「はぁ……まいったなぁ、急に降りだすなんて」  
ふらっと一人で買い物に行った泉は、帰る途中突然の雨に襲われ一人雨宿りをしていた。  
「はぅぅ……ビショビショに濡れちゃって、これじゃあ風邪ひいちゃうよぉ……  
 こんな時、偶然にも傘を持った知り合いでも通ってくれれば助かるんだけどなぁ……偶然にもハヤ太君とか……」  
「あれっ?泉さん?……もしかして傘がなくて困ってるんですか?」  
そこに現れたのは、いつもは絶対に通らないこの道を、この日は偶然傘を持って何とな〜く通りかかろうとしたハヤテだった。  
 
「ハヤ太君!良い所に現れてくれたね。さぁ、一緒に帰ろ〜!」  
「え?あっ、それは別にかまいませんけ……」  
泉はハヤテの返事を聞く前に置いて行かれまいと、傘の中へ飛び込んだ。  
テクテクと傘に入り並んで歩く二人。泉はよく喋るので会話も絶えず楽しく帰り道を歩いていく。  
しかし泉には一つだけ気になる事があった。それは、ハヤテがまったくこっちを見ないと言う事。  
歩いてる時はもちろん、話しをしている時も、笑っている時も、常に見えるのはハヤテの横顔だけだった。  
 
「ねぇ、ハヤ太君。さっきから不思議なんだけど、どうしてこっちを見ないの?」  
この質問にハヤテは固まって、気まずそうに黙りこみ、泉の方をチラッと見て再び目をそらす。  
「えっと……泉さんは今日は派手な下着を着ているようなので……その…………」  
「???」  
「し、……白いブラウスだと透けて見えちゃうって言うか……」  
「ほぇ?」  
ふと自分の胸元に目をやる。すると雨でびっしょり濡れた上着は透けてしまい、  
中の青い下着が透けてしまっている……と言うか、丸見え。  
「わわわ……っ!ハ……ハヤ太君のえっち!……こっち見ないで〜!」  
「えぇっと、だからずっと見てなかったんですけど……」  
「そんなぁ……私だって女の子なんだから、ちょっとくらい興味持って見てくれればいいのにぃ……」  
「えっ、……でもそんな事言ったっ……」  
「うわぁぁん、こっち見ちゃダメ〜!!」  
 
支離滅裂な事を言いながら両手で胸元を隠す泉は、何とか隠す方法を必死に考える。  
……かといって上から羽織るものが無ければ隠す事なんて出来ない。それでも必死に考える。  
(―――うぅ……隠す方法……隠す方法……って、そっか!隠せればいいんだ!)  
「ハヤ太君、ちょっとあっち向いててくれたまえ!絶対こっち見ちゃダメだからね!……  
 あと、通行人にも私が見えない様にガードをするのだ!」  
泉はそう言うと、何やらごそごそとカバンの中をあさったりし始めた。  
 
 
「よし、っと……ハヤ太君、もうこっち向いても大丈夫だよ!」  
泉にそう言われ、恐る恐る振り返るハヤテ。すると、確かに下着は透けていなかった。  
「エッヘッヘ♪ねっ?大丈夫でしょ?」  
「あれ……?本当だ、でもいったいどうやったんですか?」  
「それはね……こう言う事だよハヤ太君!!」  
勢いよく泉がカバンを開くと、そこには青いブラジャーが入っている。  
 
「えっと……つまり、羽織る物が無くて隠せないから、脱いでカバンに隠したと……?」  
「うん、その通りだよハヤ太君!ねぇねぇ、こんな事を思いつくなんて、少しはいいんちょさんを尊敬した?」  
そう言って、腰に手を当ててエッヘンと威張る様なポーズの泉だったが、ハヤテは再び目を逸らしてしまう。  
 
「あの……泉さん、非常に言い辛いんですが……」  
「??どうしたんだいハヤ太君?さっきより顔が赤いよ?」  
「……多分さっきより恥ずかしい事になってますよ」  
「うにゃ?……恥ずかしい事?」  
泉が再び胸元に目をやると、今度は下着の代わりに胸の先のピンク色のモノが透けている。  
 
「あっ……わ……ハ、ハヤ太君、……ど、どうしよう……」  
「どうしようって……もう一度付けた方が良いんじゃないですか?」  
「でもそれじゃあ下着が透けちゃうし…………あっ、そうだ」  
何かを思いついた様に、泉はハヤテの後ろに回り込むとギュッと抱きついた。  
ハヤテの背中には、下着を付けていない柔らかい胸が直接当たる。  
 
「い……泉さん?!急にどうしたんですか?」  
「こうしてると誰にも見えないでしょ?我ながらナイスアイディアと思うんだけど」  
「で、でも背中に胸が当たると言うか……意外にも大きくて押しつけられてる感じなんですけど……」  
「そんな恥ずかしい事言われても……えっと、……せ、成長期だから仕方無いのだよ!……って言うかハヤ太君のえっちー!」  
 
結局そのまま背中に胸を押しつけたまま家へ向かう二人。帰る途中に雨も止み、無事家へ到着。  
「ハヤ太君、ココだよー。ありがとう、助かったよ!」  
「いえ、服もなんだかSSの終わりに合わせる様に、上手いぐわいに乾いて良かったですね」  
「うん、それじゃあ名残り惜しいけど、ハヤ太君の背中から離れるとするかなぁ」  
泉にピッタリとひっつけていた胸を離され、ハヤテはようやく泉と向き合って話す事が出来た。  
 
「それではまた明日、学校でお会い……し…………ましょー……さ、さよならー!!」  
そう言い残すと、勢いよく走り去るハヤテ。  
「あははっ、ハヤ太君ってば、下着を付けて無いからって、服は乾いたんだからあんなに恥ずかしがる事無いのに」  
 
 
そんな事を考えながらニヤニヤする泉が、実はひっついていた胸元だけは服が乾かず、ピンク色の乳首が透けたままで、  
更に抱きついていた為に勃起し、より目立っていた事に気づいたのは5分後の事だった……。  
 
 
「……ほぇ?」  
 
 
おわり。  

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