「なぁ、ハヤテ?」
「はい? 何でしょうか、お嬢さま?」
「お前は義務教育の最中に週6で学校に通ってた時期があるのか?」
「へ?」
何の脈絡もなく唐突に振られた質問。
しかしナギはあいも変わらずパソコンに熱中しているわけだ。
ハヤテは、若干答えを選びかねたものの、一応は素直に答える。
「ええ、僕の年齢ですと、完全に週休二日になったのは中学3年生からですから」
「ふーん……」
質問しておいて、何ともそっけない返事である。
普通なら気分を害する人もいるであろうが、ハヤテは問題無い。
それからナギは、一度だけ伸びをして椅子の背凭れに体を預けるように振り向いた。
「土曜日にまで学校に行くって言うのは面倒ではなかったのか?」
「面倒……というわけではないですけど、確かに学校が無ければなぁと思うことはありましたね」
ハヤテはちょっとだけ古き良き(?)時代を思い出した様に語る。
まぁ、彼の語り口は老人のそれとはまた違うわけだが。
それでも、週6の学校生活と縁が無かったナギにとってはこれだけでも興味をひかれた。
「土曜日の授業って、何をやっていたのだ?」
「そうですねぇ……普通に授業ですね、午前中だけ。HRの延長みたいな事や集会なんかもあった気がします」
「午前中だけなのか…」
ナギは、先ほどよりは気持ちをこめて、ふーん―――と声を漏らした。
今一イメージが掴めていないのか、しかしナギは別の質問に(無理に?)移る。
ハヤテも週5になって嬉しかったのか?――――と。
しかし、この質問に対する答えは、ナギを酷く白けさせることとなった。
「ええ、おかげで半日分バイトが出来る時間が増えたんですから♪」
ナギは申し訳ない感情を抱いたという。
〜nerveless finale〜