ねあがる思いをした。  
「あ、あれ? あれ……?」  
 か細く震える彼女の瞳からは真珠のような涙がポロポロとこぼれ、瞳をトレードマークの微笑  
に細めても途切れるコトなく頬を濡らしている。  
「ち!! ちがうよ、嫌だとかそういうのじゃなくて、ハヤ太君の気持ちを考えたら、考えたら……」  
 笑顔をくしゃくしゃにしながらしゃくりあげ始めた泉は、ハヤテの手が伸びてくるとびくりと震えた。  
 しかしその手は紫のサラサラとした髪をゆっくりと撫で始めたので、彼女は強張りを解いてハ  
ヤテをぱしぱしと見つめた。  
「ふぇ……?」  
 すぐ前にいるハヤテの瞳も潤んでいた。泉の頬にぽたぽたと垂れた滴は、決して自分の物だ  
けじゃないと彼女は知った。  
「……ありがとうございます」  
 言葉はそれだけで十分だったらしい。  
 泉は「んく」と涙を呑むと静かな静かな神への愛撫を甘受して、しばらく心地よさそうに眼を  
細めた。  
 
「……動いて、いいよ」  
 目を見開いて可憐な表情でどぎまぎと告げると、ハヤテは身を起して、泉の細い足をM字に  
開いた。  
「分かりました。でも、痛かったらいってくださいね」  
「うーん。どうだろ。ほら、私ってやっぱりいじめられるのがスキだし……」  
 言葉半ばで泉はハッと顔を赤らめて、「今の聞かなかったコトにして!」と懇願した。  
 一方ハヤテはちょっと困ったような表情をしたが、動かねばどうにもならないので、スパッツ  
越しに太ももを掴むとまず息を吐き、それから緩やかに腰を動かし始めた。  
「ふぁう……」  
 揺すられながら泉はじんじんと痺れる自身のそこへ感覚を集中してみたが、どうもよく分か  
らないので代わりに童女のような表情でぼーっとハヤテを観察するコトにした。彼は息せきな  
がら泉を攻め、時々快美に色っぽく喘いでいる。  
 が、泉の視線に気づくと唇を尖らせた。  
「だぁもう、僕の顔なんか見ないでください! 照れるじゃないですか」  
「にははー」  
 ハヤテの抗議と腰の動きを泉は笑顔でいなした。するとハヤテは男性としてのプライドを少し  
傷つけられたらしく、綺麗な両足を投げ出すように広げて、泉の柳腰を少し浮かした。というより  
泉に向かってぐにゃりと曲げた。すると柔らかいお腹に真一文字のしわがつき、泉は自身の足  
の付け根で巻き起こる光景を直視させられる羽目になった。そこでは血と粘液にぬらぬらと光  
る肉棒が生々しく花弁をめくったり押し入れたりしながら、生々しく活動している……  
 思わず泉は両手で口を押さえながら真赤な顔を背けた。  
(な……なんかスゴいコトになってるよぉ)  
 まるで大地に打ち込む杭である。ハヤテは下向きにリズミカルな抽送を行い、瑞々しくも硬い  
秘肉を徐々に徐々にほぐしていく。  
 
「にゃうぅ」  
 泉は気持ちよさそうに喘いだ。未発達な性感では掴みどころのない感覚だが、たとえば筋肉  
痛のある部分を揉まれているようで、痛気持ちいい。  
 ハヤテはその反応に気をよくしたのか、より奥へ奥へと力強く突いてくる。結合部からはとめ  
どもなく愛液が溢れ、ほどよく肉づいた泉のお腹へと流れていく。  
「うにゅう。よ、よく分からないけど、もっと……」  
 泉が甘い声を立てておねだりすると、腰がマットにすとんと落とされ、横向きに寝かしつけら  
れた。そしてハヤテは丸太でも運ぶような格好で泉の右膝を肩に抱えると、抽送を再開した。  
「や……さっきより……ちょっと浅いけど……浅いけど…………」  
 少し激しくなった刺激にがくがくと顎を揺らしながら、泉はにちゃにちゃと秘裂を出入りする  
ペニスの太さを味わい始めた。  
「中に擦れて……気持ちいいよぉ……ふぁっ!」  
 結合したままハヤテは泉を仰向けにして、くの字に折り曲げると深く深く息を吸い、ラストス  
パートとばかりに腰を打ちつけ始めた。泉の下半身を覆うスパッツに執事服が衝突し、皮膚同  
士とはまた違った淫猥な枯れ音をあげた。  
「ふぁっ! ふぁぁ!! ああう……っ」  
 瞳をとろとろにしながら泉は最奥をがつがつと突く少年の若さに悩乱し、全身をさくら色に染  
めながらびくびくと震えた。するとそれまであまり動いていなかった柔肉がきゅうきゅうと蠕動  
(ぜんどう)を始めてハヤテのペニスを締め上げた。彼はその感触に危うく放出しそうになりな  
がらも歯噛みして耐え抜き、限界以上に突きだした。それでも泉に対する衝動を散らせなかっ  
たのか彼は素早くスパッツの切れ目に手を伸ばし、そこでぷくりと充血している肉の目を思う様  
擦りあげた。  
「ふみゃあああああああああ!!」  
 突然のコトに泉は電撃を流されたように華奢な肢体を弓反りに跳ねあげ、瞳孔をあらん限り  
に見開いた。それきりぽとりと地面に落ちた彼女はぜぇぜぇと息を吐きながら、  
「うぅ、やっぱビリビリしたよぉ〜 ビリビリしたよぉ〜」  
 と恐怖への涙を流した。  
 
 しかししばらくすると泉はちょっと困った。  
 ハヤテが彼女を慮って、肉棒をにゅらりと引き抜き、行為の終わりを告げたからだ。  
「だ!! 大丈夫だよ!! なんか今までいろいろ迷惑かけちゃったし、ハヤ太君の好きなよ  
うにしていいんだよ!!」  
「しかし……」  
 どうもハヤテは煮え切られない。  
(うぅ!! 鈍いんだからハヤ太君は!! 本当は私、もっと色々してほしいのよー!! でも、  
そんなのいっちゃったら何か引かれそうだし、嫌われるのは嫌だし……)  
 またも笑顔を困ったように歪めながら、泉は必死にいろいろ考えた。  
 すると彼女の思考力は一つの着想を得て、おっきな豆電球をぴこぴこと頭上で明滅させた。  
 泉には一つの切り札があるのだ。それを発動させるコトを迷いなく決定。  
「ハヤ太君!!」  
「な! なんですか!!」  
「ヒナ祭り祭りのコト覚えてる?」  
「ま、まぁいろいろありましたから覚えてますけど」  
 泉はぱぁっと笑顔を浮かべると、頭の横、おさげのやや上にありえからぬ物体を現出させた。  
 擬音でいうならピョコである。三角形をしたそれはふさふさとした紫の毛でおおわれており、  
頂点にはギザギザとしたチャーミングな毛のほつれが散見できた。  
「ほ、ほら、9巻129ページでちょっと生やしてた犬耳だよハヤ太君! 頑張ればしっぽも生や  
せるんだよ! すごいでしょー!」  
 そのまま四つん這いになると犬のように指をくるくる丸めて澄んだ瞳でハヤテを見上げた。  
「いまならコレが触り放題!! さぁどうするかねハヤ太君!!」  
「え……?」  
 引くかと思われたハヤテだが、しかし俗にいう「ケモ耳」の類を生やして純然と見上げてくる  
泉に心の大事な何事かがガラガラと崩壊するのを感じた。瓦礫と化したのは理性とか倫理とか  
こういう不条理な展開を許容していいのかという筆者の葛藤とかであるように思われた。  
 むろんハヤテは理知良心を以て主人公の立場を守っている男だ。内心ではベタながらに天  
使ハヤテがすぐ悪魔ハヤテを十七の肉片に解体して瓦礫をリカバーせんと走り去った。そうだ。  
そうでなくてはならぬのだ。泉の奇行、軽挙妄動、萌えに染まるあまりのけしからん超展開を  
阻止せねばどうにもならぬ。いっそ泉が涙を呑んだあたりで幕を切る方が収まりがいいし長く  
ならんし。  
 
 だが、ハヤテは見てしまった。泉の腰部からふさふさと生えるしっぽを。大きさはハヤテの腕  
の半分以上で、半円を描きながらぴーんと反り返っている。毛は長くボサボサしている。  
 幻影か? 幻影なのか? この展開はアリなのか?  
 真偽は不明だが、それがぱたぱたと揺れ動くのを発見した瞬間!!  
 
──瓦礫が爆発し天使ハヤテを葬った。解体された悪魔ハヤテの手がリモコンを取り落とし  
親指を立てると同時にさらさらと消滅した。だがそれはあらゆる崩壊の序曲にすぎぬ──  
 
「えええ? や、やだ、何を……」  
 ハヤテはあっという間に泉の後ろに回り込んでいた。次の言葉はもはや良心倫理の死滅を  
意味していた。  
「そのまま犬耳としっぽを出したまま、わうと鳴いて下さい」  
「ふぇ!?」  
 泉は仰天した。  
(予想以上に食いついた──!! え、ええ? 喜んでいいのかなぁ!? コレって!)  
 おどおどと沈黙する泉に業を煮やしたのか、ハヤテの語気が少し荒くなった。  
「わうです! 鳴いて下さい是非ともお願いします!!」  
(ハ、ハヤ太君が……壊れた!)  
 泉は戯画的に目を丸くして茫然自失のテンプレートを表情に刻印すると、恐る恐る振り向いて  
反問した。  
「い……いわなかったら、ハヤ太君はどうするつもりなのかなー?」  
「あまりしたくはありませんが、お尻を叩かせていただきます」  
 ハヤテはまるで『十年』も修羅場をくぐり抜けて来たようなスゴ味と冷静さを感じる目だ。  
(ひぇええ〜 本気の目だー! でもお尻叩かれるのも……)  
 ハヤテの手がスパッツ越しに小さなお尻を殴打する妄想に、泉はドキドキと瞳を細めたが、  
しかしぶんぶんと首を振った。  
(ち!! ちがうよ!! 私はそんなヘンタイさんみたいな趣味はないよ!!)  
 要するにこの暗い闇の底で半世紀もの間堪え続けてきたハヤテにただのセリフではもはや  
足りないというコトであろう。大わうわうを! 一心不乱の大わうわうを!  
 もはやいい感じに壊れてきた文章はさておき、泉はおずおずと振り返りながら鳴いてみた。  
「……わ、わうわう」  
 ハヤテは少年である。その少年の心に火がついた。  
 だから彼は背後から泉に突き入れると、激しく腰を揺すり始めた。  
「わ、わうう!」  
 丸い瞳をめいっぱい見開いて体をエビ反らす泉の脇腹にハヤテの手が伸びた。彼は中腰の  
まま激しく出し入れを繰り返した。  
 やがて快美に力が抜けた泉はマットに崩れ落ち、埃臭いマットに顔を擦りつけながら高々と  
掲げた腰だけを艶めかしくくねらせた。  
「わう、わうぅぅぅ……!」  
 泉は綺麗な曲線を背中で描きながら、自らの中で激しく暴れ狂うハヤテに幼い顔をくしゃくしゃ  
に蕩かせた。小ぶりな乳房はマットと上体の間でぐにゃりと押しつぶされ、律動のたびに乳首  
をざらついた質感に擦り合わせて肉棒とは違った快楽を次から次へと泉に伝達する。  
「きゃう……おっぱいが……こすれてるよぉ」  
「わう、でしょ? ちゃんといわなきゃダメですよ」  
 ハヤテは泉の腰から生えた犬のしっぽを根本から先端まで一気に擦りあげ、軽く引っ張った。  
「わうう!?」  
 泉は思わず顔だけを立てながら目を白黒させ、か細く震えた。  
 同時にハヤテは泉の背中を覆うように上体を屈ませると、マットに手を置き、抉るようなグラ  
インドで瑞々しい内壁を責め立て始めた。  
「わぅ! わう〜」  
 一瞬ビクリと目を開いた泉だがすぐに目を閉じ、真珠のような涙を湛えながらもじもじと首を  
振った。  
(うぅ……まだ痛かったり苦しかったりするのに……なんだかそれが気持ちいいよぉ……)  
 すでに息は激しく、全身が甘い痺れに打ち震えるたびに桃の霞が脳髄に広がっていく。口端  
からは涎がだらしなく流れ、古びたマットの表面に黒い沁みをぽつぽつと広げた。  
「でもかすり傷ができたらばい菌が入るかも知れませんね」  
 ハヤテはそういうと押しつぶされた双丘の下へと手を滑り込ませ、鷲掴みにしながら強引に  
泉の上体を持ち上げた。  
「わわうぅ……?」  
 
 泉は自分の体が急に浮いたコトへあどけない驚きを浮かべたが、しかしすぐにウィンクをし  
ながら喘ぐ羽目になった。  
「わう? わ!! わうっ!?」  
 中腰の後背位だ。ハヤテは泉の胸をすっぽりと掌で覆ったままペニスを出し入れし始めた。  
 熱く湿った尖端が奥を突くたび、泉は大きな瞳を極限まで見開き可憐な喘ぎを唇から紡ぎ、  
白い上体を跳ねあがらせた。しかし乳房だけはハヤテに握られているため不自然な軌道を描  
き、もどかしい快楽を泉にもたらしてくる。髪の両側に垂れるねずみのしっぽのような髪もゆら  
ゆらと揺れ動く。  
「わ……」  
 それめがけてハヤテは律動の中で首を伸ばし、口に咥え始めた。  
 もとより髪に感覚神経などはないが、しかし耳のすぐ傍で慈しむように食まれている自分の  
一部を感じると、泉は精神的な心地よさにうっとりと瞳を細めるしかない。  
 続いてハヤテは片方の乳房から手を放し、犬耳をくしゃくしゃと撫で出した。  
 激しくはないが愛情が感じられて、快美に蕩けた泉の顔が「えへへ」と嬉しそうに綻んだ。  
「わ……わう、わうわうわう……わう?」  
「いや、だから何いってるかわかりませんって」  
 髪から口を離し律動を収めたハヤテに、泉は「えーっ」と驚いて見せた。  
「もぉ、わうで喋れって提案したのハヤ太君じゃないのよー! だったら分かってくれなきゃだめ  
だよ! も──!」」  
 繋がったま泉は首を後ろに傾けた。すると前髪は髪の流れよりも重力に隷属する方を選択  
し、生え際をところどころ露にした。顔の向きをほぼ互い違いで見上げられたハヤテは、しかし  
髪の生え際よりもむしろ前髪がまばらになったおでこにどぎまぎとする思いだ。  
「すみません。これ、お詫びの印です」  
 と謝りながらとりあえずおでこにキスをすると、泉の機嫌はそれで収まったらしく、「にはは」  
と他愛もない笑みを浮かべた。  
「ねーハヤ太君。最後は……」  
 
 泉の体がくるりとハヤテの正面に向き直り、対面座位の格好を取った。  
 ふよふよと乳房を揉みしだくハヤテの手を嬉しそうに受け入れながら、泉は腰をゆっくり上下  
させ始めた。ちなみに犬耳としっぽはすっ込んでいる。  
「えっへっへ。やっぱり最後はハヤ太君の顔を見たいのだよ」  
 笑顔を快美に蕩かせながら、泉はふぅふぅと息を吐いて腰をくねらせた。  
 すっかり慣れ親しんだハヤテの分身は、そのペースを相手に譲渡する形になり新たな刺激に  
びくびくと緊張し始めた。  
「……っ!! やだぁ、もしかしてまた大きくなったのかなー?」  
「す、すみません」  
 ハヤテの体の変化を面白そうに指摘した泉は、満面の笑みで腰の動きを早めた。  
「そーいういけないコには……んんっ……いいんちょさんが……はぁ……お仕置きしちゃうよ?」  
 といいながら泉は自分の腰の動きに感じているらしく、顔を真赤にして言葉の途中でびくびく  
と震えている。要は責めたいのに責められているのだ。  
 判然とせぬじれったい愛撫にハヤテはムズムズともどかしい気分になってきた。  
(そういえば僕、あんなに動いたのにまだ一度出してない……)  
 ごくりと生唾を飲むと、あるハヤテは賭けに出た。現実主義的な彼はそれを捨て、ただなる  
確率論の信仰者へと身を改めるコトにしたのだ。つまり、一か八かだ。  
 突き動かされるように泉の唇をふさぐと、すっかり熱く湿った舌を口内に差し入れ貪欲に可憐  
な舌に絡ませた。泉はいかにもびっくり仰天という風に目を見開いていたがやがて静かに閉じ  
てハヤテに答えた。両者は口から立ち上る生々しい感触に脳髄を甘ったるくくすぐられながら、  
一方は腰をくねらせ、一方は乳房をもみしだき、あるべき男女の営みを継続した。  
 しかしハヤテは泉のもどかしい腰の動きを破るように猛然と突き上げ始め、彼女の短い悲鳴も  
無視して乳首をぎゅうっとつねった。一瞬だけではなく継続する愛撫。拷問のような痛みを伴う  
愛撫。流石に口づけは解除された。  
「や、やん! ハヤ太君!! 乱暴にしちゃやだよぉ〜!!」  
 されど泉はその乱暴な刺激に頬を赤らめいやいやと首を振るだけで手を剥がそうともしない。  
 ハヤテはぱっと手を放し、泉がふぅと一安心した所でもう一度つねった。今度はダイヤルを  
回すようなひねりすら加えてあるから泉はたまらない。  
「ふぇえええええ!! やだ、やだ、やめてええええ!!」  
 うっすら涙すら浮かべて泉は激しい嬌声を漏らすが、やっぱり手を剥がす素振りはない。  
「い、いじめられるの好きなんでしょ?」  
 
 たまらずハヤテが質問すると泉はまったく図星を指されたように茫然と顔を赤らめ、力なく否  
定の言葉を漏らした。だが、もはやそれは肯定で、ハヤテはどうにも目の前の大好きな少女を  
いじめたくて仕方ない。腰はもうひりつくばかりに突きあがり、乳首をつねる手もひどく暴力的な  
力が籠っている。なのに愛しい衝動は収まるどころかますます膨らんで仕方ない。  
 だからハヤテは。  
 泉の手を取ると、白魚のような指に思う様かぶりついた。  
「────っ!!?」  
 泉はひたひたに濡れた真赤な目から涙を散らし、ぞくぞくと全身を波打たせた。  
 すると膣が激しく収縮し、肉の襞が未来永劫ペニスを捉えんとばかりに怪しくも激しい律動に  
うち震えた。限界はそれでついに到来した。ハヤテが短く呻くと、耐えに耐えていた肉棒の中  
を白い脈動が一気に駆け抜け、熱く濡れそぼった泉の中をどろどろに汚した。しかし一回では  
収まりがつかないらしく、亀頭は二度も三度も精液を噴出し、やがて結合部にまで溢れさせた。  
 ハヤテの執事服は股間周りがべちょべちょに濡れて淫靡な匂いを放っているが、彼にその  
後始末を考える余裕や妊娠を心配する余裕はなかった。  
 ただ激しく息を吐きながら、再び寄りかかってきた泉を見るのが精一杯である。  
 そしてハヤテは泉の顔を見ると、少し苦しそうだが笑みを浮かべた。  
 見れば彼女は指を咥えている。思い返せば絶頂の時に声を上げていなかったから、指を噛  
まれるちょっと前にそうしていたのだろう。単に声を抑えるためなのか、それとも快楽を求めて  
の行為かは分からないが、  
「お揃い……だね……」  
 と顔を上げて照れ照れと笑う泉のいう通りなので、それでいいような気がした。  
「ええ。お揃い、ですね」  
 微笑を返すと、ハヤテはそっと泉を抱きよせてトントンと緩やかに背中を叩いた。  
「もぉ、あんなに激しくしたのになんだかずるいよハヤ太君」  
 泉は文句を言いながらもハヤテの肩に顔を乗せ、じーっと行為の余韻に浸り始めた。  
 
 こうして二人の初体験は幕を閉じた。(完)  
 

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