「おーい、ハヤテー!」
お嬢様が呼んでる。行かなくちゃ。
お嬢様の部屋では、いつもの通りの乱痴気騒ぎ。
僕は一生懸命にお仕えしている。お嬢様も、それを褒めてくださる。
それでいいと思ってた。
だけど、なにかこの頃、どこかに違和感がある
「大変でしたね」
乱痴気騒ぎの後片付けを終えて一人で帰ってきた僕に、
マリアさんが優しく声をかけてくれる。
「いいえ、これが僕の仕事ですから」
マリアさんの声を聞いたことで、僕の心の中の違和感は更に増幅された。
「どうしたんですか、ハヤテ君。
この頃少し元気が無いみたいですけど?」
マリアさんには、気付かれてしまったみたいだ。
「ご心配頂いて有り難うございます。でも、僕は、元気です」
「ならいいんです。
でも、あんまりナギの悪戯が過ぎてハヤテ君に負担をかけているようなら
遠慮せずに行ってくださいね。私から注意しますから」
「はい!」
元気な声で返事をしたけど、僕が感じているのは、
疲労感じゃなくて、違和感なんだ…
お嬢様と比べたら、マリアさんはいつも気持ちが穏やかで、とても優しい
一緒にいると、とっても心が落ち着く
だけど、何なんだろう、この違和感は…
この頃は、気が付くとマリアさんの事ばかり考えているし、
自分でも気が付かないうちに、マリアさんの姿を目で追っている
僕は、ひょっとして…
いや、そんなんじゃないし、そんなんじゃいけないんだ
だって、僕は、お嬢様に一生かけてご恩返しをするって決めたんだから
でも、日増しに僕の心の中は、マリアさんのことで一杯になって行ってる
「ハヤテ君」
マリアさんから名前を呼んでもらうと、
とっても嬉しいし、とっても元気が出る。がんばろうって気持ちになる。
「ハヤテー」
お嬢様から呼ばれたときの僕の身体の反応速度は、
お屋敷にお仕えし始めたころより、自分でもはっきり分かるほど遅くなっている。
そしてこの間、厨房でマリアさんと一緒に料理をしていた時にお嬢様に呼ばれて、
初めて、お嬢様のお呼び出しを煩わしく思った。
マリアさんと二人きりの厨房から、出たくなかった。
僕は、どうすればいいんだろう…
マリアさんと一緒に料理をする機会がまた巡ってきた。
お嬢様は
「いまからネトゲの最終決戦なのだ。だから誰も私の部屋に入ってきてはイカン!」
と言っていた。
僕は、そのことが嬉しかった。
お嬢様が大人しくしていてくだされば、
その間、マリアさんと二人きりの時間をたっぷり持てるんだから。
そう、僕の心はお嬢様から離れ始めていた。
マリアさんは、僕の心が少し変化し始めてるって事には気付いているみたいだけど
僕の心がお嬢様から離れていってることに、
そして、マリアさんに近づいているってことに、気付いているんだろうか
料理の最中、僕はドキドキしながら、マリアさんに話しかけた。
話しかけるだけでドキドキするなんて、
もう、僕の心は完全にマリアさんへ向いているんだろう。
「あの、マリアさん」
「何ですか?ハヤテ君」
「今度、教えていただきたい料理があるんですが」
「まあ、珍しいですね。ハヤテ君にも作れない料理があったなんて」
「ぜひ、お願いします」
「わかりました。
ナギからの呼び出しがなさそうな時を見つけて、教えてあげますね」
僕は、顔には絶対に出さなかったけど、
心の中で大声で「やったー!!!」って叫びながらめちゃくちゃにはしゃぎまわっていた
料理を教えて欲しい、なんてただの口実だ。
僕は、美味しいマズイはともかく、世の中の一通りの料理は作れる。
でも、どうしてもマリアさんと二人だけの時間を過ごしたかった。
料理を教えてもらえることになった日が来た。
今日は丸々一日、お嬢様は有明のほうのイベントに出かけて行って、お留守だ。
マリアさんと二人きりの厨房。
リクエストしたのは、なんでもない西洋料理。で、油断しているマリアさんに、
「お嬢様の好き嫌いを治すには、どんな調理法がいいのでしょうか?」とか、わざと詳しく聞く作戦。
「そうですね、ナギは、『この独特のにおいが嫌だ』って言ってましたけど…」
「けど?」
「これのにおいを抜くように調理すると、身体に良い成分まで抜けちゃうんです」
マリアさんの横顔、綺麗だ…
ちょっと下がり気味の目尻も可愛いし
なんたって声が、とっても優しくて温かい…
マリアさんは「私は17歳です」って言ってるけど
今までいろんな人間と接してきた僕の目にかかれば、そんなの違うってすぐに分かる
ほんとに綺麗な女の人は、二十歳位からどんどん魅力が増してきて、25歳位から、心も身体も「いい女」になる
僕の目から見て、今のマリアさんは充分「いい女」だ
今まで僕の周りにいた大人の女の人といえば、学校の先生か、お客さんか、雇い主くらいだ
母さんは、もう、思い出したくない…
そう考えると、マリアさんに対する僕の気持ちって、
“憧れ”って言うか、母親や姉に対する気持ちみたいなものなのかな?
「あの…、ハヤテ君?」
「あ!ハ、ハイ!!」
「どうしたんですか?なんだか、さっきから考えごとをしてるみたいな顔で…。
私の説明、分かりにくいですか?」
横顔に見惚れてました、なんて絶対に言えないよ…
「い、いえ、これをお嬢様にお食べいただくには、どうしたらいいかと…」
「ハヤテ君、ナギのことをとても一生懸命に考えてくれてるんですね。有り難うございます。
でも…」
「?」
「ナギは、ハヤテ君の言うことなら、素直に聞くと思いますけど…」
「なぜです?」
「だって、あの子は、ハヤテ君のことが大好きなんですから」
「あはは…、『大好き』ですか。とても嬉しいですね。僕もお嬢様のことが好きですよ」
それは嘘じゃなかった。ただ、そこに、どう言えばいいか分からない“違和感”があるんだ…
「なら、ハヤテ君の口から直接あの子にそう言ってあげてくれませんか?
とても喜ぶと思いますし、なにより、安心すると思います…」
“安心”って、どういうことだろう?
「そうでしょうか?いつも事ある毎に、
そういう意味のことは、なるべくきちんと申し上げるように心がけているのですが…」
「いえ、ナギは、ハヤテ君のことを“男性として”好きなんです」
僕は、心臓が止まるほどビックリした。
たしかに、僕に対する今までのお嬢様の態度には、何となく合点がいかないところがたくさんあった。
それが、僕に対するお嬢様流の“モーション”だって!?
大慌ての僕は、とっさに考えも無しに口走ってしまった。
「お嬢様は、まだ子供でいらっしゃいます!それに僕のご主人様ですよ!
お嬢様に対する僕の気持ちは、『恋愛』とかそういうものじゃなくて…」
「じゃあ、ハヤテ君は、誰か好きな人がいるんですか?」
うっ!この話の流れだと、他に好きな人がいないならお嬢様のことを好きになって欲しい、と説得されそうだ。
だからって、
今この場で「この頃、マリアさんのことが気になって仕方ないんです」なんて言えないし、言うべきじゃない…
でも、マリアさんと二人っきりのこの状況で恋愛の話題が出たってことは、ひょっとするとチャンスかもしれない。
でもでも、やっばり今日の所は、穏便に話題を逸らそう
マリアさんに対する僕の気持ちは、ただの“憧れ”だと思うから…
「僕に好きな人がいてもいなくても、お嬢様は僕の恋愛の対象にはなりません!」
ああっ!しまった!!動揺してたもんだから、ついキツイ言い方を…
マリアさんを、しょんぼりさせてしまった。マリアさん、ごめんなさい…
厨房全体の空気が重い。自分が動揺してるのを、相手をやり込めてゴマかそうとするなんて、僕は最低だ…
「なら、ハヤテ君は、どんな女の子が好きなんですか?」
ああ、よかった。マリアさんから話しかけてくれた。
上手に話に乗って、場の雰囲気を修復して、せっかくのマリアさんとの二人きりの時間を楽しく過ごすんだ!
じゃ、返事をしますよー!
「マリアさんみたいなひと、でしょうかねぇ…」
……ん?え?……おや?…あれ……って…
どわああああああああああっっっっっっッッ!!!!!!
つい、つい、ほんとに、つい、うっかり、口が滑っちゃったよー!
マリアさん、真っ赤になって下向いちゃってるし。どどどど、どうしよう…。最悪の結果だよー…
こうなったからには、必死にフォローを入れて何とかゴマかし通すしかない!
「マ、マリアさんは、初めて会ったときに、見ず知らずの僕の手を握って、
とても優しい顔で『こんなところで寝ては、風邪を引いてしまいますよ』って言ってマフラーを貸してくれて、
僕は、それがとても嬉しくて泣いてしまって、
そのときから、ずっと、マリアさんて、とても素敵な女性だなぁ、と…
それから白皇の編入試験に失敗したときも、
理事長と交渉して編入許可を取り付けてくれて、お庭の池にいた僕のところに生徒証を持ってきてくれて、
そのとき、マリアさんに頬を触ってもらったのが、とても心地よくて…
それから、お嬢様に『若者の集う場所を取材してこい』って言われて、
二人で原宿とかに行ったときも、マリアさんは何を試着しても似合ってて…」
って、おい!僕自身!!
まったくフォローになって無いじゃん…!マリアさん、ビックリして目をまん丸にしてポカンとしちゃってるし…
ええい!こうなれば、一発逆転のスーパー・キラー・スルーパス(??)を繰り出すしかない!!
「じゃ、じゃあ、マリアさんは、ど、どんな男性が、好きなんですか?」
「わ、私は…」
やった!マリアさん、真っ赤になって下向いちゃったよ!
ここで、会話の主導権を一気にこちら側に、と…
「僕みたいな男は、どうでしょうかねぇ?」
って、またまた、おい!!僕自身!!!
一体何を言ってるんだよ!いくら動揺してるからって、
言うに事欠いて、なんでそんな台詞を今このタイミングで…
でも、待てよ?ここまで直球な言い方なら、かえって「冗談ですよ!」ってゴマかしやすくなったかも知れないぞ!
なら、次の台詞は「あはははは、冗談ですよ!」がいいな。ていうか、それしかないよな
じゃあ、今度こそ、落ち着いて、言い間違えないように。まずは「あはは」と笑い飛ばすところから…
「あは…
「いいかも…知れませんね…」
…え?
二人の言葉が重なったけど、確か、マリアさん、今、「いいかも知れませんね」って言ったような…
「なーんて!うふっ、びっくりしましたか?」
ええぇーーーっ。か、返り討ちですか…
いやいや、待てよ。「なーんて」ってことは、
今までの“告白合戦”みたいなのは、僕の発言も含めて、みんな「冗談だ」ってことになる、
って言うか出来るってことですか?
それじゃ、一応、事は収まったって考えていいのかな…。それなら、よかったよかった。
「でもね、ハヤテ君。ナギがハヤテ君のことを異性として好きだってことは、本当なんです」
そうだったぁーーーッ!!!
それを何とかしなければ、いや、「何とか」っていったって何がどう何とかなのか判らないけど、
お嬢様のお気持ちを考えると、とにかくやっぱり何とかしないといけない。
それに、僕だって、お嬢様のことが“嫌い”ってわけじゃない。
お嬢様はワガママでおマセさんだけど、顔はとっても可愛いし、
ほんとは凄く寂しがり屋で、まるで仔猫みたいに思わず護ってあげたくなるような不思議な魅力をお持ちだ。
ただ、どうしても、どういえばいいのか判らない違和感があって…
「うーん…、それは…」
「ハヤテ君に、あの子のことを好きになって欲しいって無理にお願いするつもりはありませんけど、
とにかく一度、そのことについてナギとじっくり話をしてあげてくれませんか?」
「は、はあ…」
やはり、そうきましたか。
そうですよね。ほっておいたら、そういう風な流れになるのが当たり前ですよね。
ならば、今、お嬢様と僕との関係について話題が出たのをチャンスと捉えて、
この何ともいえない違和感についてマリアさんに相談してみよう。
僕の相談に乗ったとなれば、マリアさんだってこの問題の立派な『当事者』になるわけだから。
これは、案外、チャンスなのかも知れません!
「マリアさんに、相談があるのですが」
「はい、何ですか?」
「お嬢様にお仕えし始めてからもう一年になりますけど、
この頃、お嬢様のお側にいると、自分でもどう表現したらいいのかわからない違和感みたいなものがあって…」
「ハヤテ君、この間から少し元気が無いなって思ってたんですけど、やっぱり訳があったんですね。
あの子、また何かハヤテくんが気にするようなことでも言いましたか?」
「いえ、そういう訳ではないんですけど…」
はっきりした原因があるなら、僕だって、こんなに悩みはしない。
でも、この違和感って、自分でもその正体がはっきりとわからないものだけに、
他の人に上手く説明できないんだよなぁ。困りました…
「あの子の突発的な行動の殆どは、漫画かアニメかその手の本を読んでいる最中の思い付きですから、
ハヤテ君には本当に負担が掛かっていると思います…。
もっと私が、あの子のことをちゃんと見てやれていればいいのですけど、本当にごめんなさいね」
マリアさんの綺麗な顔が、哀しそうに曇ってしまった。
お嬢様の暴走は何時もの事で、別に負担になっているわけじゃない。
それに、お嬢様が暴走している時って、
あの小さなお体が大渦を巻いた黄金の分厚いオーラに包まれるから、
僕としては、元気が無くいらっしゃる時よりも暴走時の方が遥かに安心なんだけどな。
でも、そうすると、ますます僕が抱いている違和感の原因の説明が付かなくなる訳で…
「あの子の事を、嫌いにならないでやってください。これだけは、お願いします」
「ちょ、ちょっと、マリアさん!そんな、僕なんかに、頭を下げなくたって」
マリアさんが、僕に、深々と頭を下げてる。
マリアさんて、本当に優しいんだなぁ。
ますます憧れちゃいますねぇ。栗色の艶々した髪もとても綺麗でいい匂いだし…
あっと、いけない。思わずニヤついてしまうところでした。
うーん、でも、本当に困りましたね。とにかくこの違和感の原因が判らないんですから…
それでも、この僕が、お嬢様のことを嫌いになるなんてことは絶対に絶対に絶対に有り得ませ…
ん?
「好き」
「嫌い」
何かが、引っ掛かるような気がしますけど…
もしかして…
ひょっとすると…
はい!なるほど、判りました!!
僕は、一年近くもお側にお仕えするうちに、
お嬢様の事を、いつの間にか“ご主人様”としてだけではなく“女性として”も好きになっていたんですね!
でも、『マリアさん』と『お嬢様』という比較の場合、
どちらがより“女性として”好きかということならば、それはマリアさんの方が好きだと。
だから、お嬢様と一緒にいる時よりも、マリアさんと一緒にいる時の方がちょっとだけ(本当にちょっとだけ)
楽しいんだ、という事になる訳ですか。
成る程成る程、そういう事なら、僕が心のどこかでお嬢様の事を嫌ってるって訳じゃなくて、…って…
え?
では、僕は、マリアさんの事を“女性として”好きだと…
それも、お嬢様よりも好きだと…
ええぇーーーっ!!
えっ!?ちょっと待って…、って、あれー?なんでそういうことになるんだろう!?
それって、お嬢さまとマリアさんを両天秤に掛けてるってことじゃないですか!我ながら失礼な話です!全く!!
でも…、ねぇ…。そりゃ、マリアさんはとっても素敵ですから、
男と生まれたからには、是非一度お付き合いをさせて頂きたいとは思いますけど…、
って、この状況で何を考えてるんだ、僕!!
よ、よし!まずはさっきのマリアさんの、お嬢さまの事を嫌いにならないで下さい、っていうお願いに、
きちんと返事をしなければ。
「ご安心ください、マリアさん!僕は喩え何があったって、お嬢さまの事を嫌いになったりなんか絶対に致しません!」
「ありがとうございます。これからも、あの子の事、よろしくお願いしますね」
「はい!おまかせください、マリアさん!」
ああ、やっとマリアさんが笑ってくれましたね。よかったよかった…
でも、マリアさんの困った顔というのも、なかなか魅力的ですねぇ…
わあっ!何を考えてるんだ、僕!パート2!
「でも…」
え…?また僕は何かを口走ろうとしてるぞ。今度は何を言う気なんだ、僕?
「はい?」
マリアさんが怪訝な顔で僕を見てる。
「でもやっぱり、お嬢さまを“女性として”好きになるっていうことは、できない事じゃないとは思いますけど、
僕にはとっても難しい、っていうか、やっぱり不可能に近いと思うんです」
「どうしてですか…?」
「お嬢さまと僕とでは、住む世界が決定的に違いますから…」
うん。ここまでは、なかなか筋の通ったことを言ってるな、僕…
でも、マリアさんの綺麗な顔がまた曇っちゃったよ…。どうするんだよ…
「ええ…、それは…」
「でも、安心してください、マリアさん!」
不安にさせといて掬い上げる、か…。なかなか高度な心理テクニックだな…、って、
こら!お前の目的は何だ!一体、何を狙ってるんだ!僕!
「はい…?」
ほら見ろ、さすがのマリアさんも不思議そうな顔してるじゃないか…
「僕は、喩え、お嬢さまがお婿さんをお迎えになった後だって、
お嬢さまに『もうお前は要らない』と言われるまでお嬢さまのお傍でお嬢さまを支え続けます」
おお!とんでもなくいい事言うじゃないか、GJ!僕!!
「はい!」
やったぞ!マリアさんの表情が、太陽のような笑顔に!GJ!僕自身!!
「ですから…」
ええッ!!まだ何かあるのか、僕!?これ以上、一体何を言おうとしてるんだ!
ああ…、マリアさんがまた怪訝そうな顔に…
「はい…?」
「この僕のことは、マリアさんが支えてくださいませんか?」
って…
えええぇーーーーーーーッッッ!!!!!そそそ、そうきたか、僕自身!!
いや、『そうきたか』なんて言ってる場合じゃありませんよ、これは!!明らかな一大事じゃあないですか!!!
僕は今まであらゆる修羅場という修羅場を潜ってきたし、ありとあらゆる危ない橋を渡ってきた。
だから、いざとなると、意識より先に身体が反射的に動くようになってしまっている。
ならば、今回の、この手の込んださり気ない(!?)告白も、
僕の身体に染み付いた“反射”のなせる業だというのか…
それにしても、マリアさん、真っ赤になって俯いちゃってるよ…。この状況を一体どうするつもりだよ、僕…
「…はい」
え…?マリアさん…、今、『はい』って言いました…?
「私でよければ…、ハヤテ君を、支えます…」
マリアさんが、俯いたまま、僕の執事服の袖口をキュッと摘んだ…
なんてこったい…。いや、いい意味で…