「気持ちいい?」
「さ、最高です。こんな……あ…マリアさんっ!」
スラックスを下ろして仰向けになったハヤテの上に、マリアはいつもの服装のまま馬乗りになって愉快
そうにハヤテのモノをしごいている。
ほんのちょっとした悪戯の賭け。それがこんな形になったのは、毎年の契約更新=給料改定を控えてい
るからだろうか。
「マリアさん、僕もう、もう……」
バタン!果てそうになっているというのにいきなりドアが開く。
「ハヤテ!マリア!」
わなわなと拳を握り締めたナギが睨んでいた。
「明日が契約更新だということを忘れたか!おまけに私は20歳になった。今年はクラウスの判なしで契約
内容は変えられるぞ」
二人は顔を見合せガクガクと震える。
「マリアは長く勤めているから給料3万アップのつもりだったが、2万アップに凍結!あとハヤテ」
ナギは身仕度を整えたハヤテの手を握り、マリアにしっしっ、と追い払う仕草をして言った。
「お前は条件を断然厳しくするぞ。嫌なら」
ナギは冷たい視線でクビをかっ切る仕草をする。ハヤテはガタガタしながらナギに手を引かれるまま、
私室に入っていった。
がちゃり、と部屋の鍵をかけるとナギはベッドに腰掛け、ハヤテにも座るように言う。
「契約内容は夜間勤務も適宜追加。給料は月3万。女性と交際禁止。有給休暇なし」
「3万じゃ幾ら何でも」
「いや、世間の男たちの平均だとニュースで見たぞ。契約書に判を押せ!」
言ってナギは真っ赤な顔で枕の下から一枚の紙を取り出して突き付けた。
「これを区役所に届ければお前は三千院ハヤテだ」
ナギは顔を逸らして不安そうにハヤテを見上げる。ハヤテは笑顔でナギを抱き締めて言った。
「一生お仕えしますよ」
そのままベッドに二人は倒れこむ。ナギははぁはぁ言いながら不安そうに言う。
「今日は触るだけだぞ?慣れているお前と違うからな?誰も触ったことなんてないんだからな?」
「僕だって今日のアレ以上は、まだ」
ナギはくすっと笑う。
「ハヤテの童貞は、私のものだ」